トリプルネガティブ乳がんはホルモン療法、ハーセプチンなどのようなターゲット療法がまだ確立されていないことと、抗がん剤の効果が不十分(特に再発時には効きにくい)なことから、予後の良くないタイプと考えられています。実際は術前化学療法(FECやタキサン)に対する反応は悪くないのですが、組織学的にCR(完全消失)しない場合の再発率は高く、その場合には標準的な抗がん剤(タキサンやナベルビンなど)を投与してもなかなか効果が出にくく治療に難渋することが多いのです。
このような難治性のタイプのため、時には”再発した場合の治療はない”と乳腺外科医から宣告されることもあると聞きます(私は言いませんが…)。副作用が強い抗がん剤を十分な効果が見込めないのにいたずらに継続するのは確かにマイナスにしかならない場合もあります。しかし心情的にはそう簡単に割り切ることは難しいと思います。そういう場合に試してみる価値がある治療があります。
それはXC療法(ゼローダ+エンドキサン)やDMpC療法(フルツロン+ヒスロンH+エンドキサン)などの5FU系抗がん剤の併用療法です。これらは併用することによってお互いの作用を増強すると考えられています。
経口抗がん剤なんて効かないのではないか?と思われるかもしれません。確かに昔から経口抗がん剤を術後に投与していたのは日本だけですし(最近は術後にはほとんど投与しません)、その効果に疑問をもたれていました。しかし、ER陽性乳癌に対してはUFT(5FU系経口抗がん剤)+TAM(タモキシフェン)がTAM単独より良好な成績であることの報告(ACETBC)やUFT+TAMのほうがCMF+TAMより良好な成績だっとという報告(EBCC6)、新しい5FU系経口抗がん剤の登場(ゼローダ、TS-1)などによって再評価されるようになってきました。
ただ、一般的には経口抗がん剤が有効なのはER陽性の比較的増殖能の低いタイプだと考えられていました。しかし、XC療法の進行再発乳がんに対する治療効果を検討してみると思いのほかトリプルネガティブにも有効であることがわかったのです。まだ十分なエビデンスが確立しているわけではありませんが、以下にいくつかの参考になる成績を挙げておきます。
①「HER2陰性進行・再発乳がんに対するカペシタビンとシクロホスファミドの併用療法(フェーズⅡ)」
結果:ORR(全奏効率) 45.5%、CBR(臨床的有効率) 54.5%、PFS(無増悪生存期間) 402日…対象症例数は11例。
(ER陽性例(34例)では、ORR 44.1%、CBR 58.7%、PFS 373日)
②トリプルネガティブ進行再発乳がんに対する九州乳癌研究グループ(KBC-SG)の報告(対象期間:2005年7月から2007年12月)
結果:ORR(全奏効率) 41.7%…対象症例は12例。(ER陽性例(31例)では、ORR 35.5%)
以上は少数例での報告ですのでもう少し追試が必要だとは思いますが、私の患者さんにも一人非常によく効いたトリプルネガティブの患者さんがいらっしゃいます。この方は術後2年で多発性肺転移と診断されましたが、外来での内服治療を希望されたためXC療法を行なったところ部分寛解(PR)となり2年ほど経過をみれました。その後増悪したため今度はDMpC療法に変更したところ、腫瘍は完全に消失し、もうすぐ2年たちます。
欧米ではトリプルネガティブ乳がんに対してプラチナ製剤(カルボプラチンやシスプラチン)とジェムザールの併用がよく行なわれているようですが、日本ではプラチナ製剤は乳がんに対しては適応外です。また、PARP-1阻害剤が有効と言われていますが、まだ臨床試験中で未認可の状況です。経口抗がん剤は副作用も軽度(手足症候群などには注意が必要ですが)ですし、外来治療が可能ですので再発治療の選択肢として考えてみても良いのではないかと思います。
78 件のコメント:
先生、TNに関する情報有難うございます!
記事を拝見し、ふと疑問に思ったことがあるのですが...。
①DMpC療法は、仮にERレセプターが0%で あった場合でも治療の選択肢の一つとして
考慮できるものでしょうか? (St.Gallen2009では内分泌療法の適応は ERレセプターが1%以上という閾値になっ ていた為)
ヒスロンHはどのような抗腫瘍効果がある のでしょうか?
②以前ネットでゼローダによる副作用、手足 症候群に対してビオチン(ビタミンH)を 内服すると症状が軽減?するかもしれない
という情報を見たのですが、(エビデンス は無いと思いますが)hidechin先生はど のように思われますか?
効果があれば良いな..と希望的観測で質問 してみました。宜しくお願いいたします。
>pinaさん
私が知っている範囲でお答えいたします。多少古い知識かもしれませんし、エビデンスが不十分な内容も含むことをご了解願います。
①MPA(ヒスロンH)の作用については実はまだ十分にわかっていません。この薬剤のみ、ホルモン剤でありながら、ホルモンレセプターの制限なく保険適応になっています。
いま考えられている乳がん治療に用いた際の作用としては、
1.ホルモンレセプターを介した作用(これがもちろんメインです)
2.ホルモンレセプターを介さない直接的な抗腫瘍作用(DNA合成抑制作用、血管新生阻害作用)
3.5FUの抗腫瘍作用の増強
4.食欲増加、骨髄保護作用などの抗がん剤の副作用軽減、悪液質の改善(?)、骨痛の軽減(?)
などがあげられます。
ですからヒスロンHはER陰性でも約12.2%の効果があると報告されているのです。
ただ。血栓、肥満などの副作用もありますので、ホルモンレセプター陰性の乳がんに対して用いることは敬遠されることが多いと思います。むしろ否定的な意見の医師が多いかもしれません。ですからヒスロンHを抜いたフルツロン+エンドキサンを好む医師もいます。ただ個人的にはこの3剤の組み合わせには良い印象を持っています。体力が落ちた患者さんや骨転移の痛みをもつ患者さんが見違えるほどお元気になることがよくあるからです。
私自身、トリプルネガティブにヒスロンHを用いた経験はそれほど多くはありません。私がこの患者さんにヒスロンHを併用したのは、その前にXC療法をしていて効果がなくなったため、ゼローダを古い5FU系のフルツロンに変えるだけでは不十分ではないかと感じたからです。たまたまそれが予想以上に効果的だったということです。全ての患者さんにこれが当てはまるわけではありません。
②5FU系抗がん剤による手足症候群の予防、治療に用いられるのは一般的にはビチオン(Vit.B7)ではなく、ピリドキサール(Vit.B6)です。これは医薬品として処方可能です。私はゼローダ処方時には必ず予防的に投与しています。
ビチオン欠乏症では皮膚障害をおこすようですが、ビチオンを投与すると手足症候群に効果があるという報告は私は知りません。また薬物相互作用や過剰摂取による障害もあるようですので、サプリメントとして摂取することはお勧めできません。
hidechin先生、私のこの様な取り留めのない質問にも丁寧にお答えいただきまして誠にありがとうございます。とても勉強になりました。お忙しい最中本当に申し訳ありません!! 今後また質問させていただくことがあるかと思いますが、是非よろしくお願いいたします。
>pinaさん
了解いたしました。いつでもどうぞ!
