29日は病院の仕事納めです。毎年この日に外科全体で1年間の総括を行なうので(乳腺は正式にはG先生がまとめてくれるはず…)、ちょっと今年の乳がん症例を調べてみました。
今年はついにここ数年のぎりぎり未達成だった目標手術症例数を超えることができました。開院以来、最高の症例数です!
これは、当院と関連病院の健診課、超音波検査技師、放射線技師、病理検査の医師、技師のみなさんの努力のおかげだと思っています。そして、患者さんから患者さんへのご紹介もけっこうあったと思います。これからもその信頼に応えて行かなければとあらためて感じました。もちろん、病棟で乳腺診療を一手に引き受けてくれているG先生にも感謝しています。
今年の症例をまとめてみて気づいたことを挙げてみます。
①両側乳がんが非常に多かった
なんと同時両側が手術症例の3.7%、異時両側が14.8%、合わせて18.5%もいました。普通は合わせて5%程度(2-10%)ですので今年は異常に多かったんです。異時両側乳がんのほとんどは定期検査の乳房超音波検査で早期発見されています。技師さんたちの努力と症例検討会の成果が発揮された結果ではないかと思っています。
②年齢構成
前にも書きましたが、当院は高齢者が非常に多い病院です。以前調べたデータでは、乳がん手術患者さんの3人に1人は70才以上でした。
今年のデータをみてみると、70才以上の方の割合は35.7%!やはり高齢者は多いようです。
印象としては、例年よりは若年者が多いような気がしていたのですが…。30才台はわずか3.6%でした。
③非手術症例
StageⅣで手術をせずに化学内分泌療法を行なっている患者さんや認知症が高度なために内分泌療法を行なった患者さんを含めて、今年乳がんと診断された患者さんのうちの5.3%は手術以外の治療を行なっています。ただ今年は例年よりもStageⅣ症例が少なかったような印象があります。
④発見契機
・無症状 39.7%…検診 10.3%、良性疾患定期検査 8.6%、乳がん術後定期検査 10.3%、その他(対側精査、CT発見など) 10.3%
・有症状 60.3%
いまだに2/3近くの方がしこりなどの症状を自覚してから受診し、乳がんの診断に至っていました。
⑤早期癌比率
Stage0(非浸潤がん)、StageⅠを合わせた早期がんの割合は、44.8%(非浸潤がんは12.1%)。④で書いたように今年は例年より有症状の患者さんが多く、T2(2-5cm)が多かったためだと思われます(StageⅡA+ⅡBで41.4%)。定期的に自己検診をしている場合は、2cm以下で発見される率が高いですので、これらの方たちは自己検診も定期的には行なっていなかったか、受診できない理由(乳がんと言われるのが怖い、経済的理由など)があったことが推測されます。
こうしてまとめてみると、定期的に検査や検診を受けている方は早期で発見できていることがわかります。ただ、その割合はいまだに低く、残念ながらこれだけマスコミなどを通じて啓蒙活動を行ったり、無料クーポンを配っても進行した状態で発見される方がまだ多いということがあらためてわかりました。
来年はさらに啓蒙活動を広めていかなければダメだと強く感じました。
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