2012年11月28日水曜日

乳腺術後症例検討会 23 ”年内最後”

今日は定例の症例検討会がありました。来月は年末にかかるということで今日が2012年最後の症例検討会ということになりました。

今回は3症例の提示・検討と先日の乳癌検診学会の報告を行ないました。

症例は、3例中2例は比較的典型的な乳がん症例、1例が微細石灰化(マンモトーム生検後)の経過観察中に対側に新たな病変が出現して非浸潤がんを疑いましたが乳腺症(duct papillomatpsis&adenosis)だった症例でした。

検診学会の報告は、発表したN技師さんが公休で不在だったため私が学会中に撮影した写真も追加して行ないました。体調が良ければもっと楽しめたのですが、それでも沖縄は暖かくて良かったです。ここ数日の札幌の悪天候を見ているとあの暑さが懐かしいです(泣)。

”豆腐よう”の味の印象については異議が続出しました(汗)私はおいしいと思うのですが、食べたことのある技師さんたちは、”先生は風邪を引いていて味覚がおかしかったからだ”などと主張していました。でも本当においしかったんです!店の名前は忘れてしまいましたがまた食べたいです。豆腐ようを食べた方がいらっしゃったら感想を募集します(もちろん沖縄の方のご意見も大歓迎です)!

来月はもし日程の調整がつけば少人数でも乳腺グループの忘年会をしたいなと思っています。関連病院の検査主任のEさん、よろしくお願いします!

2012年11月26日月曜日

デノスマブ(ランマーク®)投与患者さんへのカルシウム製剤提供に関する情報

以前から何度かここで取り上げていますが、骨転移治療薬のランマークが発売されてから重篤な低カルシウム血症の報告が続いたため、ブルーレター(注意喚起)が出されています。この中では、予防策として「少なくともカルシウムを500mg、天然型ビタミンDを400IU、毎日服用する」ように記載されています。

しかし、天然型ビタミンDは保険収載されておらず、いわゆるサプリメントとして薬局から購入しなければなりません。サプリメントはカルシウムやビタミンDの含有量がバラバラなため、実際は処方可能な活性型ビタミンD(アルファロールなど)が処方されているケースも多かったと思います。なぜ国内で処方できない天然型ビタミンDを推奨しているのかという理由は、臨床試験が天然型ビタミンDを併用して行なわれていたからです。

この矛盾を解決するために、ランマーク投与中の患者さんに必要量の天然型ビタミンDとカルシウムを含有する製剤(”新カルシチュウ®D3”)を発売元の製薬会社が無償提供することになったそうです。今日MRの方がその報告にいらっしゃいました。

保険診療を行なっている私たちが、保険外の一般用医薬品の服用を勧めるという何とも言えない違和感はありますが、患者さんの自己負担と利便性を考えると良かったのではないかと思います。ただ、現在ランマークを投与中で活性型ビタミンDの処方を受けてカルシウム値が安定している患者さんについては、この製剤に切り替える時にはより慎重に行なう必要があります。また、腎障害がある患者さんは活性型でなければ十分な効果が得られませんので保険で活性型ビタミンDの処方を受ける必要があります。

その後は新たな低カルシウム血症の報告は届いていませんが、実際どの程度の頻度なのか気になります。市販後の追跡調査の結果を待ちたいと思います。

2012年11月21日水曜日

乳癌の治療最新情報34 TDM-1

以前にもご紹介しましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2010/07/18adc.html、http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2010/10/adc.html)、トラスツズマブエムタンシン(TDM-1)の臨床試験の結果についての続報が届きました。

トラスツズマブ(商品名 ハーセプチン)は、HER2陽性乳がんに対してタキサン系抗がん剤と併用するのが第1選択ですが、この治療に抵抗性のケース(もしくは治療後に再発した場合)では、トラスツズマブにビノレルビン(商品名 ナベルビン)を組み合わせるか、ラパチニブ(商品名 タイケルブ)+カペシタビン(商品名 ゼローダ)を投与するかが一般的な次の治療法です。しかし、なかなか十分な効果を得られない場合も多く、ラパチニブは他剤との併用は認めていないこと、トラスツズマブとその他の抗がん剤との組み合わせについては十分なデータはないことから、手探りで治療を行なわざるを得ないのが現状です。

