今年の乳癌学会で、「乳房温存術か乳房再建術か?」というセッションがありました。
このセッションの中で、乳頭温存皮下乳腺全摘術(以下NSM)による一次一期再建は、温存術+放射線治療に比べ、”局所再発がない”というのが利点の1つだというお話がありました。
たしかに乳腺を”全摘”していれば、早期がんであれば局所再発はほとんどありません。しかし、実際に行なわれているNSMのほとんどは、真の”乳腺全摘術”ではありません。乳がんのオンコロジーをきちんと理解している乳腺外科医であったとしても、乳頭・乳輪直下の乳腺組織はわずかに残す(乳頭・乳輪の血流を保つため)のが基本であり、また通常の乳房切除術より皮下組織を厚めに残すことが多いですのでここでも乳腺がわずかに残る可能性があります。それでもほとんどの乳腺を切除していますので局所再発率はかなり低いとは思いますが、厳密に言うと”乳腺全摘”ではありませんので局所再発率は0%にはならないのです。
それ以上に問題だと思うのは、少なくともいくつかの施設で”皮下乳腺全摘術”と言いながらかなりの乳腺を残していることです。なぜそう思うのかと言いますと、北海道から本州まで行ってこの手術を受けてから戻ってきた患者さんを2人診療したことがあるのですが、2人とも切除標本の病理写真を見る限り全摘したとは到底思えないような切除乳腺だったからです。この標本ではほとんど部分切除(温存手術を少し大きくしたような)にしか見えないような感じで明らかに乳腺が残存しているはずです。これが全摘か…とびっくりしました。
この患者さんたちは、1人は”浸潤巣で断端陽性”だったためこちらで放射線治療を受けるように言われて戻ってきました。もう1人も乳管内進展で断端陽性だったため追加切除を行なっていましたが本当にそれで完全切除になったかどうかは不明です。いずれの施設もこの術式を数多く行なっているようですので、これで善しと考える流れが一部にあるのだと思います。ということは同じような考えを持った施設が他にもあるのかもしれません。もちろんこれは例外的な施設での手術であり、ほとんどの施設ではがんを残さないような配慮と説明をした上できちんとした手術をしていると信じています。
整容性を考えたら皮下組織は厚く残す方が良いに決まっています。しかし、あくまでもきちんとがんを切除することが前提のはずです。乳房温存術では完全切除できたとしても、残存乳腺からの多発がんの予防のために放射線治療を追加することが原則となっています。それなのにNSMで乳腺が多量に残存している場合には放射線治療は必要ないのでしょうか?にもかかわらず局所再発はないと断言できるのでしょうか?まあ整容性を重視するからNSMをするわけですので、全例放射線治療を加えたら整容性を損なうことになりますから明らかな遺残がない限り照射を併用しないのはある意味当然です。ただ乳腺全摘だから局所再発をしないという考え方はこの術式においては明らかな間違いであり、慎重なフォローが必要だということを執刀医は理解し、患者さんにも説明すべきだと思います。
根治性と整容性を両立させるのはなかなか難しいことです。私が診療した患者さんたちがきわめて稀な症例であることを願うばかりです。
32 件のコメント:
はじめまして。40歳。6月に乳がんで左胸の全摘手術をうけ、術後の抗がん剤治療を受けるべきか答えが出せず、ご相談させてください。
粘液ガン(乳管内進展あり)、腫瘍径6cm、リンパ節転移なし、核グレード1、ER(+)allredscore4+2、j_score3b、pgr(+/-)2+2 2、Her2(0)、MIB-1 index 20%、段転移なし、10年生存率87%抗がん剤治療+3%ホルモン剤治療+4%
以上の結果から、主治医の先生からは半年間の抗がん剤治療と五年間のホルモン剤治療をすすめられていて、抗がん剤治療を受けるかどうかは、よく考えて決めて下さいとのお話で、受けるべきかとても悩んでいます。
抗がん剤治療を受ける事になったら、今の仕事は仕事の内容的に抗がん剤治療をしながらでは難しい仕事の為、お休みも長期になり、復帰できるかどうかの不安があります。
なので、もしも可能性であればホルモン剤治療のみで頑張っていけたらと思うのですが、それだとやはり再発のリスクがかなり高まってしまうでしょうか?
私の粘液ガンのタイプは混合型?になって、予後があまりよくないタイプで、抗がん剤治療がやはり必要でしょうか?
