2012年12月20日木曜日

特殊型(b3) 浸潤性小葉がん…ホルモン治療抵抗性とレトロゾールの効果

乳がんの特殊型の中で比較的頻度が高いタイプの代表が、この浸潤性小葉がんです。乳腺内の小葉(乳管の一番奥=母乳を作るところ)から発生するがんですが、この組織型にはいくつかの特徴があります。

①欧米では比較的多い…以前は欧米では5-10%、日本では1-2%と言われていましたが、最近では日本でも増加傾向で、4-5%となっています。

②両側、多発傾向がある…乳房温存術の適応に関しては慎重に考える必要があります。

③乳腺内を微慢性に進展することが多く、しこりとしての自覚症状が出にくい(超音波検査でも乳腺症と診断されることがある)、乳房の縮小で発見されることがある、などの特徴があり、診断された時にはかなり進行していることも多い(見落としやすい組織型の一つ)と言われています。

④消化管への転移、がん性腹膜炎などの腹腔内転移は他の組織型では非常に稀ですが、浸潤性小葉がんは比較的起こしやすいと言われています。

⑤ホルモンレセプターの陽性率が高い…しかしその割にホルモン療法抵抗性の場合も多いと言われてきました(pseudo-positive=偽のER陽性 と言っていたDrもいました)。


今年のサンアントニオ乳がんシンポジウムで、⑤に関連した浸潤性小葉がんの治療治療に関する報告がありました。これは、BIG 1-98 trialというレトロゾール(フェマーラ®)とタモキシフェンの有用性を比較した臨床試験のサブ解析です。

この報告の概要は以下の通りです。

対象と方法:
BIG 1-98 trial対象症例(閉経後ホルモンレセプター陽性乳がん)の中からER and/or PgR陽性でHER2陰性の症例を抽出し、浸潤性小葉がん(Lobular 2599例)と浸潤性乳管がん(乳頭腺管がん、充実腺管がん、硬がん)(Ductal 324例)の予後を比較(その他の組織型や中央病理診断でER/PgR、HER2、Ki-67が不明だった症例は除く)。

結果:
・サブタイプの比率は、LobularがLuminal A(一番おとなしいタイプ) 73.1%、Luminal B(HER2-)が26.9%、DuctalがLuminal A 55.3%、Luminal B(HER2-)が44.7%とLobularでLuminal Aの比率が高かった。
・無再発生存率、全生存率はレトロゾール群ではDuctalとLobularの間で差は見られなかったが、タモキシフェンではLobularの方が悪かった。

この結果は、つまり浸潤性小葉がんはER陽性率が高く、しかも一見おとなしいLuminal Aが多いけれど、タモキシフェンに対しては抵抗性を持っている(レトロゾールはどちらに対しても有効)ということを意味しています。やはり以前から私たち乳腺外科医が感じていた印象(浸潤性小葉がんにはホルモン療法が効きにくい…当時は術後ホルモン療法のほとんどはタモキシフェンでした)は正しかったということになります。

問題は、閉経前の患者さんにはレトロゾールは使用できないということです。LH-RH agonist(ゾラデックスやリュープリン)にアロマターゼ阻害剤を併用する臨床試験は、いまだになかなか良い結果が出てきませんが、浸潤性小葉がんに限定して行なえばもしかしたら非常に有益な結果が得られるのかもしれません。今後の研究に期待したいところです。

68 件のコメント:

  1. いつも読ませていただいています。
    有益なお話をいつも有り難うございます。
    質問させていただきたいのですが。
    私は浸潤性小葉がんの術後治療中です。
    1年半くらいタモキシフェンを飲んでましたが閉経という事でアリミデックスにかわりました。
    今回の比較はタモキシフェンとファマーラのようですがアリミデックスよりファマーラの方がいいんでしょうか?
    アリミデックスに変わって約1ヶ月になります。

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  2. >匿名さん
    はじめまして。

    アリミデックスとフェマーラのどちらがより優れているかは簡単に述べることはできません。なぜなら両剤を直接比較した臨床試験の結果がまだないからです。血中のエストロゲン低下を比較した試験ではフェマーラの方がより効果が大きかったことは報告されていますが、だから再発予防効果も高いとまでは単純には言えないのです。

    この2つの薬剤は同系統の薬ですし、エストロゲン低下効果の差もわずかですので今のところ臨床効果はだいたい同じだと考えていて良いと私は思います。

    次に今回報告された浸潤性小葉がんに対するフェマーラの効果がアリミデックスでも同等に見られるかということに関してはなんとも言えません。類推すると同等の効果ではないかと思われますがフェマーラに特有の効果ということもあり得ます。これについては、アリミデックスとタモキシフェンの比較試験のサブ解析を行なえば明らかになると思いますが、今のところそのデータは持ち合わせていません。

    今回の報告はあくまでも一つの臨床試験の報告であり、まだコンセンサスが得られているわけではありません。この結果をもってただちにアリミデックスからフェマーラに変更しなければならないとまでは言えないと思いますが…。もしそのようなご希望があるのでしたら主治医の先生にご相談なさってみて下さい。
    取り急ぎ以上です。

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  3. はじめまして。

    いつも読ませていただいてとても勉強になっています。ありがとうございます。

    私、44歳 2年前に浸潤性小葉がんで右乳房温存手術。腫瘍径1.8センチ、リンパ節転移なしの為、術後療法でリュープリンとタスオミンの内服をしています。
     
    来年3月でリュープリンを終わらせる予定ですが、この記事をよませていただいてもしタモキシフェンが効いていない場合を考えると、リュープリンを延長したほうが良いのでは・・と考えてます。

    先生はどのように思われるでしょうか?
    よろしくお願いいたします。

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  4. >あゆみさん
    はじめまして。
    ご不安にさせてしまったならすみません。これはあくまでも一つの臨床試験の結果にすぎませんし、レトロゾールとタモキシフェンの比較でレトロゾールの方が良かったというだけでタモキシフェンが無効だと言っているわけでもありません。まだ世界的にコンセンサスが得られていないデータだということを理解する必要があります。
    また、上に書いたように、これはレトロゾールとタモキシフェンの比較試験の結果であり、リュープリンをさらに継続すべきかどうかを評価したわけではありません。ですから現時点でリュープリン併用を延長すべきだとは言えません。以上です。