TDM-1は、抗体医薬品トラスツズマブと抗がん剤のDM1が結合した抗体薬物複合体(ADC)です。今回、カナダのEMILIA試験グループによるTDM-1の有効性と安全性を検討した第3相無作為化試験(国際多施設共同無作為化オープンラベル試験)の結果が、NEJM誌2012年11月8日号(オンライン版2012年10月1日号)で発表されました(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1209124)。概要は以下の通りです。


<EMILIA試験>

対象:2009年2月~2011年10月に、26ヵ国213施設から被験者を登録。トラスツズマブとタキサン系薬剤による治療歴のあるHER2陽性進行性乳がん患者991例を対象とし、TDM-1群とラパチニブ+カペシタビン群に無作為に割り付けた。

方法:主要エンドポイントを独立審査委員会が評価した無増悪生存期間、全生存期間、安全性、副次エンドポイントを試験担当医が評価した無増悪生存期間、客観的な奏効率、症状増悪までの期間とし、全生存期間中の中間解析は2回行った。

結果:
〜主要エンドポイント〜
①無増悪生存期間中央値 DM-1群 9.6ヵ月 vs ラパチニブ+カペシタビン群 6.4ヵ月(TDM-1群の増悪・全死因死亡ハザード比は0.65[95%信頼区間(CI):0.55~0.77、p<0.001])。
②全生存期間中央値(2回目中間解析時点) 有効性の中止基準を超えた30.9ヵ月 vs. 25.1ヵ月であった(全死因死亡ハザード比は0.68[95%CI:0.55~0.85、p<0.001])。
③安全性 グレード3または4の有害事象発生率はラパチニブ+カペシタビン群のほうが高かった(57%vs. 41%)。TDM-1群の発生が高率だったのは、血小板減少症、血清アミノトランスフェラーゼ値上昇で、下痢、悪心、嘔吐、手掌・足底発赤知覚不全発生率はラパチニブ+カペシタビン群で高率だった。

〜副次エンドポイント〜
客観的奏効率はTDM-1群のほうが有意に高く(43.6%vs. 30.8%、p<0.001)、試験担当医が評価した無増悪生存期間(p<0.001)、症状増悪までの期間(12.6ヵ月vs. 6.5ヵ月)などその他の副次エンドポイントもすべてTDM-1群のほうが良好だった。

これらの結果からは、安全性、有効性ともに進行・再発HER2陽性乳がんの新たな治療薬として十分に期待が持てそうです。もちろん、新薬ですので慎重に判断しなければなりませんが、このデータ通りなのであれば早く患者さんに使えるようになって欲しいものです。

2012年11月18日日曜日

日曜検診〜要精検で未受診でまた検診…

今日の札幌は午前は大雨と風、午後からはみぞれから雪に変わって雷も鳴る大荒れの天気でしたが、関連病院の乳がん検診に行ってきました。

一般検診と一緒に行なうため、受診者はあちこちまわるので乳がん検診に来るタイミングもばらばらでけっこう暇な検診でした。それでも悪天候にも関わらず。ほぼ予定通りの受診者数で昼前くらいに終わりました。

今日も1人いらっしゃったのですが、前回の検診で「要精検」と判定され、何度も電話やはがきで受診を促したにもかかわらず連絡がなかった方が、何ごともなかったかのように再び検診として来院されることがあります。

他の施設で精検を受けた場合は良いのですが(この場合は精検施設から結果が送られて来るはずなのですが来ないこともあります)、どこにも行っていないという方もいらっしゃいます。

”なぜ検査を受けに来なかったのですか?”

とお聞きすると、

「症状がなかったから何ともないと思った」
「自分の家系には乳がんはいないから大丈夫だと思った」
「以前も引っかかったけどなんともなかったので今回もそうだと思った」

というような返事が返ってくることがあります。

「ではなんのために検診を受けているのですか?がんではない、がんにはならないと思っていらっしゃっていて、精査が必要と判断されても検査を受けに来ないなら検診を受ける意味がないのではないですか?」

そうするとようやくご自分でも矛盾していることに気づいてくれて検査を受けることの意味を理解して下さいます。こちらは常識だと考えていることも、一般の方にとっては少しニュアンスが違うことがあるということをこういう時に思い知らされます。検診結果をお返しする時には、もっと丁寧な説明が必要なのかもしれないと今日も感じました。

2012年11月14日水曜日

米国では早期乳がんに対する乳房切除術が再増加傾向

Annals of surgical oncology誌オンライン版2012年11月8日号に発表された米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターからの報告によると、2005年以降の早期乳がんに対する乳房切除術の割合は、2000-2005年までの減少傾向から一転して増加しているということです(2000年 40.1%→2005年 35.6%→2008年 38.4%)。

