2010年9月28日火曜日

グルコサミン、コンドロイチンそしてフコイダン

乳がんとは直接関係ありませんが、最近、サプリメント、民間療法薬のエビデンスについて報告が続いています。

まず、テレビCMで鬱陶しいほど放送している関節痛に良く効くかのような印象を与えるサプリメント、グルコサミンとコンドロイチンについてです。

今回の研究は英国医師会誌「BMJ」オンライン版に9月16日掲載されたものです。
この研究は3,800人強の膝または股関節の関節炎患者を対象とした10件の無作為化臨床試験の結果を分析。いずれの試験もサプリメント使用者群と非使用の対照群を比較したものでしたが、全データの検討の結果、コンドロイチンおよびグルコサミンには、関節痛または関節腔狭小化に臨床的に意義のある効果はないことが判明したとのことです。

ただし、現在服用中で効果を感じている人については、服用をやめなければならないような有害事象はないということで、お金がかかる以外の不利益はないので服用中止を勧告する必要はないということでした。もしアロマターゼ阻害剤の副作用による関節痛に、これらのサプリメントを服用している、もしくは服用を考えている方は参考にしてみて下さい。

次に、ネット上でがんに効果があると宣伝している(本来は薬事法違反の可能性があります)フコイダンについてです。乳がんに対する効果の大規模な無作為比較試験結果は聞いたことがありませんが、今回タカラバイオから発表されたのは、富山大学大学院医学薬学研究部の林利光教授との共同研究で、ガゴメ昆布由来のフコイダンに、抗インフルエンザウイルス作用のあることが確認されたという報告です。

ただ、これはマウスの実験でウイルス量を減少させたというだけであって、人体に対して臨床的に有効であることを確認したわけではありません。動物実験で、ある効果が確認されても臨床的にはまったく無効である例は星の数ほどあります。タカラバイオではサプリメントとして売り出すようですが、どのような効果をうたって発売するのでしょうか?どうせならきちんと人体における効果も比較試験で確認して欲しいものです。

最近はサプリメントの市場が大きな利益を上げているようです。この中には、その効能の表現の仕方が薬事法違反すれすれのものが多いのが気になります。「特定健康補助食品」という位置づけがあいまいなため、一般市民にとっては医薬品の代わりになると誤解されがちです。やはりサプリメントの類は、きちんと医師の診断を受けた上で相談してから服用すべきなのです。

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