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  5. この結果なんですが、IDCでluminalAならば、AI剤でなくても、TAMでも十分であるというとらえ方もできます。
    AI剤の副作用や費用を考えると、この場合TAMでもいいように思いますが、先生はどうお考えでしょうか。

    あくまでサブセット解析であり、結果を鵜呑みにすることはできないと思いますが、リスクの低い閉経後の方ならTAMでもよいかと自分は考えます。
        
          
               関西の専門医

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  6. >匿名さん(関西の専門医さん)
    たしかにこのデータでは、Luminal AのDuctalで見てみるとタモキシフェンとレトロゾールのDFSの差ははほとんどありません。先生のおっしゃる通り、Luminal Aに関してはそういう考え方も成り立つと思います。今後サブタイプ別の細かい指針が標準化されるのかもしれませんね。

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  7. はじめまして。
    検索をしていたら、こちらに辿りつきました。

    3月7日に乳房温存術をし、リンパを1つ切除しました。検査の結果で、リンパ節への転移、浸潤性小葉癌と判明しました。
    今後、リンパ節、乳房全摘術を行う予定です。
    抗癌剤治療は必要と言われたのですが、抗癌剤の効果を判定するのは、何を基準に判定しているのでしょうか?勉強不足で申し訳ありませんが、教えていただければ幸いです。

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  8. >匿名さん
    はじめまして。
    匿名さんのように術後に抗がん剤を行なう場合は、検査で検出できる病巣がありませんので効果は判定することができません。やるべき治療をきちんと行なって、あとは再発の有無をチェックしていくしかありません。
    もし術前に化学療法を行なった場合は、抗がん剤の効果を確認することはできます。もし抗がん剤によって手術標本内のがんが完全に消失していれば予後は良好であるとは言われていますが、目に見えないがん細胞まで完全に治癒させることができたかどうかは結局経過をみないとわかりません。がんが完全に消えなかった場合(こちらのほうが確率的にはずっと多いです)ももちろん同様です。
    ですから、結局抗がん剤が効いたかどうかは、微小ながん細胞がからだのどこかに残存している患者さん(=術後療法をしなかったら再発する運命にある患者さん→これは正確には神様にしかわかりません)において、将来的に再発しなかったかどうかを見なければ本当の意味ではわからないのです。
    おわかりいただけましたか?

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  9. わかりました。
    結局は、経過を見て判断ということですね。
    ありがとうございました。またわからないことがあったら質問させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

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  10. >匿名さん
    わかりました。
    それではお大事に!

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  11. すいません。またまた解らないので教えて下さい。
    36歳で3月7日に乳房温存術をし、リンパを1つ切除しました。検査の結果で、リンパ節への転移、浸潤性小葉癌と判明しました。
    4月4日にリンパ節、乳房全摘術を行う予定です。

    いろいろネット検索をしていると、術後抗癌剤治療を行う前にオンコタイプDX、マンマプリントの検査を受けた方がより効果の高い治療が行えると書かれているものがありました。

    この検査はどの施設でも行えるのでしょうか?
    また、本当により効果の高い治療がおこなえるのでしょうか?よろしかったら教えて下さい。

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  12. このコメントは投稿者によって削除されました。

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  13. ありがとうございます。
    抗癌剤を使用するかどうかの判定ということですね。どの種類の抗癌剤がよいか判定してもらうものと勘違いしていました。
    また質問なのですが、より効果のある抗癌剤の種類を決めるのは、癌細胞を培養して解るのでしょうか?それとも、術前の化学療法でしか解らないのでしょうか?

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  14. >匿名さん
    抗がん剤の感受性検査(抗がん剤がその患者さんに効くかどうかをがん細胞の培養を行なってあらかじめ調べる検査)は以前からいくつもの施設で研究はされていますが、実臨床への導入にはまだ時間がかかりそうです。今のところはその患者さんに投与する前に有効性を調べることはできないのです。以上です。

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  15. はじめまして。とても勉強になります。

    浸潤性小葉がん、再発転移乳癌です。

    今は、腋リンパ節に7cm大あり、痛みもでるときがあります。

    タキソールでまったく消えそうになったのですが、しばらく休んだら又大きくなりました。
    その後、TS1、ゼローダ、ジェムザール。
    その後、ナベルビンで消えそうになったのですが、又効かなくなり、現在、フェマーラを
    飲んでます。

    先生のお話を読ませていただいて、元気が出ました。レトロゾールや放射線も良さそうですね?

    (タキソールで脱毛や副作用が辛かったので
    抗がん剤に消極的になってます。)

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  16. 上記の者です。

    薬品名、間違えました。

    レトロゾールではなくて、

    ハラヴェンやフルベストラントや放射線も良さそうですね?です。教えてください。

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  17. >匿名さん
    匿名さんの状況が詳しくわかりませんのでなんとも言えませんが…。再発巣に対して、抗がん剤が効くのか、放射線治療が有効なのか、ホルモン剤が効くのかは実際に使ってみないとわからないのです。一般的にホルモン剤より抗がん剤の方が強力でよく効きそうなイメージがありますが、そういう強力な抗がん剤がまったく無効だったがんにホルモン剤がとてもよく効くことはあります(もちろんホルモン受容体が陽性の場合ですが)。
    あまり良いアドバイスができなくてずみません。
    レトロゾール(フェマーラ)が効いてくれると良いですね。それではお大事に!

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  18. 早速のお返事ありがとうございました。

    先生のお答えはとても信頼できます。

    これからもよろしくお願いします**

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  19. >匿名さん
    治療が奏効することをお祈りしています。
    それではお大事に!

