2013年9月29日日曜日

患者会温泉1泊旅行 2013 in 定山渓温泉

昨日から1泊で患者会旅行に行ってきました。かなり前から年1回日帰りの温泉旅行には行っていましたが、1泊で行くようになってからは今回が4回目です。2010年は定山渓、2011年は朝里川温泉、2012年はニセコ温泉、そして今回はまた定山渓温泉でした。

昼過ぎに病院からバスで定山渓に向かいましたが、天気もまずまずで良かったです。ホテルSに到着後、みんなで付近を散策してきました。前回も歩いた場所ですが、今回はメンバーも少し異なるのでまたかっぱ大王のいる二見公園に行ってきました。




散策後、入浴タイムを取ったらもうすぐに夕食の時間になりました。急用などで直前に3人がキャンセルになってしまったのは大変残念でしたが、総勢22人でにぎやかな宴会でした。



今回は宴会場を貸し切っての夕食で、カラオケセットも借りてくれていました。患者さんたちもG先生も看護師さんたちも美声で宴会を盛り上げてくれ、楽しい時間を過ごすことができました(私は今回もまた…笑)。N先生にも皆さんがリクエストしていたのですが、今回は残念ながら時間切れとなってしまいました。来年こそは必ず!(笑)



宴会時間終了後は、私たちの部屋に集まって遅くまで飲みながらカードゲームやおしゃべりで大騒ぎでした(隣室の宿泊客には大変ご迷惑をかけてしまったと思います…汗)。普段はなかなかゆっくり患者さんとお話しすることができませんので患者会旅行は貴重な時間だと思います。初対面の患者さんたちもいる中、看護師さんたちも積極的に話の輪に加わってくれて良かったです!

今回の旅行では、患者会としてのがんサロンの利用法についても少しお話をしました。患者会の存在と活動内容を術後の患者さんたちに知っていただいて、もっと多くの方に入会してもらうためにはどうすれば良いのかということについて少し提案もさせていただきました。今回は、最近手術した2人の患者さんも初めて参加して下さりとてもうれしかったです。来年はさらに多くの患者さんに参加していただけるように、スタッフみんなで患者会のサポートを頑張りたいと思っています。

参加された患者さん、スタッフの皆さん、お疲れさまでした!

2013年9月27日金曜日

ホルモン陽性乳がんの長期再発予測

最近、術後の内分泌治療の投与期間(5年または10年、それ以上)がホットな話題になっています。ここでもタモキシフェンの10年投与の有益性の報告について書きましたのでご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

ただ、すべてのホルモン陽性乳がん症例に10年投与が必要かどうかは結論が出ていません。術後長期にわたって再発する可能性が高い群を抽出できれば、適切な10年投与群を選別できるのですが、まだその抽出方法は確立されていません。

今回Lancet(2013.9.13 オンライン版)にこの件に関する興味深い報告が掲載されました(http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(13)70387-5/abstract)。

簡単に内容をご紹介すると、ホルモン陽性、リンパ節転移陰性乳がん665人の標本を検査し、「オンコタイプDX 」と「ICH4遺伝子シグネチャー」、そして「BCI(breast cancer index)」という3つの遺伝子解析方法を用いて術後の再発リスクに関して比較検討したところ、5年目までの再発リスクはどれも同じように予測可能でしたが、長期の再発リスクに関してはBCIのみが予測できたということです。

「BCI(breast cancer index)」というのは、7つの腫瘍特異的遺伝子の発現レベルに基づくバイオマーカーです。まだもちろん一般的な検査ではありません。Online版では詳細なデータはわかりにくいのですが、これが再現性のある結果であると判明したら、患者さんごとに適切な内分泌療法投与期間を提示できることになり、非常に有用ではないかと感じました。今後のさらなる研究に期待したいところです。

2013年9月25日水曜日

乳腺術後症例検討会 27 ”祝 ご出産&還暦第2弾&症例集!”

