2013年2月27日水曜日

乳腺術後症例検討会 25 ”ドキドキ!”

今日は定例の症例検討会がありました。いつも通り技師さんたちが準備をしていたのですが今回は諸事情であまり良い症例がなかったため、時間が余ったら提示しようと思って今後の症例検討会を含めた乳腺診療活動についての原案をスライドにまとめて用意していました。

今回は今ひとつかなあと技師さんたちと話しをしていたのですが、昼休みに突然関連病院のT技師から電話が入り、全国的にも著名なK乳腺クリニックの超音波技師のSさんが症例検討会に参加したいと連絡が入ったとのこと。よりによって今月かあ…(汗)と思いつつ、せっかくなので物足りないかもしれませんが是非ご参加下さいとお返事しました。

で、Sさんが参加されるということでドキドキしながら症例検討会が始まったのですが、今回はK乳腺クリニックからだけではなく、他の施設の技師さんたちも多く参加して下さり、先月以上に大盛況となりました。今回も超音波検査室で行なったのですが熱気でむんむんするような状況の中、症例検討会は進行しました。

今回の症例は画像診断上、特に珍しい症例はありませんでしたが、悪性黒色腫も鑑別に上がった未分化がんの成分を有した充実腺管がん、マンモグラフィで構築の乱れを呈した硬がん、腫瘤を自覚して来院し、乳がんを疑った炎症性腫瘤、閉経期に増大傾向を呈した線維腺腫の4例でした。

それぞれ活発な意見が出されましたが、Sさんがタイムリーに発言された超音波画像に関する技術的な問題点の指摘はとても勉強になりました。私自身は超音波検査をしているわけではありませんので、なかなか技術的な問題点について適切なアドバイスや指導をすることは難しいのですが、Sさんは日常あまり気にしていないような細かい点についてアドバイスして下さったので技師さんたちは大変勉強になったと思います。今回は、3月に行なう勉強会の参考にしたいということがSさんがこの症例検討会を見学する主な目的だったようですが、これからも機会があれば是非参加して助言をいただければと思いました。

症例検討会終了後には、私が用意したスライドで2013年度の活動計画についての案を提示しました。来年度は、症例検討会の充実や学会発表などはもちろんですが、今までなかなか実現できなかった細胞診や超音波検査、放射線検査に関する招待演者による講演会や学術交流合宿を企画したいということを強調しました。

これからも技師さんたちや他科の医師と協力しながらこの会を充実させていけたらと思っています。

2013年2月21日木曜日

暴風&大雪!

昨夜は雷が鳴るほどの荒れ模様で、ものすごい地吹雪でした。寝る前に除雪しようと思って外に出てみるとあまりの風の強さで玄関前はあまり雪が積もっておらず、駐車スペースの隙間に吹きだまっているくらいでした。

ところが今朝起きてみると玄関フードの出入り口の高さ以上にまで雪が積もっていて、さらに大雪が続いている状態でした(汗)いつもならとりあえず除雪に取りかかるのですが、6時に起きたときから激しい頭痛とだるさで、もしかしたらインフルエンザかも…と思い、とりあえずG先生に午前中は様子を見みる旨をメールして休んでいました(結局G先生も大渋滞で病院に着いたのは10時過ぎだったようですが…)。

私の自宅がある場所は札幌の北のはずれにあり、どちらかというと石狩や当別の天候に近いため、札幌の天気予報は当てになりません。ネットの情報では私の自宅付近では今朝6時までの12時間で49cmの雪が積もったそうです。交通網は完全に寸断され、JRもバスも止まってしまいました。娘もバス停でしばらく待ちましたがまったくバスが来ないため戻ってきました。結局そのままこの地区の学生は休んでも良いことになりました。

そんな状態でしたので今日は出勤は無理だと思っていましたが、頭痛が治まり、雪も小降りになってきたので除雪に取りかかることにしました。1時間半くらいかかって家の前と2台の車の周囲の除雪が終わりました。ようやく車が出せるようになったのでなんとか出勤することができました。

病院周辺もかなりの積雪で、空いている駐車場に止めようとしたら埋まりかかったので諦めて別の安全そうな場所を探して駐車しました。今日は私に限らず、病院から離れた場所に住んでいる職員の多くは大遅刻だったようです。患者さんの数も少ないような印象でしたが、午後の乳腺外来は天気が回復したためかだいたい予定通りの患者さんが来院されました。細胞診の結果をお話しする患者さんが3人いらっしゃったので休まなくて良かったです(汗)

その後は天候の悪化は今のところありません。でも週間天気予報では今週いっぱい雪が降るようです。もう雪はいらないです(泣)