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  20. >匿名さん(3/21のコメントを下さった)
    *一部誤解を生じる記載があったため訂正します。
    http://www.oncotypedx.com/ja-JP/Breast/PatientCaregiver/IsOncotypeRightにも書いてありますように、Oncotype Dxの閉経前の患者さんの適応は、”リンパ節転移陰性”の場合に限定されます(閉経後はリンパ節転移があっても可)。リンパ節転移陰性でも抗がん剤を受けた方が良いかどうか迷う場合に適応になります。閉経前でリンパ節転移が陽性の場合は、再発リスクが高いと診断され抗がん剤が必要になる場合が多いのでその適応からははずれているのです(なおマンマプリントは新鮮な標本でなければ検査できませんので今からでは困難です)。これらの検査は検査センターを経由して海外に送って調べますので日数もかかりますし、非常に高額です。
    St.Gallen2011ではリンパ節転移個数が少ないホルモン陽性乳がんでは、ホルモン療法単独も選択可能ではありますが、主治医の先生はその他の因子も考慮した上で抗がん剤をした方が良いとおっしゃったのだと思います(核異型度がgrade3、Ki-67高値など)。またリンパ節転移個数も再手術の結果によりますが、1個ではない可能性もありますので…。
    以上です。

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  21. はじめまして。
    いつも参考にさせていただいています。ありがとうございます。
    浸潤性小葉癌で数ヶ月前に左乳房の全摘手術再建をしました。今タモキシフェンでホルモン療法をしていますが,先生的には,このタイプの癌にはあまり効かないと言う事なのでしょうか?よろしくお願い致します。

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  22. >匿名さん
    はじめまして。
    私の意見というより、臨床試験のデータがそうだったということです。ただタモキシフェンが無効だと言っているわけではなく、レトロゾールに比較すると効果が弱かったということです。匿名さんは閉経前ですか?閉経前であればそもそもレトロゾールは使用できませんのでこの比較の結果はまったく意味をなさないことになります。これは閉経後の症例の比較の結果だということを理解して下さい。以上です。

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  23. 4月に投稿したものです。その節はご回答ありがとうございました。お礼が遅くなって申し訳ありません。
    今52歳で術後1度生理があり,閉経するのかどうかというところです。
    タモキシフェンを3ヶ月服用しています。
    浸潤性小葉癌で(左乳房全摘再建),病理の結果によりますと,左乳房に5.5×11センチの左乳房下半分の癌,リンパ節転移,それから検査に出なかったのですが,病理では上部にも癌ができていました。
    術後,5ヶ月になり,次の診察は8月ですが(もしかしたら薬の処方だけかもしれず),術前の検査からすでに半年が過ぎ,右乳房にも疑いがあるとのことでしたが,その後検査は一切なく,もっと頻繁に検査しなくて大丈夫なのだろうかと心配になっています。
    検査に出なかった部分に病理結果で癌があったことなど考えると,主人が検査を早くしてもらった方がいいのではと心配しています。
    先生のご意見を聞かせていただけると幸いです。よろしくお願い致します。

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  24. >匿名さん
    匿名さんが通院している病院の基本的な術後の検査スケジュールは、1年後にマンモグラフィ(+超音波検査)ということなのではないかと思います。ただ、術前に対側に疑いがあったのでしたら、通常の検査予定を早めて行なう必要があるかもしれません(このあたりは画像を見ている担当医の判断になります)。もしかしたら忘れている可能性もありますので次回にでも確認してみてはいかがでしょうか?

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  25. 早速のご回答ありがとうございます。
    来月の診察の際に先生に話してみます。
    ところで,全摘同時再建(皮弁)をしたのですが,現在5ヶ月になりますが,再建した乳房の下部あたりの中で切った腹直筋辺りがかなり痛むのですが(下着のゴムが痛みで当てられない)形成の先生によると,個人差があるとのことでしたが,5ヶ月が経ってもこれほど痛みが続くという例は普通にあるのでしょうか。
    時間が必要と先生に言われていますが,どれくらいの期間で大抵は痛みが治まってくるのでしょうか。ちなみに重度のうつ病でもあり,そのせいで痛みに過敏だと言うこともあるかと思います。よろしくお願い致します。

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  26. >匿名さん
    申し訳ありませんが私は形成外科医ではなく、当院では同時再建をしていません。数少ない他院に依頼した自家組織を用いた再建患者さんの経験のみから適切なお答えをすることはできませんので形成外科のDrにお聞き下さい。

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  27. 早速のお返事ありがとうございます。
    今かかっている先生を信じて頑張りたいと思います。ありがとうございます。
    又不安になったらよろしくお願い致します。

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  28. >匿名さん
    わかりました。それではお大事に!

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  29. スカーレット2013年9月8日 19:06

    先生 はじめまして。(1965年生まれ。東京丸の内で働く女性です)ご相談させてください。私は2013年1月の健康診断で左乳房にG4判定があり、6月13日に左乳房全摘出手術を受けました。病理組織診断報告書は以下の通りです。私の場合、もしかするとホルモン療法に加えて抗がん剤治療の上乗せ効果も期待できるのではないかという気がしますが、副作用のデメリット等を考えると一抹の抵抗があります。最近はホルマリンの影響を受けないManmaPrimtも活用できるとのことで、費用はかかりますが、オンコタイプDXか、マンマプリントを試してみようか非常に悩んでいます。 アドバイスを頂けますと幸いです。

    提出検体:1.左乳腺  乳腺:17.5 x 16 x 3.5 cm
    組織学的所見:
    1~2列の細い小索状ないしは孤存性に発育・浸潤する腫瘍を認めます。
    腺腔形成は極めて乏しい腫瘍です。 Invasive Lobular Carcinoma

    規約
    腫瘍径: 10 x 6.5 x 3 cm (ILC)
    組織型: Invasive Lobular Carcinoma
    核異型度: (浸潤性小葉癌のため、評価対象外)
    組織異型度: (浸潤性小葉癌のため、評価対象外)
    脈管侵襲: 1yc v0 (リンパ管転移1つ ・ 血液侵襲なし)
    切除断端: Negative
    リンパ節: センチネルリンパ節 (0/8) (迅速診断分)センチネルリンパ節微小転移 (1/8) (詳細病理診断分)
    免疫染色: ER (90%) / PgR (95%) / HER2 (1+)/ E-cadherin (Negative)

    State IIIA * (TNM分類: pT3N1aMx) *M0の場合

    以上、お手数ですがどうぞ宜しくお願いいたします。

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  30. スカーレット2013年9月8日 20:56

    度々失礼します。スカーレットです。

    ホルモン依存性の高い浸潤性小葉癌ということで、今のところ術後はホルモン療法だけの治療を施されています。 
    実際には、TAMを7月30日から毎日服用し始め、7月30日に初めてのリュープリン注射(4週間製剤)をし、今後は5年間のTAM服用と2年間のリュープリン注射の予定です。

    抗がん剤投与は術後半年以内がベストのようですが、もし奏功の可能性があるなら今からでも遅くはないようは気がしているのですが、いかがでしょうか?