粘液ガンは、抗がん剤があまり効かないタイプのガンみたいなのですが、それでも術後の抗がん剤治療は効果が得られるものでしょうか?
いくつも質問してしまい申し訳ありません。
情けないのですが、抗がん剤治療に踏み切れない理由が、乳がんで抗がん剤治療を受けた友人が、今だに生え揃わない髪の毛に悩んでいて、それも原因だったりします。
子供がいるのに、こんな事で迷ってしまう自分が情けなく思えてつらいです。
>Unknownさん
はじめまして。
粘液がんで抗がん剤が効きにくいのは純型の場合です。混合型の場合は通常の浸潤性乳管がんと同様に考えるべきです。さらにMIB-1(Ki-67)が20%とやや高めでPgRの発現も低めですので抗がん剤は考慮して良いタイプと思います。
抗がん剤治療後の脱毛と髪質に関してですが、確かに抗がん剤治療後に生える髪の毛は髪質が変わったり白髪が増えたりしますが、もう一度生え変わると髪質が戻ることもよくあります。
職場の問題もありますので迷うところですよね。でもお若いですのでこれからの長い人生をよくお考えの上で後悔のないようにご判断下さい。もちろんホルモン虜法のみが絶対ダメというわけではありません。
それではお大事に!
お忙しい中、ご返信本当にありがとうございました。
答えが出せず眠れない日々が続いていたので、ご返信を読ませていただき、大変参考になりました。
主治医の先生のお忙しい姿を見て、いつも不安に思っている事の半分も聞けずに診察室を後にし、後悔ばかりしていたので、次に行った時こそは、しっかり気持ちも伝えてみたいと思います。
実は、8月4日に抗がん剤治療を受ける事には決めてしまっていたのですが、自分の中ではちゃんと気持ちがまだ固まっておらず、迷っていました。
どんな抗がん剤が使われるかなどの説明もまだなく、それも不安な要因の1つでもあるのですが、そのような説明は、やはり抗がん剤治療前の先生との診察の時にあるものなのでしょうか?
>ああちゃんさん
もちろん治療方針が決定した時に説明されるべきです。
迷っているお気持ちも伝えた上で最良の判断を下せるようにお祈りしています。
こんばんは。
ブログを読ませていただき、今回の記事は自分の状況と重なる部分があるのではと思い質問させていただきます。
数か月前非浸潤乳管がんで全摘手術を受けました。後日病理検査で、他への転移などは無かったのですが、断端陰性不明という結果がでました。担当医師は取りきれているだろうから追加の処置は必要ないという見解でした。
陰性という結果が出ていない以上、残っている可能性を重視しないのだろうかと非常に不安に感じています。そのことを訴えても心配しすぎと取り合ってくれません。
温存ではないのに断端の有無があることも疑問に思い、取り残したという事なのではと感じています。先生はどのように思われますか?追加切除や放射線照射などは必要ないのでしょうか?
ご見解をお聞かせいただけると幸いです。
>めろんさん
はじめまして。
乳房全摘をきちんと行なったとしても広範囲の乳管内進展がある場合、皮下の剥離面で近くまで乳管内進展が及んでいると断端の判断が難しい場合があります。この時に完全切除できているという根拠となるのは、全摘をする時にきちんとした層で切離したということです。正確に言うと乳腺は浅在筋膜浅層までに存在しますので、皮下の剥離でここまできちんと切除した確信があるのかどうかということが重要なのです。私が経験したNSMの患者さんは明らかに乳腺が遺残する層で切離していました。
めろんさんの場合、病理所見、特に切り出し図を見ていないので申し訳ありませんが私にはなんともお答えしかねます。
もし疑問をお持ちなら、セカンドオピニオンを申し出てみてはいかがでしょうか?