いくつかの大規模な臨床試験において、乳房全摘術と乳房温存術(+乳房照射)の間で生存率に差がないことが報告されて以降、乳房温存術の割合は増加し、ぞの適応も拡大されてきました。乳房温存術の割合が高い病院が良い病院というマスコミの取り上げ方は日本においてもみられますが、おそらく米国においてもそのような傾向があったのでしょう。その結果、以前にここでも取り上げましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2012/02/blog-post_14.html)、乳房内再発率が非常に高くなってしまい、そのリスクを恐れて、また乳房温存術が減少して乳房切除術の割合が増えてきたということなのではないかと推測します。

日本では、まだそのことが大きな問題にはなっていないようですが、乳房温存術の普及が欧米より10年遅れたのと同様に、そのことが問題化するのも遅れるのかもしれません。なんでも温存すれば良いという考え方には私は同意できません。無理して温存するくらいなら、乳房全摘後に再建する方が根治の点でも美容上の点でも良いと考えるからです。やはり適応を守って、きちんと断端陰性になることを目指した手術を第1に考えるべきではないかと思います。

私たちは術式の説明の際に、”乳房温存術は乳房全摘術と比べると局所再発率は高いが、生存率には差がない”という表現をよく用います。これは臨床試験でも証明されていますので正しいです。では、”乳房内に再発しても全摘術を行なえば根治可能なのではじめから全摘するのと生存率は変わらない”という表現は正しいでしょうか?

これはある病院のHPに書かれていた内容です。一見上の説明と合致しているので正しいように思うかもしれませんがこれは正しいとは言えません。局所再発した患者さんたちだけを対象に見てみると、局所再発していない患者さんたちに比べると生存率が低下するという報告があるからです。局所再発した患者さんたちのすべてではありませんが、多くの患者さんは最初から全摘していれば局所再発はしなかった可能性が高いはずです。つまり、最初に全摘していれば局所再発しなかった→予後を悪化させなかった可能性がある、ということになります。

ではなぜ臨床試験では2つの術式に生存率の差が出なかったのでしょうか?それは臨床試験では、適応がきちんとしていたので、全体に占める局所再発の率が低かったからだと思います。局所再発しない患者さんの割合が多ければ、局所再発した患者さんが予後を少し悪化させてもその影響は非常に小さいものになりますので、全体を比べた場合には有意差となっては出てきません。それが全体の3割近く局所再発するような適応拡大と切除法(美容を重視しすぎるために起きる断端の不十分な確保)を行なえば、予後に影響が出る可能性は否定できません。

ですからなんでもやみくもに温存をすることはお勧めできないのです。断端陽性(非浸潤がんの遺残)でも放射線をかけちゃえば大丈夫、万が一再発したらその時に切除をすればいい、という安易な考え方は危険だと私は考えています。

また、最近さかんに行なわれている術前化学療法ですが、効果が見られると乳房温存術の恩恵を受けられると積極的に勧めている傾向が見られます。これにも注意が必要です。術前化学療法で効果が見られた場合、乳房全摘術の予定から乳房温存術に変更するのにもっとも適しているのは、膨張性発育をする充実腺管がんのようなタイプです。乳管内を進展する乳頭腺管がんのようなタイプは縮小してもがんの範囲自体はあまり変わらないことも多いので、超音波検査で見える縮小した腫瘤の範囲を指標に切除するとがんが残ってしまう可能性があります。こういう点に注意しながら温存術の適応を慎重に判断しなければ、局所再発率が高くなってしまうかもしれません。

もちろん、術前治療によって乳房温存術の恩恵を受けられるようになることは女性にとってうれしいことだとは思いますが、できる限りがんを残さないように切除するという慎重な姿勢を乳腺外科医が守らなければ10年後には日本でも局所再発率の増加が問題になってくるかもしれません。私はそのことを少し危惧しています。

2012年11月11日日曜日

第22回 日本乳癌検診学会学術総会 in 沖縄!