はじめまして。興味深く拝読させていただいております。トリプルネガティブの術前化学療法について悩んでおりまして、アドバイス頂けますと幸甚です。
母(60代前半)がトリプルネガティブの乳がんと診断されました。腫瘍は3センチです。
以下のような理由でくわしい検査が出来ず、体力的な不安もあることから、術前化学療法なしで全切除手術の予定です。
・閉所恐怖症のためMRI&骨シンチが出来ない
・アレルギーのため造影剤が使えない(造影剤なしのCTを予定)
・バセドウ氏病およびシェーグレン症候群(膠原病)罹患中のため、体力がない
術前、術後、どちらにせよ抗がん剤治療が必須であるのであれば、トリプルネガティブの場合は、くわしい検査で状況を把握できなくても、そして体力があまりなくても、術前化学療法をすべきなのでしょうか?
> 西瓜糖さん
はじめまして。
術前化学療法を行なう意義は主に次の二つです。
①腫瘍を小さくして乳房温存術の適応の可能性をあげること
②あらかじめ化学療法の効果を確認できること
予後に関しては術前に投与しても術後に投与してもほぼ同じだと考えてよろしいです。
西瓜糖さんのお母様は、乳房温存術の希望はおありなのでしょうか?もし希望があるのでしたら術前化学療法を行なう意義はあります。ただ、MRができないことは、切除範囲を決定する上で不利益になる可能性があります(特に術前化学療法をした場合は範囲の診断が難しいためMRの情報は役に立ちます)。
トリプルネガティブとのことですので、今の術後療法の考え方(St.Gallen2009/2011)からすると、化学療法は必須です。もちろん、高齢者であるとか重い持病がある場合にはできないこともあります。しかし、その場合には当然、再発率は高くなります。
シェーグレン症候群やバセドウ病だけであれば(もちろん病状がコントロールされていることが条件ですが)、化学療法ができない状態とは言えません。私の患者さんでも同じような病状で化学療法を行なった患者さんは何人もいらっしゃいます。ただ、シェーグレン症候群に間質性肺炎を合併している場合には、化学療法が危険な場合がありますので慎重な判断が必要です。また、バセドウ病がコントロールされていない場合はコントロールを行ないながら化学療法を行なう必要があります。
主治医の先生とそのあたりの病状をよくお聞きになった上で判断されるのが良いと思います。
はじめての訪問でぶしつけにお伺いしたのにも関わらず、丁寧にお答えいただきまして本当にありがとうございます。
母の件ですが、MRIが出来ないことから、温存療法は考えておりません。一番心配していたのが、「化学療法が術前か術後かで、予後が変化するかどうか?」ということでしたので、ほぼ同じとお答えいただきまして、安心しました。母の体調を考えながら、今後について検討していきたいと思います。
>西瓜糖さん
そうですか。お母様の治療が順調に進むことをお祈りしています。それではお大事に!
さきほど、アルファベットを間違えたため歳投稿させてください。初めてなのに何度もごめんなさい。
はじめまして。母の乳がんが再発しまして、今後の治療法を悩んでいる際にこのサイトを拝見しました。もしよろしければお返事を頂けると大変ありがたいです。
■母(64歳)の状況
[1年前(初発)]
・癌の種類:浸潤性小葉癌(特殊型)
・ホルモンレセプター:ER陽性 (70 %)、PgR陰性、HER2:陰性 (0)
・センチネルリンパ生検:リンパ節を1つ採取、陰性
・切除断端:陰性
・癌の大きさ:4.5 cm x 3.5 cm
・脂肪組織まで浸潤
・リンパ管にやや浸潤、血管浸潤なし
全摘手術後同時再建。術後は術前から続けていたアリミデックスの服用を続ける。
[今年2月、再発]
・左胸皮膚に炎症様再発。
・左胸の皮膚、その下のリンパ管への癌の局所広範囲皮膚再発(リンパ管の網の中に癌が広がっている、左胸の皮膚がCTで厚く見える)
・骨シンチ、CTで遠隔転移は見られない
・左側の腋窩リンパ節が一つ腫れている。がん細胞検出済み。
・ホルモンレセプター:ER陽性、PgR陰性
・HER2:2+。陽性かどうかはFISHの検査結果待ち
・癌の場所:BAを中心にCDにも小皮膚腫瘤
・左胸には放射線を当てる。
・照射スケジュールは3/9(金)より週5日を25回および週3日を5回の計30回(予定)
・照射と並行して、フェセロデックス(ホルモン注射)、XC療法(化学療法)を行う。フェセロデックスは3/1(木)に第1回注射済み。XCは3/7(水)より予定。
今回、知人医師にセカンドオピニオンを取ったところ、主治医の治療方針は「標準レジュメから外れている」とのこと。セカンドオピニオンでは「根治を目的として、抗がん剤(ACT法)投与」を勧められました。また、放射線、抗がん剤を組み合わせるのは禁忌だともいわれました。
主治医に再度話を聞きに行ったところ、やはり根治には否定的。放射線、抗がん剤、ホルモンの3つを並行させることはこれまでも行っており問題ないとのこと。放射線終了後は抗がん剤も終了してホルモンだけで経過を見るつもりであり、HER2陽性が出ればハーセプチンも投与とのこと。
主治医は「副作用の出ない治療を優先したほうがよい(QOL)」と何度も言います。
疑問
・XCと放射線というのは、セカンドオピニオンの医師の言うように標準レジュメから外れているのでしょうか。
・ACTをすると副作用が強いのでしょうか。それでも現在の方針よりは根絶(=延命)の可能性が高いのならば考えたいとも思います。
家族としてはQOLを大事にしたいと思う一方、放射線&XCを「標準治療でない」と言われたことに大変動揺しています。
長文申し訳ありませんが、もし可能ならば一言でもよいのでご感想を頂けると幸いです。
よろしくお願いします
>ctさん
はじめまして。
なかなか難しいケースだと思います。
まず問題を整理しましょう。
①抗がん剤と放射線療法を併用することについて
これは一部では併用することで効果が増強するケースが報告されています(食道がんなど)。しかし、乳がんにおいては一般的ではなく、放射線科の医師から断られるケースが多いように思います(抗がん剤は放射線治療終了後に開始するように言われます)。これは間質性肺炎という、時に致死的になる副作用が放射線でも抗がん剤でも起こりうるために併用すると危険だという考えがあるからです。XC療法のC(エンドキサン)にも間質性肺炎を起こすリスクがありますので併用は一定のリスクを背負います。
②ctさんのお母さんの状態を通常の再発(遠隔転移)と同様に考えるか、あくまでも局所再発と捉えるかという問題です。これは意見が別れるかもしれません。
通常の再発と同様に考えれば主治医の先生のようにHortobagyiのアルゴリズムに従ってホルモン感受性がある場合はホルモン療法で最初の行なう、という考え方が正しいと言えます。
一方、局所再発と捉えれば根治を目指して最大限の治療を行なうというセカンドオピニオンの医師の考え方が正しいと思います。
