夕方東京から帰ってきました。何度かここにも書きましたが、ある全国規模の臨床研究グループ(JCと省略)の北海道エリアの作業のお手伝いをしてきたのですが、今回はその内容を持ち寄って全体で討議するというMeetingが東京であったのです。
最初T先生から頼まれたときは十分内容がわかりませんでしたが(完全に理解できたのはこのMeetingでですが…)、要するに現在の乳腺診療(主に治療)におけるエビデンスが不十分ないわゆる”グレーゾーン”を洗い出して、その中で有意義な臨床試験を計画できないか討議するのが今回の主旨です。
まずは全国を6つのエリアに分けて、それぞれにテーマが与えられました(”トリプルネガティブ”、”DCIS”など)。今回の集まりまでに各地域で討議して4つのCQ(Clinical Question)に絞り込んで、それぞれについての臨床試験をデザインして発表するといった感じです。ただどこまで煮詰めた状態で発表するのかが今ひとつよくわからなかった(今回は概要のみの発表で、今回のプレゼンのあとで指示を受けて煮詰めるのだと考えていました)ため、北海道エリアは熟成が少し足りなかったような印象です。
代表のI先生のお話を伺って、”各臨床試験グループ、全国の乳腺外科医・腫瘍内科医が力を合わせたALL JAPAN体制で有意義な臨床試験を立案して日本から世界に新たな知見を発信したい”という強い思いが伝わってきました、これこそが今回JC以外の私たちのような乳腺外科医を巻き込んだ(表現は適切ではないかもしれませんが…笑)理由なのだとようやく理解できました。
国内にはJCを含めて4つの大規模な臨床研究グループがあります。今回のMeetingのもう一つの大きな意義は、はじめてこれらの4つの臨床グループ(JC以外は主に代表者)が一堂に会して、各エリアからの臨床試験案を一緒に吟味したということです。なぜこのことが意味があるのかというと、例えば対象患者さんが重複するような臨床試験を2つの臨床試験グループで別々に開始してしまった場合、臨床試験に登録する患者数がなかなか集まらず、質の高い結果が得られない、時間がかかるなどの問題が生じるからです。お互いに情報を共有して重複を避けて効率よく臨床試験を行なうほうが理にかなっているということです。
それにしても全国の若手乳腺外科医たちは非常に良く勉強しており、豊富な臨床試験に関する知識を有していることをあらためて感じました(北海道エリアはおそらく平均年齢が他のエリアより10才近く高いのでは…)。もっともっと勉強しなければついていけないと危機感をもって帰ってきました。
2 件のコメント:
こんにちは、以前コメントいたしましたまったりーなと申します。温存+広背筋皮弁で12月に手術し先週ようやく退院しました。予定より大きく切除が必要で(乳房の半分より少し多め400g)拡大広背筋皮弁に急きょ変更しての再建(600g入れたらしいです)となったようで、10時間も頑張っていただきました。本当なら形成での再建なのでしょうが、外科チームでの再建でした。外科が再建まで手掛けてくれるところは少ないと聞いています。術後の痛みが長引き、やっと、カロナールがほとんど効かず先生には苦労していただきましたが、ボルタレンからロルフェナミンに変えられそうです。ようやく、入れた筋肉の腫れが1か月以上たって収まってきつつあります。
今週放射線治療のできる病院へ紹介され受診予定です。自宅から病院まで1時間。雪の心配もあるので利便性から寡分割照射も考えてはどうかと現在の主治医からは言われています。実際30回(ブースト含む)は、正直きついのですが、寡分割照射の多施設合同研究中との説明を受けていますが、今後の治療は寡分割照射へ移行していく見込みなのでしょうか?安全性は?ご教示いただきたいと思います。
先生の参加されたmeeting、素人考えですが、放射線治療医や、形成外科医も一緒に考えていただけたら患者はとても心強いし、一連の流れの中で最善の治療が受けられるのではないかと思います。私の主治医は50代後半でしたが、私の時代は切るだけの時代ですから・・・と、海外出張を期に40台半ばの現在の主治医にかわりました。そして20代、30代の女性お二人とチームで作り上げてくださいました。
そして今は、仕事再開時に私に合う下着が見つかるのかというところにまで心配事が波及しています。まさか、乳帯で仕事に行けとは言われないとは思いますが、この時期に仕事に復帰される方もあるだろうしみなさんどうなさっているんだろうって思います。温存、全摘用のブラやパッドは結構普及していますが、再建後のブラってないんですよね。それも経過がどんどん変わる時期って・・・更にない。そんなところまでトータルで考えてくれるところがあればなあって思います。
悩みはとめどなく続きます・・・
>まったりーなさん
大変な手術、お疲れさまでした。
寡分割照射に関してですが、乳癌診療ガイドラインでは、「推奨グレードC1〜寡分割照射は,症例選択や心臓等への線量に留意し,細心の注意のもと行うことを考慮してもよい」となっています。ただ日本人のデータが少ないので現在、「乳房温存療法の術後照射における短期全乳房照射法の安全性に関する多施設共同試験(JCOG0906)」を行なっているところなのです。ですから効果と安全性の確認はまだ不十分な面はありますし、今後これが標準治療になるかどうかも不明ではありますが、メリットとデメリットを十分に納得した上で受けるのであれば、特に遠隔地に居住している場合などについては許容されると思います。
今回のMeetingは、乳腺外科医と腫瘍内科医がほとんどでした。放射線科医も数人参加されていたと思います。たしかに形成外科医もテーマによっては参加していただいたほうがよいかもしれませんね。
再建後の下着についての知識は私にも十分あるわけではありませんが、ワイヤーのないスポーツブラなどを温存術後にお勧めすることが多いので同様に考えても良いのではないかと思いますが…。主治医の先生にご確認願います。
それではお大事に!
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