体調が悪かったためにちょっと大変でしたがなんとか無事に沖縄から帰ってきました。冬期間は札幌-沖縄直行便があるので移動自体は乗り継ぎに比べると楽でしたが(それでも3時間半くらいかかります)、鼻水・鼻づまり状態での気圧の変化はけっこうこたえました。

学会自体は、内容的にはとくに目新しいことはあまりなかったような気がします。G先生は、S社の超音波検査の新しい装置の機能に興味津々なようでした。G病院でお世話になった検査技師のSさんが司会をされた超音波検査の症例検討はなかなか興味深くて面白かったです。

私たちの施設から唯一発表した検査技師のNさんは、症例報告ではありましたが堂々とした良い発表でした。4年連続なのでかなり慣れてきたようです。座長の先生からも珍しい症例ですね、と言われました。来年はもっと多くの技師さんたちに参加してもらいたいと思っています。

せっかくの沖縄だったのですが日程的にはかなり厳しかったので、遠くまで観光に行く時間は取れませんでした。それでも初日の空き時間に会場から割と近い首里城まで行ってきました(写真)。

私自身は3回目の訪問ですが、初回の時もだったのですが、今回も首里城はあちこちで修繕工事中でした…(泣)。守礼門もネットがかけてあって残念な状態でした。本殿は普通に入れましたが、すぐ横でも工事をしていました。

また、学会会場の沖縄コンベンションセンターのすぐ裏側はビーチになっています。空き時間に行ってみましたが、海水浴は10月までということで泳いでいる人はいませんでしたが、北海道人なら問題なく泳げそうな陽気でした。G先生がビーチをバックに私の記念写真を撮ってくれました(笑)。



夜は毎晩沖縄料理を味わってきました。体調が悪かったのでうっちん茶やハブ酒も飲んでみたりしました(笑)。海ブドウやソーキそば、沖縄そば(この2つの区別が今回初めてわかりました)やチャンプルーは今までも食べていますが、今回の驚きは、”豆腐よう”でした(写真…ちょっと暗いですが…しかも食べかけ…笑)。

かなりくせがあるとお店の人にも言われていましたが、勇気を出して注文してみると…私ははまりそうな感じでした!瓶詰めの練りウニのような風味でもあり、泡盛が入っているせいかロイズのブランデーの生チョコみたいな味(表現が適切かどうかはわかりませんが)でした。また食べてみたいです!

あっという間に終わってしまいましたが沖縄はやっぱりいいです!お土産屋さんに行くと欲しい物がいっぱいあって困りました。毎年来れるものなら来たいです。その一方で、帰りに寄った那覇市歴史博物館で沖縄の歴史を詳しく知ることができ、中国や日本、そしてアメリカに翻弄されてきた琉球という場所に、とても複雑な思いも抱きました。沖縄という美しい場所が、いつまでも美しいままでありますように、そして心優しい温厚な沖縄の人々がいつも笑顔でいられますように、と心から願いながら帰ってきました。


2012年11月7日水曜日

明日から沖縄!〜第22回日本乳癌検診学会学術総会

こちらはすっかり寒くなってきました。おまけに雨続きで気分もうつうつします…(泣)。さらにいつまでたっても風邪は治らず…。不摂生のせいでしょうか?

明日からは日本乳癌検診学会学術総会で沖縄出張です。暖かいところに行ったら体調が良くなるのではないかと期待しています(逆に悪化するかもしれませんが…)。

さて今回の学会では、私は発表がありません。いつもこの学会は超音波技師さんや放射線技師さんたちの発表の場として位置づけています。昨年は発表が多かったのですが、今回は超音波技師のNさんの1題だけ…。ちょっとさみしいです。関連病院からの発表がないので参加するのは私とG先生とNさんだけです。

Nさんの発表は2日目の土曜日です。明日の到着は4時くらいですので那覇市内くらいは少し観光できるかもしれません。学会会場はホテルのある那覇市からシャトルバスで30分くらいのところにある宜野湾市の沖縄コンベンションセンターです。オスプレイの配備で問題になっている普天間飛行場はすぐ近くです。近くに観光できるような場所はなさそうですので、会場に行ってしまえばずっと中にいることになりそうです。

「乳がん検診」という狭いテーマなのになぜ学会として成立しているのか、昔から疑問に思っていました(でも学会としては乳癌学会よりも設立が早いのです)。乳がん検診に関する内容となれば画像診断中心の発表になってしまうので毎年どうしても似たようなテーマのセッションになってしまいます。ただ今回の乳癌検診学会では、ちょっと変わったセッションもあるようですので楽しみにしています。

それではしばらくブログはおやすみします!(ホテルでPCを借りれたら更新するかもしれませんが…笑)

