2012年10月5日金曜日

Cancer Board終了!

院内の多職種が集まったがん患者さんの症例カンファレンス、第3回「Cancer Board」が今晩行なわれました。前にも書きましたが、まだテストケースですので(2ヶ月に1回しか行なっていません)、本来の「治療方針に迷う症例をみんなで検討する」というカンファレンスにはなっていません。毎回各センター持ち回りで担当しながら、適宜症例があれば受け付ける形式にはなっていますが、今のところ予定外の症例提示はありません。まだまだこのCancer Boardが全体に普及していないということなのだと思います。医師以外の参加は結構あるのですが、残念ながら自分が当番の時以外に参加する医師がほとんどいません。残念なことです。

さて、今回の症例提示ですが、前にも書きましたが非常に経過が長い症例でした。乳がんについてあまりわからない職種の方も多いので、特徴的な再発患者さんを選んでみました。詳細は割愛しますが、再発後の経過が長いこと、最近悪化傾向になり状態は徐々に厳しくなっていること、経済的な困難があったこと、遠方に居住しているために今後の治療に工夫が必要なこと、どの段階で抗がん治療を中止するか判断が難しいこと、などについてお話しし、参加者から意見を述べてもらいました。

これが解決策、と言えるようなものではありませんが、緩和ケア科の先生や看護師さんから意見をもらったり、事務系の職員から居住地の医療状況を教えていただいたり、今後の治療方針決定にあたっての参考になりました。

乳がん患者さんの治療方針については、今までもこまめにカンファレンスをしたり、他科のDrに助言を求めたりしてきましたので、必ずしもこのようなカンファレンスは必要ないのかもと思っていましたが、自分自身もその症例の細かい振り返りができますし、普段カンファレンスに参加しない職員からの意見も聞くことができますので、けっこう有意義なカンファレンスではないかとあらためて感じました。これからはもっと多くの職員に参加してもらえるようになればいいなと思っています。

2 件のコメント:

rin さんのコメント...

hidechin先生、こんにちは。
昨年、抗がん剤の薬剤をどれにするかで悩んでいた時にご相談させて頂きました。
お忙しいところ恐縮ですが、宜しくお願い致します。

39歳・既婚です。子供なし

昨年8月左乳がん全摘→受精卵凍結→TC4クール→現在無治療
です。抗がん剤は3月に終了し、7か月経ちました。

抗がん剤終了6カ月経てば妊娠しても良いと主治医に言われました。そろそろ受精卵を戻そうかどうしようか考えてますが、
生理が戻って来てないので、不妊治療施設ではホルモン剤やホルモン注射を使って生理を一回戻す必要があると言われました。

六年前に反対側(右側)も乳がんでEC+タキソテール+放射線をしてるので、
もしかしたらもう、生理が戻ってこないのかもしれません。
あの時は10カ月で戻ってきました。

家系的にも乳がん・卵巣がんが多いこと。
自身が両側罹患したこと(32歳.38歳)、
両側トリプルネガティブなことを考えると遺伝性の可能性が濃いと思われ、先日遺伝性カウンセリングに行ってきました。
かなり濃いと言われました。
近いうちに遺伝子検査をしようと思っています。陽性でも陰性でも卵巣摘出した方がいいと思う。と言われました。
妊娠を考えてるなら、早くした方が良いと言われたので、
いつ戻るか又は戻ってこないかもしれない生理を待つ時間がないので、ホルモン注射・ホルモン剤で生理を戻すとのことですが、トリプルネガティブでホルモン-ですが、再発などの影響はいかがでしょうか?ホルモン注射やホルモン剤を打っても大丈夫なんでしょうか?

結局、妊娠をとるか再発を心配してやめるかという自分自身の決断にはなるとは思いますが、納得してから実行したいと思うので、質問させて頂きました。
乳腺、婦人科、不妊治療施設・・・だれに聞いたらいいのかわからないので、伺わせて頂きました。

お忙しいところ恐縮ですが、宜しくお願い致します。

hidechin さんのコメント...

>rinさん
こんばんは。化学療法お疲れさまでした。

まず乳がん術後のホルモン治療についてですが、基本的に乳がん術後に女性ホルモン剤の投与は禁忌となっています。私も以前から疑問には思っていましたが、サブタイプ別に適応を区別した報告は聞いたことがありません。ですからトリプルネガティブだから女性ホルモンは大丈夫(再発を促さない)とは一般的には言われてはいないのです。

ただ、rinさんが疑問に持たれているように、トリプルネガティブであれば女性ホルモンの影響を受けていないので関係ないのではないかと思われるのも理解できます。実際、仮に微小転移がどこかにあったとしても原発巣がトリプルネガティブ(現在のcut off 1%で)であれば転移巣がホルモン陽性になっているケースは非常に稀だと思いますので、女性ホルモンの投与は再発を促さないのではないかという気がするのも事実です。
ただ、このあたりは不明な点が多いですので、結局は主治医(乳腺外科医)のホルモン治療と再発に関する考え方と、rinさんのriskとbenefitに関する考え方によるのではないかと思います。

私自身は受精卵を凍結保存して後日妊娠した患者さんの経験はありません。ですからrinさんの主治医(乳腺外科医、不任治療医)以上の意見をお話しすることは出来ません。お役に立てなくて申し訳ありません。