2012年7月27日金曜日

第21回北海道乳腺診断フォーラム

今日は年1回の乳腺診断フォーラムでした。今晩は豊平川の花火大会がある日でしたが、かなり多くの人が集まりました。

症例はいつもの2例。旭川の2施設からの症例でした。最初の症例は結局紡錘細胞がんなのか扁平上皮がんなのかがはっきりしませんでしたが、進展形式が嚢胞内から外側に広がるような形態を示した珍しいタイプの症例でした。2例目は関連施設からの症例で、あまり嚢胞部分がはっきりしない嚢胞内がん(一部浸潤あり)でした。バコラという生検器具で診断をつけたようで、出血の危険性を避けるためのコツや針穴をどうしているのかなどを質問しました。私たちの施設でも来春の新病院移転後にはバコラを導入する予定ですので参考になりました。

症例検討のあとは、デジタルマンモグラフィとモニター診断についての講演がありました。こちらも来春から導入予定ですので勉強になりました。ただ上手に使いこなすのはなかなか大変なようですね。またもや講習会を受けなければならないとは…いろいろ考えるとちょっと気が重くなりました。

終了後は懇親会に参加して22時近くに帰宅しました。明日から水曜日までは夏休みです。今日は札幌も32.5℃くらいまで上がりました。まだまだ暑い日が続きますが、皆さん体調には気をつけましょう!

2012年7月25日水曜日

乳腺術後症例検討会 21 病理医との連携

今日は月1回の症例検討会でした。いつも夕食を食べに行く喫茶店が手術が終わってから行くともう閉まっていたのでコンビニで軽く食べてから参加しました(笑)

今日の症例は、画像的には明らかに乳がんを疑いましたが、針生検では「間質肉腫の疑い」、最終的には「乳腺線維腫症(fibromatosis)」という診断を得た症例、広範な乳管内進展を呈した乳がん症例、高齢者で非浸潤がんを疑った乳管内乳頭腫の症例、硬がん様の超音波画像でしたが、脂肪内の高エコーが著明で、最終的には「浸潤性微小乳頭がん(Invasive micropapillary carcinoma)」だった症例の4例でしたが、いずれも画像的にはなかなか判断が難しい症例でした。

今日のミニレクチャーは「乳腺線維腫症」についてでした。この疾患は基本的には良性ですが、局所再発をきたすことが2-3割あるという点と、低悪性度の肉腫との鑑別が難しいという点で注意が必要です。この症例はより正確を期すために、乳腺病理の権威である坂元記念クリニックの坂元吾偉先生にconsultationを行ないました。

私たちの施設では、乳腺外科医と病理医の連携がスムースです。病理科の科長のK先生(私と同期です)は、乳腺病理診断の難しさをよく理解してくれているので、診断に迷うケースは、私たちとカンファレンスを行なったり、積極的にconsultationに出してくれたりします。時間を要することにはなりますが、慎重な彼の判断と風通しの良さには大変助かっています。そして毎月行なわれるこの症例検討会の病理スライドの準備と当日の解説には毎回顔を出してくれます。そしてそういうK先生の姿勢のおかげで部下の病理医の先生方の参加も回を重ねるごとに多くなってきています。

病理医と乳腺外科医が密接に連携をとることが正確な診断につながり、結果的に患者さんに利益をもたらす(不利益を避ける)ということを私はG病院での研修で教わりました。これからもこういう良い関係を継続して行ければと考えています。

2012年7月23日月曜日

第9回 With You 北海道~あなたとブレストケアを考える会〜続報

6月にも一度情報を流しましたが、正式に「第9回 With You 北海道~あなたとブレストケアを考える会」のポスターが送付されてきました(写真)。

詳細な内容が決まりましたので概要を追加します。

テーマ:もっと多くの良い情報を!
日時:平成24年8月18日(土) 12:30~16:15
場所:札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学研究棟1階 大講堂