今日は定例の乳腺症例検討会がありました。

症例はいつもの4例。症例的にはものすごく珍しい症例はありませんでしたが、当院初のステレオガイド下バコラ生検で非浸潤がんの診断がついて手術をした症例は、何年間も不変だった淡い石灰化に多形性の微細石灰化が加わって診断されたというなかなか興味深い症例でした。結果的には壊死型の非浸潤がんの周囲に乳腺症に伴う石灰化があり、おそらくこれが長い間不変だった石灰化だと推測されました。
もう1例、一見硬がんのように見えた浸潤性小葉がんの症例でPaget様進展(乳管内の乳管上皮細胞と筋上皮細胞の間をがん細胞が広がっていく、浸潤性小葉がんでみられる進展形式)で断端陽性になったケースは広がり診断という意味で難しい症例でした。

今回は、製薬会社のC社の担当の方が、個人的な乳腺疾患の勉強のためということで初めてこの症例検討会に参加されました。抗がん剤と乳腺疾患の診断は直接は関係ないはずですが、彼はいくつもの乳がん検診の啓発イベントにもプライベートの時間を使って参加していますし、とても勉強熱心なMRさんです。少しでもお役に立てたならうれしいです。

そして今回の症例検討会では、現在産休中のM技師さんの初出産とN技師さんの還暦といううれしい?報告がありました。M技師さんには育児はしっかりやりつつもできるだけ早く戻ってきてこれからの乳腺超音波の中堅として頑張って欲しいと思っていますし、N技師さんにはまだまだ体力の続く限り超音波技師として頑張って欲しいと願っています(彼女はマンモグラフィの読影にも鋭い意見を発してくれます 笑)。

今回の症例検討会ではついに70回という節目を迎えました(初回から約7年)。今日は、以前から中心メンバーとして頑張ってくれている超音波技師のTさんとEさんが、今までの症例検討の中から厳選して組織型別の症例集を作ってお披露目してくれました。長い月日をかけて時間外に作業をしてくれた2人には感謝しています。これからは100回記念に向けてこれをもっと充実させて対外的にも役立てるものに発展できればと思っています。

2013年9月20日金曜日

Second opinion

以前は、もうすでに手術の日程が決まっているのに突然、”他の病院で手術をすることにしたので入院をキャンセルして欲しい”という連絡が入ったこともありました。そのたびに”何が悪かったのだろう…”とショックを受けていたものです。やはり有名病院やクリニックでの診断は信用するけど私たちのような一般病院では信用できないのだろうか…とずいぶん悩みました。

G病院から戻ってからのこの15年あまり、私たちの病院でも乳がんの診療を頑張っているんだということをアピールするために、さまざまな活動を行ってきました。学会活動や研究会への参加はもちろん、ピンクリボン運動、With youなどの患者さん関連のイベント、マスコミへの出演、Web上の活動など、考えうる限りで努力してきました。その甲斐あって、札幌の乳腺外科の先生方には顔を覚えていただけましたし、臨床試験の策定に関する活動に声をかけていただいたり研究会の症例提示の依頼をしていただけるようにもなれました。

一方その間にセカンドオピニオンという考え方も徐々に普及し、私たちの患者さんへの説明の方法も変化してきました。セカンドオピニオンが認知された最近では、こちらから”セカンドオピニオンのご希望があればご紹介します”とあらかじめご説明するようにしています。こちらからお話しすると以前のように黙って他の病院に受診してしまうことがなくなりますし、同じ検査を2回も3回も受ける必要がなくなり患者さんの負担も軽減します。

それでもセカンドオピニオンという概念が出始めたころは、セカンドオピニオン=転院と考えていた患者さんも多かったですので、一度セカンドオピニオンを受けてしまうと戻ってこないケースもありました。しかし、最近では本当のセカンドオピニオンが行なわれるようになってきたような印象を受けます。紹介先の先生もよく知っている先生方ですので、こちらの診断・治療方針には問題ないと説明して下さり(追加のアドバイスを下さる場合もあります)、患者さんもこちらで安心して治療を受けて下さるようになってきました。

最近も2人、セカンドオピニオン後にこちらで手術を希望されたケースがありました。SクリニックのO先生にはいつも大患者さんへのご説明を丁寧にして下さり感謝しています。セカンドオピニオンを希望されたときは、いつも”戻って来てくれるだろうか?”と心配になるのですが、戻って来て下さったときは本当にうれしいです。そして患者さんも、より納得して治療を受けることができますので、セカンドオピニオンは患者さんにとっては望ましい手段なのだと思います(画像データのCDR作成や紹介状を書いたり、何度も説明の時間を確保したりとけっこう大変ではありますが…)。ただ、セカンドオピニオンに送り出す主治医は、診断や方針に違いがなければ患者さんが納得して戻って来て下さることを待ち望んでいるのだということを理解していただければと思います(もちろん医師との相性もありますし、最終的に判断するのは患者さん自身です)。