判断を困難にさせておいるのは、局所再発の形態が炎症性乳がん様だということです。このタイプの再発は非常に予後が悪く、残念ながら根治はなかなか難しいのです。これが例えば炎症性ではなく、単なる結節型の皮膚再発+リンパ節再発であれば、根治を目指して局所切除+放射線治療±化学療法+ホルモン療法をお勧めすると思います。炎症性乳がん型であるために考え方が分かれたのではないかと思います。
参考までに私自身の考え方としては、強力な化学療法(アンスラサイクリン+タキサン…ACTやFEC-DTXなど)を勧めると思います。
その理由は、
・術後補助療法としてまだ標準的な化学療法を行なっていないこと
・炎症性乳がん型の再発はスピードが速く、ホルモン療法の効果が発現するまで待てないこと(Hortobagyiのアルゴリズムでも生命の危険がある再発にはホルモンレセプター陽性でも化学療法を行なって良いことになっています)
です。
再発治療に対する考え方は国内でも定まったものはなく、医師によって多少の違いはあります。患者さんの希望(可能性は少ないかもしれないけれど最大限の治療を望むか、なるべく安楽な治療を望むか)もとても重要です。それぞれの医師の考え方をよく理解した上でお母さんとctさんのお気持ちを合わせた上で決めるしかないと思います。
以上、あまり良いアドバイスになっていないかもしれませんがご参考になさって下さい。それではお大事に。
先生、ありがとうございます。こんなに早くお返事を頂けるとは思いませんでした。私もホルモンでぐずぐずしていると進行が進むのではないかという懸念をしております。ただ母はどちらにしても結局は生存年数は変わらないんじゃないかしらとも言います。それならあまり辛くないほうがよいと・・。もう少し母とも話してみます。ほんとうにありがとうございました。
>ctさん
職場で同僚にも意見を聞いてみましたが、2人とも私とまったく同じ意見でした。ご参考までに。
いずれにしても正しい情報をもとにお母さんの意志を第一にお考え下さい。
それではお大事に!
同僚の方にまで・・。重ね重ねありがとうございます。母本人は強い抗がん剤に抵抗があり、家族で何度も話し合い主治医に疑問をぶつけたりもしましたが、主治医の方針でいくことになりました。子供としては正直言って不安もないわけではないですが、決めたからには癌を根治できなくてもうまくコントロールして長く生きて欲しいと願うばかりです。
突然の質問にかかわらず、お返事何度もいただき本当にありがとうございました。これからもこちらのブログを時々拝見させていただくと思います。
>ctさん
そうですか。
治療の変更はいつでも出来ますから、症状を見ながらまた主治医の先生とご相談なさって下さい。
治療が奏効することをお祈りしています。お大事に!
姉は64歳、トリプルネガティブで肺転移があります。
EC療法を10クール投与したところで白血球が減少し感染が全身に広がってしまった為、一時全身治療をお休みしていました。
ようやく容態が安定して体力も回復してきたので
次の7つの治療を担当医が提案してくだったのですが、メリットとデメリットを天秤にかけ患者に自分で選ぶようにと言っています。
多少は勉強している身ですが、こちらは専門的な知識もない素人です。この重要な選択をできかね心細く思っております。こちらでぜひアドバイスを頂きたくメール致しました。
医師より提案された選択肢...
1,セローダ or TS-1
2,タキサン(ドセタキセル or パクリタキセル)
3,ナベルビン or ジェムザール or ハラベン
今は白血球は4900〜5500の間、貧血はほとんどありません。
できるだけ効果のある薬の投与を希望しますが、いまの姉の体のダメージの状態とあわせてどう判断し、何を選択するのが正解でしょうか。
また、一度骨髄抑制が起きたから2の投与は危険だという判断になりますでしょうか?
ご意見いただけます様どうぞ、どうぞよろしくお願い致します。
>匿名さん
はじめまして。
お姉さんの病状、大変ご心配のこととご推察いたします。
主治医の先生から提示された、
1,セローダ or TS-1
2,タキサン(ドセタキセル or パクリタキセル)
3,ナベルビン or ジェムザール or ハラベン
はいずれも試してみる価値のある治療法です。しかしこの中でどれが良いのかという答えは残念ながら提示できません(これがトリプルネガティブの難しいところです)。
サブタイプを無視するとしたら、効果の点からはタキサンが一番期待できるように思います。もし骨髄抑制(白血球の減少)をご心配されるのでしたら、Weekly paclitaxel(3週連続投与、1週休薬)にすれば、比較的安全に投与することができます。
また、自覚症状のない肺転移でしたら時間的余裕がありますので副作用の弱いマイルドな治療(ゼローダやTS-1、DMpC)を試みてみるのも良いと思います。これらは効果が見られた場合は比較的長く効く場合があります。
3のナベルビン、ジェムザール、ハラヴェンはトリプルネガティブによく効いた経験が私にはまだありません。またナベルビン、ハラヴェンは骨髄抑制が強いですのでなかなかスケジュール通りには投与できないこともあります。
あまりお役に立てなくて申し訳ありませんが以上のことをご参考に治療を選択してみて下さい。
それではお大事に!
お忙しい中さっそくご回答頂きましてどうもありがとうございます。これが最適解だと断定できない難しさについては理解致しました。それでも具体的なご意見を頂けたのでずいぶんと助かります。ぜひ参考にさせていただきます。
どこの誰かも分からない者にこのようにしてお時間を割いて頂き、ご丁寧に対応いただき本当にどもありがとうございました。
最後にもう一つご意見をお聞かせいただけないでしょうか。
『乳がんの抗がん剤の中ではアントラサイクリン系とタキサン系が主要な抗がん剤だが、トリプルネガティブの人は、アントラサイクリン系、タキサン系よりもゼローだを先に使ってみる方が良いという意見もある』と、ある本に書かれていました。
この意見については先生はどう思われますでしょうか。
>匿名さん
そういう意見があるのも知っていますし、実際ゼローダがトリプルネガティブに有効な場合もあります。
ただ一度もタキサンを使用していない患者さんに対して比較的急がなければならない病態(多発性肝転移や癌性胸膜炎など)ではまずはタキサンを使用するケースが多いのが現状だと思います。タキサンの初回投与がトリプルネガティブに無効なわけではないからです。
前回お書きしたように、時間的に余裕のある孤立性肺転移や骨折の危険の少ない骨転移、リンパ節再発などの場合ではゼローダを先に使用してみるのも良いと思います。ただこれも明確な根拠があるわけではありません。
再発治療には明確に決まった方針や投与順序があるわけではありません。ケースバイケースのことも多いのです。もう少し研究が進めば迷わないで方針を決めることができるようになるかもしれませんが…。
お姉さんにとってベストの治療が選択できることをお祈りしています。お大事に!