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  31. >スカーレットさん
    はじめまして。
    まず、Oncotype Dxの対象者はhttp://www.oncotypedx.com/ja-JP/Breast/PatientCaregiver/IsOncotypeRight.aspxに書いています。Mamma Printに関してはhttp://www.dna-chip.co.jp/products/mammaprint/patient1.html#6をご覧下さい。いずれもStageⅠまたはⅡの早期乳がんということになっています。また、Mamma Printは手術時の新鮮な組織を提出しなければなりません。後から提出することはできないのです(すでにホルマリンに浸かっていますので)。以上を考えるとこれれの検査の対象にはならないように思います。
    スカーレットさんのようなケースに抗がん剤を上乗せするかどうかは微妙です。おそらく、腫瘍径は大きいですがリンパ節転移は微小転移の1個だけであること、ホルモンレセプターが強陽性であることから、ホルモン療法のみで良いと主治医の先生は判断されたのだと思います。

    なおタモキシフェン+LH-RH agonist(リュープリンなど)は、以前行なわれていた抗がん剤のCMF療法と同等の効果であることが臨床試験によって確認されていますので、抗がん剤を上乗せする代用としてこの治療を採用されたのかもしれません。ただもう少し強力な抗がん剤(FEC療法やタキサン系)を上乗せしても悪くはないケースだと思いますので、もしご希望があるのでしたら再度ご相談なさってみてはいかがでしょうか?
    それではお大事に。

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  32. スカーレット2013年9月8日 22:57

    Hidechin先生
    早速のお返事ありがとう存じます。感謝いたします。

    先生もご指摘の通り、腫瘍径の大きさの割りにリンパ節転移は微小転移の1個だけであることや、ホルモンレセプターが強陽性であることから「ホルモン療法」のみ適用されたのは充分納得できますし、抗がん剤による副作用に強い抵抗感を感じている私にとって救われた感じもしています。
    実際、主治医(某大学医学部教授)に「抗がん剤の適用も治療スコープに入れても良いと思いますが、上乗せ効果と副作用のデメリットを天秤にかけた上での私(患者)のプレファレンスを優先させ、とりあえずホルモン療法だけでいきましょう」ということで現在に至ります。

    ただ、腫瘍径の大きさに依拠してStageがStage IIIA という結果でしたので、抗がん剤が奏功する可能性も否定できないと考え始め質問させていただきました。
    私自身も病理検査の映像を見せて頂きましたが、粒ぞろいの微小な病巣が広範囲にわたって点在している状態でした。確かに疎らに散らばっていたせいで、どの専門医の触診でもしこりが触れず、毎年欠かさず受診していたエコーやマンモグラフィーでも発見が遅れたのだと思います。
    私のケースの様に、ひとつひとつの病変は小さくても散在する範囲が広い場合、病理学的には大きなひとつの塊としてステージが決定されるという理解で正しいでしょうか?

    あと、先生がおっしゃっていらした、浸潤性小葉癌のLuminal A Typeに関してはホルモン感受性が高い割にはホルモン療法が奏功しない理由のひとつにはどういった理由が考えられますでしょうか?

    ちなみに、タモキシフェンとリュープリンによる深刻な副作用は今までのところありませんので、そうすると逆に本当に効いているのかどうかが心配になります。

    やはり小葉癌の特徴として多発性があり、予後不良という印象です。私の様なケースにおける10年後の無再発無転移生存率がとても気になるところですが、率直に何パーセントくらいの確率で生存できる印象をお持ちでしょうか。

    長文になり申し訳ありません。
    何卒宜しくお願い致します。

    返信削除
  33. >スカーレットさん
    腫瘍径に関してですが、これが浸潤性小葉がんの一つの特徴でもあるのですが、気がついた時にはかなり大きくなっていることが多いと言われています。がん細胞がばらばらになっていても一つの病巣と判断されればその最大径で浸潤径を計測するのが普通です。
    タモキシフェンが浸潤性小葉がんに効きにくい理由はまだわかっていないと思います。この臨床試験の結果もサブ解析の結果でしかありませんし、対象は閉経後の患者さんです。上に書かれてある他の方とのやり取りをご覧いただければ幸いです。
    生存率については私がお答えできることではありませんし、お答えすべきでもないと考えます。また生存率は細かく条件をつければなかなかデータは出てきません。組織型、Stage、リンパ節転移個数、サブタイプ、ホルモン感受性(陽性細胞率)、年齢、治療内容などを組み合わせた生存率のデータはたぶん算出するのは困難だと思います。おおざっぱな生存率でも知りたいとおっしゃるのでしたら主治医にご確認下さい。ただ数値を知るとよけいに不安になる方もいらっしゃいますのでよく考えた上でお聞き下さい(生存率70%と言われると安心する方もいますが、3割の死亡率にショックを受ける方もいるのです。それが50%、90%でも同様です)。
    お役に立てずに申し訳ありません。以上です。

    返信削除
  34. スカーレット2013年9月10日 8:51

    hidechin先生

    ご回答ありがとうございました。
    先生の丁寧で親切なご対応に甘えてしまし、つい自分の主治医のような感覚で質問してしまいました。申し訳ありません。

    返信削除
  35. >スカーレットさん
    主治医と何でも話せる関係は今後もとても重要です。お聞きになりたいことはメモに書き留めておくと効率よく答えてくれると思います。
    それではお大事に!

