2011年4月20日水曜日

乳癌の治療最新情報26 カルボプラチン

(*下記訂正をご参照下さい)

トリプルネガティブの患者さんに朗報です!

以前から何度かここにも書いてきましたが、トリプルネガティブ乳がんに有効とされているプラチナ製剤が初めて保険適応になるようです。

今回厚生労働省の検討会議で国内未承認薬の早期承認が決まった薬剤は8種類。その中に乳がん治療に対するカルボプラチンが含まれていました。公知申請というシステムを適用し、国内での臨床試験データは不十分ですが、海外での使用実績が十分でその有効性が明らかであると認められたため、承認されたとのことです。新聞報道によると今月末の薬事・食品衛生審議会薬品部会で承認されれば使用可能になります。

プラチナ製剤(白金製剤)はシスプラチンという薬剤が代表的です。現在も肺がん治療の中心を担っている抗がん剤です。有効な薬剤ではありますが、腎毒性が非常に強く大量の水分負荷をしなければならないため、外来での投与が難しいという問題点がありました。一方、カルボプラチンはシスプラチンの誘導体で腎毒性が軽度のため、水分負荷が不要であるというメリットがあります。ただ、骨髄抑制はシスプラチンより強いため、注意が必要です。

乳がんに対する海外でのカルボプラチンの投与は、主にゲムシタビン(商品名ジェムザール)との併用で行なうことが多いようです。また、この組み合わせはトリプルネガティブ乳がんの再発治療に有効と言われています。将来的にはPARP1阻害剤(inipaibなど)との併用も期待されています。

これで一歩、欧米の診療レベルに近づくことができました。トリプルネガティブ乳がんの再発治療に一筋の光明が見えてきたと言えそうです。

*2011.5.7 訂正
乳癌学会から公知申請結果の報告がありましたが、今回カルボプラチンが保険適応となったのは、タキサン系抗がん剤とハーセプチンとの3者併用のみだったようです。したがってトリプルネガティブ乳がんへの適応は今のところ認められていないままとなっています。期待していただけに非常に残念ですが、PARP1阻害剤との併用などでカルボプラチン、ジェムザールとの併用が認められるようになることを期待したいものです。

4 件のコメント:

pina さんのコメント...

TN患者にとりましては大変嬉しい情報です。
先生有難うございました。実は最近古くからの知人に思い切って病気のことを打ち明けたのですが、彼女とのやりとりの中でちょっと気分が落ち込むことがありまして..。(自分自身の話の取り方に問題があるのかもしれないですが)そういう状況下で、今回待望のプラチナ系抗がん剤が保険適用になるとのニュースに光明が射したような気持ちになりました。先生どうも有難うございました!(愚痴っぽいコメントになってしまいごめんなさい)

※グーグルのアカウントはあるのですが、最初作った時にあまりよく考えずに作ってしまい、実名に近いものですので今迄と同様の形で投稿してしまうと思います。(名前をつけてるのでよろしいでしょうか?)

hidechin さんのコメント...

>pinaさん
匿名でなければ大丈夫ですよ。匿名でもお返事はするのですが、複数たまってしまうと誰に対するコメントかわからなくなるため、区別がつくようにして下さいということです。
pinaさんと同じようにトリプルネガティブで不安に思っている患者さんは多いと思います。これからもさらに有効な薬剤が開発され、使用可能になるといいですね!

はっこ さんのコメント...

こんばんわ。
田中好子さんの死去のなか、このような嬉しい情報はとても勇気が出ます。
今日術後2年の検査を終え、今のところ異常なしの合格をもらいましたが、まだ油断はならないと釘をあされました。癌肉腫という珍しいタイプなのでよく普段から体を確かめてください。とも言われました。
再発、転移のときに効果のある私たちのようなTN患者には一寸の光を感じました。

hidechin さんのコメント...

>はっこさん
今朝のニュースは驚きましたよね…。私も田中好子さんが闘病中だったことは全然知らなくて、昔キャンディーズファンだったこともあり大変ショックでした。ご冥福をお祈りしたいと思います。

今以上に効果的な早期がんのスクリーニング方法を一日も早く導入することと、これから治療がもっともっと進歩することを期待したいですね。