2013年2月17日日曜日

2013年 患者会新年会

昨日、市内某ホテルで少し遅めの患者会新年会が開催されました。

場所は昨年と同じ市内が展望できる19Fの和食レストランの個室でした。患者さん、外来・病棟看護師、担当事務、医師で横長の個室はびっしりでした。

食事は昼からかなりボリュームのある料理でしたがなかなかおいしかったです!
写真はその一部です。真ん中にある魚の唐揚げは小さなフグだったようですが、これを骨ごと食べるか骨を取ってから食べるのかでけっこう盛り上がりました(笑)。私は何も考えずにそのまま食べれるものと思い込んで食べてしまいましたが(けっこう歯ごたえはありましたが…)、患者さんが取り出した骨を見るとかなりの太さでびっくりでした(汗)。でも丸ごと食べる派と骨を取る派は半々でしたので仲間がいて良かったです(あとで腸管穿孔が起きなければ良いのですが…汗)。

昨日は朝からかなりの雪でしたし、夕方からもかなり降りましたが、ちょうど新年会の間だけとても良い天気できれいな景色を見ながら楽しい時間を過ごせて良かったです!

2013年2月11日月曜日

ワーキング サバイバーズ フォーラム〜がんと仕事〜

先日ここでご紹介しましたが、今日、京王プラザホテル札幌で「ワーキング サバイバーズ フォーラム〜がんと仕事〜」(ピンクリボン in SAPPORO実行委員会主催)が開催されました。


この取組みは今回で2回目ですが、私は前回は都合がつかなくて参加できませんでしたので今回が初めての参加でした。私たちの病院からは外来の看護師と私の2人だけでしたが、会場は100人以上の患者さん、医療関係者、企業の方などでいっぱいでした。

まず最初にCSRプロジェクト副代表理事の近藤明美さんによる「がん体験者の就労・雇用に関する取組」という演題の講演がありました。


近藤さん自身、乳がん患者であり、術後に社会保険労務士の資格を取ってこのプロジェクトに参加したというご経験をお持ちの方です。スライドを使ってわかりやすくがん罹患と就労問題、就労・雇用支援に関する取組み、第2次がん対策推進基本計画と就労、これからの就労・雇用支援などについてご説明していただきました(CSRプロジェクトHP http://workingsurvivors.org/)。

スライドで紹介されたアンケート結果などを見ても、いまだにかなりの方ががんと診断されてから仕事に対する問題(退職、解雇、配置換えなど)に直面していたということがあらためてよく理解できました。

CSRプロジェクトでは、3つの就労支援として、
①場づくり(相談、話せる、共有する場→サバイバーシップラウンジ、個別電話相談)
②ツールづくり(情報発信→がん経験者、企業、支援者に対する書籍、パンフレットなど)
③人づくり(スキルアップセミナー、企業向けセミナーなど)
を行なっているそうです。是非一度CSRの書籍(「がんと一緒に働こう!必携CSRハンドブック」は、がんになった時に仕事を辞めることを決める前に一度読んでみると良さそうです)やパンフレットを読んでみたいです。また、もし札幌でこのようなセミナーがあれば私たちの病院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)も参加させたいと思いました。

次に4人の演者による各7分間のリレートークがありました。アスパラの会(婦人科がん患者会)代表 大島寿美子さん、あけぼの会北海道支部長 関川正美さん、市立札幌病院乳腺外科 大川由美先生、北海道保健福祉部健康安全局地域保険課がん対策・健康づくりグループ主幹 永沼郭紀さんの4人がそれぞれの立場から、がんと就労の問題について語って下さいました。残念ながら時間の制限がありましたので質問はできませんでしたが、就労問題について私たちが今後取り組んでいくべき課題のヒントをいただいたような気がします。

そのあと情報交換会として、三角山放送局のパーソナリティでもあり、上半身のみで踊る「チェアーフラ」のサークルを立ち上げた武部未来さんらによる聴衆も参加してのチェアーフラで盛り上がり、軽食を摂りながらのパーティが行なわれました。


パーティでは、久しぶりに小樽の患者さんたち(SNSやブログでのお知り合いです)ともお話できましたし、悪性リンパ腫の患者会の方が私たちの病院でもともと手話通訳をされていたというお話を聞いて盛り上がったり、協賛企業のキリンビバレッジの方々とは新病院にピンクリボンロゴ入りの自動販売機を入れていただくように依頼したお話をしたりと楽しい時間を過ごさせていただきました。

がん患者さんの就労・雇用問題というのは、企業側の様々な課題もありますのですぐに大きく変えることはできないかもしれませんが、このようなイベントを地道に継続すること、マスコミでももっとこの問題を取り上げてもらうことが(今日もTV局が来ていました)さらに国や地方自治体、企業を動かす力となり、いずれがん患者さんの就労・雇用問題の解決につながるのではないかと私は思います。来年ももしこのようなイベントが開催されたら、もっと多くの職員を誘って参加したいと思います。