ご返信ありがとうございます。
病理の結果の説明時に、乳腺がかなり広がっているタイプなのでこのようなことはありえるということでしたが、それを見越して残らないよう切除するのが全摘手術なのではという思いが拭いきれません。こういうケースは稀なのか、ネット上で検索してもほとんど見つけることが出来ず、唯一この記事に辿り着き似たケースかなと思いましたので、質問させていただいた次第です。やはり切り出し図などを見ないとお答えは難しいのですね。承知いたしました。
グレーな結果のまま放置しておくことにどうしても納得できませんので、アドバイスをいただいたセカンドオピニオンを受ける方向で考えたいと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
>めろんさん
問題なければいいですね。それではお大事に。
hidechin先生、はじめまして。
めろんさん同様、全摘時の断端陽性に関しての情報が見当たらず、こちらで質問させていただきます。
現在乳がんの診断を受けて、手術前の受診をしている段階です。
全摘で切除時にエキスパンダーの挿入を希望しているのですが、"エコー、MRIから判断すると浸潤は少なそうだが乳管内で広く広がっているようなので断端陽性になるかもしれない、触診ではいけそうな感じだが非常に悩んでいる"とおっしゃっていました。
全摘なのに断端陽性になるというのが理解できなかったのですが、"エキスパンダーを挿入しようとすると全摘のみの場合と比べて必要な切除が十分に行えない"ということなのでしょうか。
直接担当医師に質問するべきなのですが、施設や医師の方針でできないのであればセカンドオピニオンを求めたいと思う反面、確実な切除の為にできないかもしれないと考えてくださっているのならばこのままお願いしたい、でも一期二次再建の希望も捨てきれず、少しでも理解できればと思い質問させていただきました。
よろしくお願いします。
>匿名さん
初めまして。
施設によって考え方は少し異なると思いますが、一般的に一次再建をする場合、整容性を考えて皮下脂肪を少し厚めに残す施設が多いと思います。私たちの施設では、がんをきちんと切除することを大前提で考えていますので、MRなどで乳管内を広く広がっている可能性が高いと判断した場合は、あまり皮下組織を厚く残さないように全摘をしています。
匿名さんの場合もそうなのでしたら、皮下組織を薄めにするように(通常の全摘と同じくらいに)すれば良いだけの話です。その理由だけで二次再建にする必要はないと思います(通常の全摘の厚さで切除するのであれば一次でも二次でも同じです)。あとは執刀医の判断になりますのでよくご相談の上でお決め下さい。
hidechin 先生、ご回答をいただきましてありがとうございます。
次回、もう一度希望を伝えて一次再建を検討できないか、他に理由があるのか等を聞いてみたいと思います。
次回の診察は形成外科なのですが、一次二次といった判断は乳腺外科の先生とお話するものなのでしょうか。
また、通常の全摘と同等の皮下組織を残した場合の一次再建ですが、二期再建にした場合と比べて整容性や経過が不利となるものでしょうか。(皮下組織が薄い分、切除後暫くしてからの方がよいといった考え方はあるのでしょうか)
重ねての質問でお手数をおかけしますが、先生のお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。
>匿名さん
なかなか文章ではうまく伝わらないでしょうか…。
本来再建の有無に関わらず、乳房全摘術は同じ手術のはずなんです。ただ一次再建をする場合は、どうしても整容性を重視して皮下組織をやや厚めに残す施設が多いということです。逆に言うと、再建を前提としない乳房全摘術でも不用意に皮下組織を残すと乳管内進展の激しいがんの場合は断端陽性となる可能性もあります。
ですから二次再建を予定していたとしても皮下組織を厚くしてしまえばがんの遺残の可能性が高くなるのは一次再建の場合と同じなのです。まずはきちんとがんを治しましょう、手術の結果を見て二次再建を考えましょうというスタンスであれば皮下組織は薄めにすると思いますのでがんの遺残の可能性は低くなります。であれば一次再建を選択して皮下組織を薄くする場合と整容性もがん遺残のリスクもほぼ変わりません。匿名さんの場合は広範な乳管内進展が疑われるということのようですので、乳房全摘は一次再建でも二次再建でも薄めにしなければならないということになるのだと思います。私が言ったのはそういう意味です。おわかりいただけましたでしょうか?
(きわめて例外的に薄く皮下を剥離しても断端陽性と判断されることがありますが、この場合は放射線照射が必要になりますので、一次再建の場合はちょっとやっかいな場合があることを念のため付け加えておきます)
また二次再建の場合、皮下組織を薄くした場合と厚くした場合で再建開始の時期はあまり変わりません。ただ皮下組織が厚い方が創の状態(伸展しやすさ)は良い場合が多いですのでその後の生理食塩水注入のスピードは早いかもしれません。でも皮下組織を薄めにしたからと言って特に大きな支障があるわけではありません。
なお一次、二次の選択は乳腺外科医が判断することもありますし、形成外科医が判断することもあります。施設によっても異なるとは思いますが、最初から一次再建の適応があり、患者さんが望んでいる場合は私たちが判断して形成外科医の診察にまわしますし、一次か二次か、または再建自体を迷っている場合は形成外科医と相談してから決めるように患者さんにご説明しています。
以上です。納得できる答えが見つかると良いですね。それではお大事に!