2013年9月19日木曜日

頼りになるバレー部の後輩医師

いま再発患者さんの治療方針でとても悩んでいます。再発巣がホルモンレセプター陽性でしたので、内分泌療法を繰り返したのですが効果はごく短期間ですぐに増悪するため、ハラヴェンに切り替えました。しかし腫瘍マーカーが下がったと喜んだのもつかの間、またもや増加に転じてしまいました。再発巣をできるだけ縮小させてから放射線治療をと考えて1年間治療してきましたが手詰まりになってしまいました。

これ以上はもう限界と考え、H大から来ている放射線治療医のH先生に相談したところ、なんとか照射は可能とのこと。ただ術後にH大で乳房照射をしているために照射野が重なる可能性があるので前回の乳房照射のデータを取り寄せて欲しいとの指示をいただきました。

この患者さんの手術&乳房照射は7年前で、紙カルテの時代でした。病院の引越の関係で紙カルテは旧病院に置いて来たため、取り寄せるのには時間がかかります。カルテで確認できなかったために当時のH大放射線治療科の担当医が不明だったので、やむを得ずH大放射線治療科にいるバレー部の後輩のO先生に電話でお願いしたところ、快く手配をしてくれることになりました。彼とは何度も患者さんのやり取りをしていますが、患者さんからの評判も良いDrです。バレー部のOB会の仕事も様々な雑用を快く引き受けてくれるとても頼りになる後輩なのです。やはり困ったときは知り合いに頼むのが一番安心です!

大学を卒業して24年以上たちますが、やはり大学時代の友人や後輩は困った時にとても頼りになります(私たちが入学後にできた部活なので先輩は2人しかおらず、1人は東京、1人は小児科開業医なのであまり患者さんのやり取りはありません)。患者さんとの人間関係はもちろんとても大切ですが、医師同士のつながりもとても重要であることを最近年を取ったせいかよく実感します(笑)

2013年9月15日日曜日

乳房再建(一次再建 ティッシュ・エキスパンダー&インプラント)実施施設認定!

今年の4月に日本乳房オンコプラスティックサージジャリー学会主催の講習を受けてからもう5ヶ月がたってしまいましたが、先日ようやくティッシュ・エキスパンダー&インプラントを用いた乳房再建(一次再建)の実施施設認定の通知が来ました。

どうしてこんなに時間がかかったのかというとこの手続きがとても複雑だからです。詳細は省きますが、簡単に書くと以下のような流れになります。

まず、講習(受講料10000円+入会金5000円)を受けただけでは責任者や手術実施者としては認定されず、登録申請書類(ごく簡単なもの)を書いて申請料20000円を支払って月1回の審査を通ってようやく登録医師となれます。その登録完了通知が来てから施設登録を行なうのですが、一次再建実施施設は形成外科医の常勤または非常勤勤務が必須のため、D病院のE先生の登録が終了していなければなりません。ところがこの形成外科医の登録がまたとてもわかりにくい状態になっていたためになかなか手続きが進めずに今に至ったということです。E先生には何度かご連絡して手続きのやり直しや追加書類の送付をお願いしたりして大変お手数をおかけしてしまいました。また、施設登録には、ティッシュ・エキスパンダーとインプラントそれぞれで30000円ずつの審査料が必要です。私たちの施設では対象となる同時再建患者さんはおそらく年間何人もいないのに登録だけでかなりの費用がかかります…。

まあそんなこんなでいろいろありましたがとにかく施設認定されて良かったです。あとは厚生局に届ければ10/1から私たちの施設でも同時再建が可能になります!

*認定施設の一覧は、日本乳房オンコプラスティックサージジャリー学会のHPで調べることが可能です(http://jopbs.umin.jp/index.html)。

2013年9月14日土曜日

北海道乳腺疾患研究会&乳癌学会地方会

昨日は夕方から北海道乳腺疾患研究会がありました。今回は診断困難症例の症例検討と招待講演2題でした。私は症例検討の1例を担当し、報告してきました。

今回の症例検討は、画像を提示して参加者に読んでもらうのではなく、症例報告のような形式で行なわれ、がんセンター病理部のY先生にコメントをいただきながらフロアからの質問を受けるような感じでした。