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  36. スカーレット2013年9月20日 15:14

    hidechin先生

    教えてください。

    組織学的所見に

    「腺腔形成は極めて乏しい腫瘍です。」

    と、記載されている場合どういう解釈をするのが正しいでしょうか? 非常に悪性度が高い腫瘍ということでしょうか?

    ご教示いただけますと幸いです。

    返信削除
  37. >スカーレットさん
    はじめまして。
    申し訳ありませんがそれだけの情報で悪性度が高いかどうかを無責任にお答えすることはできません。
    主治医に直接ご確認願います。

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  38. いつも参考にさせていただいております。44才。
    今年7月に左乳房温存手術,術後,断片陽性2か所,浸潤性小葉癌で9/2に全摘しました。浸潤径3.5㎝,4㎝の広がりでホルモン陽性タイプ,リンパ管転移0個,脈管侵襲なし、ki67 5%,追加でオンコタイプも受けまして、スコア15の低リスクでした。主治医はリュープリン3年,ノルバ5年でとのことです。浸潤性小葉癌はタモキシフェンに抵抗性があるとのことで、この治療で大丈夫か心配です。抗がん剤を追加するともっといい方向に奏功するのでしょうか?

    返信削除
  39. >匿名さん
    はじめまして。
    このデータは閉経後乳がんに関する報告です。ですから閉経前には当てはまらないということをまず理解する必要があります。それとタモキシフェン抵抗性の頻度が高いからと言って抗がん剤を上乗せする方が良いということと必ずしもイコールではありません(Oncotype Dxの結果からもおわかりのように)。匿名さんの病理所見からは、比較的おとなしいタイプのホルモン陽性乳がんのようですので私が主治医でも同じ治療を選択すると思います。以上です。

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  40. とてもはやいご回答に感謝しております。
    ありがとうございます!!

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  41. >匿名さん
    これからの経過が順調であることをお祈りしています。
    それではお大事に。

    返信削除
  42. はじめまして。検索をしていたところ、こちらのホームページにたどり着きました。

    私は53歳の女性です。9月に2cm程度のしこりがあるということで、10月に手術しました。以下に詳しい手術・腫瘍の検査結果を挙げます。

    ◎右:乳房温存手術

    ・非浸潤怪5×4.2cm、浸潤径0.1cm
    ・リンパ節転移なし
    ・リンパ管浸潤と静脈浸潤0
    ・切除断端は陰性
    ・トリプルネガティブ
    ・Ki-67<10%
    ・グレード:不明(浸潤が小さいため分からないそうです)

    治療方針としては放射線治療のみです(25+5で30回、60グレイ)。

    トリプルネガティブということで治療が放射線のみであることに不安を感じています。そこで質問なのですが、

    ・抗がん剤を使うことで再発率を抑えることはできますか?
    ・放射線治療だけでは再発率が高くなるのでしょうか?   

    長文になりまして申し訳ありません。お返事を頂けるととても嬉しいです。

    よろしくお願いします。

    返信削除
  43. >匿名さん
    はじめまして。
    トリプルネガティブであっても浸潤径1mmであれば術後の抗がん剤は投与しないケースが多いと思います。NCCNのガイドラインでも浸潤径5mm以下でリンパ節転移のないトリプルネガティブは術後の補助療法はしないということになっています。もちろん抗がん剤をすることが絶対にだめだということではありませんが、抗がん剤には有害事象もありますので、このようなケースでは上乗せ効果は低いと考えられているということです。
    なお放射線治療で制御できる”再発”というのは”局所再発”のことであり、抗がん剤に期待される”遠隔再発(肺、骨、肝などの生命に直結する再発)”の制御とは分けて考える必要があります。以上です。
    なお、トップページの注意事項をご一読いただければ幸いです。

    返信削除
  44. hidechin先生

    迅速なお返事ありがとうございました。昨日コメントで質問をさせていただいたものです。
    「浸潤性小葉がん」で検索していたところこのページにたどり着いたため、注意事項を読んでいなかったことをお詫び申し上げます。大変失礼いたしました。

    また昨日の質問の中で書き忘れてしまっていたのですが、私は浸潤性小葉がんで最初に検査を受けてから1か月あまりで手術をしました。ところが、検査では2cmだった腫瘍が手術のときには5cmと倍以上の大きさになっていました。
    このような進行の早い小葉がんであっても、浸潤径が1mmであれば昨日ご回答いただいたように、抗がん剤は使用しない治療法で宜しいのでしょうか?

    お忙しいところ度々申し訳ありません。よろしくお願いします。

    返信削除
  45. >ゆかりさん
    ”検査では2cmだった腫瘍が手術のときには5cmと倍以上の大きさになっていました”というのは、両方とも超音波検査または触診の大きさの話ですか?それとも術前の画像診断の腫瘤径が2cmだったのに病理学的な腫瘍径(非浸潤がんも含めて)が5cmだったという意味ですか?後者であれば珍しいことではなく、正確な広がりを術前には画像的に確認できなかったというだけで急速に増大したということにはなりません(非浸潤がんを含めたすべての範囲を術前に把握できるわけではないからです)。
    最終病理で浸潤径が1㎜だったわけですから急速に増大したとは思えないのですが…。あとは病理診断の精度にもよると思いますが、細かく病理検索した結果で浸潤径が1㎜であれば急速に増大したとは考えなくて良いのではないかと私は思います。また非浸潤がんの広がりはいくら広くても予後には影響しません。
    以上はゆかりさんから伺ったお話だけから得られた情報を元にした見解ですので念のため主治医の先生にご確認下さい。

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  46. hidechin先生

    お忙しい中ご返信ありがとうございました。不安な部分について大変分かりやすく説明をしていただいて、本当に感謝しています。

    先生にとって2014年が良い一年になりますように願っております。どうぞお身体にお気をつけ下さい。

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  47. >ゆかりさん
    ゆかりさんも良いお年をお迎え下さい。

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  48. 去年,質問させていただいたものです。現在タモキシフェンで8ヶ月ほどホルモン治療をしましたが,実はうつ病の持病があり,SNRI(トレドミン)を服用しています。SSRIがタモキシフェンの働きを弱めるようですが,トレドミンはどうなのでしょうか?
    現在52才,去年2月に全摘(ステージⅢA),術後5月に1度生理があり,その後生理が止まっています。
    よろしくお願い致します。

