いつのまにかもうあと2日で今年も終わります。昨日は仕事納めでした。
午前中は関連病院の外来でしたが、年の瀬にも関わらず思っていたより患者さんが受診されたので終わったのは定時でした。
午後は本院に戻って患者さんの対応をしてから恒例の外科の1年の総括会議が行なわれました。乳腺センターに関しては手術件数などの詳細はG先生がまとめ、私は乳腺センターの学術活動や医療活動のまとめをして報告しました。
今年の手術症例は、秋くらいまでは思うように症例数が延びずに焦っていましたが、10月以降になぜか怒濤の手術ラッシュが来たおかげで例年並みまで戻すことができました。今年の傾向は、院外の施設(病院、クリニック)からのご紹介が多かったことです。再発症例だけではなく、手術症例もけっこうご紹介いただけたことは大きな成果の一つだったと思います。
また、今年は例年以上に講演会や検討会での講演などの学術活動が多かったのも特徴の一つです。おかげでかなりストレスはかかりましたが、道内外のさまざまな分野の先生方と面識を持つことができたことは今後に活かされるのではないかと思っています。
今日は回診でしたが、年末年始は病棟患者さんがほとんどいませんので落ち着いています。残っていたマンモグラフィの読影も済ませてきました。1/1、1/2も回診なので手術台帳の入力をしてきます。こういう時でないと最近は忙しくてこのような仕事をする時間がなかなか確保できません(汗)。
明日は休みなので今日はのんびりしながらワインを飲んでいます。今日、近くの酒店で、前から探していたアマローネ(ブドウを陰干しして作るイタリアヴェローナ地方のワイン)を見つけたので2本買ってきました!1本は明日開けて、もう1本はしばらくワインセラーに保管しておきます!
それでは皆さん、良いお年をお迎え下さい!
乳癌が心配だけど、どこに受診したらいいかわからない、乳癌になってしまって不安…、再発したからもうだめかもしれない…。そんな不安や悩みに少しでもお役に立てればと思って始めてみました。 (*投稿内容と無関係なコメント、病状のご相談はご遠慮願います*)
2015年12月14日月曜日
当然の結果ですが…”40才代の乳がん検診における超音波検査の上乗せ効果”〜J-START〜
マスコミにもこの臨床試験の結果はリリースされましたのでご存知の方は多いと思います。日本発のエビデンスとしてはかなりインパクトのある結果です。概要を以下に記します。
臨床試験名:J-START(Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial)(無作為化試験)
目的:がん検診における超音波検査の有効性を検証する
対象・方法:40~49歳の乳がん検診希望の日本人女性を対象とし、超音波検査+マンモグラフィ群(介入群)とマンモグラフィ単独の対照群に割り付けた(割り付け期間 2007-2011年)。
結果:36859例が超音波検査+マンモグラフィ群(介入群)、36139例がマンモグラフィ単独の対照群に割り付けられた。平均年齢は44歳。3344例(4.6%)が、第一度女性近親者に乳がんの既往歴があると報告し、また、917例(1.3%)が1回以上の良性乳房腫瘍の既往があった。
介入群の感度は、対照群と比較して有意に高い(91.1 vs.77.0%、p=0.0004)が、特異度は有意に低く(87.7 vs.91.4%、p<0.0001)、マイナス面として偽陽性が有意に多くなることを認めた。
対照群と比較して、介入群ではがんがより多く検出された(184 [0.50%] vs.117 [0.32%]、p=0.0003)。検出されたがんにおける浸潤がんの割合は、対照群で74%(117例中86例)であるのに対し、介入群では70%(184例中128例)であった。
対照群と比較して、介入群では、臨床病期がStage0とIのがんの頻度が高かった(144 [71.3%] vs.79 [52.0%]、p=0.0194)。2群間で、StageII以上の乳がんの頻度に有意差はなかった。
対照群の35例(0.10%)に対して、介入群では合計18例の中間期がん(0.05%)が診断された。したがって、超音波検査の使用は、中間期がんの0.05%の低下と関連していた。介入群における18例の中間期がんのうち16例(89%)、および対照群における35例のうち27例(77%)が浸潤がんであった。
要精検数は、対照群(3,153例)よりも介入群(4,647例)で多かった。 1回目のスクリーニング後に実施された生検数も、対照群よりも介入群で多かった。
(11月5日付Lancet誌オンライン版 )
簡単にまとめると40歳代の女性に対しては、マンモグラフィ単独より超音波検査を追加した方ががん発見率が高く、中間期乳がん(検診の間で発見される乳がん)を半減でき、早期がんの割合が高かったということです。問題点として特異度が低い(がんではないのに要精検とされる率が高い)という点はありますが、期待していた通りの良い結果でした。
そもそもこの結果は多くの乳腺外科医は予測できていたものです。若年者にはマンモグラフィだけでは不十分で超音波検査の方が描出されやすいとほとんどの乳腺外科医は日常診療の中で感じていたはずです。40歳代ですらこの結果ですからさらに低年齢になるほどこの傾向は顕著になります。しかし、ここには必ず”エビデンス”の壁が立ちはだかります。
