2011年1月25日火曜日

閉経後乳がんは身体活動量の増加とHRT回避で3割が予防可能?

先日ドイツがん研究センター(DKFZ)講師のKaren Steindorf氏らは,「閉経後に生じる乳がんの約30%は,身体活動量を増やし,ホルモン補充療法(HRT)を回避することで予防できそうだ」と発表しました。

この手の疫学研究はバイアスがかかるため、参考程度に考えるべきですし、報告者のSteindorf氏も言っているように、これはドイツ人にのみ言えることかもしれませんが興味ある内容です。

今回の研究の内容は以下の通りです。

研究の概要:2002〜05年にライン・ネッカー・カールスルーエ地域とハンブルク近郊の住民を対象に実施されたMARIE(Mammakarzinom-Risikofaktoren-Erhebung)研究のデータを活用した症例対照研究。

対象と方法:閉経後に乳がんを発症した3,074例。これまでの研究で乳がん発症の危険因子の可能性ありとされていたHRT,身体活動量,過体重,飲酒の4項目に的を絞って同地域の女性6,386例と比較検討した。また、個々の危険因子,ないしは複数の危険因子の特定の組み合わせに起因すると考えられるがんの割合をPAR(population-attributable-risk)を用いて解析した。

結果:HRTと身体活動不足が乳がん発症リスクの上昇につながっていることが示された。その一方で,飲酒と過体重が乳がん発症リスクに与える影響は相対的に小さかった。閉経後に発症した浸潤性乳がんで見ると,HRTのPARは19.4%,身体活動不足のPARは12.8%であった。この2つの危険因子がともに存在しない場合には,閉経後の浸潤性乳がんの29.8%,受容体陽性乳がんの37.9%を回避できることが示唆された。

HRTについては以前書きましたので省略します。
過体重より運動不足がリスクを上げるというのはなかなか興味深いですが、多分検討の方法や地域、人種が違えばまた異なる結果が出るような気もします。いずれにしても、運動を適度に行なうことや肥満を予防することは、みんなが健康的だと納得できることですし、お金もかからずにできることですので、奨励してもなんら問題はないと思います。このへんは、詐欺まがいのサプリメントや偏った食事療法を強要するのに比べるとずっと受け入れやすい自分でできるがん予防だと思います。

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