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  49. >匿名さん
    匿名さんがおっしゃるように、パキシルなどのSSRIは肝代謝薬物酵素であるCYP2D6に対する阻害作用を有するため、タモキシフェンの活性化を抑制し、作用を減弱すると言われています。一方、SNRIの中でも特にトレドミンはCYP2D6への影響を示さないため、タモキシフェンの代謝、活性化に対して影響は受けないと言われています。ですから併用しても心配はありません。
    以上です。

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  50. 早速のお返事ありがとうございます。
    安心しました。また心配になったら,よろしくお願い致します。

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  51. ご無沙汰しています。
    時間が経って匿名に変わってしまっていますが、このページで相談させていただいた者です。
    左乳癌から右リンパ腋転移。
    タキソールから始まり・・・フェマーラ・ハラヴェンと治療しました。
    ハラヴェンも2クールまでは、腫瘍が縮小しましたが、白血球と好中球数が下がりすぎて、3クール4クールはハラヴェンの量を半分にして投与しました。
    その後、腫瘍が増大し効いてないという結果になりました。

    主治医は、殆どの抗がん剤を使い尽くしましたので、今後どうしますか?と言いました。
    放射線は、どうですか?と聞いたら、
    ただれているので無理だと思います。
    放射線科のある病院で相談して下さいと言いました。

    hidetin先生何かお勧めの治療法は、ありますか?
    よろしくお願いいたします。












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  52. >MILUKIさん
    2013年3月27日にコメントを下さった方でしょうか?なかなか治療が奏効していないという状況なのですね…。なんとか良い治療を提示できればと思うのですが、実際に診ていない中でのアドバイスには限界があります。ちなみに組織の検査(腋窩リンパ節転移巣のホルモンレセプター、HER2検査)はしたのでしょうか?
    化学療法としては他にはMM療法(メソトレキセート+マイトマイシン)、DMpC(フルツロン+ヒスロンH+エンドキサン)などがあります。ホルモン療法としては他のアロマターゼ阻害剤やタモキシフェン(未使用なら)、フェソロデックスでしょうか?
    あまり良いアドバイスはできませんが、主治医の先生とよくご相談下さい。それではお大事に。

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  53. はい、そうです。
    右手が浮腫んでしびれているので、大事なところを簡潔に書いてしまいました。すみません。

    20年前に温存療法のとき
    ACF療法?(エンドキサン、メソトキセレートなどだったと思います)と放射線25回。

    10年前に再発、リンパ腋転移して、ノルバデックス5年半、ヒスロンH 1年ぐらい。アリミデックスは出血したので中止。

    その後、CEAが8、CA15-3が50くらいになり、主治医のすすめで抗がん剤に変更を渋々了解。(現在はCEA80.CA15-3 100くらいです。)
    (関東の病院から地元関西の病院に変わる)

    タキソール、TS1、ゼローダ、ジェムザール、
    ナベルビン、フェマーラ、ハラヴェンとしました。

    タキソールとナベルビンは、どちらも1年ぐらい効きました。

    過去の検査では、ホルモン+、HER2-でした。
    フェソロデックスをするなら、現在はどうか検査するようです。

    でも、効く人で3ヶ月で、リンパの細胞を採取する時にすごく出血すると説明ありました。

    あと、リンパのところから出血すると、血が止まらなくなることがあると説明ありました。

    4年近く抗がん剤をしてきたので(休んだこともありますが)疲れてきました。

    MM療法DMPCなど教えていただきありがとうございます。他には身体にやさしい治療法はないでしょうか?

    あと、手の浮腫みやしびれは、腫瘍が小さくならないと治りませんか?

    お忙しいのに申し訳ありません。
    hidechin先生よろしくお願いします。

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  54. > MILUKI さん
    からだにやさしい治療法ですか…。それが理想ですがなかなか難しいですね。ホルモン陽性ならフェソロデックスが一番良いように思いますが…。ちなみにDMpC療法はヒスロンHを使いますので以前使用したヒスロンHがまったく無効だったのであればあまり効果は期待できないかもしれません(肥満、血栓などのリスクもありますので慎重な判断が必要です)。
    化学療法はかなりやりつくしていますので選択肢は多くはありませんが、以前パクリタキセル(タキソール)が効いていますのでアバスチン+パクリタキセルは選択可能だと思います。またドセタキセルも残っています。ただ抗がん剤に疲れているということでしたらやはりフェソロデックスが良いかもしれませんね。
    手の浮腫としびれはおそらく腋窩の腫瘍による症状だと思いますので、やはり治療で腫瘍を小さくするしかないのではないかと思います(ただ実際に診ているわけではありませんのであくまでも推測ですが…)。
    以上です。

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  55. いつも詳しいアドバイス、ありがとうございます。
    主治医も悩んでくれてます。
    どうするか、ゆっくりと、考えてみます。

    手が痺れて、お礼の返事が
    おそくなり申し訳ございません。

    最近は腋からの出血がかなりあって
    血の臭いで気持ち悪くなります。

    出血して、腫瘍が小さくなればいいなあ!と
    願ってます。

    あとひとつ、教えてください。
    食事で食べてはいけない食品はありますか?

    よろしくお願いします。

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  56. >MILUKIさん
    辛い状況が続いているようですね…。少しでも症状が緩和できることを願っています。
    今の状態を考えると食べていけない食事はないと思います。食べたい物は何でも食べて大丈夫です。
    乳製品はだめだという意見が一部でありますが、現時点では明らかな証拠はありません。細かいことに気を使いすぎて食べたい物を我慢することは私はお勧めしません(さまざまな考え方はあるとは思いますが…)。最終的には、MILUKIさんが、ご自分で正しいと思う判断で良いのではないかと私は思いますよ。それではお大事に!