2013年2月7日木曜日

MR検査の注意点

日常臨床にかなり浸透してきたMRですが、乳腺領域においてもその有用性は確立してきています。私が学生だった今から25年ほど前に”NMR”という名称の最新の診断機器として”Newton”という雑誌に掲載されていたことを今でも覚えています。

乳腺領域におけるMRの活用例は以下の通りです。

①乳がんの広がりの診断(温存術の適応の判断)
②術前化学療法の効果判定
③骨転移の診断と評価
④脳転移の診断と評価
⑤肝転移と原発性肝がん、血管腫の鑑別診断

乳がんと診断されたらおそらく一度は受けることのあるMRですがいくつか注意点があります。以下にガドリニウム造影剤(乳腺MRに使用)を用いたMRの禁忌や注意点について記載します。

<禁忌(MRは不可)>
①ガドリニウム造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者
②重篤な腎障害のある患者(GFR<30)…腎性全身性線維症を起こすことがある。 <原則禁忌(投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与する)> ①一般状態の極度に悪い患者 ②気管支喘息のある患者…ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがある(通常の2倍以上との報告あり)。また、喘息発作を誘発することがある(発症のタイミングは不明)。 ③重篤な肝障害のある患者…肝機能に影響を及ぼすおそれがある。 <慎重投与> ①アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者 ②両親、兄弟に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者 ③薬物過敏症の既往歴のある患者 ④既往歴を含めて、痙攣、てんかん及びその素質のある患者 ⑤腎障害のある患者又は腎機能が低下しているおそれのある患者 ⑥高齢者 ⑦幼児又は小児


その他、一般的なMR(造影の有無を問わず)の禁忌として、体内に金属(心臓ペースメーカー、埋め込み式除細動器など)を挿入している方などがあります(金属は種類や部位によって撮影可能な場合もあります→詳細は担当医にご確認を)。また、狭い場所が苦手な方(閉所恐怖症)、撮影体位の維持が困難な方は撮影できない場合があります。

*追記*
刺青を入れた方(成分に金属を含有している場合)やヒートテックなどの金属を含む下着を着用しているとやけどをすることがありますので注意が必要です。


いつも迷うのは、乳房温存術を予定している患者さんに喘息の既往がある場合です。”原則禁忌”となっている以上、慎重な判断が必要です。MRを行なわないのが一番安全ですが、広がり診断が不十分になるため、断端陽性率が高くなる可能性があります。ステロイドを前投与してからMRを撮影するという方法もありますが、その予防効果についてはデータが不十分です。また、アナフィラキシーは数時間から1日くらいあとに発症することもありますし、喘息発作の発症時期は調べた範囲内では不明でした。つまり、MR撮影時に問題なくても帰宅後に発症する可能性があるということです。

15年以上前、中規模の病院で当直をしていた時に消炎鎮痛剤が原因の重篤な喘息発作の患者さんに遭遇したことがあります。その方は車で来院したのですが、問診をとっている間に真っ黒になって呼吸停止を来たし、目の前で倒れたのです。直ちに補助換気を行ない、気管内挿管して助けることができましたが、もし病院に到着する前に呼吸停止したらおそらく助からなかったでしょう。その方は本当にひどい発作で翌日まで気管支拡張作用のある麻酔薬を用いてなんとか改善しましたが、薬剤起因性の喘息の怖さを身をもって実感しました。

そういう経験があることもあり、私は喘息発作の既往のある患者さんへの造影MRはとても慎重になります。もしどうしてもMRが必要だと判断したときは入院後に行なうようにしてきました。ただ、MRの結果で手術前日に温存予定が覆ってしまうと患者さんの気持ちの整理がつかない可能性もあります。安全を考えてそのようにしているのですが、結果的にそうなってしまった場合にはとても心が痛みます。

2013年2月5日火曜日

細胞診で”検体不適正””Class0””細胞がない”と言われた場合

乳腺に病変が見つかった場合、明らかな良性と判断できなければ細胞診、または組織診(針生検など)が行なわれます。

細胞診の判定は、長くClass判定(パパニコロウ分類)が用いられていました。ClassⅠ(正常細胞)からⅤ(悪性)までに分類され、細胞が標本上にない場合にはClass0と表記されていました。この分類はいくつかの不都合があったため、乳癌取扱い規約第15版から、以下のように分類が変わりました。

