2013年5月19日日曜日

PEM(Positron Emission Mammograohy)のお話

昨日は市内某ホテルにて製薬会社主催の研究会がありました。

この会はもう年々も続いている研究会で、毎回トピックな内容の講演を聴くことができます。今回の講演のテーマは、
①「PEM(Positron Emission Mammograohy)について」(ゆうあいクリニック 小澤幸彦先生)
②乳癌骨転移-BONE-Modifying Agentsの最適な使い方を目指して」(国立がん研究センター東病院 向井博文先生」
の2つでした。

PEMというのは、乳房専用のPET検査だと考えれば良いと思います。通常のPET-CTでは、小さな乳がんの検出率はあまりよくありませんでしたが、PEMではマンモグラフィのように乳房を挟んだ状態でさらに検出器を乳房に近づけることによってより明瞭な画像を作ることができるようになったそうです。マンモグラフィや超音波検査、MRとは異なり、PETやPEMは糖代謝が盛んな部位(がん細胞もその一つ)に核種(FDG)が集まることを利用した生理的機能を画像化した検査です。

いろいろな症例を見せていただきましたが、若年で乳腺濃度が高い方のマンモグラフィではまったく見えない腫瘤が明瞭に描出されていたり、指摘されていなかった多発病巣が発見されたりとなかなか優れものの器械だと思います。ただ、本当の早期(微細石灰化で発見されるような非浸潤がんなど)の検出率(感度)がどのくらいあるのかなどの検討はまだ不十分です。また一人あたり両側乳房で約40分かかること、被爆線量の問題(2.4mSv)、費用の問題(自費で3-4万円とのことですが、現状では必ず全身PET検査にオプションの形で追加されることになりそうですので自費で総額約13-14万円くらいになる見込みいうことです)など通常の乳がん検診としてマンモグラフィより適しているとは言い難いのが現状のようです。

ただMRと同様にある特定の対象(若年者、マンモグラフィでdense breastだったり人工乳房の入っている方)に対する検診としてや遺伝性素因のある方に対する追加検査として、乳がんと確定した患者さんの術式決定のための補助的検査や乳房温存術後の局所再発検索目的などにおいては有用性が期待できそうです。

骨転移の治療に関するお話は今までもここで何度か取り上げています。今回は技師さんたちが参加していたこともあり、骨転移とBone-Modifying Agents(ゾメタやランマーク)について基礎からわかりやすく説明して下さいました。ゾメタからランマーク(逆についても)への変更のタイミングや有益性などについて検証する臨床試験が計画されているというお話はとても興味深かったです。

2時間の講演会終了後は懇親会に参加して帰宅しましたが、とても勉強になりました。

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