内容:
①開会の辞(With You あなたとブレストケアを考える会代表 霞富士雄先生)
②お役立ち情報コーナー(司会:市立札幌病院 大川由美先生)
『乳がん最新治療』(札幌医科大学第1外科 九富五郎先生)
『ネット活用法』(北海道大学病院 乳腺・内分泌外科 細田充主先生)
『補完代替医療』 (東札幌病院ブレストケアセンター 亀嶋秀和先生)
『リンパ浮腫セミナーを振り返って~「学ぶ」・「つながる」の大切さ~』(札幌医科大学寄付講座緩和医療学 岩本喜久子先生)
③参加者グループワーク(「手術後の不安・治療」、「再発の不安・治療(再発の方のみ)」、「リンパ浮腫」、補完・代替医療」、「ご家族のケア」、「緩和ケア」、「若年者乳がん」)+何でもコーナー(グループワークに参加されない方対象)
④パフォーマンス(フラメンコ)
⑤特別講演(司会:札幌医科大学第1外科 鈴木やすよ先生)
「明日から出来る!からだにいい生活習慣」(東京医科大学乳腺科 海瀬博史先生)
⑥各地のWith You報告
⑦閉会の辞

今年の私の担当グループワークは、病院の特性からあまり適任ではないような気もしますが、与えられた役割なので少し勉強して望みたいと思います。楽しくて実りある集まりになると良いですね。多くの方が参加されることを期待しています。

この夏も様々なイベントが盛りだくさんで忙しくなりそうです!





2012年7月22日日曜日

ちょっと二日酔いの乳がん検診

前回のピンクリボン in SAPPOROの記事がなぜか私のパソコンでは一瞬だけ表示されてから見れなくなる状態になっていましたが、皆さんは読めましたでしょうか?原因がよくわからないので、一度削除して作り直したらとりあえず読めるようになりました。

昨日は久しぶりにD病院形成外科のE先生と共通の友人Mさんと3人で飲みに出かけました。今回はすすきのではなく、石狩街道を挟んだ東側(テレビ塔の向かい側 南1東2)にある隠れ家的なワインバーに初めて行ってきました。

E先生に会うのは4ヶ月ぶりくらいでしたが相変わらずお元気で精力的に仕事をこなしているようでした。朝早くから2つの病院の入院患者さんの診察をして、外来診療のあとで手術を4件こなしてからワインバーに現れましたが、まったく疲れた様子もなく、たいした体力です(汗)さすが柔道部出身!私はバレー部でしたが体力が落ちる一方です(泣)そろそろ本格的に体力作りをしなければ…。


今日乳がん検診があるのでアルコールは控えめにしようと思っていたのですが、結局E先生とMさんとの話が楽しくてついつい0時まで3軒はしごしてしまい、ちょっと飲み過ぎてしまいました(汗)3人で白1本、赤2本空けて、その他にビールを3杯くらいでしたが、今朝起きたらまだちょっとふらふらしてました(泣)

それでも時間前にはきちんと出勤して乳がん検診を無事やり終えることができました。ただ検診受診者数が定数より少なかったのが残念です。しかもそのほとんどは休日じゃなくても受診できそうな高齢者ばかり…。

私たちの病院ではずっと前から2ヶ月に1回程度、日曜日に特別診療(特診)として検診を行なってきました。平日になかなか受診できない主婦や働く女性に検診を受けていただこうというのがその主旨です。30才以上が対象で、触診のみだった時代には、1回に100人近く来られることもありました。

それが40才以上が対象の隔年のマンモグラフィ併用検診になったころから日曜特診の受診者が減少傾向になっています。マンモグラフィを撮影できる数で制限が加わることもあるのですがその定数にも満たないことが最近目立っています。これはおそらく、ピンクリボン運動などの啓発活動が盛んになるとともに企業側の検診に対する意識が変化し、企業検診としての乳がん検診を平日に保障するケースが増えてきたことによるのではないかと思います。結果的に休日でなければ受けれないような比較的若い検診希望者が減ってしまったのではないでしょうか。もしそうなのであれば大変良いことであり、私たちが行なってきた活動はその役割を縮小する時期にきたのではないかと思っています。

(写真は2軒目の店で飲んだイタリア(シチリア)のワイン「il passo 2010」です。リーズナブルな値段の割にはとても香り高くて美味しかったです!)