ご返答ありがとうございました。
まずタキサンの効果に期待するか、もしくは
トリプルネガティブに効く可能性があるというゼローダを試してみるか。姉は孤立性肺転移のみですのでどちらかでまた担当医とも相談してみようと思います。
貴重なご意見をどうもありがとうございました。
他の方のご質問やそれに対する回答も参考に拝見しております。このようなご活動をとても有り難く思い、感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
>匿名さん
こちらこそありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
hidechin様
はじめまして、トリプルネガティブとUFTに関して調べておりましたところ、このブログにたどり着きました。
お忙しい中、恐れ入りますが、私の母のことでアドバイスいただきたく、
私の母(71歳)は、温存手術を実施し、今度放射線治療を開始する予定です。
先週、病理診断結果の紙をいただきました。内容は以下のとおりです。
診断:浸潤性乳管癌(硬がん)
腫瘍径:23×23mm、浸潤径:23×18mm
sci,f,ly(+),v(-),extensive PVI(-),comedo type necosis:mild
Nuclear grade:grade3(Nuclear atypia3+Mitotic counts 3)
Histological grade:grade3
(Glandular structure:3,Nuclear atypia:3,Mitosisi:3)
Surgical margin:(-)
ER(-)、PgR(-)、HER2:Score0
リンパ節:LevelⅠ LNs(2/21) LevelⅡ LNs(0/1)
*母の持病:過去2度心臓手術実施(心房隔欠損症、ステント手術)通院中(ヘルベッサーR、シグマート、プラビックス、ノルバスク等服用中)、
その他高脂血症(メバロチン服用中)、骨粗鬆症の治療中(リカルボン、クラケーカプセル服用)
担当医の説明では、高齢であり心臓の持病があるため、抗がん剤が効かなかった後のQOLを考慮して、点滴の抗がん剤ではなく経口のUFTを薦める。
ER(+)の患者さんのデータであるが、UFT投与で3%再発率を減らすことができる。
ただし、母が希望するなら、点滴による標準的な化学療法を実施しますとのことです。
再発率を少しでも下げられるなら、標準的な化学治療を希望するところですが、調べてみますと、やはり通常用いられている抗がん剤は心毒性があるものが、含まれているような感じです。
上記別の方に対する、先生のアドバイスの中に、高齢である、重い持病がある場合は化学療法場合はできないこともあると
おっしゃられていましたが、母の場合はこれに当たるのでしょうか?
母の場合、やはり化学療法はUFTがベストなのでしょうか?
万が一再発した場合、治療法はあるのでしょうか?
放射線治療は来月から5ヶ月間とのことですので、化学療法はおそらく、その後になると考えられます。
2年前実施したマンモグラフィ検査では何もなかったとの母は申しておりますので、それから急速に大きくなったことが予想されます。今にも再発するのではないかと心配でなりません。
どうか、ご意見賜りますようよろしくお願いいたします。
>akiさん
はじめまして。
お母様の病状でご不安になるお気持ちはよく理解できます。トリプルネガティブ乳がんは、今のところ化学療法しか術後の全身補助療法はなく、さらにどの化学療法がベストかということも決まっていませんので非常に悩ましいところです。
心臓に持病があるということですので、心筋毒性のあるアンスラサイクリン系の抗がん剤(エピルビシンやアドリアマイシン)はできれば避けたいという担当医の先生の判断には私も同意いたします。
その場合の治療法としては、TC療法(ドセタキセル+エンドキサン)がもっとも強力で効果が期待できるのではないかと私は思います。ただ、この治療法はけっこう骨髄抑制が強いので、発熱性好中球減少症を併発することがあります。予備力のある方なら良いのですが、重篤な基礎疾患を持っていたり、高齢の方の場合には注意を要します。
トリプルネガティブ乳がんの”再発”に対しては、上記の本文中にもあるように5FU系抗がん剤の一定の効果が報告されています。ただ、トリプルネガティブ乳がんに対して”術後補助療法”として5FU系抗がん剤を使用した場合の再発予防効果についての文献を私は読んだことがありませんので何とも言えません。
おそらくお母様の全身状態を見た上で、TC療法よりも5FU系抗がん剤の内服の方が良いと主治医の先生が判断されたのだと思いますので、もし疑問に思われるのでしたらもう一度確認してみて下さい。
なお、”放射線治療は来月から5ヶ月”とありますが、あまりにも長すぎると思います。おそらく聞き間違いだと思いますのでそちらも再度確認してみて下さい。
それではお大事に。
hidechin様
お忙しい中、早速のご返答ありがとうございます。
現在母は、心臓に持病はあるとはいえ、日常の生活を健常人とほとんど変わらず、送っております。
極たまに、発作が起きる程度です(不思議なことに水を1杯のむと収まるそうです)
先ほど、母と話あった結果、少しでも、再発率を減らす治療を希望したいと申しております。
今一度、主治医の先生と話し合い、母の全身状態をどのようにご判断されておられるのか等を確認し、今後の治療を決めていきたいと思います。
本当に、本当にありがとうごさいました。
先生の他の記事も拝見させていただき、非常に参考になりました。今後ともよろしくお願いします。
>akiさん
そうですか。それが一番良いと私も思います。
納得できる治療を受けられると良いですね。
それではお大事に!
はじめまして。
私の母が昨年末、トリプルネガティブと診断され
肺、肝臓、リンパ、骨、などに転移が見られました。
EC療法を12回やって進行は一旦止まりました。
で、飲む錠剤の抗がん剤を1ヶ月やって再検査したところ、発見時よりも進行しており、肝臓の4/1ぐらいに影があり、肺にも水が溜まった状態です。
このままだと
数ヶ月と宣告されてしまいました。
EC療法はもうできないと言われました。
どうすればいいと思われますでしょうか
何かいい薬や、選択肢は考えられませんでしょうか?