私たちの施設でも学会で超音波検査の有用性は報告してきていますし、乳腺専門のクリニックの中には超音波検査の併用をほとんど全例に勧めている施設もあります。私は以前から若年者のマンモグラフィ単独の検診は感度の面で問題があると確信していましたので、触診で硬結が強い場合や前回のマンモグラフィで乳腺濃度が高かった場合などは”乳腺症(疑い)”として超音波検査を保険診療で行ない、フォローしてきました。その中でマンモグラフィでは写らない早期のがんが多数見つかっています。しかしあくまでも”エビデンスがない”ということで超音波検査の併用検診は自治体検診としてはできませんでしたし、積極的に超音波検査を勧める私たちのような施設に対する批判的な意見もあったようです。
超音波検査の追加が本当に有効かどうかは生存率の向上に寄与するかどうかを確認しなければ実はまだわかりません。その時点で切除する必要のないごく早期のがんを検出しているだけかもしれないからです。しかし、印象としては乳腺濃度が高い症例において小さな浸潤がんを見つけやすい超音波検査は生存率を向上させる可能性がきわめて高いと私は信じています。
臨床試験名:J-START(Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial)(無作為化試験)
目的:がん検診における超音波検査の有効性を検証する
対象・方法:40~49歳の乳がん検診希望の日本人女性を対象とし、超音波検査+マンモグラフィ群(介入群)とマンモグラフィ単独の対照群に割り付けた(割り付け期間 2007-2011年)。
結果:36859例が超音波検査+マンモグラフィ群(介入群)、36139例がマンモグラフィ単独の対照群に割り付けられた。平均年齢は44歳。3344例(4.6%)が、第一度女性近親者に乳がんの既往歴があると報告し、また、917例(1.3%)が1回以上の良性乳房腫瘍の既往があった。
介入群の感度は、対照群と比較して有意に高い(91.1 vs.77.0%、p=0.0004)が、特異度は有意に低く(87.7 vs.91.4%、p<0.0001)、マイナス面として偽陽性が有意に多くなることを認めた。
対照群と比較して、介入群ではがんがより多く検出された(184 [0.50%] vs.117 [0.32%]、p=0.0003)。検出されたがんにおける浸潤がんの割合は、対照群で74%(117例中86例)であるのに対し、介入群では70%(184例中128例)であった。
対照群と比較して、介入群では、臨床病期がStage0とIのがんの頻度が高かった(144 [71.3%] vs.79 [52.0%]、p=0.0194)。2群間で、StageII以上の乳がんの頻度に有意差はなかった。
対照群の35例(0.10%)に対して、介入群では合計18例の中間期がん(0.05%)が診断された。したがって、超音波検査の使用は、中間期がんの0.05%の低下と関連していた。介入群における18例の中間期がんのうち16例(89%)、および対照群における35例のうち27例(77%)が浸潤がんであった。
要精検数は、対照群(3,153例)よりも介入群(4,647例)で多かった。 1回目のスクリーニング後に実施された生検数も、対照群よりも介入群で多かった。
(11月5日付Lancet誌オンライン版 )
簡単にまとめると40歳代の女性に対しては、マンモグラフィ単独より超音波検査を追加した方ががん発見率が高く、中間期乳がん(検診の間で発見される乳がん)を半減でき、早期がんの割合が高かったということです。問題点として特異度が低い(がんではないのに要精検とされる率が高い)という点はありますが、期待していた通りの良い結果でした。
そもそもこの結果は多くの乳腺外科医は予測できていたものです。若年者にはマンモグラフィだけでは不十分で超音波検査の方が描出されやすいとほとんどの乳腺外科医は日常診療の中で感じていたはずです。40歳代ですらこの結果ですからさらに低年齢になるほどこの傾向は顕著になります。しかし、ここには必ず”エビデンス”の壁が立ちはだかります。
私たちの施設でも学会で超音波検査の有用性は報告してきていますし、乳腺専門のクリニックの中には超音波検査の併用をほとんど全例に勧めている施設もあります。私は以前から若年者のマンモグラフィ単独の検診は感度の面で問題があると確信していましたので、触診で硬結が強い場合や前回のマンモグラフィで乳腺濃度が高かった場合などは”乳腺症(疑い)”として超音波検査を保険診療で行ない、フォローしてきました。その中でマンモグラフィでは写らない早期のがんが多数見つかっています。しかしあくまでも”エビデンスがない”ということで超音波検査の併用検診は自治体検診としてはできませんでしたし、積極的に超音波検査を勧める私たちのような施設に対する批判的な意見もあったようです。
超音波検査の追加が本当に有効かどうかは生存率の向上に寄与するかどうかを確認しなければ実はまだわかりません。その時点で切除する必要のないごく早期のがんを検出しているだけかもしれないからです。しかし、印象としては乳腺濃度が高い症例において小さな浸潤がんを見つけやすい超音波検査は生存率を向上させる可能性がきわめて高いと私は信じています。
2015年12月10日木曜日
ピンクリボンin SAPPORO&With You Hokkaido忘年会!
