2014年10月25日土曜日

”乳腺を語る会1”

昨日の夕方、以前超音波研修に来てくれていたKT病院の先生たちからお誘いを受けた”乳腺を語る会”という症例検討会にN先生と初めて参加してきました。

この会は、H大第2外科出身の先生方が中心になって開催されている会ということでした。第2外科は卒業前に最後まで入局を迷っていた医局だったこともあり(結局奨学金の関係もあって今の病院に就職しました)、また同期の乳腺外科医のS先生やKT病院の先生方もいらっしゃるので参加できるのを楽しみにしていました。

症例検討会は、論文にできそうな非常に珍しい症例や、やっかいな併存症があるために化学療法ができず病状のコントロールに悩む症例などが提示され、とても勉強になる会でした。大先輩の先生方もいらっしゃったので最初は大変緊張していましたが、アットホームな雰囲気だったのと、あまりに興味深い症例だったので何度か発言させていただきました。

1時間半くらいで症例検討は終了し、お誘いを受けたのでそのまま懇親会にも参加してきました。ここでもこの会の中心になっているTK病院のN先生やK先生たちと楽しい時間を過ごすことができました。いろいろな先生方の考え方を聞くことは自分自身にとってとても勉強になります。また機会があれば参加させていただきたいと思っています。

2014年10月20日月曜日

J.M.S終了! ファイターズも…(泣)

昨日は、J.POSHの呼びかけで毎年10月に行なわれているジャパン・マンモグラフィ・サンデーでした。

G先生が本院、N先生は釧路の系列病院、私は市内の関連病院でそれぞれ検診を行ないました。一番盛況だったのは釧路で、女性のみで行なわれる検診という評判もあってすぐに定員に達してしまうほどだったようです。本院も無料クーポンの影響か定員をオーバーしていたようです。

私が担当した関連施設はと言うと、平日の検診はこれでもかというほどの多さで(本院よりも検診数は多いのです)、毎週の読影が大変なのですが、この日曜検診に関してはまったく事前のアピールをしておらず、定員に達しないままで終わりました。私としては非常に楽だったのですが、あれだけ平日に無理やり検診を組み込んでいるのにどうして?という感じでした。せっかく日曜日に体制を取るのですから病院としてきちんとアピールするべきではないかと検診課の責任者には言っておきました。この関連施設は以前から本当に経営を改善する気があるのかと思わせるような疑問を抱いていたのですが、今回もその通りの結果でした。来年はきちんと事前の準備をしてもらいたいものです。

で、今日はクライマックスシリーズの最終戦。残念ながらファイターズは負けてしまいました…泣。でもレギュラーシーズン3位から最終戦まで持ち込んだことは、きっと選手たちの財産になったことでしょう。稲葉、金子選手(2人とも大ファンでした)の勇姿が見れなくなるのは寂しいですが、来年はヤングファイターズが今年以上の活躍をしてくれることを期待しています。そしてファイターズは負けはしましたが、どこのチームのファンであったとしても今年のパリーグのクライマックスシリーズはとても面白かったと思います。クライマックスシリーズに関しては賛否両論あるかと思いますが、少なくとも今年は最高に盛り上がったのではないかと私は思います。日本シリーズはファイターズは出ませんが、プロ野球ファンとして楽しみたいと思います!

2014年10月19日日曜日

持続型G-CSF製剤”ジーラスタ”の講演会

昨日、病院薬剤師のSさんと協和発酵キリンの講演会に参加してきました。

抗がん剤治療の副作用のうち、比較的高頻度に発生し、重篤化する可能性のあるものの代表が発熱性好中球減少症です(好中球は白血球の中で細菌と直接闘う代表的な血球です)。好中球の減少に対しては、かなり以前からG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤(グラン、ノイトロジンなど)が使用されてきましたが、日本での適応は好中球が減少してからということになっていました。しかし実際には好中球数が下がってしまってからG-CSFを使用してもあまり効果的ではないことが以前から海外では報告されており、下がる前から投与する予防投与が有効とされています。しかし日本では予防投与は保険適用外でしたのでなかなか有効的にG-CSFを使用することができていませんでした。また、従来型のG-CSFは効果時間が非常に短いため、連日投与が必要でした。ですから外来化学療法を行なうことの多い乳がん領域では患者さんの負担が大きいという問題もありました。

そこで開発されたのが、Ⅰクール毎に1回投与(抗がん剤投与後24-72時間以内に1回皮下注)するだけで連日投与とほぼ同じ好中球減少予防効果のある持続型のG-CSF製剤”ジーラスタ(協和発酵キリン)”で、先日製造販売認可が下りました。発売はもう少しかかりますが年内には使用できそうです。昨日はその関連の講演会でした。

保険適用にはがん種やレジメンの細かい制限はないようですが、最新のガイドラインを参照するように書いてあります。日本でも久しぶりに”G-CSF適正使用診療ガイドライン”が改訂されましたが(http://www.jsco-cpg.jp/guideline/30.html#g03)、発熱性好中球減少症(FN)の発生率が20%以上のレジメンに対しての予防投与が推奨グレードA、10-20%のレジメンが推奨グレードBとなっています。前者はTAC、dose-dense AC-Tだけですが、ともにあまりに副作用が強いために特にG-CSFの予防投与ができない日本ではほとんど使われてこなかったレジメンです。後者にはTC、ACなどが含まれます。FEC100は日本人では20%というデータがありますが、海外では10%未満という低い数値になっています。なお、国内の臨床試験のデータではTCのFN発生率は60%以上でしたので前者に変更になる可能性があります(FNの発生率は臨床試験によっては抗生剤を予防投与しているケースもあるため、判断には注意が必要です)。私たちの施設でもFEC100とTCのFN発生率は20%を大きく越えています。

問題点の1つは、ジーラスタはかなり高額であること(10万以上?)です。入院で投与する場合、DPC病院ではこれらの薬剤費を算定できませんのですべて病院の負担になってしまいます。また、関節痛や背部痛、発熱、間質性肺炎などの副作用も一定みられます。

今後発売までにジーラスタの適応について乳腺センター内で検討する予定でいますが、FNで緊急受診、入院するリスクが減ることは患者さんにとってはもちろん、私たちにとってもうれしいことです。

2014年10月17日金曜日

新たなHER2陽性乳がん治療薬が開発中!

