2016年12月9日金曜日

不思議な夢と恩師との別れ

先日、おそらく私がもっとも影響を受けたであろう外科の恩師、A先生が亡くなりました。まだ60才台後半という若さでした。

A先生とは、私が診療所から戻って本格的な外科の研修を始めた病院の外科のトップでした。その後もその病院には計3回お世話になりました。A先生はオールラウンドな外科医であり、神業の手術手技をお持ちでした(決してそのことを自慢されることはありませんでしたが)。そして患者さんとの関わりがとてもお上手で、患者さんのすべてを包み込んで診て下さるような先生でしたので患者さんからの信頼も絶大でした。その後A先生が移動されても先生を慕う患者さんは病院を変えてでもついて行ったほどです。

そんなA先生の姿勢に惹かれ、強く影響を受けた私ですが、未だにA先生のようにはなれません。口数は多い先生ではありませんでしたが本当に心の広い、素敵な先生でした。

A先生が約1年前に非常に厳しい病気を発症し、S病院で手術を受けられたのは知っていました。お見舞いに行こうと思った矢先、併発症で重篤な障害を負ってしまったため、面会に制限が加わり、会いに行く機会を逸してしまいました。その後ご家族のご希望もあってリハビリと化学療法目的で私たちの病院に移られました。病状は楽観できる状態ではなく、失語や感情失禁もありましたので、面会に行きたい気持ちは強かったのですが、なかなか訪室することができませんでした。

その後徐々に病状は悪化し、10月末からはホスピスに移られたようです。そのことに気づいた先週末、朝方A先生が夢に出てきたのです。

ビルの屋上の駐車場の出入り口に立っていたA先生が、

「K君!(私のことをこう呼びます)」

と呼びかけたので、びっくりして駆け寄った私が

「先生、大丈夫ですか?お見舞いに行けなくてすみません!」

と謝罪すると、

「だから会いにきたんだよ」

とおっしゃったのです。そして

「これからA(A先生が住んでいる、以前私も住んでいた札幌の北のはずれ)に帰るんだ」

と笑っておっしゃって車で帰って行かれました。

優しいA先生は、礼を失した私を怒りもせず、笑って会いにきて下さったのです。夢の話ではありますが、A先生なら死の間際にこのような心遣いをして下さっても不思議ではありませんでしたので私には事実にしか思えませんでした。そしてその数日後に息を引き取られたのです。

昨夜はA先生を送る会が行なわれました。会場は多くの関係者でびっしりでした。A先生のお人柄がよくわかるような心温まるお別れ会でした。

私の医師人生もそう長くはありません。少しでもA先生に近づけるように日々努力しなければとあらためて思いました。

忘年会シーズン!

先週の土曜日は病院の忘年会でした。

4年連続してD病院と同じ日程でしたが、今回は自分の病院の忘年会に出ることにしました。今年も各セクションからの出し物がメインでしたが、なかなかクオリティが高く、楽しめました。私の病棟でも出したのですが、私は今回も参加せず、応援のみでした。毎年毎年G先生が熱中して指導していますが、今回は残念ながら2位だったようです。笑いという点では多少物足りなかったかもしれませんが、パフォーマンスの内容としては一番だったように思います。連日の猛練習の成果が見られたのではないでしょうか(笑)

なお写真は撮影したのですが、管理部の方針でネット上では公開しないようにとのことでしたので残念ながら掲載することはできません(涙)

病院の忘年会は最後のあたりで抜けて、D病院の忘年会の二次会に参加しました。病院によって雰囲気がこんなに違うものなんだと毎回驚きます。D病院は大人の忘年会という感じです(笑)。



1時間ほどで二次会を抜け出し、いつもお世話になっているE先生とI先生、そして形成外科のスタッフとともに三次会に繰り出しました。場所は行きつけのワインバー、R。今回はそれほど飲み過ぎなかったはずですが、体調のせいか回りは早かったようです(汗)。いつもお招きいただくのですが、今回もとても楽しかったです。

私がちょっと悩んだり、疲れていたり、元気をなくしている時にE先生はいつも私に元気をくれます。とてもありがたい友人です。最後は代行車で自宅まで送ってもらいました。途中で立ち寄って買ってきてくれた食べ物(寄っていてなんだか覚えていませんが…笑)、すごく美味しかったです!