a)検体不適正
b)検体適正
・正常あるいは良性
・鑑別困難
・悪性の疑い
・悪性

この中で、”検体不適正”と判定される原因について以下にお示しします。

①目標の病変に当たっていない…これは本来論外なのですが、以前超音波ガイド下で穿刺していなかった時代にはありました。超音波ガイドで行えばほとんど可能性はないのですが、非常に穿刺しにくい場合(薄い乳腺や硬い乳腺内の小病変など)には起こりえます。穿刺した際に、ターゲットにきちんと命中したか、針先は十分に追うことができたかを記載しておくと万が一細胞がなかった場合に再検査が必要であるかどうかの判断の助けになります。
②標本が乾燥して変性をきたした…針からプレパラートに検体を吹き付ける際にアルコールに漬けるまでに時間がかかるとすぐに乾燥してしまいます。できるだけ迅速にアルコールに漬けることが重要です。
③細胞の挫滅・破壊…プレパラートを強くこすりあわせることによって起きます。私の施設では大量に細胞が取れすぎた場合以外はプレパラートを合わせずにアルコール固定します(リンパ節や甲状腺腫瘍の穿刺でギムザ染色をする場合は合わせます)。
④末梢血の混入、細胞が取れすぎて厚くなった…観察がしづらくなり、判定が難しくなります。
⑤ターゲットが腫瘍ではなく、乳腺内の脂肪組織であった…脂肪はアルコールに溶けるため顕微鏡で見る時には何も残っていないことがあります。
⑥非常に強い線維化が起きている組織…例えば糖尿病性乳腺症などの病変ではしつこく引いても細胞が採取できないことがよくあります。

①-③はある意味、検査者側の問題によるものと考えられます。
④はアクシデント的な要因です。複数回穿刺することで避けることができます。
⑤⑥は病変自体の性質によるものですのである意味当然というかやむを得ない結果と言えます。⑤の場合には、アルコールに溶けたことを所見用紙に記載しておくと脂肪であったことが推測できますが、何も書いていないと命中していない可能性が否定できず、検査を繰り返したり、無用な針生検をしてしまうことにつながります。⑥については、あらかじめそういう病変の可能性が高い場合には最初から針生検をする方が確実に診断できます。

以上のように、”検体不適正”であっても必ずしも”検査の失敗”とは限らないのです。ただ、検査する側の適切な判断で無用な再検査を避けることができる場合もあります。そのあたりは経験と適切な判断力が必要になります。


2013年2月1日金曜日

Cancer board〜進行胃がんの症例〜

今日は院内のCancer boardがありました。Cancer boardについては以前もここでご説明しましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/06/cancer-board.html、http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2012/10/cancer-board.html)、今回の担当は消化器センターでした。直接乳がんとは関係ありませんがいろいろ感じるものがありましたので少し触れてみたいと思います。

患者さんは、診断時にすでに肝転移を伴っていたⅣ期の進行胃がんでした。手術適応はなかったため、標準的な化学療法を行ないましたが、間もなく悪化がみられ、非常に厳しい状態でした。患者さんは会社を経営しており、まだ比較的お若いこともあって、可能な限りの治療を受けたいという意志を持っていたそうです。

主治医は標準的な治療以外の可能性を追求し、原発巣と肝転移に対する放射線治療、肝転移に対するラジオ波治療や動注療法などを行ないました。その効果があって5年後には原発巣はほとんど確認できない状態となり、肝転移もずっと縮小したまま不変の状態となりました。ただ抗がん剤による副作用が強くなってきたため、その時点で治療を一度中止することになったのですが、その後2年間、落ち着いた状態で過ごすことができました。最終的には初診から7年たった時点で急速な肝転移の悪化をきたし、治療の再開にも反応せずに亡くなってしまいましたが、Ⅳ期の胃がんでここまで生存できたのは、患者さんの辛い治療に耐えてでも少しでも長生きしたいという強い意志と主治医の患者さんの思いに応えたいという思いがあったからではないかと思います。

乳がん領域においてもエビデンスが十分ではない治療を学会で発表すると、フロアからは、”なぜそんなエビデンスのない治療をするのか?”外科医の自己満足ではないのか?”という意見が必ず出ます(乳腺外科医より腫瘍内科医から出ることが多いです)。たしかにそういう面もあるのかもしれませんが、ほとんどの医師は、目の前の患者さんをなんとかしてあげたいという気持ちから精一杯治療を考えている結果だと私は思います。そして実際の医療の中で、確固としたエビデンスのある治療や検査というのはむしろ少ないのが現実です。エビデンスは重要ですが、エビデンスに縛られて身動きできなければ、医学の進歩はないですし、目の前の患者さんにエビデンスだけを突きつけることは人間的だとは思いません(異論はあると思いますが)。

少なくとも今回の患者さんに対して、エビデンスのある治療だけを行なったとしたらここまで生存することはできなかったでしょう。抗がん剤中断後の2年間の平穏な生活を送ることもできなかったと思います。目の前の患者さんをなんとかしてあげたいという主治医の強い思いが、この奇跡を起こしたのだと私は思うのです。