トラスツズマブ(ハーセプチン®)の登場以降、飛躍的に予後の改善が見られたHER2陽性乳がんですが、その後もラパチニブ(タイケルブ®)、ペルツズマブ(パージェタ®)やT-DM1(カドサイラ®)などの薬剤が登場しています。

そして先日の日本癌治療学会の招待講演を行なったスタンフォード大学のMark D.Pegram氏によると、さらに新しい機序によるHER2陽性乳がんの治療薬が開発中とのことです。

①Fc最適化抗体(Fc engineered antibody): MGAH22(Margetuximab)
詳しい作用機序は難しすぎるので省きますが、抗体のFc領域を修飾しADCC(Antibody-Dependent-Cellular-Cytotoxicity:抗体依存性細胞傷害)活性を強めることによって抗がん作用を呈するようです。これはHER2が低発現(1+や2+)でも効果がみられるということで今までにない抗HER2薬として期待できそうです。
第I相試験の結果はASCO 2014で発表されましたが、MGAH22は乳がんをはじめ大腸がん、胃・食道がんなど多くのがんで効果(PR)を示しているそうです。有害事象は、インフュージョンリアクションが最も多かったようですが、いずれの副作用も軽度から中等度でした。現在MGAH22はすでに第II相試験も進行中とのことです。

②抗CD137作動性抗体
CD137はヒトのNK細胞(腫瘍細胞などを直接攻撃するリンパ球の一種)に存在し、HER2陽性乳がん細胞にトラスツズマブが結合することで高発現します。抗CD137作動性抗体は、CD137を刺激することによってNK細胞のがん細胞に対する攻撃を促しADCCを増強します。
この薬剤はまだ実験段階ですが、有意にHER2陽性細胞の増殖を抑制したため、来年あたり臨床試験が開始されそうな見通しです。

③抗CD47抗体:Hu5F9-G4
これも作用機序の説明は難しいので割愛しますが、マクロファージ(白血球の一種で死んだ細胞やその破片、体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの 異物を捕食する大型の細胞)のがん細胞貪食を促し抗腫瘍効果を発揮するそうです。Hu5F9-G4については第I相用量決定試験がごく最近始まったとのことです。

HER2やそのファミリーであるHER1、HER3などに直接作用するだけではなく、他の機序を利用した治療法の開発が世界では行なわれているのですね。研究者のみなさん、製薬企業の先読みした地道な努力には頭が下がる思いです。患者さんの治療に少しでも貢献するような安全な新薬の登場を期待したいものです。

2014年10月9日木曜日

今年のJ.M.Sは10/19です!

ここ数年、10月の第3日曜日にJ.POSHの呼びかけで行なっているジャパン・マンモグラフィ・サンデー(J.M.S)ですが、今年は来週の10/19です。

この活動は、平日にはなかなか乳がん検診を受けることができない女性のために、ピンクリボン月間である10月の日曜日に検診を受けることができるようにしようというJ.POSHの呼びかけに賛同した医療機関が行なっている検診イベントです。

私たちの病院と関連施設でも2009年の初めてのJ.M.Sから参加してきました。今年も本院がG先生、市内の関連病院が私、釧路の関連病院がN先生で担当します。

J.M.Sの賛同施設は、J.POSHのHP(http://jms-pinkribbon.com/)で確認することができます。ご希望の方は期日が迫っていますので早めにお問い合わせ願います。

2014年10月7日火曜日

10月…寒いです!

ついこの前まで夏だったはずなのに10月に入って急に寒くなってきました。おかげで風邪を引いてしまいました(泣)。

先月の乳癌学会地方会が終わってようやく一段落ついたと思いましたが、今月はまた予定外の仕事が入ってしまいました。

昨日はまず第1弾のローカルラジオの収録がありました。ピンクリボン in SAPPOROの事務局も兼ねているラジオ局ですので快く協力させていただきました。10分もないくらいの乳がんの基本と乳がん検診についてのお話でしたが、録り直しもなく1回で終了しました(本当にあれで大丈夫かなあ…汗)。

あとは2つ原稿を頼まれていますが、まだなにもしていません(汗)。そして本業では外来と病棟の患者さんの病態の変化があってあれこれ対応したりでちょっとだけばたばたしていました。幸い手術が少なかったので良かったです。

来年の乳癌学会学術総会の演題の準備にもそろそろ取りかからなければなりません。まだ何を発表するか決めていませんが、いくつか候補は考えています。日常診療のささいなことの中に気づいた疑問や課題をすぐにメモするようにしているので今まで学会発表のテーマ選びに困ったことはありません(笑)。

今晩も部屋は寒いです…。早く患者会の温泉旅行に行きたいです。今年は11/15-16に小金湯温泉で1泊、今から楽しみにしています!