素人で知識がなく、本当に申し訳ありませんが、
アドバイスを頂けると助かります
よろしくお願いします
MIT
>匿名さん
はじめまして。お母様の病状はかなり重いようですのでご心配のことと思います。
ご質問の内容についてですが、担当の先生はなんとおっしゃっているのですか?まずは担当医の意見をよくお聞きになってみることが大切だと私は思いますよ。以下、参考までにお書きします。
一般的には、前治療としてECしかしていないのでしたら、次に投与する第1候補としてはタキサン系の抗がん剤(パクリタキセルやドセタキセル)になると思います。タキサン系の抗がん剤が効かないようでしたら、ハラヴェンやパクリタキセル+アバスチン(パクリタキセル単剤を前治療で使用した場合は微妙ですが…)、ビノレルビン、MM療法、そして5FU系の経口抗がん剤などの中から病状を見て選択するということになると思います。
繰り返しになりますが、まずは担当医からよく説明をお聞きなってみて下さい。
治療が奏効するといいですね。それではお大事に。
はじめまして。
hidechinさんのブログはとても参考になりありがたいと思っております。
私は術後になって術前に採った生検結果がトリプルネガティブであるため抗がん剤をする必要があると言われました。腫瘍径は1センチで、リンパ節転移なしなのにとてもショックでした。最終的には手術で採った腫瘍の結果を待ってから治療方針が決まるのですが、どっちにしても温存手術なので、先に放射線治療をすると言われました。放射線治療と抗がん剤治療を行う場合、抗がん剤をまず先に行うのが一般的だと書いていたので不安になっています。抗がん剤についてもある程度知識を持った上で主治医の治療法を聞けたらと思っています。お忙しいと思いますが、アドバイスいただけたらとおもいます。
>匿名さん
はじめまして。
乳房温存術後の放射線治療と化学療法の順序については、乳癌診療ガイドラインでは、「化学療法を放射線療法に先行させることが勧められる(推奨グレードB)」となっています。推奨グレードBというのは、「科学的根拠があり、実践するよう推奨する」というものです。
匿名さんの場合は最終病理結果が出ていない状況でこの方針が出されたようですので、もしかしたら病理結果が全て出るのにけっこう時間を要する施設(大病院はそういうことがあります)のために、結果を待つ間に放射線治療を始めた方が時間的に有効だという判断なのかもしれません。そのあたりを確認してみてはいかがでしょうか?なお、1cmのトリプルネガティブはやはり化学療法の適応だと私も思いますよ。それではお大事に!
早速のご返答ありがとうございます。知識がない状態で不安で押し潰されそうな中、根拠を元にした情報を専門の先生に教えて頂けてありがたいと思っています。
主治医の先生は、抗がん剤をいくとしても放射線治療を先に行うことになるといわれていたので、その意図を確認したいと思います。
主治医の先生は乳ガン学会の専門医でいらっしゃるのでお任せしようと考えていたのですが、抗がん剤をいくにあたり腫瘍内科という部門があるところに紹介してもらい専門的にみてもらった方がいいという話を聞き、混乱しています。やはり抗がん剤についてはその方が良いのでしょうか?
>匿名さん
同じ病院内に腫瘍内科がある場合は化学療法は腫瘍内科で行なう場合もあるかと思います。
しかしほとんどの日本の病院は乳がん患者の化学療法を乳腺外科で行なってきた歴史があります。標準治療を行なうのであれば乳腺外科で問題ないのではないかと私は考えますが、もし治療方針に疑問があるのであれば意見を伺っても良いとは思います。ただこれだけガイドラインが普及した現在においては治療内容はさほど変わらないと思いますよ。
ありがとうございます。とにかく主治医の先生の話をしっかり聞いて、自分で疑問に思っていることがあれば聞いてみたいと思います。私の不安を聞いて下さってありがとうございます。気持ちが落ち着きました。
>匿名さん
少しでもお役に立てたなら良かったです。
それではお大事に!
こんにちは。
病理検査結果がでて髄様がんであることがわかりました。グレード3でindex60%であるため、主治医の先生はエコー上乳頭乳腺がんっぽいのにこの結果はおかしいなと思っていたらしいです。Her2陰性MIB-1高値、形態から髄様癌という結果で先生は納得されていました。放射線治療のあと、最終的にはホルモンもエストロゲンが3/8、プロゲステロン0であるため、ノルバデックス5年と心配ならば注射もしてよいとのことでした。
色々アドバイス頂き本当にありがとうございました。ひとまず予後の良い方の癌であって胸をなでおろしています。でも再発、転移はゼロではないため今後も治療と自己検診をしっかりしていきたいとかんがえます。
>匿名さん
そうでしたか。とりあえず良かったですね。
それではお大事に!
こびぃ
初めまして。
33才の姉がトリネガの診断されました。
今は抗癌剤治療をしています。
転移しない為にはどのような事に
気をつければいいでしょうか。
あと、日常生活で気をつけなければ
いけない事はありますか?
同じトリネガの方から、子供や、ペットに触れてはいけない、食べ物では乳製品ダメ
など聞かされました。
アドバイス宜しくお願いします。
>匿名さん(こびぃさん)
はじめまして。
お姉様の病状、大変ご心配のことと存じます。
”転移しないために気をつけること”というのは手術後に、ということでしょうか?正確に言うと、そのご質問の表現は正しくありません。
例えば2年後に肺転移が見つかった場合、それは手術後に転移したわけではなく、手術時にはすでに微小な転移を起こしていたことを意味します(小さすぎて画像で診断できないだけです)。ですから転移しないようにする、というよりは、微小な転移を消失させる、もしくは顕在化しないようにさせるということをおっしゃりたいのだと思いますが違いますか?もしまだ手術を受けておらず、術前化学療法中だったとしても大きく変わりありませんのでその前提でお答えします。
いまお姉様にとって大切なのは、現在受けている標準的な補助療法(抗がん剤)をきちんと受けることです。それ以外に確立された有効な手段はありません。子供に触れてはいけないなどというのはまったく間違った認識です。ペットに関しては、化学療法で免疫力が落ちたときは感染に対する注意は必要ですが、あまり神経質になりすぎなくても大丈夫だと思います。猫に引っ掻かれるのは感染を起こしやすいので一応注意したほうが良いとは思いますが…。乳製品に関しては以前ここでも取り上げましたが、そういう意見を述べた書籍が話題になって乳製品は避けるべきだと主張している方々もいらっしゃいますが、現段階で明らかに乳製品が乳がんの発症を増加させたり、再発を促したりするというエビデンスレベルの高いデータはありません。肥満は良くない可能性がありますので、体重増加は気をつける必要はありますが(これは健康の面からも)、必要以上に乳製品を制限する必要はないと私は考えています。
取り急ぎ以上です。
返信ありがとうございました。
あまり知識ないまま質問して
すみません。
母を15の時に乳ガンで亡くし
姉まで若くしてガンになったので
気が動転してきましたが、少し
落ち着きました。
また、質問するかと思いますが
どうぞ宜しくお願いします。
>こびぃさん
お母さんも乳がんだったんですね。お姉様は若年発症ですので家族性乳がんの可能性を考えなければなりません。こびぃさんもきちんと検診を受けて下さいね。
お姉様の治療がうまくいく事をお祈りしています。それではお大事に。
はじめまして
トリプルネガティブの事についてお聞きしたいのですが、昨年の2月にガンが見つかり、温存手術、その後、抗がん剤CEF療法6サイクル、放射線28回、今はUFT-Eをのんでいます。
大きさは2.5㎝、リンパ節転移なし、充実腺管癌
の2a期ということです。
UFT-Eは2年飲む予定ですが、今半年くらい飲んでますが、白血球も2400と低くなってきており、血小板も下がってきてます。
このまま飲んでいていいものか、心配になってきました。
先生のサイトでは再発の予防効果についての文献はないようにかかれてましたので飲むのと飲まないのでは再発のリスクが変わってきますか?よろしかったら先生のアドバイスをおききしたいのですが、よろしくお願いいたします。
