2013年1月17日木曜日

参考になった??ネット情報(笑)

先日外来で面白い出来事がありました。

その患者さん(Xさん)は、診断に苦慮していて現在病理標本のコンサルテーション中の方なのですが、針生検の結果のご説明の際に、”コンサルテーションの結果を待って、もしセカンドオピニオンのご希望があればお知らせ下さい”とお話ししたところ、”前回(細胞診の結果をご説明)受診したあとで、ネットでもいろいろ調べたのですが、先生がおっしゃったこととまったく同じことが書いてありましたので先生の判断を信じます”と言われたのです。

”それはどんなサイトなのですか?”とお聞きしたところ、”北海道の乳腺外科医が書いているブログみたいです”とのこと。”う〜ん、それはそうでしょう。おそらくそれは私が書いているブログですから…。”と言いたいところを我慢して、素知らぬ顔でお話を終えました(汗)

ネットで調べた情報が私が書いた情報ではなんの参考にもならないのですが、まあ信じていただけるのであればありがたいことです。でもなんだか不思議な感覚でした(笑)

最近、高校生の娘に連日数学を教えています。教えると言ってもこちらも30年くらい勉強していないのですっかり忘れてしまっています。教科書やテキストの答えを見ながら思い出しつつ教えているところです。昔、必死に勉強したころを思い出して楽しみながらやっています。そんなこんなで最近はブログの更新ペースがすっかり落ちてしまいました。土曜日からは、例の臨床研究グループの集まりで東京に行ってきます。

13 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

突然のコメント、申し訳ございません。

90歳の祖母が乳ガンです。
4年ほど前にしこりに気づき、かかりつけを受診し、超音波検査でおそらく乳ガンだろうと言われました。
祖母は手術は嫌だと言ったため、特に治療もせず、経過観察だけという形でたまに受診する程度でこれまで過ごしてきました。
が、しこりは徐々に大きくなり、たまに痛みも出るようになってきたようで、祖母の希望により先日乳腺の専門の個人病院を受診してきました。
マンモグラフィー、超音波、レントゲンを受け、やはり悪性のものと診断されました。
しこりは7センチ、根付いてないので局所麻酔で切除できるとのことでした。
しかし、祖母は高齢なこともあり、手術に踏み切る勇気がなさそうです。
娘である私の母も私も術後がどうなるのか不安で手術を受けることに積極的になれません。
しかし、このままそのままにしておいてもガンが進行して悪化して苦しむことになるのなら、やはり手術を受けるべきなのか…と答えが出ません。
どんなことでも構いません。
先生のお話をお聞かせください。

匿名 さんのコメント...

こんにちは。
抗がん剤の使用について悩んでいます。
49歳閉経前です。
昨年12月に温存手術をし、結果が出ました。
粘液癌 大きさ12ミリ リンパ節、遠隔転移なし
グレート1
ホルモンレセプター 陽性、ハーツ 陰性
Ki 67 18%
出きれば避けたい抗がん剤ですが、先生の考えはどうなんでしょうか?

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(90才の祖母の件の方)
>匿名さん(49才閉経前の方)
トップページにも書いているのですが匿名でのコメントが連続すると返答する時に困ります。コメントの最後にでも区別できるハンドルネームをお書きいただければ幸いです。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(90才の祖母の件の方)
高齢の方、特に90才ともなれば治療法の判断には悩みますよね。私ならまず針生検で組織を調べてみます。もしホルモン受容体陽性ならホルモン療法でしばらく経過をみます。反応してくれればそれで天寿を全うできる可能性は十分にあります(私自身そのような経験は何人かいらっしゃいます)。HER2陽性なら本来は化学療法の併用が必要ですが、高齢ですので心機能さえ問題なければハーセプチン単独の治療を考慮しても良いかもしれません。一番やっかいなのはトリプルネガティブ(ER、PgR、HER2ともに陰性)の場合ですが、この場合は切除を考慮しても良いかもしれません。ただしその大きさで化学療法もできないことを考えると再発のリスクは非常に高いです。
取り急ぎ以上です。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(49才閉経前の方)
はじめまして。
Ki-67が少し高いですが(Luminal Bに相当)グレード1であること(Ki-67は施設によって若干のばらつきがあることもあり、いまだにcut off値については様々な意見があります)、ホルモン感受性が高く、予後の良い粘液がんであること、腫瘍径も小さくリンパ節転移もないことを考えると、上乗せ効果が少ないと考えられるので化学療法は不要だと私は考えます。
もし主治医の先生が化学療法を勧めるようでしたら、その理由をしっかりお聞きして下さい。それではお大事に。

ラビット さんのコメント...

早速の返信ありがとうございます。
49歳閉経前で投稿しましたラビットと言います。
上乗せ効果というのは何か数字的なものがありますか?
主治医は、Ki 67の数値と腫瘍の大きさで、抗がん剤もありと勧めてます。

hidechin さんのコメント...