hidechin 先生、重ねての質問にもご丁寧にお答えいただきましてありがとうございました。
疑問に思っていた点、自分の状況が色々と理解できましたので、先ずは次の診察の際に希望を伝えてお話ししてみます。
心に引っかかる点を残さず、理解・納得しながら進んでいきたいと思います。
お忙しい中、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。
>匿名さん
そうですね。大切なのは主治医とよくコミュニケーションを取ることです。
それでは治療頑張って下さいね。良い結果をお祈りしています。
皮下乳腺全摘術について調べています。
昨年4月末に非浸潤性乳がんで部分切除を受けました。今月になって5ミリほどの石灰化が見つかり、マンモトーム生検で局所再発が分かりました。手術を受けることになっていますが、全摘か乳頭温存皮下乳腺全摘術とシリコンによる一時再建を受けるか決めるよう言われて迷っています。
非浸潤性なので、皮下乳腺だけを摘出するだけで十分で、全摘よりリスクはあるものの、再発の可能性は少ないので、皮下乳腺だけを取って、一時再建すればよいと言われています。
しかし私は少しでも再発の危険性を抑えたいし、でも安全に残せて再建できるならそれも魅力的だし、と迷っています。両者の再発率の違いがあれば教えてください。また、こうした時に何を基準に決めればいいのでしょうか。手術は一ヶ月後の予定です。
ちなみに再発したのは昨年のガンの位置と近く、タイプも同じコメド型でグレード3でした。昨年、術後に放射線療法を受けています。センチネルリンパ生検は陰性、断端陰性、トリプルネガテイブでした。一昨年から何度も石灰化やシコリができ、その度にマンモトームなどの針生検を、もう6回うけています。
>匿名さん
初めまして。
なかなか判断に迷うケースですね。実際に画像も病理結果も見ていませんので正確なことを申し上げることは困難です。
乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘をよく行なっているDrは、乳房全摘に比べて局所再発率はそれほど変わらないと言っていますが、この手術を受けて浸潤がんでがんが遺残した患者さんやとても乳腺全摘とは呼べないほど乳腺を残している患者さんを見かけることがありますので、手術の方法(皮下の組織をどのくらい残すか)によっても異なると思います。
匿名さんの場合、一度放射線治療を受けていますので、原則的には人工物の乳房再建は適応外のはずです。これはインプラントの露出などのトラブルが通常より多く、皮膚の進展も悪いために術後の変形も起きやすいためです。この辺りの説明は受けていますか?放射線治療後でインプラントの再建をする場合は、このトラブルを予防するために皮下組織を厚く残すことになると思います。ということは乳腺組織の遺残の可能性も高くなるということです。
元々のがんの悪性度が高いですので再発のリスクを残すことは少し心配ですよね。
もし今後出産予定がないのでしたら、まずは通常の乳房全摘をして、後日自家組織を用いた二次再建を行うという方法もありますので選択肢の中に入れた上でご判断ください。
取り急ぎ以上です。
早速のお返事ありがとうございました。よく分かりました。
放射線治療をした後のインプラントでの乳房再建が適応外という点については伺っていませんでした。私はもともと対象とならないケースということですね。
たった5ミリのものを取るのに全摘するのは大げさなような気がしていましたが、再発したということは、前回取り残した小さいガンがあるかもしれませんし、放射線を受けても生き残ったガンというのが嫌な感じです。先生には、もし浸潤していない今全摘するなら、放射線治療もリンパ節の切除も抗癌剤治療も必要ないと言われました。悪性度が高いこと、インプラントのトラブル、再発のリスクについては説明を受けました。全摘手術は怖いし、体の形が変わることになりますが、もともと適応外の手術より、やはり思い切って全摘する方向で主治医の先生とお話しようと思います。
乳腺を取るだけの手術と全摘との再発率の違いをお尋ねしましたが、私一人に限って言えば再発するかしないかの二つに一つということに気づきました。主治医の先生はまだ若いのだから乳腺を取って再建すればいいとおっしゃいましたが、だからこそ少しでも不安の少ない方を選んで1日も早く元気になろうと思います。
すっきりしました。ありがとうございました。
>匿名さん
放射線治療後の人工乳房の再建についてですが、実際は患者さんに十分説明の上で行なっているケースもあるかと思います。なお、最新のガイドラインでは、放射線治療後の症例は適応外になっていませんでしたので訂正いたします。これはおそらく様々な要望に沿って内容を変更したためかと思います(当初は合併症のリスクを考慮して照射後は避けるようになっていたはずです)。ですから、多少変形しやすいことや皮弁を薄くした場合にインプラントの露出などのトラブルが起きやすい(皮弁を厚くすると乳腺やがんの遺残が起きやすい)ということを理解した上でインプラントによる一次一期再建を受けるのも1つの選択肢かと思います。
ただ、再発のリスクと秤にかけなければなりませんし、判断は難しいかと思いますが、もし迷っているなら前回も書きましたがまずは全摘をした上で自家組織による二次再建を考えてみても良いと思います。お若いのでしたらなおさら私はそう思いますよ。
それではお大事に!