こんな時間に申し訳ありません。
>kakoさん
はじめまして。
トリプルネガティブ乳がんに対して標準治療(アンスラサイクリン系やタキサン系)にUFTを上乗せする効果についてはまだ十分なエビデンスはありません。しかし、効果がまったくないというエビデンスもまたないのです。化学療法以外に補助療法の手段がないトリプルネガティブですのでできるだけ再発率を下げたいという思いで主治医の先生はUFT-Eを上乗せしているのだと思います。
ただ副作用が問題になってくるようでしたら、meritよりもdemeritのほうが大きくなってしまうかもしれませんのでよくご相談の上で継続の判断をして下さい。あまり良いアドバイスができなくてすみません。
それではお大事に。
おはようございます。
お答え頂き感謝しています。
自分の中では内服を止めて自己免疫力をあげて自分の身体を信じてみようかと思ってます。
昨日、主治医の方には薬をしばらく休みたいと伝えました。勝手に止めるのもだめですよね。同じようなトリプルネガティブの方のブログを読んでいると
標準治療の後は、無治療の方ばかりだったので、私の場合は、標準治療は終わったということでいいんですよね!?どこまで
の治療が標準治療かはっき
りわからないので…年齢も関係あるかと思いますが、私は今年48です。グレードは2でした。
しばらく薬を止めて体調をみてみようと思います。大変お忙しい中、アドバイスを頂き本当にありがとうございました。
先生もお身体に気をつけて頑張ってください。
>kakoさん
FEC×6は標準治療の1つです(アンスラサイクリンにタキサンを追加している施設が多いとは思いますが、トリプルネガティブに対してどのレジメンがベストかということについても統一された見解はありません)。標準治療のあとの追加治療については上にも書いたように十分なエビデンスのあるものはありません。ですから副作用の状況を考慮した上で、UFT-Eを休薬することを判断されたのでしたらそれが一番良いのだと私も思います。これからも主治医の先生とよくご相談の上で治療方針を決めていって下さいね。それでは。
おはようございます。
お返事頂いて、自分の中の迷いと不安が解消されました、ありがとうございました。
これからも見させてもらいますのでよろしくお願いします。m(_ _)m
>kakoさん
少しでもお役に立てたなら良かったです。
それではお大事に!
はじめまして、家族が昨年トリプルネガティブ乳がん、乳頭腺管がん、グレード1、という診断で、術前化学療法をタキソテール4クール、FEC100療法4クール半年行って、手術しました。トリプルネガティブは完全奏功するのが多い、そうなると予後は良好ということを聞いて、グレードが1で悪性度が低いと思ってそこに希望をもっていました。超音波検査では見つけられないほど腫瘍はなくなり、かろうじてMRIで点のようなものが残っているだけという結果だったので、さらに希望がわいていました。しかし、手術中センチネルリンパ生検でリンパ転移がひとつ見つかり、リンパ郭清となりました。主治医も無いと思っていたので意外だと驚いた表情でした。私もショックを受けました。ということは完全奏功しなかった=予後は不良、ということになるのでしょうか?病理検査の結果は2週間後ですが、精神的にショックを受け、質問をさせていただきました。家族の私がしっかりして、支えてあげないといけないのに、、、、。ぶしつけな質問をお許しください。よろしくお願いいたします。
>匿名さん
はじめまして。
たしかにpCRが得られた患者さんはpCRが得られなかった患者さんに比べて予後が良好なのは統計学的な事実です。しかしpCRが得られても再発する方はいらっしゃいますし、pCRが得られなくても再発しない患者さんもいらっしゃいます。結局、統計はあくまでも統計であり、これは医療者側が考慮すべき問題であって、患者さんに突きつけることではないのではないかと個人的には思っています。
よく術前化学療法を行なう意義の一つとして”pCRになるかどうかで予後が推定できる”と言う人たちがいます。この人たちはpCRが得られなかった患者さんに対する心理的影響への配慮がまったくありません。pCRが得られなかった場合に追加の化学療法を提示するエビデンスが得られているなら別ですが、結局これらは医療者側にとって予後推定ができるということとpCRが得られた患者さんたちに安心感を与えるという意味合いしかありません。匿名さんのご家族のようにpCRが得られなかったことによって必要以上に不安を与えられるだけでその対処が示されないなら、このような情報は患者さんやご家族にとって意味のあるものではないように感じます。
以上は個人的な見解ですが、実際にその事実を知ってしまった患者さんやご家族にとっては不安がつのりますよね。でも最初に書いたようにpCRが得られるかどうかが全てではありません。最終的に再発するかどうかは神様しかわかりませんが、手術が終わったわけですので、今この時間を有意義に過ごすことを第1に考えて過ごされるのが一番良いのではないかと私は思います。
以前、ある再発患者さんが私に言ったことがあります。
”私は再発したことを後悔したことはありません。むしろ再発する前の時間を再発するのではないかと無為に過ごしてしまったことがとても悔やまれるのです”
ですからこれからの時間をどうか大切になさって下さい。
ご返答ありがとうございます。
そうですね。今の時間を最大限有意義に過ごせるように務めます。
一日、一日が貴重な時間ですね。
>匿名さん
そうですね。ご家族の支えはとても大切です。これからずっと長い間、楽しい時間を一緒に過ごされることをお祈りしております。それではお大事に。
妻との時間を大切にしようと決心しました匿名でコメントした者でございます。今週術後の病理検査の結果を聞きました。
腫瘍は術前化学療法(タキソテール4クール・FEC100療法4クール)で非浸潤部分はほぼすべて無くなって、浸潤部分だけが残った、化学療法効果グレードは2bだ、と言われました。
それがどれほどの効果なのか、今ひとつ、喜んで良いことなのか、再発を警戒すべきことなのか、わかりませんでした。
グレード3が一番効いたというグレードだそうなので、化学療法のかなり効いたが、もう一歩というところだった、と受け止めました。
リンパは全部で9こ摘出しまして、転移が見つかったのはセンチネルのひとつだけでした。それで放射線治療はなしという判断になりました。
術後の補助療法としてUFTを勧められました。しかし、主治医の勧めかたとして、強い勧めではなく、「エビデンスは術前の時のようには明確なものではないのですが、これ以外では後はただ経過観察するということになってしまうので、あなたが望むならしても良いというレベルのお勧めです。考えてみてください。」
ということで、3週間後の診察で、UFTをするかしないかを本人が決断するということになりました。
私も夫として情報収集をはじめています。でも、決断するのはやはり妻自身ですし、どちらを決断してもその決断を支持してあげようと思っています。
こちらのブログのコメントのkakoさんのコメントも参考になりました。ありがとうございます。妻も、もしもUFCを行った場合、「副作用が強くでるようなら、すぐにやめても良いレベルのものです」とも主治医が言っていました。
kakoさんに対しての hidechin先生のコメントが、おそらく、そのまま妻へのアドバイスにもあてはまるのかもしれない、と受け止めています。
すみません、先ほどの投稿に誤りがありました。
誤
非浸潤部分はほぼすべて無くなって、浸潤部分だけが残った。
正
浸潤部分はほぼすべて無くなって、非浸潤部分だけが残った
>匿名さん
化学療法の効果はかなりあったのだと思いますよ。完全消失まであともう少しというところだったんですね。まったく効いていないよりはずっと良いと思いますよ。
UFTの追加についてはおっしゃるとおりです。ただ経験上はUFTで大きな副作用が出る方はあまり多くはないと思います。もし飲めそうなら飲んでみるのも良いのではないかと個人的には思います。
それではお大事に!