SクリニックのS先生の症例は、多発の乳管内乳頭腫のフォロー中(何度も生検、摘出を施行)に乳がんが発生してきた症例でした。どうも乳頭腫の一部ががん化したように見える部分もあった非常に貴重な症例だったと思います。このような症例をどうフォローしていくか、非常に頭の痛いところです。

私の症例は、細胞診によって良性腫瘍の細胞が播種し、浸潤がんの一部のように見えた症例でした。発表自体は問題なく終了しましたが、なかなか目撃することがないような珍しい症例だったためか、終了後の懇親会の際にも何人かの先生方に声をかけていただきました。

講演は、1題は、乳がん患者(特に若年)のサバイバーシップに関するお話、もう1題は、乳がん治療、特に内分泌療法に関する最新の知見と課題に関するお話でしたが、2題ともとても興味深い内容で非常に勉強になりました。できればスライドをいただきたかったです。演者の先生方お二人は九州で一緒に仕事をされていた経歴があります。昨日は札幌の寒さに驚かれていました。


そして今日は乳癌学会の北海道地方会でした。今回はG先生、N先生に発表してもらうことにして私はサポート(ほとんど何もしませんでしたが…)にまわりました。ですから私は午前中は病院で検診を行なってから会場に向かいましたが、2人の発表は午後からでしたので余裕で間に合いました。G先生は、再発を繰り返すうちにサブタイプが何度も変化した症例の報告、N先生は、フルベストラントの使用成績についての検討でした。2人ともつつがなく発表できてほっとしました。

教育セミナーは、画像診断、治療方針に関するディスカッションでした。乳癌診療ガイドラインに基づいた解説がとてもわかりやすく、知識の整理に役立ったのではないかと思います。またS病院のT先生の超音波診断に関するミニレクチャーもわかりやすくて良かったです。コーヒーブレイクセミナーは、アブラキサンに関する問題点と賢い使用法について四国のH先生がユーモアを交えながらわかりやすく解説して下さいました。

途中からの参加でもかなり盛りだくさんの地方会でした。ちなみに初めて母校のH大学医学部の臨床講義棟なる建物に入りましたが、私たちが学生だったころの汚い階段教室の大講堂と比べると雲泥の差でした。今の講義は黒板などは使わずにほとんどスライド中心におこなっているのでしょうか?一度講義を聴いてみたいものです。

2日連続でしたのでちょっと腰が痛くなりましたが、様々な講演、ディスカッションを聞けてとても勉強になりました。

2013年9月10日火曜日

がんサロン

新病院に移転して4ヶ月がたちました。ようやく院内のオリエンテーションがついてきたところですが、まだまだ思い描いた状況まで到達していない部門があります。その一つががんサロンです。

がんサロンは、稼働しはじめてからまだ2ヶ月あまりですが、いまだにその使い方が定まっていません。がん診療委員会がその責任を負っているのですが、なにせ2ヶ月に1回の会議ですし、その役割の範囲が広いためにがんサロンの活用方法について十分に討議できていませんでした。

そういうこともあって、がんサロンの使用に関していくつかの課題が見えてきました。今日はその問題に関して、私と関連事務職員2人、認定看護師1人、患者会代表2人でディスカッションを行ないました。がんサロンはコンビニの前、患者図書室の横という微妙な位置にあり、しかも当初の予定より狭くなってしまった関係で使い勝手が悪くなっています。相談などで使用するのは良いのですが、患者会で大人数で楽しく会話するには環境が悪すぎます。それが原因でちょっとしたトラブルも起きてしまいました。

個人的には、がんサロンはがん患者さんが、静かに相談できる場所でもあり、遺族が思い出を語り合う場所でもあり、元気をもらうために楽しく過ごす場所でもあって欲しいと思っています。ただ、今のままではなかなか難しそうです。患者図書室と時間調整したり、大人数が集まるような患者会活動は別の場所で行なわざるを得ないような状況です。新病院のがんサロンに期待していた私としては少し残念です。

ただ、今回の話し合いで、がんサロンに関する問題点、課題が少しはっきりしてきましたので今後の運営にプラスになるのではないかと期待しています。患者会には、私が今後期待していることを伝えました。これからもがんサロンの有効活用法についてもっと話し合いの機会を持ちながらやっていきたいと考えています。

2013年9月6日金曜日

再発治療終了のタイミング…判断は難しいです…

患者さんのことを一生懸命考えても医師の間で意見が異なることはよくあります。特に再発治療に関してはエビデンスが乏しいこともあり、症例ごとに治療法の選択や治療をいつまで継続するかの判断は異なります。