ご丁寧にありがとうございます。
放射線治療を受けていてもインプラントが入れられるということですね。でも、私はやっぱり全摘にしたいと思います。
胸が無くなるのは怖いですが、放射線治療の後のインプラントのトラブルや再発のリスクを、ずっと抱えていくのも私には勇気のいることです。もちろん、もう片方の乳房もあるし、再発のリスクはゼロにはならないということで、全摘しても検査は続けなければならないとは言われましたが、少しでも不安の少ない方にしたいと思います。既に今日、そう主治医に伝えました。
手術が終わって元気になったら、新しい服を買ってイメチェンしようかと考えてお店を見たり、乳がん患者用の下着のサイトを見たり、今日は診察の後そんなことをしていました。先生のおっしゃる自家組織による二次再建についてはよく調べて主治医と話してみます。ちゃんと納得して手術に臨みたいと思います。
ご丁寧な回答を本当にありがとうございました。
>匿名さん
匿名さんのお気持ち、よく理解できます。
手術が順調に終わり、前向きな人生を歩まれることをお祈りいたします。
それではお大事に!
8月23日にこちらで乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘か全摘かという質問をさせて頂きました。ありがとうございました。今月始めに全摘手術を受けスッキリしました。順調に回復しているところです。
病理の結果が出て、どうしても気になる点があるのでまた教えていただけないでしょうか。
断端陰性でしたが、最も切断面に近い部分からの距離が深部側でたったの1ミリでした。
主治医の説明では、浸潤があるガンなら再手術を検討する必要が出てくるが、非浸潤だったし皮膚も乳腺も脂肪も全て取ったし断端陰性なのだから心配はないとのことでした。その時は確かにそうだと思ったのですが、帰宅してからやはり不安になってしまいました。気にしすぎなのでしょうか。今回も前回同様、悪性度が高いタイプのようで気になります。
また、昨年の温存手術を受けた時はトリプルネガティブでしたが、今回はエストロゲンとHer-2が陽性でした。位置が前回は5時の位置で今回は3時の位置、前回も今回も筋肉に近い深いところにあったので、今回は前回の取り残しかと思ったのですが、たまたま全く別に新しくガンが出来たのでしょうか。それともやはり取り残しでサブタイプが変わることがあるのでしょうか。
ガンの大きさ 9ミリ
コメド型
非浸潤性
グレード 3
Ki-67 40%
よろしくお願いいたします。
>匿名さん
手術お疲れ様でした。無事終わってよかったですね。
まず切除断端の件ですが、乳房全摘をする場合、深部側に関しては大胸筋膜を一緒に切除していればどんなに切除断端に近くても断端陰性と判断します。温存手術の場合、断端5㎜を断端陰性の基準にしているのは側方断端に関してです。深部まで5㎜にしなければならないなら、大胸筋まで切除しなければならなくなりますし、特に乳管内に留まっているがんに関しては、乳腺の範囲内に存在しているわけですから大胸筋膜を超えることはありませんので、大胸筋膜まで切除していることが病理学的に確認されればどんなに近くても深部に関しては断端陰性と判断するのです。主治医の先生がおっしゃったのはそういう意味だと思います。おわかりいただけましたか?
なお、今回のサブタイプからは、前回とは別の多発がんの可能性が高いように思います(断定はできませんが)。
以上です。
それではお大事に!