ピンクリボン in SAPPORO 2012 ”ピンクリボンロード”

今年もさっぽろテレビ塔がピンク色にライトアップされます!

毎年夏に行なわれるピンクリボン in SAPPOROのイベントが、今年は8/26(日)の13:30-16:00までさっぽろホコテン(中央区南1西3)で開催されます。

イベントの内容は、
1.ピンクリボンフラ(「ハーラウ・フラ・オ・ナーレイヒバ」)      13:30〜
2.ゴスペルコンサート(これも恒例の「KiKi&ピンクリボンクワイア」) 14:00〜
3.ピンクリボンパフォーマンス(毎年恒例になった「もえぎ色女学院」) 15:00〜
4.ピンクリボンボディジュエリー(1回1000円で素肌にアート!)

札幌近郊にお住まいの方で、お時間のある方は、買い物ついでにでも是非お立ち寄り下さい。

*雨天時はさっぽろテレビ塔内に変更になります。


2012年7月16日月曜日

乳がん患者さんの労働環境の変化

私の患者さんの中にも乳がんと診断されてから仕事を辞めざるを得なくなったり、職場から嫌みを言われたりした方が何人もいらっしゃいます。このようながん患者さんに対する職場の理解と配慮の不足(職場にも事情はあるとは思いますが)、公的サポートの不足は日本だけの問題かと思っていましたが、海外でも同様の傾向がみられるようです。

Journal of Clinical Oncology誌オンライン版(2012年7月9日号)にスェーデンの研究者が乳がん診断後の労働時間や処遇の変化についてのコホート研究の結果を掲載しました。概要は以下の通りです。

対象: Regional Breast Cancer Quality Register of Central Swedenで登録された735例のうち、2回のアンケートを完了した女性505例(診断時63歳未満)。

方法: ベースライン時(診断後平均4ヵ月)およびフォローアップ時(診断後平均16ヵ月)にアンケートを行なった。未婚・既婚、子供の有無、学歴など社会人口統計学的因子に関する情報はベースライン時に、また自己申告による仕事に関わる情報はフォローアップ時に収集した。

結果: 
①労働時間→変化なし 72%、増加 2%、減少 15%、退職  11%
②化学療法は、退職や労働時間短縮の可能性を増加させる(オッズ比[OR]:2.45、95%CI:1.38~4.34)
*これらに影響した要因…診断前のフルタイムの仕事(OR:3.25、95%CI:1.51~7.01)、がんに関連した労働制限(OR:5.26、95%CI:2.30~12.03)、仕事に対する低い価値観(OR:3.69、95%CI:1.80~7.54)(化学療法を受けなかった患者では、年齢の高さ(OR:1.09、95%CI:1.02~1.17)と仕事に対する低い価値観(OR:5.00、95%CI:2.01~12.45)が影響)。

結論: サポートが必要な女性を識別するには化学療法とがんに関連する労働制限が重要な因子であり、さらに労働市場に参加することについての女性自身の価値判断を考慮することが重要である。


以上の報告は、乳がん患者さん自身の職場復帰に対する意欲(働かなければ生きて行けない状況なのかどうか、その職場における職責、労働内容への満足感などが関係しているものと思われます)と職場における理解と状況(復職の延期や労働制限を許容できる環境なのかどうか)が、乳がん患者さんの労働環境の変化に関係しているということなのだと思います。

