2013年1月10日木曜日

がん臨床研究グループ(北海道エリア)の会議

昨日、全国規模のがんの臨床研究グループの北海道エリアの会議がありました。

この臨床研究グループは乳がんに限らず、様々ながんの治療などについて臨床試験を計画したり、研究活動を行ったりしています。今回は全国を6つのエリアに分けて、それぞれにおおまかなテーマ(たとえば「トリプルネガティブ乳がん」「非浸潤がん」など)を与えて、現在まだ十分なエビデンスが不十分な治療や検査法などについての研究テーマを掘り起こす作業を行っているところです。私自身はこの研究グループには所属していませんが、北海道エリアの責任者の先生にお手伝いを頼まれて仲間に入らせていただきました。

私は大学を卒業後、医局には入らずに民間病院に出たものですから、臨床試験などの研究には直接携わったことがありません。なかなかこのような仕事には慣れませんが、大学やがんセンター、乳腺クリニックのの先生方とディスカッションをするのは楽しいですし、勉強になります。北海道地区のテーマは、画像診断と局所治療についです。再来週の全国の関係者の討論会までに4つのテーマにしぼって持っていくことになっています。私が興味を持っていたテーマも採用されましたので楽しみです。ただ、興味があるということと、臨床試験でそれを証明するというのは別物です。自分が正しいと信じて行なっている方法が本当に有効であるということを臨床試験で証明するためには症例数を数多く集めて、長期間にわたって追跡しなければなりません。お金も時間も手間もかかりますので、質の高い臨床試験を行なうのはなかなか難しいようです。

それにしても昨日ディスカッションしていて、それぞれ臨床経験の長い乳腺専門医が集まっているのに、施設によって微妙に考え方が異なっているということが驚きでした。乳房温存術後の局所再発チェックにマンモグラフィにエコー検査を併用している施設、しない施設、断端陽性の場合に再手術を勧める基準、センチネルリンパ節に転移があった場合に郭清をどうしているか、などエビデンスがまだ十分ではない、または新たな知見が加わった部分については、かなり施設間の違いがあるようです。

来週末は東京で長時間にわたる議論が展開されます。疲れますが得られるものも大きいですので今から楽しみです。

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