2013年12月28日土曜日

仕事納め

昨日は仕事納めでした。

午前からの手術が終了した15時ころから外科の1年間の総括会議を行ないました。乳がんの手術件数は昨年とほぼ横ばいで、まだ新病院効果は現れていませんが、病院内外でのさまざまな医療活動には積極的に取り組むことができた1年だったと思います。来年はさらなる工夫で乳腺センターの発展を目指したいと思っています。

夜は外科の忘年会でした。N先生は残念ながら当直でしたが、関連病院のH先生や研修医数人も加わってけっこうな人数で楽しい時間を過ごすことができました。

今日からは土日も含めて年末年始の体制になります。病棟には、緩和病棟の2人の患者さんも含めて5人くらいは病棟での年越しになりそうです。私の病棟当番は30日だけですので、呼び出しがなければのんびりできそうです!

2013年12月25日水曜日

ワーキング サバイバーズ フォーラム〜がんと仕事〜 2014

今年の2月に行なわれた「ワーキング サバイバーズ フォーラム〜がんと仕事〜」ですが、来年も2014.2.9(日)に京王プラザホテルで行なわれます。今日、主催のピンクリボンin SAPPOROの事務局の方が見えてチラシを置いていって下さいました(写真)。


このフォーラムは、乳がんに限らず、様々ながん患者さんの就労問題について考えることがメインテーマです。このような取り組みを続けているCSRプロジェクトの桜井なおみさん、自宅でパソコン、インターネットを利用してのIT技術習得の訓練と就業支援を行なっているワイズスタッフの田澤由利さんの基調講演など、就労や労働問題に関するお役立ち情報が得られる貴重な機会です。終了後には懇親会もあります。

詳細は、HP(http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/)をご覧下さい。参加には事前申し込みが必要です。同HPの申し込みフォームをご利用下さい。また実行委員のいる病院にはチラシが置いてある場合もありますのでこれをご利用されてもけっこうです。

なお、このフォーラムの前には、北海道対がん協会のご協力を得て、無料マンモグラフィ体験(申し込み先着40名限定)が行なわれます。今までマンモグラフィを受ける機会がなかった方はこのチャンスをご活用下さい!

2013年12月19日木曜日

針生検で鑑別困難?

乳腺疾患の診断は、触診、画像所見、病理学的検索で行なわれます。

特に病理学的検査の比重は大きく、最終判断の根拠となります。病理学的検索方法には大きく分けて4つあります。

①細胞診…病変に細い針(21-22G)を刺して注射器で吸引して引けた細胞を見て元の病変が良性か悪性かを”推定する”検査です。あくまでも推定診断ですので、間違いということもあり得ます。画像検査との整合性がなければ無理に診断せずに次の手段に進むべきです(施設によっては細胞診をしないところもあります)。浸潤がんの場合はだいたいはこの検査で診断がつきます。

②針生検(CNB)③吸引組織生検(VAB)…14-18Gという太さの針で組織を切り取ってくるのがCNB、8-14Gという太い針を穿刺して側孔から陰圧をかけて吸引して切り取ってくるのがVABです。組織を直接診るので通常これが最終診断となりますが、乳腺疾患、特に乳管内乳頭状病変(乳管内乳頭腫や非浸潤がん)の鑑別診断は非常に難しいため、これらの検査を行なっても確定診断に至らないことがあります。特にCNBではVABに比べると組織採取量が少ないために、時に”鑑別困難”となるケースが出てきます。

④外科的生検(切開生検、切除生検)…病変の一部または全体を外科的に切除して病理検索する方法です。病理検索する量が②③に比べるとはるかに多いため、これは最終診断となります。昔は細胞診の精度が低かったため(診断できる医師や細胞診断士が少なかった)、しこりがあればすぐに外科的生検を行なっていた時代がありました。最近では上記の検査法が普及したため、確定診断に④を要するケースは非常に少なくなっています。ただし、どうしても診断がつかない場合や、仮にCNBで良性となっても分泌があるために切除が必要とわかっている場合などはCNBやVABをせずに外科的生検(Microdochectomyなど)を行なう場合もあります。

明らかな浸潤がんの場合は細胞診で診断がつきますし、非浸潤がんなどの場合でもCNBを行なえばだいたいは診断可能です。ただ上で述べたように数多くの乳腺疾患を扱っているとたまにCNBでも良悪の鑑別が難しい場合が出てきます。こういうケースで病理医が無理に診断しようとすると誤診が生まれる原因になります。私たちの施設では、このようなケースでは病理医と乳腺外科医でカンファレンスを行なって、必要があれば東京の坂元記念クリニックにconsultationをお願いすることにしています。VABや外科的生検を行なっても良いのですが、坂元乳腺クリニックには日本の乳腺病理の第1人者の先生方がそろっていますので、CNBの組織で確定診断ができれば患者さんの負担も少なくてすむからです。

最近、またそのようなケースが発生しましたので病理医に依頼して送ってもらいました。最終診断には少し時間がかかりますが、あっても非浸潤がんですので多少待っても大きな問題にはなりません。おそらく非浸潤がんだとは思うのですが、できればconsultationで最終診断がつくことを期待しています。

2013年12月16日月曜日

第22回日本乳癌学会学術総会 明日抄録締め切り!

