2010年5月8日土曜日

医療従事者の乳癌

以前から、キャリアウーマンには乳癌ができやすいという報告があります。これは、職業を持っていると結婚、出産年齢が遅れたり、出産数が少なくなりやすい、母乳を与える期間が短くなりがち、などのホルモン環境の影響が大きいと思いますが、食生活の影響(外食や飲酒機会が多くなりがちで高カロリー、特に高脂肪食を摂る女性が多い?)などもあるかもしれません。

実際、私たちの病院(関連病院を含む)では、職員の乳癌患者さんがけっこういます。開院以来、職員の乳癌患者は、覚えているだけでも医師、看護師、薬剤師、歯科衛生士、検査技師、調理師、医療事務、合わせて16人もいます。入れ替わりが激しく、就労期間がそれほど長いわけではないことを考えると多いような気がします。

先日研修に行った大学病院の薬剤部長さんが興味深いことをおっしゃっていました。
抗がん剤を取り扱う看護師の血液を調べた結果、手袋とマスクを使用して調剤や薬剤投与を行なっていたにも関わらず、エンドキサン濃度が有意に高かったというのです。看護師さんに流産率が高い傾向があることと関係があるかも…と、その部長さんはおっしゃっていました。エンドキサンが乳癌の発生に直接関係があるわけではありませんが(急性白血病、骨髄異形成症候群、膀胱がん、悪性リンパ腫、腎盂・尿管がんなどを発癌させる可能性があることは報告されています)、様々な化学物質や放射線を浴びる環境にいることが、癌を含めた健康被害を引き起こしている可能性は否定できません。

これだけいろいろな病気と患者さんに接してきていて知識も一般人より豊富であるはずの医療従事者ですが、少なくとも私の周りの人たちは自分の健康チェック、特にがん検診には無頓着の人が多いようです(乳がん検診はようやく受診者が増えてきましたが…)。医療従事者は、上で述べたようなリスクにさらされていますのでより注意が必要なのですが、なぜか自分は大丈夫!という妙な自信があるのかもしれません。

患者さんの健康を守るためには、まずは自分たちが健康でなければいけないですよね。
(こんなことを書くと、院内でもっとも不健康な医者がなにを言う!と言われてしまいそうですが…)

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