病気による突然の欠員はその職場にも少なからず影響を与えます。そのような場合に備えて公的機関が臨時職員(様々な職種の退職者など)を登録しておく労働バンク的なシステムを作るなど、公的なサポートが必要なのではないかと思います。ただその場合、臨時職員に対する給与をどう捻出するかという問題が生じます。これは各企業で積み立てのような形で職員の給与から一定額を徴収しておくのが良いのか、企業として利益の中から捻出すべきなのか、それともそのようながん患者さんに対しての配慮を行なう企業に対する補助金として公的資金を予算化すべきなのか(今の国家財政では厳しいですが)なかなか難しいです。

現在の混沌とした政治を見ていると、このような細やかなことにまで目を向ける余裕はなさそうなのが残念です。なお、この問題はがん患者さんに限った話ではありません。突然の病気によって仕事を休まなければならなくなった時に企業と社会、政治がどうサポートするべきなのか、今の世の中はこのような問題に対してまだまだ未成熟なのではないかと思います。


乳管内乳頭腫のコメントについて

今まで書いた中で一番コメントが多いのは、2010.3.1に書いた「乳管内乳頭腫と乳癌」という記事です(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2010/03/blog-post.html)。現在までに返事も含めて155件のコメントがあり、書いてから2年以上たつにもかかわらず、いまだに時々書き込みがあります。

これはやはり乳管内乳頭腫という疾患の独特の特徴(がんとの鑑別が問題になる、血性乳頭分泌で不安が強い、確定診断に手術を要することが多いなど)によるものなのだと思います。

そういう患者さんの不安がわかりますので今までコメントに対してすべてお返事を書いてきましたが、これだけ多くの質問にお答えすると重複するような内容が増えてきます。前に同じことを書いたような気が…というケースが多いのです。

できれば今までのコメントのやり取りを読んだ上で、それでも疑問があればコメントを書き込むようにしていただければありがたいのですが…。最近、かなり前の記事へのコメントも多く、記事によっては結構時間を要することもあり、お返事に追われてしまうことが時々あります。

そういうこともあり、もちろん仕事の忙しさも加えてなかなか新しい記事を書けなくなっています…。このブログは私の楽しみでもありますのでできるだけこまめに更新したいと思っているのですが、最近はなかなか時間が取れなくて残念です。

仕事でいろいろなことがありストレスがたまりしぎているので、どこか温泉にでも行ってゆっくりしたいのですが、夏休みは細切れになりそうでどこにも行けそうもありません(泣)


2012年7月13日金曜日

脳転移〜全脳照射後の悪化に対する再照射

乳がんの脳転移は、他の臓器転移に引き続いて起こることが多いため、一般的に予後が不良です。単発で切除可能な場合は、手術後に全脳照射をすることによって、その後脳内に再発することを防げる場合もありますが、その場合でも他の臓器転移の悪化によって予後が規定されてしまう場合が多いため、脳転移が一度著明に改善したあとで再度局所治療が必要になるケースはそう多いことではありません。

しかし、最近の治療薬の進歩によって、脳転移以外の再発が長期にわたってコントロールできるケースも増えてきたため、脳転移の再発が予後を規定する場合も増えつつあるようです。

私たちの施設でも何人かそのような患者さんがいらっしゃいましたが、今までは全脳照射後に再度放射線治療を行なったケースはありませんでした。それは、神経細胞は一度ダメージを受けると再生しないため、放射線治療を2回行うことは今まではほとんど不可能と考えられていたからです。2回目の全脳照射を行なうと、高度の認知障害が起きやすく、脳壊死の危険性も増すと言われています。

ところが先日の乳癌学会総会において、国立がんセンターにおいて、過去に全脳照射後に19例(21照射)の再照射を行なった結果が発表されたのです。再照射の内容は、全脳照射38%、局所照射62%でした。

