2009年5月10日日曜日

ピンクリボン・デー

今日は、道内2カ所でピンクリボン関連のイベントがありました。
札幌ドームでは、日本ハムファイターズの田中賢介選手が中心となって企画、ピンクリボン in SAPPORO実行委員会と北海道対がん協会の協力で、抽選で50名に無料マンモグラフィ検診が行なわれました。試合中は選手たちがピンクリボンのリストバントを身につけ、TVを通して乳がん検診の啓蒙活動を行なってくれたようです。田中賢介選手は、試合の方でも活躍してお立ち台に上がりました!でも残念ながらインタビューでは、ピンクリボン運動については触れてくれなかったようですね…。
一方。小樽では、”ピンクリボン・ファミリー”主催の、「母の日」イベントがウィングベイ小樽で行なわれました。母の日にお母さんの健康を考えてみませんか?というテーマで行なわれたピンクリボン啓発運動です。残念ながら見に行くことはできませんでしたが、乳がんのリーフレットの配布や啓発グッズの販売、お母さんに「ありがとう」のポストカードを送るコーナー、小樽市保健所による健康相談など盛りだくさんのイベントだったようです。
去年は、「ピンクリボン in SAPPORO - さっぽろテレビ塔」の乳がん検診のお手伝いに参加しましたが、今年も諸事情が許せば、是非参加したいと思っています。

2009年5月6日水曜日

ゾメタと下顎骨壊死1

骨転移の治療薬である、ゾメタの有用性については前にも書きました。
今回は、ゾメタ投与時に一番問題になる、下顎骨壊死について書いてみます。

ゾメタに代表されるビスフォスフォネート製剤は、骨の中の破骨細胞という骨を溶かす細胞の働きを抑えて、骨転移した癌細胞が骨内で増大したり、骨折しやすくなったりする状態を改善します。しかし、一方で歯科治療、特に抜歯などの観血的治療をしたあとに、下顎骨の壊死、感染(骨髄炎)を起こすことがあります。私の患者さんでも一人発症した方がいましたが、ずっと頬の部分から排膿して、治療に難渋しました。

下顎骨壊死とゾメタの因果関係にはいろいろな説がありますが、最近では、破骨細胞の働きを抑えることが主たる原因ではなく、ゾメタが口腔内細菌を増やし、バイオフィルムという状態を作り出すことが深く関与していると考えられています。それは、壊死部に口腔内細菌が増殖していること抜歯前に口腔内清掃をしたり、予防的に抗生剤を投与すると下顎骨壊死の発生率が抑えられたというデータから推測されています。

また、ゾメタは血管新生抑制作用もあるため、抜歯後の創部の治癒を遅らせることも下顎骨壊死を起こしやすくする原因と言われています。喫煙者も同様の理由で起きやすいようです。

現在のところ、予防法は完全に確立しているわけではありませんが、とりあえず気をつけること、対処法は以下のとおりです。
①乳癌患者さんは、日常的に歯科で定期的なチェックをしておく。治療すべき歯は抜歯も含めて治療しておく。喫煙は、できるだけ避ける。
②骨転移治療中に抜歯が必要になった場合、休薬が可能な状態であれば、抜歯の3ヶ月前から抜歯後2ヶ月までゾメタを休薬する。実際は5ヶ月の休薬は困難な場合が多いが、可能な限り長く休薬する方が発症率が低いため、主治医と相談して休薬する。
③休薬が困難な場合、口腔内の十分な清浄化(イソジンのうがいなど)、前日からの予防的抗生剤投与の上で抜歯(抜歯創は縫合閉鎖)。

いずれにしてもゾメタ投与中の患者さんは、こういう副作用があることを十分に理解して、主治医と歯科医と口腔内の状態について、よく相談しておくことが重要だと思います。

2009年5月2日土曜日

細胞診練習用キット〜結果報告


これは、先日作成した、腫瘤を埋め込んだスポンジに寒天を吸い込ませて固めたものを横から見た写真です。
3層になっているのがわかりますか?
見た目はつやつやして綺麗だし、触り心地もぷにゅぷにゅしていてなかなかいい感じでした。技師さんの印象も悪くなく、期待しながらエコーを当ててみると…。

全然内部構造が見えません…。十分に抜いたつもりでも細かい空気が残っているためなのか、そもそもスポンジの構造のせいで超音波が散乱するためなのか、両方なのか…。かろうじて中に埋めたゴムの腫瘤は確認できましたが、これも真っ黒。硬癌には見えますが、良性腫瘍には適さないようです。
どっちにしても今回の試作品は失敗におわりました。

さっそく技師さんと、次作の計画を立てました。今度は技師さんに作成をお願いしました。第2作は、乳腺構造に柔らかいスポンジを使って、脂肪部分は寒天に何か混ぜ物(羊羹みたいに)を入れてみようかと思っています。一回の失敗くらいでめげないで頑張ります。