よく分かりました。主治医の先生が、「もし今その胸を切って開いたら、いきなり筋肉が顔を出す。切れるところは残っていない。」とおっしゃったのですが、そういうことなんですね。
まだ少し痛みもしびれも残ってはいますが、これで来月からスッキリした気持ちで仕事に戻れます。お返事ありがとうございました。
>匿名さん
そういうことだと思います。
それでは!
何度も何度もすみません。仕事に復帰した後も、こちらで勉強させていただいています。8月23日以降ずっと匿名にしていましたが、「けい」とさせていただきます。
全摘手術の後、念のために受診するよう言われた腫瘍内科で、対側の予防のため5年間のタモキシフェンを勧められて戸惑っています。かかりつけの乳腺外科の先生からは、全摘すればその後は無治療と言われていました。
非浸潤性の乳癌を全摘すれば、その後は何もなしというのは私にも理解できるのですが、抗ホルモン剤を飲めば予防になるという理屈が分かりません。どういうメカニズムで予防になるのでしょうか。
ネットで調べると、ホットフラッシュなどの他に、子宮体がんのリスクが上がったり、子宮筋腫ができたりという影響があるようです。それでも意味があることだと言われてその時は仕方ないのかと思ったのですが、私は複数の子宮筋腫があり、内1つは中くらいのサイズで、もし急に大きくなったり不正出血や強い月経痛などの症状が出れば手術を検討するかもと言われています。数年前には子宮内膜症とも言われています。
私はリスクが高いというのは分かりますが、タモキシフェンを飲んでも飲まなくても半年に一度は検診があるので、もし乳癌ができれば早く見つけられるはずです。もし検診でフォローできるのであればそうしたいですし、それを励みに少しでも不安をなくしてしっかり治すことを目的に全摘を選びました。乳癌の心配に加えて子宮の心配をするのが受け入れられません。
これまでの経緯をもう一度。
2016年4月末に右乳房の非浸潤性乳がんの部分切除手術を受け、その後放射線治療を受けました。センチネルリンパ生検陰性、断端陰性、トリプルネガティブ、コメド型、Ki-67は5%でした。この時、同側の乳腺線維腺腫も切除しています。
半年ごとの検診を続けていたところ、8月に非浸潤性乳がんが再び右側に見つかり全摘手術を受けました。再建はしていません。今回は、エストロゲン受容体陽性、プロゲステロン受容体陰性、Her-2陽性、コメド型、Ki-67は40%、術前で5ミリでしたが病理では9ミリと出ました。
また、2015年から何度も石灰化やシコリが見つかり、これまで左側でマンモトーム生検を2回と超音波コア針生検を1回、右側もマンモトーム生検を2回と超音波コア針生検を1回受けています。この内、右側のマンモトーム2回でガンが確定し、その他は全て良性でした。母が63歳で乳癌を経験していますが、私のBRCA1とBRCA2に異常はありませんでした。
海外在住、閉経前44歳女性です。よろしくお願いいたします。
>匿名さん(けいさん)
タモキシフェンは長年蓄積されたデータから、対側乳がんの発生を予防することが知られています。ただ通常は浸潤がんの再発予防として投与した場合に、副次的な効果として対側乳がんも予防しているということであり、その場合はタモキシフェンによる子宮体がんなどのdemeritより再発予防効果+対側乳がん発症予防効果のmeritが明らかに上回るということです。ですから非浸潤がんで乳房全摘を行なった場合は、通常はタモキシフェンを投与しないことがほとんどだと思います。
一方、遺伝性乳がんを引き起こすBRCA1、BRCA2の遺伝子変異がある女性の場合に、発症予防法として有名なのはアンジェリーナ・ジョリーさんも受けた予防的乳房切除術がありますが、もう一つの手段として化学予防と呼ばれるタモキシフェンなどの薬剤投与があるのです。これらの遺伝子変異がある場合のタモキシフェンの乳がん発症率の減少効果は49%という報告があります。
けいさんの場合、多発がんであること、初回のがんがトリプルネガティブであったこと、発症年齢が比較的若いこと、母親も乳がんであったことなどから、BRCA以外の遺伝子変異による遺伝性乳がんの可能性を考えたのではないでしょうか?ただ遺伝性と断定できていないわけですから対側乳癌の発症率が通常より高いかどうかわかりませんので、内服のmeritが子宮体がん発生などのdemeritを上回るかどうかの判断は困難かと思います。最終的にはご本人が秤にかけて判断するしかないと私は思います。以上です。
丁寧なお返事を有難うございました。よく分かりました。
・浸潤がんの場合、デメリットを上回る対側乳がん発生の予防効果がある。
・非浸潤がんを全摘した場合は通常タモキシフェンの投与はしない。
・遺伝子変異のある女性の乳がんでは、乳房切除と薬剤投与の2つの予防方法があり、薬剤投与による乳がん発症率の減少効果は49%。
ということですね。そして私の場合、BRCA以外の遺伝性乳がんの可能性が考えられ、その対策としてタモキシフェンが勧められたものの、遺伝性ではない可能性もあるのでその場合はメリットがデメリットを上回るかどうかははっきりしないということですね。
飲んだ方が良さそうな気がしますが、これを判断するのは私にとって難しいことです。こうしていろいろと教えていただいたことを踏まえて、やはりもう一度腫瘍内科の先生にお話を伺って、よく納得してから飲みたいと思います。
私の度重なる質問に、何度もお手間とお時間を取って頂き本当にありがとうございました。
>けいさん
そうですね。
十分に説明を受けた上で納得のいく治療を選択してください。
それではお大事に!