その結果全例において認知症や放射線壊死は認められず、その他の有害事象も軽度でした。放射線再照射後の生存期間の中央値は6カ月(1-9カ月)で、年齢65才未満、Performance status 0-3が予後良好の因子であり、ホルモン受容体、HER2、トリプルネガティブ、脳以外の遠隔転移、脳転移の個数、前回照射からの期間、照射方法、照射線量などはいずれも有意差がありませんでした。

神経症状改善効果については、RTOG神経機能分類という尺度を用いて評価しました。「仕事をすることができ、普通に生活できる。神経症状はないかあってもわずかである」というRTOG神経機能Class1まで改善した例が33%、RTOG神経機能が改善した例が33%、RTOG神経機能が不変だった例が29%、RTOG神経機能が増悪した例が5%と多くの症例で改善がみられました。

今、私たちの施設でも再照射を検討している経過のとても長い(全脳照射後7年)患者さんがいらっしゃいます。放射線科医はなかなか再照射を了解してはくれませんのでもう少し化学療法で粘ってみるつもりです。再照射はあきらめかけていましたが、このような報告を聞くと少し光が射してきたような気がします。

2012年7月11日水曜日

血清HER2が陽性のHER2陰性乳がん

最近経験した興味深い患者さんについてのお話です。

この患者さんは初回手術時の病理検査では、免疫染色でHER2(2+)→FISH法で陰性と判定されたため、HER2陰性乳がんとして治療、経過観察をしていました。

数年経ってリンパ節再発をきたしたため、生検を行なって再度検査をしたところ、今回もHER2(2+)でFISH法が陰性(つまりHER2陰性と判定されます)という結果でした。HER2(2+)でもFISH法で陰性と判断されれば、ハーセプチンの適応はありません。ところが、この患者さんは、FISH法の結果を待つ間に念のため血清HER2を調べておいたのですが、軽度ですが陽性という結果が出たのです。

血清HER2は腫瘍マーカーの1つでHER2陽性乳がんの再発状態の指標になります。しかし、血清HER2とハーセプチンの臨床効果との関係がはっきりしていないために、血清HER2が陽性というだけではハーセプチンの適応にはなりません。今まではHER2陰性の患者さんの血清HER2は調べたことがありませんので、どのくらいの偽陽性率なのかはわかりませんが、HER2(2+)だった患者さんですので単なる体質とかではなく病状を反映しての結果なのではないかと思います。

いま製薬会社に資料を問い合わせているところですが、ネットを検索してみると、「がんサポート情報センター」のサイト(http://www.gsic.jp/cancer/cc_18/mdc03/03.html)に、浜松オンコロジーセンターの渡辺亨先生の患者さんで私の患者さんとまったく同じケースでハーセプチンが著効した症例があると書いてありました。もちろん保険外的応にはなりますが、非常に興味深いと思いました。

HER2検査は、標本の作成方法(ホルマリンの濃度や浸ける時間など)、判定者の経験度などによってかなり結果にばらつきがあると報告されています。これが病理学的検査の結果と血清HER2の結果で乖離が起きた原因なのかどうかはわかりません。転移部位によって性質が違うことがあるということは今までもここで書いてきましたが、今回切除したリンパ節ではなく、他に隠れている再発部位を調べてみると病理学的にもHER2陽性なのかもしれません。また、もしかしたらHER2(2+)の症例の中にもハーセプチンが有効なケースもあるようですので、そのようなケースでは血清HER2が高値になっているのかもしれません。

ハーセプチンは効果がみられる場合は劇的に効きます。本来効果があるはずなのに適応外とされてしまう患者さんがいないのかどうか、もう少し情報が欲しいです(担当のOさん、よろしくお願いいたします)。この患者さんは現在ホルモン治療中ですが、病状の推移と血清HER2が相関するのかどうか、しばらく経過を追ってみようと思います。

2012年7月10日火曜日

うっかりミスに注意…

先日、乳癌学会の地方会の演題申し込みをしたと書きましたが、今日確認してみてびっくり…。なんと練習用の入力フォームに書き込んでいたために本登録されていなかったのです。

