2012年10月18日木曜日

第21回乳癌学会学術総会〜来年は厳しそう…そしてiPS…


来年の6/27-29に静岡県の浜松市で行なわれる第21回乳癌学会学術総会の演題募集要綱が先日届きました。

今回の締め切りは11/28。例年より早いことがわかって少し焦っています(汗)。

今回の学会の会長は、乳腺領域の腫瘍内科の第1人者、浜松オンコロジーセンターの渡辺亨先生です。渡辺先生はとても著名な先生です。そして私も何度も学会や講演会でお話を伺ったことがありますしブログも拝見していますが、大変厳格な先生です。今回の演題採択もきっと今までに比べると厳しくなるのではないかと思います。

正直、今までの乳癌学会の演題採択は比較的基準がゆるい印象でした。どうしてこんな内容で全国学会に発表するんだろう?と思うような内容もたまに見かけていました(自分の発表内容も偉そうなことを言えるほどのものではありませんが…)。今回は、さほど珍しくないような症例報告や、何を言いたいのかよくわからないような抄録を書くと落とされてしまうような気がします。気を引き締めて準備しなければまずそうです…(汗)。

学会発表と言えば、iPS関連の問題がマスコミで話題になっています。よりによってあんなトピックな話題で、しかも世界で初めてという発表に虚偽があればすぐにばれるということがどうして彼にはわからなかったのか不思議でしょうがありません。

今までもあれに近いような発表があったのかもしれないという疑念を持つ方がいらっしゃるかもしれません。実際あれほどのトピックな話題でなければ嘘の発表をしても簡単にはばれないかもしれません。しかし、われわれ医療に携わるほとんどの人間は、自分の名誉や利益のためではなく、真実を探求するため、そしてそれが将来の患者さんのためになると考えてこのような研究や学会発表、論文作成を行なっていると私は信じたいと思います。

このような事件が原因で山中教授の偉大な研究に疑念を持たれたり、iPSを用いた今後の臨床研究に悪い影響が出ないことを心から願っています。そして山中教授の研究とは比べようもありませんが、「ちりも積もれば…」ということわざもありますので、今回の学会発表も頑張ってみようかと思います(もちろん、真実の”ちり”でなければ山にはなりませんが…)。

2 件のコメント:

ひまわり さんのコメント...

こんにちは、ひまわりです。
来年の学会に向けて大忙しですね。

先月、造営CT検査を受けました。
その結果肺の方に腫瘍が一つあり、微量ですが水が溜まっているとのことでした。
主治医がおっしゃるには、肺の症状として咳や息苦しさは無いですか?と聞かれましたがその症状は無く、治療もこれまでどうりランマークとフェソロデックス。あと利尿剤?を処方されました。それと定期的に肺の状態をみていくとの事でした。
肺の場合は呼吸器の専門を受診した方が良いのでしょうか?
フェソロに変えて三度投与されて、上昇続けていたマーカーの下がってきてはいます。
先生のご意見をお聞かせ下さい。

hidechin さんのコメント...

>ひまわりさん
そうですか…。少し心配ですね。
乳がんの再発の場合、例えば肺転移や癌性胸膜炎(胸水の貯留)が生じた時に呼吸器科の専門医に受診させるかどうかはその施設にもよりますし、病態にもよると思います。仮に呼吸器専門医に受診しても治療方針は結局乳腺外科医が立てますので、呼吸器専門医のアドバイスを要するのは画像診断が難しい場合や呼吸困難が生じた場合など限られたケースかと思います。必要があると判断すれば主治医が紹介してくれるか相談してくれると思いますよ。
私の施設では、基本的にこれらの再発は乳腺外科医が診ます。画像診断が迷う場合には呼吸器内科医や外科医に相談したり、癒着などで胸水の排液が難しい場合や肺転移の切除をする場合などでは呼吸器外科医にお願いすることはありますが…。脳転移の場合は脳外科や放射線科に相談しますが、乳腺外科医と言っても外科一般は経験していますので、ほとんどの再発の基本的な診断や検査手技、治療は乳腺外科医が行なうケースが多いのではないかと思います(乳腺内科や腫瘍内科がある場合はそちらで行なう場合もあります)。
腫瘍マーカーが低下しているのでしたらこれから胸水が減って肺転移が縮小する可能性もあるかもしれません。効果を期待したいですね。それではお大事に!