けいです。
ぐずぐず迷いましたが、結局飲まないことにしました。
あれからいつもの腫瘍内科の先生にあらためていろいろと質問しました。でも、「で、飲むの飲まないの?」「自分で決めて」「別に強制じゃないから」なんて言われてしまい、それ以上話せなくなりました。乳腺外科の先生にお願いして別の腫瘍内科の先生を紹介していただき、今日行ってきました。
全摘した方の治療は終わっていること、局所再発も遠隔転移も心配しなくていいこと、2回の癌は単に2回非浸潤ができただけと考えて構わないこと、対側の発症リスク半減の効果があるのでタモキシフェンの提案はするけど、もともとリスクは低いので気が進まないなら飲まなくていいこと、対側の検診を年一回はきちんとすることなど説明してくださいました。
いろいろとお話してくださり、私の質問にも答えてくださり、それでも決めるには勇気がいりましたが、悩み続けるのもかえって体によくないと思って決めました。気が変わって飲みたくなったら飲んでもいいそうなので気が楽です。
これでゆっくり眠れます。ありがとうございました。
>けいさん
そうですか。納得いく判断ができてよかったですね!
それではお大事に!
はじめまして。
断端陽性について調べているなかで、こちらのサイトに出会いました。
昨年末に検診で石灰化を指摘され、年始にマンモトームにて非浸潤性乳がんの診断となり、2月に乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘術をうけ、ティッシュエキスパンダーを挿入中です。
病理の結果も非浸潤性乳がんだったのですが、深部側断端が僅かに陽性とレポートされました。
担当医から、
「深部側は筋膜を切除するように組織を剥がしているが、病理で僅かといえど癌が露出しているため、陰性と言い切れない。病理で深部側断端が陽性となるのは、この術式では私は初めての経験であり、こんな深い位置まで乳腺が伸びているのも初めて見た。安全の為放射線治療を受けてほしい。」
という説明をうけました。
エキスパンダー挿入中なので、放射線治療が不安なのですが、やはり必要でしょうか。
>ようこさん
初めまして。
通常、原則的には乳房切除した標本が断端陰性であることを証明するためには皮膚側には皮膚が存在すること、深部側は大胸筋膜が存在することを指標にしています。ですから執刀医が間違いなく大胸筋膜を切除しているという確信があれば、いくら深部断端に近くても乳管内のがんであれば断端陰性と考えて良いと思います(乳管は大胸筋膜を越えないため)。ただ、浸潤がんが深部断端に近い場合は断端陰性とは言い切れない場合があります(大胸筋膜を越えて浸潤する可能性があるため)。
主治医が放射線治療を勧めたということは、大胸筋膜を間違いなく切除したという確証がないか、浸潤がんで断端に近かったかのどちらかではないかと思います。ようこさんの場合は最終診断が非浸潤がん(乳管内がん)ですので前者しか考えられません。がんの遺残の可能性があると考えたなら放射線治療をお勧めすることはありうると思います。
実際に手術もしていませんし、標本を見ていませんのであくまでも推測ではありますがお答えできるのは以上です。
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