> hidechin先生
>化学療法の効果はかなりあったのだと思いますよ。
励ましの言葉をありがとうございます。そのように受け止めてゆくとうれしく、ありがたいことでございます。UFTについてのコメントもありがとうございます。
>匿名さん
奥様が再発なく経過されることをお祈りしています。
それではお大事に!
お祈りと励ましありがとうございます。UFT内服し副作用もなく順調に経過していましたが、今日の定期受診で肝機能低下の結果がでて、一週間服用を中止することになりました。残念です。来週再び血液・超音波検査します。自覚症状はなくてもやはり抗がん剤ですね。副作用がでるものなのですね。
>匿名さん
そうでしたか…。それは残念ですね。肝機能が早く正常化するといいですね。それではお大事に!
UFT服用に関して重ねて書いています匿名です。肝機能の異常についてですが、UFTを中止し、肝臓の薬を服用して2週間後には若干肝機能が回復しました。さらにUFT中止と肝蔵の薬の服用を続けて2週間で肝機能は正常値になりました。ここでおそらく肝機能の異常はUFTが原因だったんだろう、、と、Drも言い、私たちも思いました。ですが、さらに2週間UFT服用再開して、血液検査をすると、肝機能は悪化していました。さらにひと月ほどUFTの中止と、肝臓の薬を服用し、肝臓は正常値に戻りました。この時点でUFTの中止は確定かな?と思ったのですが、Drはさらに一ヶ月UFTを服用してみよう。それでもしも肝機能が悪化していたら、UFTは中止にしよう、と言われたそうです。
私は妻から話を聞いて、前回は2週間で検査して肝機能の悪化がみられたのに、なぜ今回は一ヶ月なんだろう?と疑問に思いました。
妻としたら、私が疑問に思ったことを聞くまでDrの言われる通りで疑問は感じなかったそうです。しかし、私の言葉を聞いて疑問に感じ始めました。
私としたら、あまり自分が疑問をもたせて迷わせるよりも、妻の思いを尊重しようと思っていたのですが、妻はさらにDrが今回は検査を一ヶ月後にしたのは、前回2週間後に検査して悪化したということを忘れているのではなかろうか?と疑問に思い始めました。
年間OPE件数が県下ではダントツトップ数をこなし、日本でも有数の先生です。私たちが何か言って、その先生に疑問を挟んで信頼関係が壊れるのも怖いです。
超多忙なので、今までも、以前の検査データをお忘れ???サブの先生の指摘で確認できた、ということがありました。
でも前回は2週間の服用で肝機能の悪化がみられたので、今回も2週間で一度検査してみてもらえませんか?と質問してみてはどうだろうか?と迷いの心が生じています。
質問してみるべきでしょうか?
それとも最後の判断として4週間様子を見てみる、という判断を信頼して、先生の言うとおりに4週間目の検査での判断を仰ぐべきでしょうか?
hidechin 先生のご意見を参考にさせていただければ感謝だと思います。
決して、うのみにはいたしません。最終的には自己判断、妻の判断を尊重いたします。
>Unknownさん
肝機能、心配ですよね。肝機能異常の程度がわかりませんのでなんとも言えませんが、もしご心配でしたら2週間後の検査を申し出ても良いと思いますよ。その際には可能でしたらご主人も同席して、今後の方針や疑問点についてご確認されることをお勧めします。
それではお大事に!
アドバイスをありがとうございました。
勇気を出して2週間目で気になるので「中間検査」として受診してもいいでしょうか?と質問してみましたら、病院事務受付と看護士さんとの確認のみで(Drには直接は問い合わせず)あっさりと2週間目の検査・診察ということに変更してもらえました。悶々と案じるよりも質問してみるべきですね。
>匿名さん
良かったですね。早く回復することをお祈りしています。それではお大事に!
ありがとうございます。続けて匿名で投稿させていただいている者です。結局、断続的にUFTを使用する中で、肝機能低下は軽度の範囲ということで服用継続になっています。しかし、妻の体調不良(倦怠感など)はずっと続いています。UFTをやめてもあるかもしれないし、ある程度のUFTの副作用かもしれません。服用停止を決断するほどの症状でもないので服用継続しています。が、正直これでいいのか?と疑問にも思います。でも、パートナーが疑問な表情してたら、妻も余計つらくなるから、妻にはそんな思いは知らさずに、、、妻の選択を尊重しようと思っています。いつもhidechin先生の「今、を大切に」という言葉を思い出すようにしています。
>匿名さん
乳がん術後の患者さんが体調不良になることはよくあります。もちろん、手術や放射線治療、抗がん剤やホルモン療法による影響もありますが、精神的に様々なストレスが加わることによるうつ状態が原因のことも多いです。もしご心配でしたらメンタルケアをしてもらえるクリニック(もちろん精神科でも良いですが、その名称に拒否反応を示す方も多いですからメンタルクリニックや心療内科という名称の病院の方が抵抗は少ないかもしれません)に受診することも考えて良いのかもしれません。
いずれにしても主治医にその旨をお話しして、そのようなクリニックに受診する必要性をご相談してみるのが第一です。
原因がなんであれ、精神的ストレスが加わっていることは間違いないと思いますのでいつでも相談できるようなかかりつけのクリニックを今のうちに探しておく方が良いのではないかと私は思いますが…。
一日も早く体調が落ち着くことをお祈りしています。それではお大事に。
トリプルネガティブについての情報、とても感謝しています。
私はトリプルネガティブ乳がんです。
私は乳がんがわかってから、もうすぐ3年になります。
告知されたときは泣きましたが、すぐ考え方を変え、前向きに進んできたつもりです。
顔つきも、進行度もグレード3。
リンパ節転移有りでした。
トリプルネガティブで検索すると、あまりいいことが書かれていないので、落ち込むことも多々ありますが、
私の場合は、術後の抗がん剤が効いたようで、現在に至るまで再発の兆候はありません。
私の場合、3年間の再発率が高くて、そこを過ぎればぐっと再発率が低くなると聞いています。
万が一再発や転移した際は、抗がん剤は効かないっていわれています。
がんは消せないけど、緩和治療という意味での抗がん剤治療になる、と。
再発しないことを願っています。
>匿名さん
はじめまして。
再発なく3年経過して良かったですね。このまま再発しないことをお祈りしています。
それではお大事に!
