JAMA12月8日オンライン版によると、乳がんで腋窩リンパ節郭清を行なった患者さんを無作為にダンベルによるウエイトリフティング運動を定期的に行なう群と行なわない群に分けて1年後のリンパ浮腫の発生率を調べたところ、ウエイトリフティング群で有意にリンパ浮腫の発生が低かったという結果が掲載されました。
乳がん術後の患者さんに対する体操やストレッチのような運動は可動域の維持に効果があるため、私たちもリハビリとして指導してきました。しかし手術をした側の腕には過度に負荷をかけないように指導しています。米国の臨床ガイドラインでも,浮腫防止策として重い荷物を持つことを制限しているそうです。
今回の研究の運動メニューは,背臥位でダンベルを側面や前面に持ち上げる,二頭筋,三頭筋を使って下げるなどで,1回90分間のウエイトリフティング運動を週2回1年間行うというものです。
腋窩リンパ節郭清を行なった乳がん患者154例をウエイトリフティング群77例(平均年齢54歳,平均リンパ節郭清数8),およびコントロール群77例(同56歳,9)にランダムに割り付けて検討しました。
その結果は、1年後の上腕における浮腫(乳がんに罹患していない方の上腕容積に比べ5%以上の増加)の発症率は,対照群17%に対しウエイトリフティング群では11%と有意に低かった(累積発症率比0.64,95%CI 0.28~1.45,P<0.003)ということです。
負荷のかけかたには十分な注意が必要だとは思いますが、今までの概念にとらわれずに積極的に運動することが効果的であるという今回の結果は、大好きだったスポーツを我慢してきた患者さんにとっては朗報ではないかと思います。もう少し検討を重ねて、どのような運動(体操、ストレッチ、ウエイトリフティング、スポーツ)が、リンパ浮腫発生に対して予防的に働くのか、または悪化の原因になるのかが解明されると良いですね!
0 件のコメント:
コメントを投稿