2012年11月5日月曜日

患者会との懇談

今日、午後から患者会の幹事のみなさんと懇談の時間を持ちました。患者会では病院別館の会議室を月1回利用してお茶を飲みながら交流を深める場を設けています(”お茶懇”と呼んでいます)。いつも来るように言われているのですが、勤務時間内ということと月1回なのでついつい忘れてしまうということもあって、ごくたまにしか顔を出すことができていませんでした。

今回は、患者会のみなさんと話し合わなければならないこともありましたので私の方から時間を指定して集まっていただきました。先日の温泉旅行で何人かの患者さんとお話をしていた際にいくつか提案があったこと(これは私も以前から考えていたことと共通した内容でした)、来春の新病院移転を契機にして、患者会のさらなるステップアップの機会にして欲しいことなどを提案しました。

なかなか全員の前では話しにくい内容もあったのですが、皆さん熱心に耳を傾け、考えを述べてくれました。私や先日提起してくれた患者さんが考えていたことを同じような視点で捉えていてくれたようでしたのでほっとしました。そして、新病院のがんサロンの利用法なども工夫しながら、今後、どうしても受け身がちにならざるを得なかった患者会から、積極的に自分たち以外の人々へのアプローチ(まずは院内の新規乳がん患者さんたちからですが、いずれは院外の一般の人々への啓発活動などに発展して行くように)ができるような患者会に進化していってくれることをお願いしました。

懇談は1時間の予定でしたがいつの間にか2時間もたっていました。なかなか聞けない患者さんたちの思いを聞くことができてとても有意義な時間でした。これから新病院への移転に向けて患者会の皆さんと話し合わなければならないことはたくさん出て来ると思います。今後もできる限り”お茶懇”に参加しようと思っています。

2012年11月4日日曜日

乳がん学術講演会〜看護師、薬剤師の役割

昨日、市内某ホテルでS社主催の学術講演会がありました。

今回はS社製品の抗がん剤関連の多剤併用療法についての講演の他に乳がん看護認定看護師とがん専門薬剤師の方をお招きしてそれぞれの立場から役割と問題点についての講演がありました。

時間ギリギリに着いたら会場はびっしりでした。通常の研究会ではここまで埋まっていることは最近では少ないのですが、よく見ると圧倒的に看護師(おそらく薬剤師も)さんと思われる女性が多いことに気づきました。

一応、以前に化学療法室の看護師さんにこの会のお話はしたのですが、昨日は祝日だったのでしつこく誘いにくかったことと、看護師さんを連れて行っても良いのかどうかがMRさんに確認が取れていなかったため、そのままになってしまいました。しまった…。これならもっと強く誘えば良かったです(泣)。薬剤師さんには声をかけることすら忘れてました(汗)。

さて、その話の内容ですが、やはり看護師さん、薬剤師さんならではの視点でのお話を聞けて良かったです。

認定看護師さんからは、チーム医療の考え方や認定看護師のシステムなどのお話がありましたが、私が一番印象に残ったのは、最後の医師へのお願いのところで「看護師を褒めてあげて下さい」とおっしゃっていたことです。そういえば最近はあまり褒めてあげていなかったなあ。どうしても問題点ばかり目について、より良い医療を追求するがためについつい厳しいことしか言ってこなかったような気がします。心に余裕がないとどうしてもそうなってしまいます。明日からは心を入れ替えて褒めてあげるようにしよう!と思っています(笑)。

認定薬剤師さんのお話では、電子カルテ導入によってレジメンのオーダーミスがほとんどなくなると思っていたけれど、実際調べてみるとかなりの件数が発生していたことがわかった、これらを防ぐためには薬剤師が積極的にチェックしていくシステムが大切だとおっしゃったことが印象に残りました。医療ミスというのは、一つの間違いではほとんど発生しません。実際に起きた事例では、いくつものミスが重なって起きています。これはオーダーの電子化だけでは防ぐことは不可能で、やはり二重、三重以上の人間によるチェック機構が大切だということです。私の施設でも化学療法を施行する時には、オーダーする医師、調剤する薬剤師、投与する看護師(ダブルチェック)によってチェックしていますが、それでも細かいミスは起きてしまいます。その都度カンファレンスを行なって同じミスが起きないような改善を行なってきています。

ただ人が入れ替われば、また同じことが起きやすくなってしまいますので、こういう時にこそ、認定看護師や薬剤師さんたちが力を発揮して医療の質が低下しないようにしていっていただければと思っています。私たちも彼らと協力して医療の質をより高め、安全性を追求していけるようにチームとして努力していきたいと思っています。