HBOCコンソーシアムに参加して、今日の夜にようやく札幌に帰ってきました。
HBOCというのは、”遺伝性乳がん・卵巣がん症候群”と呼ばれる遺伝疾患のことです。昨年、アンジェリーナ・ジョリーさんが予防的乳房切除を行なったことで大きなニュースになったのでご記憶の方も多いと思います。
日本ではいまだに遺伝子検査も予防的治療も保険適用になっていないため、医療従事者の意識も低く、一般市民の関心もあまり高くはありませんでした。しかし、アンジェリーナ・ジョリーさんの件以降、マスコミに取り上げられることも多くなってきており、私たち乳腺外科医も遺伝性乳がんの関する十分な知識が必要となってきていますし、患者さんへの説明の責務も生じてきています。
ただ今までは、”遺伝性乳がんとわかったとしても対処法が整備されていないのであれば、結局その事実を知らせることはかえって患者さんや家族の心理的不安や社会的問題(子供の結婚問題など)を生じさせるだけではないか?”と思っていました。でも今回の講演を聴いて、その判断をするのは医療従事者ではなく患者さん側であるということがよく理解できました。
これからは今まで以上に遺伝性乳がんに対して勉強していきたいと感じた学会でした。
2 件のコメント:
こんばんは。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
遺伝性乳がん、アンジェリーナ・ジョリーさんの話題は記憶に新しいです。主治医ともその話になったことがあるのですが、もし自分の家族・親類に乳がんの罹患者がいて私がもっと若く幼い子供がいたら、きっと検査したいと思うだろうし、何とか生き延びるための手段を探すだろうと思います。それには、遺伝子検査の存在を知ってないとお話にならないし、また、保険適用がなければなかなか実現は難しいだろうという話をしたのを思い出しました。検査は無料という国もあると聞きます。学者、医療者側からすればパーセンテージ的な話になりますが、患者側からすれば100か0かって言う事になります。患者側としては切実です。
何でもそうですが、リスクとベネフィットを十分理解して、検査や治療していきたいと思いますし、また、理解し判断できるだけの情報提供を医療者に求めたいと私は思います。
どの様な検査・治療もそれがスタンダードでなくても最終決定は患者本人の判断にゆだねられるべきではないかと私は思います。
1年半、検査や治療を通じて思ったことを書かせてもらいました。
とりとめなくすみません。
>まったりーなさん
やはり実際に乳がんを経験した患者さんからするとそう思うのは当然でしょうね。ただ未発症者の心理的負担や社会生活への影響(結婚、出産など)など配慮しなければならないことは多いですのでこの問題は非常にデリケートです。私たちが十分な知識を持ち合わせる必要があるのはもちろんですが、心理的サポート体制の整備がいまもっとも急がれる課題なのではないかと思っています。
コメントを投稿