正月休み明けの今日は、いきなり大雪との格闘から始まりました。なぜか札幌市内で私の自宅近辺だけ3倍くらい雪が積もっていて昨日から4回も除雪して関連病院に出勤しました。
おかげですっかり腰痛をぶり返して老人のように腰を曲げながら外来診察をしていました(汗)
今日は幸い予約が18人と少なく(+飛び込みで2人)、なんとか無事に外来を終えることができました(笑)
今日、H先生から相談を受けた症例…トリプルネガティブのⅣ期の乳がんで、FEC→ドセタキセルで経過をみていましたが、悪化傾向とのこと。次に何をしたらいいか、ということでした。
候補は、
①パクリタキセル
②ナベルビン
③ジェムザール
④メソトレキセートを含むレジメン(CMFかMM療法)
⑤XC療法(ゼローダ+エンドキサン)
でしょうか。
本来は、プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)とジェムザールの併用をしたいところですが、プラチナ製剤はまだ乳がんには保険適応外です。また期待されているPARP1阻害剤も未承認です。
この候補の中ではナベルビン単剤では弱いような気がします(私の今までの経験では奏効期間が短い印象があります)。パクリタキセルはドセタキセルの直後には使いにくい(同じタキサン系のため)ですし、ジェムザールとの併用に取っておきたい気もします。XC療法は、内服なので効果が弱い印象がありますが、恩師のY先生の講演によると案外トリプルネガティブにも効くとのこと。迷いましたが、今回は、メソトレキセートとマイトマイシンの併用(MM療法)を行なうことにしました。以前、トリプルネガティブで、他の抗がん剤はまったく無効だったのにこの治療だけが非常に奏効した経験もありますし、ともにDNA合成阻害剤ですのでトリプルネガティブには有効な薬剤なのです。
さっそく治療を開始するようですが、新薬の承認まで落ち着いていてくれることを祈っています。
4 件のコメント:
先生初めまして。
現在私もトリプルネガティブと闘っております。
その後、この患者さんにMM療法は効果がありましたか?もしお答え出来るようでしたら教えて頂きたく、何卒宜しくお願いいたします。
>匿名さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
この患者さんは相談を受けただけですのでその後の経過については確認しておりません。また、この1例が効いたかどうかでこの治療の有効性を決めることもできません。MM療法は癌研病院で主に行なわれていた治療法です。十分な臨床試験データがあったわけではありませんが、現在、「Triple Negative 乳癌に対するマイトマイシン・メトトレキサート療法の有効性と安全性に関する研究 (癌研有明病院 伊藤良則先生)」(フェーズ2)が行なわれているようです。
先生こんにちは。
大変ご多忙中であろうに私のコメントへ真摯なご返信を頂きましてどうもありがとうございました。そうか、MM療法はまだフェーズ2段階なのですね。あまり治療の選択の幅が無いトリネガ患者が希望を持てるような結果が出ると良いですよね。
>匿名さん
そうですね。メソトレキセートもマイトマイシンもトリプルネガティブに有効である可能性は十分にあるので期待したいと思います。
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