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  57. お忙しい所 お返事ありがとうございます。
    乳製品は、好物ですが食べないようにしておりました。ストレスになってもいけないので、食べたい時は、食べるようにします。
    ありがとうございます。

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  58. 昨年、トリプルポジティブ乳癌の温存手術をしました。
    浸潤生小葉癌 ステージ2 ホルモン2つとも強陽性
    HER2 +3 ki67 70% リンパ節転移 0 検査用に5個取って調べたそうです。
    術前にAC ×4 ドセ+ハーセプチン ×4
    術後pCRと言われました。
    放射線治療(追加5回)、ハーセプチン計画18回、
    アリミデックス5年の予定です。

    不安なのは、
    ○トリポジは完全奏功と予後は無関係
    ○小葉癌は再発、対側発病しやすい
    ○kiが異様に高い
    (実際、初診のクリニックでは、腫瘍は2センチ未満と言われたのに、転院先での初診で3センチ超えといわれた。約4週間でです。術前療法の効果がで始めるまでの3-4週間で、6-7センチになりました。再発したらあっという間では?
    ○ホルモン治療は実は効かないのでは?

    疑問なのは、
    ○転院先初診のpetでは腋窩も1-2箇所光っていたのに転移無しと言われたのは何故?
    ○同じく、乳房全体が薄く光っていたこと。
    ○事実上ホルモン治療が効かないなら、私の予後はHER2タイプとみなして考えた方が良いのでしょうか?
    ○原発巣は消えたので、組織検査のデータのみ。全体像と食い違うこともありますか?
    ○術後は1年毎のマンモ、半年に1回のエコーの予定で、petや骨の検査は無し。

    くよくよしても仕方ないのですが、
    毎年受けていた検診で触診エコーとも異常無しと言われた半年後に自分でしこりを発見。
    最初のクリニックで、エコーに腫瘤が映りにくいといわれ、散らばるタイプだからしこりを作りにくいとのこと。
    再発しても気づきにくく、他臓器や骨に散らばってから医者に行くことになるのでは?と不安です。
    主治医に、触診は余り意味がないので自分でもやらなくて良いと言われました。エコーをしていればよいと。
    定期検査も乳房と腋窩のみなので、転移は症状が出るまで探さない方がようのでしょうか?

    よろしくお願いいたします。
    長文失礼しました。

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  59. >MILUKI さん
    そうですね。それが良いと私は思います。
    それではお大事に。

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  60. >匿名さん
    はじめまして。
    まず不安に思われるお気持ちは理解できますが、トップページにも書いてありますように、ブログ上でお答えできることには限りがありますのでセカンドオピニオン目的のご質問にはお答えしかねる部分もあることをご理解下さい。またご質問があまりに多すぎて、これらをすべてここに文章で書くのはかなり難しいです。可能な範囲でお答えしますが、もし不安なのでしたらきちんとセカンドオピニオンを受けて下さい。


    ○トリポジは完全奏功と予後は無関係
    →HER2陰性のLuminal typeはpCRになるかどうかが予後には影響しない可能性があるとは最近言われているようです。しかしHER2陽性の場合は私は聞いた覚えがありません(じっくり調べる時間がありませんでした)。なお、匿名さんはpCRと予後が相関しないという意味を勘違いされていると思います。pCRになっても予後が悪いということではなく、pCRにならなくても予後は必ずしも不良ではないという意味です。
    ○小葉癌は再発、対側発病しやすい
    →浸潤性小葉がんの予後は病期をそろえれば必ずしも悪くない(むしろ良いという報告もあります)と言われています。ただ進行して発見されやすいという意味で注意が必要ということです。対側や同側多発をきたしやすいのはその通りです。
    ○kiが異様に高い
    →むしろ、だからこそ術前化学療法がよく効いたとも言えます。pCRになったのですから心配し過ぎも良くないですよ。
    ○ホルモン治療は実は効かないのでは?
    →閉経後においてはアロマターゼ阻害剤に比べるとタモキシフェンが効きにくいというデータはありますが、タモキシフェンが無効と言っているわけではありません。また閉経前はタモキシフェンしか使えませんし、比較のデータはありません。
    ○転院先初診のpetでは腋窩も1-2箇所光っていたのに転移無しと言われたのは何故?
    ○同じく、乳房全体が薄く光っていたこと。
    →PETで陽性だったとしたら術前には腋窩リンパ節に転移があった可能性があります。原発巣がpCRになったのですから転移巣も消失した可能性が高いと思います。乳房が光っていた件については画像を見ていませんのでコメントしかねます。
    ○事実上ホルモン治療が効かないなら、私の予後はHER2タイプとみなして考えた方が良いのでしょうか?
    →上記の通りその考えは間違いです。きちんとホルモン療法を受けるべきです。
    ○原発巣は消えたので、組織検査のデータのみ。全体像と食い違うこともありますか?
    →多少の違いはあり得ますが(ER/PgRの陽性率、Ki-67の数値など)確認しようがありません。しかし非常に奏効したことからおおむね術前の生検材料の所見通りだった可能性が高いと思います。
    ○術後は1年毎のマンモ、半年に1回のエコーの予定で、petや骨の検査は無し。
    …定期検査も乳房と腋窩のみなので、転移は症状が出るまで探さない方がようのでしょうか?
    →これは世界的なガイドラインにのっとれば正しいことになっています(エコーまでは推奨されていませんが)。しかし、その根拠となった臨床試験は少し古いということもあり、違った考え方で術後の検査を行なっている施設もあります。私も遠隔転移の検査はしています(この件に関しては以前ここにも書きました http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/05/blog-post_30.html)。この件に関しては主治医、または施設の考え方によって異なると思います。

    以上です。

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  61. 本日投稿したものです。
    こんなに早くお返事いただき、大変有難く思っております。
    思い違いを指摘していただき、不安がぐっと小さくなりました。そういう意味だったのですね…
    cCRと言われた時は飛び上がるほど嬉しかったのですが、増殖力の強さと、患者友達や医師の方のブログなどから見聞きしたことなどから、不安が募っていました。