印刷までしましたし、練習用登録確認のメールも届いていてそれぞれに「練習用なのでまだ本登録されていません」と書いていたのにまったく気がつかず…。思い込みというのは恐ろしいものです(汗)この間、病院内外であれこれあったために頭がぼーっとしていたせいかもしれません。明日が延期された締め切り日なのでなんとかその前に気づいてよかったです。

今日の関連病院の午前外来も最後に複雑な検査結果の患者さんとご家族へのご説明があったため、終了したのはPM3:00近くでした。本院の方に用事があったためいつもよりさらに早くに家を出たこともあってほとんど朝食を食べずに外来に突入しましたので、途中でお腹は鳴るし話しすぎて声は枯れるしで終わった時にはまたもやぼーっとしてしまいました(汗)

移動中の車の中で運転しながらおにぎりを食べて本院に戻りましたが、細胞診検査には間に合わなかったのでG先生に替わってもらいました。ずっとぼーっとしていたので仕事で何か変なミスをしていないか不安ですが、今のところ大丈夫みたいです。明日は気合い入れて集中して頑張ります!

2012年7月7日土曜日

乳がんのMR診断

今日、N社の講演会に行ってきました。今回の講演は静岡がんセンターの植松孝悦先生による「乳癌診療におけるMRの役割」という内容でした。

上野先生は、放射線科医でありながら、乳腺の画像診断のみならず、画像ガイド下生検まで行なっていて、英文の論文を相当書いておられる先生です。同年代ですが、私の今までの仕事の内容とのギャップにショックを受けました(汗)

ご講演の内容は非常に興味深いものでした。私はMRの基礎的なことにはあまり詳しくありませんが、そんな私でもわかるようにお話しして下さいました。

3.0T(テスラー)のMR画像診断の特徴と問題点(プロトコールの改良によって改善)、画像のいくつかの特徴的な所見(clustered ring enhancementなど )と病理診断、閉経前女性の月経周期に伴うback ground enhancement(正常乳腺の非特異的な染まり)について、術前化学療法の効果判定と効果予測、T2画像の重要性について、MR所見と予後予測因子について、MRで描出された他の病変に対するsecond look US(MR撮影後の2回目の超音波検査)の有用性についてなど多岐にわたるお話でしたが、日常診療にすぐに役立つ内容でした。

講演後には、数人(G先生も含めて)から質問が相次ぎました。G先生は私も聞きたかった、MRで偶然写った副病変に対してどうすべきか?ということを聞いてくれました。最近、そのような患者さんが何人かいて、超音波検査で写っていない場合もありますし、あまりに小さくて多発している場合は全部超音波検査で探して細胞診をするのも現実的ではありませんので、小さな病変はフォローで良いのではないかという植松先生のお答えに安心しました。

MRはこれからも進歩し続ける画像診断法だと思います。今まで以上に様々な情報が得られるような改良を期待したいです。

2012年7月6日金曜日

中間期乳がんと自己検診

乳癌学会から帰ってからもずっと会議などで忙しく過ごしていました。乳癌学会の地方会の締め切りが近いのは知っていましたが、今日の昼までだということを今日の午後にG先生から聞きました(汗)幸い締め切りが延長になったため、先ほど抄録の登録が無事終了しました。

今回のテーマは全国学会での発表と少し関連づけて「中間期乳がん」についての検討にしてみました。

中間期乳がんというのは、乳がん検診を受けてから次の検診(2年後)までの間に自覚症状が出現して発見された乳がんのことです。検診を受けていた患者さんにとってはもちろんショックですし、「検診を受けていたのにどうして?」と思われる方も多いと思いますが、私たち検診に携わる者にとってもショックなものです。

