関連病院の2010年度の乳がん検診のまとめが健診課から届きました。
・乳がん検診総件数: 2164件
・要精密検査件数: 184件(要精検率 8.5%)
・精密検査受診数(他院21件含む): 168件(精検受診率 91.3%)
・がん発見数: 19件(がん発見率 0.88%)
検診方法は触診+マンモグラフィが基本ですが、乳腺症などで定期的に超音波検査をしている患者さんが、2年に1回のマンモグラフィを検診として受ける場合やマンモグラフィ併用検診の触診時に乳腺症疑いで超音波検査を勧めた方も含まれていますし(これは要精検扱いにはしていません)、件数は少ないですが、主に若年者の超音波併用検診も含まれています。
ですから要精検率の数値はマンモグラフィ併用検診の目標値と比べることはできません。しかし、がん発見率は一般的に報告されている数値より高く、これはクーポン券利用者も含めた初回受診者が多かったことと(発見乳がん19例中クーポン券利用者が8例!)、触診の所見を加味して超音波検査を勧めたことが発見率を押し上げたのかもしれません。
マンモグラフィ検診の精度管理の面から考えると”がんを積極的に疑うわけではない(要精検ではない)”のに触診後に超音波検査を追加することには異論があるかもしれません。しかし私たちはデータを取るためだけに検診しているわけではありません。マンモグラフィには弱点があり、高濃度の乳腺において診断率が低下することは明らかです。ですから触診で高濃度になると思われる所見があった場合に(乳腺症も含めて)超音波検査を勧めることは医師の裁量の範囲内であり、個人的には正しい判断だと思っています。
8 件のコメント:
またまたコメント書かせていただきます。
某小さな県で従事している技師です。
発見率の0.88はすごいですが、今回だけでしょうか?毎年であればどうなっているのかと思いまして...当施設では毎年0.2~0.3です。それとすごく興味あるのが、視触診で高濃度ってある程度わかるのでしょうか?乳腺の先生ならわかるのでしょうか?もしそれなら当センターでの超音波導入に向けてで議題になっている前回の乳腺評価でMMGかUSかを決めようという意見に対して反論ができるので、ぜひ教えていただけたらうれしいです。
>匿名さん
今回の関連病院のがん発見率0.88%は、やはり初回検診受診者が多かった影響かもしれません。また昨年度まではきちんとした統計が取られていませんのでたまたま今回だけ突出して高いのかもしれません。
ちなみに私が勤務するセンター病院のがん発見率は平均で0.3%台です(こちらは超音波検査併用者は少ないです)。繰り返し受診者の比率が高いほどがん発見率は低下しますが、センター病院と関連病院の繰り返し受診者の比率を比較していませんのでなんとも言えません。
触診で高濃度かどうかは、ある程度推測できます。脂肪の割合が低く、乳房全体を乳腺組織で占めているような乳房、明らかにごりごりと硬く触れる乳房は高濃度になりやすいと思います。ただ、若年者の場合は、比較的均一で柔らかいと思っていてもマンモグラフィでは高濃度に写ることがあります。比較的小さめの乳房の方に多い印象があります。ただ、これはエビデンスもなく、私個人の経験に基づく考え方です。施設として検診手段をどう導入するかはもう少し科学的な検討が必要だと思います。前回のマンモグラフィの濃度を見て次回の検診手段の判断をするというのは、個人的には面白い考え方だと思いますよ。繰り返し受診者には有効な手段かもしれません。
匿名です
ありがとうございます。
またわからないことや、当センターとはちがったようなことがあれば質問させていただきます。
>匿名さん
了解しました。これからもよろしくお願いいたします。
乳がん検診についてご質問があります。
乳腺専門医であればマンモ画像で高濃度とか不均一高濃度エコーとか判断はできるのですよね。
画像の読影の資格がないと難しいものなのですか?
今回の要精検のマンモ画像からは、全体が白くモヤがかかっていて癌らしきものはなさそう?はっきりしないとのことでした。エコーも触診も無く診察室を後にしました。
しこりは親指の第一関節ほどの大きさの物があります。
しこりがあるなら、エコーなり細胞診があってもいいように思うのですが、どうなのでしょうか?
医師からはまた何かあったら受診してと・・・
しこり以外は自覚症状はないのですが、別の病院を受診した方がよいでしょうか?
>匿名さん
はじめまして。
情報が不十分なため正確なコメントはできませんが…。
まず、乳腺濃度が高濃度か不均一高濃度かを診断することが重要なわけではありません。異常所見を適切に拾い上げられるか、追加検査の必要があるのかを正しく判断できるかが大切なのです。ちなみに乳腺専門医を取得している乳腺外科医のほとんどはマンモグラフィをある程度は読影できると考えて良いと思います。
しこりは自分で自覚したものなのですか?それとも検診医の触診で指摘されたのですか?それによっても異なりますが、私が検診医であったとしたら触診で腫瘤を触知した場合には、マンモグラフィでよほど脂肪の割合が高くない限りは超音波検査を行ないます。
もし今回受診した精検医療機関の診断で納得できなければ別の施設で検査を受けても良いとは思います。ただ、もし疑問に思ったのであればその場で医師にお話しした方が二度手間にならなくてすみますよ。その医師は自信を持って超音波は不要と判断されたのかもしれませんし。疑問を投げかければ再度説明をしてくれたり、念のため超音波検査を追加してくれて納得いく結果になったかもしれませんからね!
お急がしいところ早々にお答えくださり、ありがとうございます。
しこりは検診医からは直接指摘は受けてはいません。検診時のエコーの時間が異常に長く何か問題があるてのだろうと、帰宅後自分で触診したところ左胸外側上部にしこりを見つけ、結構な大きさだったので驚き動揺し検診結果が手元に届くまで眠れぬ日々でした。
2週間後結果をみると乳房で精密検査要で、一ヶ月後に同病院の乳腺外科で専門医の受診となった次第です。
先生がおっしゃる通り、その場で疑問点を話すべきだったと今は思います。その時は疑問には思いつつも、質問できずに終わって、「乳がんじゃなかったんだ!」とホッとした気持ちもありそのまま帰宅してしまいました。
しかし、しこりは消えることなく存在するので、気になっていてコメントさせて頂きました。
出来れば、精検した病院を受診した方が無駄な検査しなくていいようですね。どこでするにしても今度はしっかりとした心構えで受診したいと思います。
丁寧なお返事、ありがとうございました。
>匿名さん
検診時にエコーはしていたんですね。
ご自分で乳房の外上部に触れた”結構な大きさ”のしこりが、医師の触診でもエコーでも異常がないのに乳癌だったという可能性はきわめて低いのではないかと思います。
エコーに写らないのであれば、乳腺症をきたした乳腺組織そのものを触れているのではないでしょうか?
それでもご不安でしたら他施設でもう一度エコー検査を受けるか、精査期間に再度受診して、自覚症状についてお話しして検診機関のエコー検査の結果も含めて説明をしてもらうのが良いと思います。不安のまま過ごすのは良くないですからね!
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