昨夜市内某ホテルのレストランでピンクリボンin SAPPOROとWith You Hokkaido合同の忘年会が行われました。
毎年行なわれているこの会ですが、私が参加できたのは今回初めてでした。ビュッフェ形式の食事とお酒を飲みながら、乳腺診療と患者会、そしてピンクリボン運動に力を入れている医師、パラメディカルの方、患者さんたちと楽しい時間を過ごすことができました。
北海道の乳腺診療の現状と未来について話をしながら、参加者のテーブルスピーチやスタッフの余興を楽しみましたが、それにしてもS医大の先生方の芸達者ぶりには驚きました。H病院のO先生のギター演奏に合わせて、私がいつも研究会で指名して答えていただいている(嫌がられているかも…)女医のS先生やノリノリで郷ひろみを熱唱したM先生、そしてS医大乳腺外科のトップのK先生の歌やH病院のK先生のチェロ(私が好きなさだまさしのBirthdayを弾いてくれました)…とても盛り上がりました。来年は是非うちのG先生にも熱唱してもらいたいものです!
同じテーブルに座ったT協会のKさんとは今後の北海道内の検診が行き渡っていない地域での検診活動についてお話ししました。私たちの病院も道内の過疎地にいくつも診療所をかかえていますが、そのほとんどは地元で乳がん検診を受ける施設がありません。今までは町や市をまたいで自ら受診するかT協会の巡回検診車を利用するしかありませんでしたが、マンパワー不足もあってすべての地域に十分な乳がん検診を提供することができていないのが現状です。
そこで私たちの病院とT協会で協力しながらそれをカバーできないかということを提案させていただいたのですが思っていた以上にKさんは積極的に考えて下さり、これから話し合いを行なうことを約束して下さいました。これはずっと前から私が考えていたことだったのですが、こんなにスムーズに受け入れて下さるならもっと早くにご相談すれば良かったです。
今日さっそくうちの院長にも話してみましたが、院長もとても喜んで後押ししてくれました。あと何年できるかわからない私の医師人生ですが、またやりがいのある仕事ができました。なんとか近いうちに話し合いの場をセッティングして計画を練ろうと思っています。このことも含めてとても有意義な時間でした。知識もエビデンスも重要ですが、やはり人間関係あってのものです。このような会を通してさまざまな方々とお知り合いになれたことは私にとっては本当に貴重な財産です。
毎年行なわれているこの会ですが、私が参加できたのは今回初めてでした。ビュッフェ形式の食事とお酒を飲みながら、乳腺診療と患者会、そしてピンクリボン運動に力を入れている医師、パラメディカルの方、患者さんたちと楽しい時間を過ごすことができました。
北海道の乳腺診療の現状と未来について話をしながら、参加者のテーブルスピーチやスタッフの余興を楽しみましたが、それにしてもS医大の先生方の芸達者ぶりには驚きました。H病院のO先生のギター演奏に合わせて、私がいつも研究会で指名して答えていただいている(嫌がられているかも…)女医のS先生やノリノリで郷ひろみを熱唱したM先生、そしてS医大乳腺外科のトップのK先生の歌やH病院のK先生のチェロ(私が好きなさだまさしのBirthdayを弾いてくれました)…とても盛り上がりました。来年は是非うちのG先生にも熱唱してもらいたいものです!
