2014年7月6日日曜日

生活保護を打ち切られて受診を中断してしまった患者さん宅への訪問

私が外来で診ている乳がん術後の患者さんの中には、障がい者のお子さんをお持ちの方が数人いらっしゃいます。それぞれ入院の際にはそのお子さんを誰がみるか、どこに預けるかでけっこう大変でした。でも幸い皆さん再発なくお元気に経過されています。

ただ最近、とても心配なことが起きました。その中の1人の患者さんが急に受診を中断されたのです。いつも半年に1回きちんと通院されていた方だったのですぐにお電話をしたのですが現在使われていない状態でした。その方は生活保護を受けていたため、居住地である札幌近郊のE市の保護課に問い合わせたのですが、春に生活保護を打ち切ったとのことでした(理由は教えてもらえませんでした…)。

その患者さんはずっと母子家庭で重度の心身障害者の娘さんの世話をしながら2人で生活しており、その患者さん自身も重い慢性疾患で時々入院をしているような状況でした。ですから普通に就労できるような状態ではありません。生活保護を打ち切られて生活するのはかなり困難であることが予想される状況でしたので連絡がつかないのは大変心配なことでした。

最近、生活保護を打ち切られた方の悲しいニュースをときどき目にしていましたので、胸騒ぎがしていてもたってもいられなくなり、昨日の土曜日、仕事が終わってからその患者さんの自宅のあるE市まで車で行ってきました。ナビで検索して行きましたが、その周辺を探して見てもその患者さんの表札が見つかりませんでした。ただ表札がない家が2軒あったのでそのうちの1軒の隣の家の方にお聞きしたところ、その隣の家が患者さんの家でしたが春に転居されたとのことでした。転居先はわからないとのことでしたのでこれ以上の追求は残念ながら不可能となってしまいました。

予想された中の最悪の結果ではなかったのでとりあえず安堵しましたが、いったいどこに転居されたのかやはり心配です。世話をしてくれるような親戚などに身を寄せていれば良いのですが…。一日も早く患者さんから連絡が来ることを願っています。

10 件のコメント:

  1. 身内が乳癌になり藁にもすがる思いで先生のブログを見ています。
    先生に質問させていただきたいです。
    乳頭腺管癌 腫瘍径9mm
    主に非浸潤癌 一部浸潤癌
    ホルモンER85% PRE90%
    ハーツー1プラス 陰性
    ki67 39%
    乳房温存術を行い、断片陰性
    現在放射線治療25回のうち20回終了
    ホルモン治療内服5年 注射2年予定
    抗がん剤内服フルツロン2年予定
    年齢36歳
    本人は病気を調べるのが怖いと言ってる状況です。主治医にki67が高いので抗がん剤の点滴が主流ではないか確認しました。主治医は長年の経験と腫瘍径が小さく浸潤部分が一部であったので内服の抗がん剤でよいとのことでした。
    身内としては年齢も若く子どもも小さいのでki67が40近くもあり、点滴の抗がん剤をしないで、再発転移を防げるのか心配でたまりません。

    藁にもすがる思いで先生に質問させていただきました。ご意見をお聞かせください。

    私自身ネットに弱く、先ほどのコメントがきちんと送れているかわからず再度同じ質問をコメントさせてもらいました。すみません。このコメントがきちんと送れていれば先ほどのコメントは削除していただければ幸いです。

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  2. すみません。先ほどコメントさせてもらったものです。
    リンパ節は陰性でした。
    大切な情報を忘れてしまい、誠に申し訳ありません。
    よろしくお願いします。

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  3. >匿名さん
    はじめまして。身内の方の病状を心配されるお気持ちはよく理解できます。ただネット上のご相談には限界があることをご理解下さい(トップページの注意事項をご一読いただければ幸いです)。

    まず非浸潤がん主体の乳頭腺管がんとのことですが、9㎜の腫瘍径のうち、最大の浸潤径は何㎜だったのでしょうか?補助療法を考える上で重要なのは全体の大きさではなく、浸潤部分の大きさです。
    もしこれが5㎜以下であれば、抗がん剤は不要と考える医師が多いと思います。ホルモンレセプターが陽性であればなおさらです。
    内服の抗がん剤のフルツロンを術後に投与するエビデンスは十分ではありませんが(UFTは臨床試験で一定の効果が証明されています)、主治医の先生は念のためと考え投与しているのだと思います。ただ一般的ではありません。通常は5㎜以下の浸潤がんでリンパ節転移がなければそもそも再発リスクが非常に低いため、抗がん剤による上乗せ効果が低いと考えられますのでKi-67の数値に関わらずホルモン療法のみという選択をするケースが多いと思います。
    もし浸潤径が5-10㎜の場合は意見が分かれるかもしれません。それでもリンパ節転移がありませんのでホルモン療法のみで良いという意見の方が多いと思います。内服の抗がん剤の適応に関してはSt.Gallenではコメントがありませんのでなんとも言えませんが、乳癌診療ガイドラインではUFTは推奨グレードC1(投与を検討してみても良い)となっています。
    以上が一般的な見解です。ただ患者さんの希望なども考慮して化学療法の追加を最終判断することが基本ですので疑問があれば主治医の先生とよくご相談した上でご判断下さい。
    それではお大事に。