    思い浮かぶままの多量の質問、申し訳ありませんでした。貴重なお時間を割いていただき、心から感謝申し上げます。

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  62. >匿名さん
    ネットの情報に振り回されないことが大切です。匿名さんにとってもっとも信頼できるのは主治医の先生なんですよ。わからないことはまず主治医の先生に納得できるまでお聞きになってみて下さい。それでも納得できない場合は紹介状を書いてもらい、資料を持参してセカンドオピニオンを受けるのが一番正確です。
    それではお大事に。

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  63. スカーレット2015年10月4日 11:02

    hidechin先生

    ご無沙汰しております。2013年9月8日に初めて投稿させていただきました スカーレット と申します。
    2年間のタモキシフェン・リュープリンの両方の治療を終えて現在はタモキシフェンのみの内分泌療法にはいりました。通院も3ヶ月毎から6ヶ月毎になり、次回の診療は来年1月です。

    さて、術後2年3ヶ月が経過したところですが、小葉癌に散見される転移・再発の可能性について気になり始めました。6ヶ月に一度の検査・診察で再発・転移を見抜くのは至難の業であることは十分承知しています。とはいえ、主治医には注意深く経過観察していただいているので、この病気に関するどんな微小なサインや変化も見逃したくないと思っています。 先生の今までのご経験から、いつごろどのような変化やサインがあると転移・再発を疑われますでしょうか? 半年毎の血液検査で示される数値(例えば腫瘍マーカー:CEA・CA15-3)以外で何か気をつけて観察すべきことなどありましたらご教示いただけますと幸いです。

    朝晩が冷え込む今日この頃ですが、先生もどうかご自愛くださいますように。

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  64. >スカーレットさん
    再発を心配されるお気持ちはよく理解できます。ただあまりにそれに神経質になりすぎて大切な時間を消極的に過ごしてしまうことはお勧めできません。もし体調に何か変化があったら受診すれば良い、程度で考えていて私は良いと思います。なぜなら原発巣と違い、転移の場合はより早い段階で見つけた方が予後が良いという明らかなデータはないからです。
    ただ骨転移の場合は、痛みを我慢してしまうと圧迫骨折をして麻痺が出たりすることがありますので、腰痛や背部痛、頸部痛、上下肢のしびれ、動きにくさなどがある場合は早めに受診して下さい。胸膜再発やがん性リンパ管症、がん性心膜炎の場合も早めの対応が必要です。呼吸苦や息切れ、咳が長く続く場合などはやはり早めの受診をお勧めします。その他の肺転移、肝転移はそれなりの数、大きさにならなければ症状は出ません。また、緊急性はありませんが、リンパ節再発や局所再発はよく見られる、自分で発見できる再発ですので、首や鎖骨の上にしこりが触れる場合や皮膚にブツブツができた場合は受診して下さい。
    取り急ぎ以上です。それではお大事に!

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  65. はじめまして
    12月10日に浸潤性小葉癌と診断され、さらに詳しい検査をお願いしたところ、うちでは切ってからしか調べない
    と言われ、方針が合わないからと転院
    をせまられました。この年の瀬に予約
    は満杯で飛び込みで行くしかない状況
    です。
    左外側に1.3㎝、1㎝、数㎜の3つはあり
    そうで他にもあるかも知れない、癌な
    んだから早く切って、それか
    ら治療の方針を考えればいいと言われ
    たのですが、そんなに悪いんですか?と
    聞いても答えてもらえませんでした
    小葉癌の場合、全摘を考えた方がよい
    かも知れないと思い、同時再建も選択
    出来る病院を探したいのですが、何処がよいのかわからず不安です。
    どうしたらよいのでしょうか


    マンモとエコーしかしていないです

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  66. >まこさん
    はじめました。
    浸潤性小葉がんは多発傾向がありますので、3カ所のがんが確認されているのでしたらやはり全摘が望ましいと思います(超音波検査所見だけではなくMRもしくは細胞診や針生検などで多発が強く疑われる場合ですが)。
    病院選びはその患者さんによっての相性などもありますし、希望する治療内容などにもよりますのでどこが良いかお勧めすることはできません。そもそもどちらにお住まいかわかりませんのでお答えしようもないのですが、仮にお住まいがわかっていてもここで私が特定の病院をお勧めすることはできません。
    同時再建(一次再建)を行なっている施設は日本オンコプラスティックサージャリー学会のHPから確認できますのでご参考になさってみて下さい。まこさんにとって最良の病院が早く見つかることをお祈りしています。

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  67. はじめまして。
    今日針生検の結果が出て不安があり投稿させていただきました
    浸潤性小葉癌、HER2 2+、増殖能18.3%、エストロゲンレセプター90%
    グレード1です。
    浸潤性なのでCT検査では転移がなかったが映ってないが転移しているかも、
    キュアベスト95ジーシーブレストの検査をすすめられました、
    手術は全摘手術予定です。
    正直なところ、かなり危ないのではと思っています。
    治療で治ることはできるのでしょうか。
    どうぞアドバイスよろしくお願い致します。

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  68. >おかさん
    はじめまして。
    Curebest 95GC Breastなどの遺伝子アッセイは予後予測因子の一つです。
    ご自身の病状をご心配されるお気持ちはわかりますが、明らかに再発リスクが高いと判断される状態、例えば腫瘤が大きいとか皮膚に露出しているとか、リンパ節転移が明らかであるとかの場合は、このような検査は行わずに抗がん剤の適応となります。また逆に明らかに再発リスクが低いと判断できる場合、つまりLuminal A(ホルモンレセプターが強陽性、HER2陰性、Ki-67低値)でリンパ節転移なしの場合もホルモン療法のみで良いと考えられるのでこの検査はしません。
    つまりこの検査を勧められる患者さんは、抗がん剤を上乗せした方が再発リスクを下げられるかどうか微妙なケースの場合です。ですから”かなり危ない”ということではありません。検査結果の詳細は分かりませんが、もちろん治癒できる可能性は十分にあると思います。
    通常は術後の病理検査を確認した上でこの検査を行うかどうか判断することが多いと思いますが針生検の時点で勧められたのですね?もしリンパ節転移があった場合はKi-67も少し高めですので抗がん剤を上乗せした方が良いように思いますが、Curebest 95GC Breastを参考にして決めても良いと思います。以上です。

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