来年の第22回日本乳癌学会学術総会は、7/10-12に大阪で開催されます。その抄録締め切りが明日に迫っています。

私自身は、かなり前にほぼ完成していたので最近は締め切りも忘れてだらだらしていましたが、N先生とG先生はなかなか抄録を送ってくれないので少し心配していました。昨日、ようやくN先生からの抄録が届いたので、少し修正を加えてほぼ完成することができましたが、G先生からはいまだに届いていません…(汗)。間に合うのか少し心配ですがきっとなんとかするでしょう。

私たちの病院のように症例数がそれほど多くない施設では、学会で報告できるような大規模な比較検討などはなかなか難しいのが実情です。今までも様々な問題意識を持ちながらテーマを探して報告してきましたが、症例数が少ないと言えることに限界があります。したがって自然と症例報告の発表の割合が増えてきてしまうのですが、W先生のブログなどを拝見すると最近の乳癌学会学術総会の傾向としては症例報告は地方会で!ということらしいです。

たしかに学会に参加していると、”どうしてこんなものが全国学会の演題になるんだ?”というような症例報告を見かけることはあります。質を高めることには反対はしませんが、症例報告だから地方会でという考え方はまだ早いように思います。規模の大きな研究は、できる施設が限られてしまいます。エビデンス重視の現代において勝手に民間施設で新しい治療法などを試みることもできません。多施設共同研究をすれば良いと言うかもしれませんが、日常診療に追われながらではなかなかできるものではありません。

と言いわけばかり書きましたが、結局今回の私の演題は症例報告です(笑)かなり貴重な症例だとは自分では思っているのですが、まあ落とされたら仕方ないと割り切ることにします!

2013年12月11日水曜日

乳腺術後症例検討会 29 ”年内最後!”

いつもは月末に行なわれるのですが、先月の月末の日程調整がつかず、今月末が年末ということもあって、今日、年内最後の乳腺術後症例検討会が行なわれました。

今日は院外からの参加者が多かったためか、会議室が一杯になりました。症例は、壊死が非常に強かった充実腺管がん、Mucocele-like tumorのように見えた非浸潤がん、超音波検査では1cmくらいの腫瘤径だったのに、最終病理では3cm以上の浸潤径があり、乳管内進展も著明だった硬がんの3症例でした。

何年もこの症例検討会を続けてきていつも思うのは、乳がんの診断は本当に難しいということです。良悪はもちろん、組織型、広がりなど、いつも勉強させられることばかりです。参加者にとってどのくらい役立っているのか不安になることもよくありますが、少なくとも私の目から見ると私たちの病院(関連病院も含めて)の放射線技師さん、超音波技師さんたちは成長してくれています。来年もさらなる飛躍を期待して、この検討会を継続していきたいと思っています。

2013年12月9日月曜日

癒しのヨガ

今日、午後から病院のホールでがんサロン開設記念のイベントとして、”癒しのヨガ”が開催されました。

講師にヨガインストラクターの方をお招きして、患者さんとご家族、職員にヨガの由来などのお話のあとで簡単にできるヨガの基本的を教えていただきました。とても体が硬い私としては最初からかなりの不安を持っていたのですが、患者さんが主な対象ということもあって、無理がかからないような優しいヨガを中心に教えて下さいました。

不安な時、イライラする時などに心を落ち着かせる呼吸法など、日常にとても役に立つことを教えていただきましたが、1回だけではすぐに忘れてしまいそうです(汗)とりあえず、”ベッドの上でも寝ながらできる簡単ヨガ”の方法を印刷した紙をいただいたのでさっそく今晩からやってみます(写真)。最近どうもイライラすることばかりでストレスがたまっていたのでちょうど良かったです!


そういえば患者さんたちと一緒に夢中になってヨガをやっていたので残念ながらイベント風景の写真を取り忘れてしまいました(汗)終わってから緩和病棟に回診に行くとちょうどヨガのインストラクターの方が見学にいらしていて、”今度ヨガの乳がんケアの研修を受けてくるんです!”と教えて下さいました。来年の1/25に札幌であるそうです(写真)。研修が終了してからでも今度は患者会でお招きしてみたいと思っています。

2013年12月2日月曜日

師走…

11月中旬に一度積もってからは比較的落ち着いていたのに、師走に入った途端、また雪が積もり始めています。毎年のことではありますが、私にとって天敵の冬がまたやってきました…(泣)

病院の方は、週末に消化器センターの臨時入院が多数入ったためベッド調整が厳しくなって師長さんが大変そうでした。乳腺センターの方は、手術患者さんはそうでもないのですが、ここ数日でかなり進行した乳がんの方が立て続けに入院したためにN先生は忙しくなっています。

それにしても、芸能人の闘病などがマスコミで話題になったり、映画化をきっかけにピンクリボン運動が広く認知されてきたにもかかわらず、何年も我慢してどうにもならなくなってから受診する乳がん患者さんはまったく減った感じがしません。数年前にしこりを自覚した時に受診してくれていたらと思うと残念でなりません。検診不要論、乳がん治療不要論を説く医師はこのような患者さんを診てどう思うのでしょうか?その時受診したとしても、手術と放射線や抗がん剤をされて苦しんだあげく、結局再発するから結果は同じだと主張するのでしょうか?まったく根拠のない暴論に惑わされないようにしたいものです。少なくともしこりが小さいうちに手術していたら、こんなに大きな胸壁の腫瘤による痛みで苦しむことはなかったはずです。来年はこのような患者さんが少しでも減ることを祈っています。


今週末は病院の忘年会のため、G先生は病棟の出し物の準備に追われています。毎年G先生が企画して病棟の看護師さんや外科医たちと一緒に頑張っています。ちなみに私は病棟の出し物には参加せず、化学療法室の席からこっそり見るだけにするつもりです(笑)

これからますます寒くなります。インフルエンザもそろそろ流行り出すはずです。しっかり栄養を摂りつつ、運動にも心がけて冬を乗り切りましょう!