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  4. 先生、お久しぶりです。
    昨年11月にHER2陰性から陽性のお話の時には質問させていただいてご回答ありがとうございました。
    今日のお話の先生の優しさに涙が出てしまいました。
    そこまで患者にして下さる先生っていらっしゃるんでしょうか。

    私は主治医に診ていただいてから2年になりますが一度も病気以外の雑談をしたことがありません。
    入院の時に看護師さんに家族などについていろいろ聞かれましたのでカルテには書いてあると思うのですが御存じなのかどうなのか・・・
    毎回の診察でもPCに向かわれているのであまり視線が合うこともありません。
    いつもお忙しそうなので質問も手短に1,2個で済ますようにしています。
    以前治療のことでどうしても聞きたいことがあったのですが「時間がない」と言われたことがトラウマになってしまっています。
    患者数も多いので診察の時間が短いのは仕方がないとは思いますが、短くても満足感のもてる診察にするために患者側も心がけたらよいことがありますか?
    もし私が診察を無断で休んでも果たして気付いてもらえるのかと少し悲しくなってしまい変なコメントしてしまいました。ごめんなさい。

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  5. 先生お忙しい中質問に答えていただき本当に感謝しています。ありがとうございました。
    本人にセカンドオピニオンを勧めたのですが、病気を調べるのが怖いと言ってセカンドオピニオンには消極的な現状でした。本人がそう思っている以上セカンドオピニオンを無理強いすることができず、でも身内としてはこの治療方法が本当によいのか、点滴の抗がん剤治療が一般的ではないか気がかりでした。そこで、ネット上の質問とわかりつつ先生に質問させていただきました。わかりやすくこんなに早く質問に答えていただき本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
    浸潤部分が何mmなのか気になり本人に確認しましたら、一部浸潤という説明をうけただけで、それ以上は聞いていないとのこと。本人も結果が怖いのでそれ以上追求して先生に確認しなかった様です…。

    夜分遅くに失礼します。
    本当にありがとうございました。
    先生のますますのご活躍をお祈りしています。

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  6. み です。
    生活保護に関しては憤りを感じることがあります。本当に必要な方への支援がなく、不正を行う人や必要ないのではないかと思う人もらっていたりしているようですね。
    本当に必要な方への支援を切に願います。

    ところでまた先生のご意見を聞きたくてコメントしました。
    私は非浸潤で温存、リンパ節は1個取り現在はホルモン治療中です。
    術後7ヶ月経ちました。
    乳癌の術後エステやマッサージはいつ頃から受けても大丈夫なものでしょうか?
    くだらない質問ですが、患者としてはこのようなことがとっても気になります。
    お忙しいところすみません。

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  7. >まさみさん
    たしかに混んでいる外来で1人の患者さんにゆっくり時間を確保してあげるのは実際問題としてはかなり難しいです。私は時間がかかりそうな患者さんの場合はあらかじめ外来以外の空き時間にお話しするようにしていますが、大病院の忙しい医師であればそれも困難だと思います。私も突然たくさんの質問を延々とされてしまいますと待っている患者さんたちのことが気になって落ち着かなくなります。ゆっくりお話を聞いてあげたいのはやまやまですが、他の患者さんのことも考えてゆっくりお話ができないという状況があることもご理解下さい。
    もしいくつも質問がある場合は、急がないことでしたらあらかじめ紙に箇条書きにしておいて、次の診察の時に教えて下さいと言うと医師側としても対応しやすいと思います。もちろん急ぐ場合はやむを得ませんので診察前に看護師さんに渡しておくと良いと思います。
    以上です。

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  8. >匿名さん
    疑問があれば直接主治医に確認するのが一番の近道ですし、それが医師との信頼関係を保つ上でも重要です。もう一度きちんと納得するまで説明を受けることをお勧めします。
    それではお大事に。

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  9. >匿名さん(みさん)
    エステやマッサージと言ってもいろいろあるでしょうし部位も書いてありませんのでなんともお答えしかねるのですが患肢に対する多少侵襲のあるもの(脱毛や強いマッサージなど)、という意味だと解釈してお答えします(他の部位はまったく問題ありません)。ちなみにフェルディ式のようなリンパ浮腫予防/治療のきちんとしたマッサージであれば問題ありません。

    センチネルリンパ節生検であれば、リンパ浮腫のリスクは低いですので問題ないとは思いますが、そのあたりは医師によって考え方が異なると思います。また少ないながらも0ではないリンパ浮腫のリスクを上回るメリットがあるかどうかを判断するのは患者さんご自身です。必要性が上回るとお考えになるのであればご自身の責任において行なって下さいとしか言えないと思います。
    時期については特に決まったものはありませんが、創部が落ち着く最低1ヶ月後、できれば3ヶ月後くらいからが良いのではないかと思います。以上ですが、必ず主治医に確認して下さい(本来このようなご質問は私にではなく主治医に確認すべき内容なのです)。

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  10. み です。
    回答ありがとうございました。
    もちろん主治医にも確認いたしますが、先生によって色々な考え方があるので、お聞きできればと思いコメントいたしました。
    お忙しいところ申し訳ありませんでした。

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