再発患者さんの状態が悪化して治療変更を繰り返していく場合、積極的治療を中止する判断基準はどこにあるのか今でも私には正確にはわかりません。日本でもHortobagyiのアルゴリズムを基本に考えている施設が多いと思いますが、再発に対する化学療法を何レジメン行なうかについては施設、医師によって多少異なるようです。また、次々に新しい治療が使用できるようになったこともあり、実際はレジメン数では決めきれないように思います。私の患者さんの中にも全てのホルモン療法をやりつくし、抗がん剤を点滴で5レジメン、内服の抗がん剤を5種類投与しながら15年経過している方もいらっしゃいます。

一方、他に抗がん剤の治療選択肢があっても、これ以上の積極的治療はやめた方が良いと考える場合もあります。例えば全身状態が悪すぎて抗がん剤に耐えられない状況になってしまっている場合は、仮にその治療が少し奏効していたとしても抗がん剤を継続することは患者さんのためにはならないと私は考えています。この判断を見誤ると、患者さんのための治療ではなく、医師の自己満足の治療になってしまう可能性があります。私たちが治療をしている対象は画像上のがんの大きさや腫瘍マーカーの値などではなく、患者さん自身だからです。

私も今までの乳腺外科医としての経験の中で、亡くなる直前まで抗がん剤を投与していた患者さんをたくさん見てきました。昔はそれもしかたのないこととして考えられていましたが、今はそのような治療方針を立てたことは自分たちの誤りだと考えるようにしています。ただ実際はこの判断が非常に難しいのです…。

ある患者さんは、脳転移で放射線治療を繰り返したのですがすぐに再発してしまい、大変厳しい状態にありました。それまでに強力な抗がん剤はすでに2レジメン行なっていました。他に未使用の抗がん剤はありましたが、脳転移は抗がん剤が非常に効きにくい再発部位のため、患者さん、ご家族と相談し、結局それ以上の積極的治療はせずに緩和治療を選択したのです。病状から余命は短いと思いましたが、まったくの無治療で6ヶ月間、穏やかに過ごすことができました。

患者さんができるだけ長く、穏やかに生活できるようにするためには、いつまでどのような治療を行なえばいいのか、私はこれからもずっと悩み続けると思います。

2013年9月3日火曜日

医療従事者の乳がんと乳がん検診

16人に1人は乳がんになる時代ですし、女性が多い職場ですので病院内で乳がんがよく発生するのはある意味当然なのかもしれませんが、それにしても多いです。

私がざっと思い出すだけでも退職者も含めて医師4人、看護師14人、検査技師1人、薬剤師3人、調理師・栄養士2人、リハビリ技師1人、歯科技術職1人、事務系3人、清掃職1人…。ここのところ毎年のように職員の乳がんが発生しています。

有病率が他の職種に比べて高いのかどうかは調べていないのでわかりませんが、病院内に女性が多いのは確かですので啓発活動は重要です。以前よりは職員検診で乳がん検診を受けてくれる職員は増えましたが、まだおそらく半分以上の対象者は受けていないと思います。せっかくN先生という女性医師も増えたことですし、なんとか100%の乳がん検診率を目指して、まずは職場の中から乳がん検診啓発活動を進めていきたいと思っています。

とは言ったものの、無料クーポン券が8月に配布されたのと職員検診が重なったために異常に乳がん検診受診者が増えていて、特に関連病院の方では読影が追いつかなくなっています。今日は朝7:40に外来に着いたのですが、カルテチェックも多かったためマンモの読影開始が遅れてしまいました。しかも今日の読影数はいつもの1.5倍くらい(63人分)…(写真)。1時半に外来診察が終わった時点でも未読影のマンモがかなり残っていました(汗)


常勤先の病院で、どうしてもやらなければならない仕事があったため、マンモはそのままにしてとりあえず戻って仕事を終わらせてからまた関連病院に戻って残りのマンモの読影をしてきました。そして17時から患者さんとご家族の面談、そして術前検討会もあるために常勤先の病院にまた戻りました。片道約15分くらいの運転ではありますが、その都度着替えて行ったり来たりでけっこう疲れました(泣)

検診受診者が増えるのはとてもうれしいことなのですが、どうにも時間が足りないと嘆く今日この頃です。