2009年4月30日木曜日

細胞診練習用キット

最近、新しい超音波検査技師さんが乳腺エコーの担当の仲間になりました。いま乳腺疾患のエコー診断の猛特訓?中です。
慣れてきたら、優しい症例から細胞診に入ってもらう予定です。

うちの病院の細胞診は、超音波ガイド下で穿刺するのを基本としています。超音波技師さんにエコーを当ててもらって、穿刺予定線を画面に出して目標に合わせてもらい、医師が針を刺して細胞を採取するんですが、簡単そうでこれがなかなか難しいのです。特にしこりが小さい場合は、ちょっとした装置の当て方で腫瘍から針がずれてしまいます。検査技師さんの当て方にコツがあるので、検査技師さんも穿刺する医師も十分な経験が必要なんです。

そこで、人体に初めて穿刺する前に練習できる模型があれば、技師さんも慣れない医師にとっても良いのではないかと考えて、練習用キットを作成してみることにしました!
でもいいモデルがないので、素材に悩みました…。超音波を通すこと、一定の柔かさがあり、かといってあまりふにゃふにゃじゃないもの…。100円ショップに行って1時間見てまわりました。

とりあえず第1作は、以下のように作ってみました。

①素材のメインは、家庭用のスポンジ。木目が細かく均一な柔らかい部分と硬めの薄い粗な繊維の2層からなるどこにでもあるスポンジです。これを2枚、柔らかい部分は1cm幅くらいに薄くします。
②腫瘤は、柔らかめの消しゴムを削って3種類の形を作りました。
③この腫瘤を2枚のスポンジの粗な面の間に置いて(少し削りました)、はさみます。
④粉の寒天を通常の2倍の濃度になるように熱湯で溶かします。
⑤合わせたスポンジをプラスチック容器の中に置いて、上から溶かした寒天を注ぎます。固まる前にスポンジを何度も押して空気を抜きます。
⑥冷蔵庫に入れて冷やして固まったらラップで包んで終了。

試作品は現在冷蔵庫の中。土曜日にエコーでどんな感じに写るか見てみます。問題は空気が完全に抜けているか(空気があると見えなくなります)、消しゴムがきちんとエコーで見えるかでしょうか?
まあたぶん失敗だと思いますが、何度でもチャレンジしてみたいと思います。

(ちなみに初めて寒天を溶かしてゼリーにしてみましたがなかなか面白かった!はまりそうです。)

2009年4月27日月曜日

乳癌の治療最新情報3 ”ラパチニブ承認!”

ついに正式にラパチニブが承認されました!発売は6月の予定です。

今回取得した適応は、癌細胞にHER2という受容体が過剰に発現している(HER2陽性)乳癌で、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤(FECやECなど)、タキサン系抗悪性腫瘍剤(パクリタキセルやドセタキセル)、および、ハーセプチン(トラスツズマブ)による化学療法後の増悪または再発の患者に対するゼローダ(カペシタビン)との併用療法という限定したものですが、治療に難渋していた患者さんにとっては朗報です。

この薬剤の特徴は、脳転移にも有効なこと(ハーセプチンは無効なことが多い)、HER2だけではなくHER1(EGFR)という受容体にも作用するため、ハーセプチンとは作用機序が異なること、経口薬剤であること(毎週受診しなくていい!)、ハーセプチンと異なり心毒性が少ないことが挙げられます。問題点としては、ハーセプチン同様に高価であること、今のところゼローダとの併用でしか投与できないことです(販売価格は未定)。

今後は臨床試験を重ねて、早く他の薬剤との組み合わせも可能になって欲しいものです。

2009年4月24日金曜日

ピンクリボンチーム!

今年も6月某日、とある場所でママチャリレースがあります。

去年、初めてこのレースに参加しました。うちの病院では3チーム出場しましたが、私の参加したチームは、主に乳腺診療に関わっている乳腺外科医、病理医、検査技師などでメンバーを編成し、背中に「乳がん検診を受けましょう!」とマジックで書いたゼッケンをつけて出場しました。結果は自慢できるようなものではありませんでしたが、なかなか楽しかったです。

今年も参加するように誘われたので出場予定ですが、今回はもう少し目立つようにTシャツでもそろえて、ピンクリボンマークと啓蒙の文字を印刷してみようかなと思ってます。

成績は二の次。ローカルなピンクリボン運動のつもりで頑張ります!

2009年4月21日火曜日

体内時計とがんの増殖

ノースカロライナ大学ラインバーガー総合がんセンターから面白い研究発表が報告されていました。

今までは、体内時計を狂わせると発癌率が高くなると考えられていました。有名なものとして、日勤の看護師より夜勤の看護師のほうが乳癌の発生率が高いという疫学研究があります。

今回の研究は、発癌しやすいマウスの体内時計に関係する遺伝子部分を操作すると、発癌率は高くなるどころか、かえってマウスの寿命が延びたというものです。どうも体内時計に関係する遺伝子の変異は、癌細胞を排除する働きを強めるらしいです。このシステムを治療に応用すれば、新しい作用機序の薬が開発されるかもしれません。

遺伝子の世界はさまざまな可能性を秘めているらしいです。