hidechin先生
体調不良がUFT服用に関係なく起こるとのこと教えてくださりありがとうございました。肝機能低下も結局UFTの副作用じゃなかったようなので、やっぱり同じ服用するなら、効くと信じて飲んだほうがプラセボ効果も相まっていいですよね。ありがとうございました。
>妻のUFT服用の質問をした匿名さん
奥様の体調が一日でも早く良くなることをお祈りしています。
それではお大事に!
hidechin先生
6月末に匿名で投稿した者です。
みぃと言います。
私が投稿したコメントに返信がくると思っていなかったので、とても感謝しています。
右側の乳房が時々痛む時があり、左側の乳がんがわかる前の感覚とにているように感じる時もあります。
なんか、血管?乳管?の中を、ウニウニと何かが動いているような感覚というのでしょうか。
掛かり付けの病院でみてもらい、なんともないとの返答でしたが、実は気になっています。
以前の担当医は、毎回血液検査もしてくれていたのですが、担当医が数ヶ月前に変わってからは、血液検査はしていません。
次回、血液検査もするそうですが、通常、順調に進んでいる場合、血液検査はしない方が多いのでしょうか。
>匿名さん(みぃさん)
右乳房の違和感に関しては何とも言えませんが、検査で問題ないならそれ以上気にしても仕方ないように思うのですが…。どうしても気になるならMRを撮影してみるくらいしか思いつきません。
血液検査に関しては、ホルモン剤などの薬剤投与中は副作用チェック目的で定期的に検査をしています。腫瘍マーカーに関しては術後の定期検査として推奨されていませんが、採血時に一応検査はしています。
ただ対側乳房のがんの早期発見にはまったく役立ちません。そういうことを期待してのお話なら採血は不要という回答になります。以上です。
妻のUFT服用の質問をした匿名です。2014年6月28日以来のコメントです。
おかげさまで、無事にUFT2年終了しました。
副作用もさほどなく、再発もせずにここまでこれました。
ふりかえってみるとUFTの2年投与を選択してよかったと思えます。
迷っていたときに、アドバイスをくださりありがとうございました。
>妻のUFT服用の質問をした匿名ですさん
もう2年たったんですね。無事内服を終え、再発なく経過しているということで本当に良かったです。
これからもお元気で過ごされることをお祈りしています。
それではお大事に!
はじめまして。
トリプルネガティブ乳癌で術前化学療法(EC×4,パクリタキセル×12)の後、温存手術を受ける為の入院中にこちらを見つけました。
手術は無事に終わり、病理がでたのですが、残念ながらPCRではありませんでした。
1.8cmだったものが0.9cmまでは小さくなっており、リンパ節転移、脈管侵襲は0でした。
今後は25回の放射線治療になるのですが、それが終わった後について悩んでいます。
PCRまでいってなかったのて、再発予防の為、XC療法を3ヶ月、もしくは6ヶ月するか、無治療にするかです。
主治医はリンパ節転移も脈管侵襲もなかったので、無治療でいくのがいいのではないか?とおっしゃっています。
副作用が少ないとはいえ、0ではないエビデンスのない治療をする事への不安と、無治療の不安、どちらもあって決めかねています。
顔つきグレード3、ki67ー65%、トリプルネガティブ、ということで、再発しやすく、再発したら予後が悪いと思うので、今はとにかく再発が怖くて、少しでも希望があるなら術後抗がん剤治療を受けるべきなんだろうか…と考えているのですが、先生はどうお考えになりますか?
>トリネガールさん
はじめまして。
pCRにならなかった症例に対して追加治療をするべきかどうかの明確な指針は残念ながら今のところありません。しかし、pCR症例に比べてnon-pCR症例では予後が悪いことはわかっていますので、私の家族であれば副作用が許容されるのであればなんらかの追加治療を勧めると思います。XC療法は1つの候補だと思います。ただこれはもちろんエビデンスに基づいているわけではありませんので、最終的には患者さんご自身の判断によると思います。
申し訳ありませんが、私がお答えできることは以上です。
それではお大事に。
エビデンスに基づいていない意見を述べることは難しいことは承知の上質問させていただきましたので、先生のご家族であれば…というご意見を聞かせていただけて嬉しかったです。
やらずに後悔したくないので、やってみようと思います。
小さな子供の為になんとしても生きなくてはいけないので。
お忙しい中、お返事をいただきありがとうございました。
術後抗がん剤について再度の質問をさせてください。
XC療法は再発の際に適応になるものなんでしょうか?
通常ならUFTになるのでしょうか?
TS-1を使っているという方もいらっしゃいますが、どれが再発防止により効果があるとか、なにかわかっていることはないのでしょうか?
先生のご家族であれば、補助療法はどの抗がん剤を使うと思われますか?
>トリネガールさん
おっしゃるとおり、XC療法もTS-1も通常は再発治療に行なうものです。再発予防効果のエビデンスはありませんのでどれが有効かということに対してお答えすることはできません。
UFTは特に日本において術後補助療法としての一定のエビデンスがあり、コンセンサスも得られています(乳癌診療ガイドラインにも” 推奨グレードC1 術後薬物療法として,UFTを考慮してもよい”と掲載されています)。ただUFT単剤がトリプルネガティブにどれほど効果があるのかは疑問です。そういう意味で主治医の先生はXC療法を提示したのだと思います。ただこの治療は術後補助療法としては認可されていませんので(ゼローダの適応は、”手術不能・再発乳癌”です)、保険診療として認められない可能性があります(その場合、病院がその負担を負うことになります)。このあたりは担当医の判断ですのでよくご相談の上でお決め下さい。
>トリネガールさん
ちなみに私の家族であってもUFT以外の選択肢は自分の病院では難しいと思います(保険診療の関係で)。
お返事ありがとうございます。
調べても情報がでてこないのは、保険診療の関係で補助療法としてXC療法をされてる方が少ないからなんでしょうね。
補助療法をするのかしないのか、するなら何を使うか、またその理由などについて、もう1度主治医と話してみようと思います。
貴重なご意見ありがとうございました。
>トリネガールさん
そうですね。それではお大事に!
コメントを投稿