>ラビットさん
Adjuvant!Onlineというよく使われるツールで調べると、以下の通りです。

<10年生存率>
無治療 92.8%、ホルモン療法追加 93.7%、さらに化学療法(AC→T)追加 94.6%
<10年無再発生存率>
無治療 78.4%、ホルモン療法追加 84.9%、さらに化学療法追加 90.2%

一見一定の上乗せ効果はありそうに見えますが、このツールの最大の問題点は、HER2の結果が考慮されていないことです。もしHER2陽性を除くとこの結果よりもかなり上乗せ効果は小さくなります。またKi-67ではなく、核異型度(グレード)を採用しています。さらに組織型にはまったく配慮されていません(入力項目は、年齢、合併症の有無、腫瘍径、ER、grade、リンパ節転移個数のみです)。

以上より、おそらく今の乳腺外科医の中では、化学療法を上乗せすることをお勧めする医師は少ないのではないかと思います。ただし上で述べたようにデータとして不明な点もありますから化学療法を追加することば間違いだとは思いません。最終的には患者さんの意向というのも化学療法を行なうかどうかの1つの因子ですので主治医の先生とよくご相談の上でご判断下さい。

ラビット さんのコメント...

お早うございます。遅くに返信ありがとうございました。
分かりやすく、心強い回答に感謝してます。

月曜日の病院は、どこも大忙しですよね。
寝不足ではないですか?
今週も頑張っていきましょう!

N.T さんのコメント...

おはようございます。
90歳の祖母のことでコメントさせて頂いた者です。

昨日は早速の返信ありがとうございました。
お忙しいなかでのこと、本当に感謝しております。

そして名前の件、申し訳ありませんでした。


治療法、切除以外にも残されているのですね!!
本当に知識がないので、切除しかないと思っていました。

今回受診した病院の先生には切除のことしか言われず、その日にどうするか決断するよう急かされました。
祖母はそんなにすぐ決断できないと返事を待って頂くことにしてその日は帰ったのですが……

他の総合病院などでもう一度受診してみるべきなのかもしれないですね。

受診してから祖母は落ち込んでしまい毎日涙しています。
こんなことでは治るものも治らないですね。

祖母は高齢ですが、気はしっかりしています。
なんとか元気になってもらいたいです。

またコメントさせて頂くことがあるかもしれません。
その時はまたよろしくお願い致します。

寒い毎日です。
先生も御体お気をつけて頑張ってくださいませ。

ありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>ラビットさん
追加です。
コメントに書いた”粘液がんの予後は良い”というのは純型の場合で、混合型の場合は通常の乳管がんの予後に近くなります。純型の粘液がんでERの陽性率が高い場合を前提として書いていることをご了解ください。またもし金銭的な問題がなく、もう少し詳しく再発リスクをお知りになりたいのでしたらOncotype Dxという遺伝子検査を依頼するのも一つの方法です。

なお、ここで書いたコメントはラビットさんからいただいた情報から判断した私の個人的見解です。実際に診察し、検査結果を確認しているわけではありませんのでご参考程度にしてください。また、ラビットさんの場合、St.Gallen2011に照らし合わせるとLuminal B(HER2-)に相当しますので、化学療法は±(その他の状況をみて判断)となっています。ですから上のコメントで書いた、”化学療法を勧める乳腺外科医は少ないかもしれない”というのは言いすぎだったかもしれません。実際に診療されている主治医の先生の意見を最大限尊重した上でラビットさんのご希望についてお話してみてください。納得いく治療方針が立てられると良いですね。それではお大事に!

hidechin さんのコメント...

>N.Tさん
もし簡単に切除可能であれば切除するのが本当は一番良いと私も思います。ただできるだけ手術したくない、もしくは手術が危険という場合に選択できる方法があるかもしれないということです。
他の病院に受診するのも一つの方法ですが、同じ検査が必要になり金銭的にも身体的にも負担になってしまうかもしれません。おばあさまのお気持ちもよく考えた上で主治医の先生ともう一度ご相談してみてはいかがですか?
良い選択ができ、おばあさまが少しでもお元気になられることをお祈りしています。
それではお大事に!

ラビット さんのコメント...

わざわざありがとうございます。
粘液癌、hypercellular variant と書いてあったので、混合型ですね。

自分の都合の良い情報だけをみないようにしっかり治療します。

hidechin さんのコメント...

>ラビットさん
粘液がんは、乳管がん成分を含む混合型(MMBC)と含まない純型(PMBC)に分けられ、PMBCはさらにhypocellular variant(PMBC-A)とhypercellular variant(PMBC-B)に分けられます。ですからラビットさんは純型の中のhypercellular variantということになります。各亜型別の予後の詳細なデータは少ないですが、昔から言われているのは純型は混合型に比べて予後が良いということです。PMBC-AとPMBC-Bの差についてはなんとも言えませんが、昨年の乳癌学会ではhttp://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jbcs2012/201207/525702.html&cnavi=1のように報告されています。これによるとPMBC-Aがもっとも予後が良さそうですが少数のデータなのではっきりとは言えません。以上です。