同じテーブルに座ったT協会のKさんとは今後の北海道内の検診が行き渡っていない地域での検診活動についてお話ししました。私たちの病院も道内の過疎地にいくつも診療所をかかえていますが、そのほとんどは地元で乳がん検診を受ける施設がありません。今までは町や市をまたいで自ら受診するかT協会の巡回検診車を利用するしかありませんでしたが、マンパワー不足もあってすべての地域に十分な乳がん検診を提供することができていないのが現状です。
そこで私たちの病院とT協会で協力しながらそれをカバーできないかということを提案させていただいたのですが思っていた以上にKさんは積極的に考えて下さり、これから話し合いを行なうことを約束して下さいました。これはずっと前から私が考えていたことだったのですが、こんなにスムーズに受け入れて下さるならもっと早くにご相談すれば良かったです。
今日さっそくうちの院長にも話してみましたが、院長もとても喜んで後押ししてくれました。あと何年できるかわからない私の医師人生ですが、またやりがいのある仕事ができました。なんとか近いうちに話し合いの場をセッティングして計画を練ろうと思っています。このことも含めてとても有意義な時間でした。知識もエビデンスも重要ですが、やはり人間関係あってのものです。このような会を通してさまざまな方々とお知り合いになれたことは私にとっては本当に貴重な財産です。
2015年12月6日日曜日
忘年会終了!と言っても…
昨日は病院の忘年会でした。と言っても私が参加したのは自分の病院ではなく、昨年に続いてご招待を受けたD病院の方に出席してきました。自分の病院の方は病棟で余興を毎年出しているのですが、ここのところ私はずっと応援専門でしたのでG先生におまかせして、いつも大変お世話になっているD病院の忘年会に参加したのです。
会場は市内中心部のKホテル。D病院の忘年会には私を含めて20人ほどの招待客が出席していました。その中には私のような近隣病院の医師や薬局薬剤師のほか、経営コンサルタント、弁護士の方もいらしていました。昨年同様、こちらの忘年会では余興はしませんのでテーブルをまわりながら歓談中心の和やかな忘年会でした。
2次会は同じフロアの別室で立食形式で行なわれましたが、こちらでちょっとしたハプニングが起きてしまいました、大事には至らなかったと思いますが、皆さんも飲み過ぎには注意しましょう(汗)。ここでも形成外科のI先生やN記念病院のO先生、K整形外科のH先生と美味しいお酒を飲みながら楽しく会話することができました。H先生とは初対面でしたが、彼のお兄さんは私とE先生の高校の同期ということもあり、また私の大学のバレー部の後輩とH先生が同期生ということもわかって初めてとは思えないほど会話がはずみました(笑)。
そのあとは途中で抜けてタクシーでワインバーに移動し、10人ほどで2時近くまで飲んでしまいました(汗)。ここでも美味しいワインを何本も飲んでとても楽しい飲み会でした。支払いは太っ腹のE先生が全部持ってくれましたがいくらかかったことか…(汗)。
自分の病院の忘年会を欠席する後ろめたさはありましたが、近隣の先生方やいつもお世話になっているD病院の職員の方々と親交を深めることができましたし、医療に対するいろいろな考え方や姿勢をお聞きするのは勉強になります。これは長い目で見れば私たちの病院にとってもメリットのあることだと思っています。また機会があれば是非参加してみたいです。
会場は市内中心部のKホテル。D病院の忘年会には私を含めて20人ほどの招待客が出席していました。その中には私のような近隣病院の医師や薬局薬剤師のほか、経営コンサルタント、弁護士の方もいらしていました。昨年同様、こちらの忘年会では余興はしませんのでテーブルをまわりながら歓談中心の和やかな忘年会でした。
2次会は同じフロアの別室で立食形式で行なわれましたが、こちらでちょっとしたハプニングが起きてしまいました、大事には至らなかったと思いますが、皆さんも飲み過ぎには注意しましょう(汗)。ここでも形成外科のI先生やN記念病院のO先生、K整形外科のH先生と美味しいお酒を飲みながら楽しく会話することができました。H先生とは初対面でしたが、彼のお兄さんは私とE先生の高校の同期ということもあり、また私の大学のバレー部の後輩とH先生が同期生ということもわかって初めてとは思えないほど会話がはずみました(笑)。
そのあとは途中で抜けてタクシーでワインバーに移動し、10人ほどで2時近くまで飲んでしまいました(汗)。ここでも美味しいワインを何本も飲んでとても楽しい飲み会でした。支払いは太っ腹のE先生が全部持ってくれましたがいくらかかったことか…(汗)。
自分の病院の忘年会を欠席する後ろめたさはありましたが、近隣の先生方やいつもお世話になっているD病院の職員の方々と親交を深めることができましたし、医療に対するいろいろな考え方や姿勢をお聞きするのは勉強になります。これは長い目で見れば私たちの病院にとってもメリットのあることだと思っています。また機会があれば是非参加してみたいです。
登録:
投稿 (Atom)