2015年5月31日日曜日

”第1回 東区乳腺疾患セミナー”

先日の金曜日に私たちの病院会議室において、乳腺センターとC社共催による第1回の”東区乳腺疾患セミナー”が開催されました。

この会は、定例で毎月行なっている、乳腺術後症例検討会の特別バージョンとして、以前から企画していたものです。今回は特別講演の演者として、元G病院で乳腺細胞診の第1人者としてご活躍され、現在もさまざまな学会や研究会などでご多忙な毎日をすごされていらっしゃるI先生をお招きしました。

I先生は、私やG先生がG病院で研修したときに大変お世話になった先生です。いつも緊急で細胞診をした患者さんの検体を夕方に持っていっても嫌な顔一つ見せずにすぐに染色をして診て下さったり、毎週夜に細胞診の勉強会(数枚のプレパラートを用意していただいて、研修医が見て診断するテストなど)を開いて下さいました。I先生はとても熱心に教えて下さるので、終わるのが夜の10時過ぎになることもよくありました。乳腺外科医としての細胞診検体の作り方や依頼書の書き方などについても御指導いただき、その教えは札幌に戻ってもずっと忘れずに守っています。

今回の講演会には、私たちと同じようにI先生にお世話になったことのある市内の先生方や技師さんたちに広く声をおかけしましたので、88人もの方に集まっていただくことができ、大盛況でした。I先生のお話も、乳腺細胞診の基礎から誤診を防ぐためのコツなど今後の日常診療に役立つお話をして下さり、期待通りの内容でした。私たちの施設の病理医や細胞診断士もこのご講演内容はもちろん、講演前に病理検査室で行なわれた症例カンファレンスでI先生のアドバイスをいただいて、とても勉強になったことと思います。

I先生のご講演後に、いつもの術後検討の症例も用意していたのですが、予想通りフロアから何人も質問があったために時間がなくなり次回に先送りになりました。しかしそれだけ価値のあるご講演だったと思います。

司会をしていた私だけがダメダメで申し訳なかったのですが、大変盛り上がった講演会で良かったです。講演会終了後には、私たちの施設の乳腺外科医、病理医、細胞診断士、超音波技師、釧路の関連病院の検査技師、そしてI先生の10人ですすきのに移動して懇親会を行いました。始まったのが21時過ぎでしたのであまり時間はありませんでしたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。

今回は講演会ということで来ていただきましたが、今度はゆっくり時間をかけて病理医と細胞診断士に細胞診断の指導をしていただければと思っています。

2015年5月18日月曜日

7/19はさっぽろホコテンでピンクリボンロード!

先週の水曜日にピンリリボン in SAPPOROの理事会が某ホテルの和食処で行なわれました。

昨年度の会計報告と今年度の活動予定などを話し合ったのですが、今年度もさまざまな活動を行うことになりそうです。田中賢介選手も日本ハムファイターズに戻ってきてくれましたので、またアウトの数に応じて無料乳がん検診をプレゼントという企画が復活します。まだ受け付けていますので、最近乳がん検診を受けていないという40才以上の方はこの機会に応募してみて下さい(ピンクリボン in SAPPOROのHP http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/の中にある”田中賢介 ピンクリボンプロジェクト”のバナーをクリックして下さい)。なお、このプロジェクトには年齢制限はありませんが、マンモグラフィ検診の有効性のエビデンスがあるのは40才以上ですので、40才未満の方は有効性(家族歴があるなど)と不利益(被曝、痛みなど)をよくご検討した上でご応募願います。



そして今年もまた夏(例年より早い7/19です)に大通のさっぽろホコテン(中央区南1西3)で”ピンクリボンロード”が行なわれます。詳細は上記のHPに記載がありますが、今年も私たちの施設でブースを出す予定です。きっとまたG先生が超音波検査の乳房モデルを作ってくれると思いますので、是非本物の超音波検査の器械を使ってしこりを探してみて下さい(写真は昨年のブースの様子です)。



ここのところ、乳癌学会や院内で開催される講演会、某製薬会社の社内学習会の準備などに追われてすっかりブログがご無沙汰になっていました。今日も超音波技師さんの学会発表の演題を探すためにパソコンの患者台帳を見すぎて眼痛がひどくなっていましたが、なんとか更新することができました(汗)。これからも無理せずマイペースで更新していきます。

2015年5月11日月曜日

夕食事の赤ワイン1杯で糖尿病患者の脂質・糖代謝が改善!

昔から少量の赤ワインは健康に良いとされてきましたが、今回夕食事の1杯の赤ワインが、糖尿病患者の脂質・糖代謝を改善するという研究結果が欧州肥満学会(ECO2015,5月6~9日,チェコ共和国・プラハ)で報告されました。

概要は以下の通りです。

臨床試験名:
CArdiovaSCulAr Diabetes & Ethanol(CASCADE)試験(ランダム化比較試験)

発表者:
イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのIris Shai氏ら

対象:
良好にコントロールされた飲酒習慣のない成人の糖尿病患者224例

方法:
対象者を①赤ワイン②白ワイン③ミネラルウオーターのいずれかを2年間,毎夕食時に150mL摂取する群にランダムに割り付けた。いずれの群も食事はカロリー制限なしの地中海食とし,栄養士によるグループセッションを試験開始後3カ月間は1カ月ごと,その後は3カ月ごとに実施。複数の食事評価ツールを用いて食事内容を評価し,ワインの摂取についても厳格にフォローした。ワインは同じ種類が無料提供された。

結果:
試験遵守率は1年後94%,2年後87%だった。
ミネラルウオーター群に比べ赤ワイン群ではHDL-コレステロール(HDL-C)およびアポリポ蛋白(apo)A1がわずかに上昇し,総コレステロール(TC)/HDL-C比,トリグリセライド/HDL-C比,apoB100/apoA1比が減少した(全てP<0.05)。また,赤・白ワイン群ではミネラルウオーター群に比べ糖代謝がわずかに改善し,特に赤ワインによる改善効果が大きかった。
さらに,赤・白ワインによる血糖コントロールのパラメータ改善効果は,アルコールの分解が早いことに関連する遺伝子変異を有する患者(ADH1B*2キャリア)に比べ,アルコールの分解が遅い患者(野生型ADH1B*1)で優れていた。
なお,ワインの摂取は薬物治療の内容や血圧および肝機能マーカーに影響しなかった。

結論:
・赤・白ワインはいずれもミネラルウオーターに比べてわずかに糖代謝を改善。また,赤ワインを摂取した患者では脂質プロファイルも有意に改善した。
・健康的な食事に加えて少量のワイン,特に赤ワインを摂取することは安全で心血管・代謝リスクを軽減できる。
・アルコールの分解能に関連する遺伝的素因の違いによってワインによる血糖コントロールのパラメータ改善効果に差が認められたという結果はアルコールが一定の役割を果たしていることを支持している。
・白ワインよりも赤ワインの方が心血管・代謝プロファイルの改善に優れていたことから,赤ワインに含まれるアルコール以外のなんらかの成分が寄与した可能性もある。


赤ワイン好きの私にはなんともうれしい報告です(笑)。ただ、グラス1杯以上(例えばボトル1本…)、毎日飲んだ場合にどのような結果をもたらすかは不明です(汗)。E先生、お互いに気をつけましょう(笑)

なお、アルコールの過量摂取は、乳がんの発症率を上げるとされていることも併せて記しておきます(どのくらい以上ならリスクになるのか、また乳がん患者の再発リスクも上げるのかについては不明な点もあります)。なにごとも控えめくらいが無難なんでしょうね!