中間期乳がんの原因はいくつか考えられます。

①検診時の見落とし→あってはならないことではあるのですが、マンモグラフィの判断は時に難しく、がんと判明してからマンモグラフィを見直して比較すれば指摘できるという場合もありますので、単純にミスとも言えない場合もあります。

②blind areaに発生した乳がん→マンモグラフィで撮影される部分は乳腺組織の全てではありません。どうしても一部は撮影範囲外になってしまいます(とくに乳房内側の上部)。これをblind areaと言います。ここにできた小さながんはマンモグラフィでも触診でも指摘できない可能性があります。私は検診時の触診の際は、特にこのblind areaを丹念に触るようにしています。

③薄い乳腺の部位(内側上部など)や非常に浅い部分にできた触知しやすい乳がん→検診時には指摘できるような大きさではなかったとしても、自己検診をきちんとしていると途中でこのような場所にできた小さな癌を発見できる場合があります。

④非常に増殖スピードが速いタイプのがん→これは2年に1回のマンモグラフィ検診では早期発見が難しいがんです。これを拾い上げるためには検診間隔を狭めるか、他の検査手段(超音波検査やMRなど)を併用するしかありませんが、大規模に行なう検診としては費用などの面からも難しい点があります。現時点ではある意味、やむを得ないタイプのがんです。


①はマンモグラフィ読影技量の向上によって減少させることができる可能性があり、②と③は定期的な自己検診によって大事に至る大きさになる前に発見できる可能性があります。問題は④ですが、これは現在の検診制度の限界でもあり、一定の確率で起きうることであります。今後の新たな検診手段の開発に期待するしかありません。

いずれにしてもどんなに私たちが技量を上げたとしても一定の確率で中間期乳がんは発生します。検診は100%の保障ができるものではありませんので、「検診を受けたから2年間は安心」だと思い込まないでください。乳がん検診の時に必ず言われるように、「自己検診も重要」なのです。

2012年7月2日月曜日

第20回日本乳癌学会学術総会 in 熊本





乳癌学会から帰ってきました。土曜日の夕方の便で羽田経由で帰ってきたため、自宅に着いたのは23時過ぎでした。昨日は私用で遅くなり、今日は会議で帰宅は22:00過ぎ…。結局報告はこんな時間になってしまいました。

学会発表は、私もG先生もG病院に出向研修中のN先生もつつがなく終了しました。学会の細かい内容はまた後日機会があれば触れますが、とりあえず今日は携帯で撮った写真をご紹介します。

1枚目は熊本市内どこに行っても見かけたゆるキャラの”くまモン”。かわいいのかどうかは別として大人気なようで(私は今回熊本に行くまで知りませんでした…)、くまモングッズであふれていました。観光客はすっかりその戦略に乗ってしまい、大量のくまモングッズをおみやげにしていたようです。私も最初は買うつもりはなかったのですがついつい…(笑)

2枚目は昼休みにG先生、看護師のWさん、G病院で一緒に研修した山梨のI先生と一緒に行ってきた熊本城です。この時だけは天気が良くて汗だくになりながら一番上まで登ってきました。熊本城の上から見る景色はなかなかなものでした(笑)。城自体もさすが日本3大名城と言われるだけあって立派でした。また、城には忍者もいて、G先生は大喜びで一緒に写真を撮っていました(笑)

3枚目は最終日にN先生とG先生と一緒に「紅蘭亭」で食べた熊本名物「太平燕(タイピーエン)」です(右は夏の太平燕、左は普通の太平燕)。春雨を使ったスープというかラーメンというか…。思いのほか具沢山でお腹がいっぱいになりました。

曇ったり小雨が降ったり時にはスコールのような豪雨になったりと天候には恵まれませんでしたし、会場が5カ所に分かれていてめちゃくちゃ歩きまくって疲れましたが、熊本はなかなか良い街でした。もちろん毎晩メンバーを替えての飲み会があり、天草周辺の海産物や名物の馬肉と焼酎も堪能しました(笑)

来年は静岡です!