そして今週の水曜日は、With You Hokkaidoとピンクリボン in SAPPOROの忘年会がありました。今年は皆さん予定が重なったのか昨年より参加者が少なかったのと、芸が1組(フラダンス! お上手でした!)ということで若干淋しかったですが、その分ゆっくりと話をすることができました。



来年のWith Youもピンクリボン in SAPPOROのイベントも今年とは違う雰囲気で行なわれるかもしれません。詳細が決まりましたらまたご報告いたします。

これからもいろいろ飲み会が続きますが、皆さん、体調には気をつけましょう!

2016年11月19日土曜日

黒松内町乳腺特診

昨日から黒松内町に行ってきました。

8月にもここで書きましたが、黒松内町の診療所での乳腺外来の特別診療を企画してきて、今回ようやくその第1回が行なわれることになったのです。

昨日は診療所に寄って軽い打ち合わせをしてから一度宿にチェックインして、助勤で黒松内に来ている看護師さん2人と医師1人、そして現地の看護師さん、私たちの6人で町内の居酒屋で楽しい懇親会をしました。ついつい飲み過ぎてしまいましたが22時前には宿に戻りました。

昨日は雨が降っていたのですが今朝は雨も上がりました。ただ早朝はけっこう霧がかかっていました。


診療所にはマンモグラフィがありませんので(年1回出張検診車が来ています)、今回は超音波検査のみの検査です。事前に診療所にかかっている患者さんたちに告知してきたのと職員の検診希望者がいらっしゃったので予定の15人枠はなんとか埋めることができました。

受診者の内訳は、しこりなどの症状のある人3人、マンモグラフィ検診で半年後または1年後再検と言われて不安になっていた人数人、乳がん術後でしばらく中断していた人2人、純粋な検診数人でした。

超音波検査は私の病院のN技師長が一緒に来てくれて担当してくれました(写真)。経験も長く、信頼できる技師さんです。


検査、診察の結果、2人の細胞診を行なって特診は無事終了しました。診療所のスタッフの皆さんにはとてもよく協力していただき感謝しています。また来年も企画していただけたらうれしいです。

帰りには道の駅に寄って少し遅い昼食を食べました。診療所の看護師さんに勧められたピザはとても美味しかったです(写真は食べかけのピザ 笑)。もし黒松内にお越しの際は是非食べてみて下さい!




2016年11月6日日曜日

第26回 日本乳癌検診学会学術総会 in 久留米

2016.11.4-5に久留米市で第26回乳癌検診学会学術総会が行なわれました。



福岡県は何度も学会で行きましたが、久留米は初めてです(でも宿泊は博多でした…笑)。
今回は技師さんの発表があったのでその付き添いです。検診学会は3年ぶりでした。会場は久留米シティプラザという新しい施設でしたが、オペラでもできるような素晴らしい施設でした。椅子も前の人の頭が邪魔にならないように1列ごとにずらしてあり、非常に良かったです!



そもそも私が乳がんを専門にし始めた頃からこの学会はあったのですが、当初は入会していませんでした。乳癌学会があるのに、なぜ乳癌検診という狭い領域だけに特化した学会が必要なのか理解できなかったからです。今でもその考えはあまり変わっていませんが、MMG検診の導入や普及、精度管理、そしてJ-STARTから超音波検診への道しるべを作ったという点で大きな役割を果たしてきたのは事実です(乳癌学会で主導しても良いとは思いますが)。とは言ってもここに日本乳がん検診精度管理中央機構なるNPO団体も絡んでくるのでますますその存在価値がよくわからなくなります。いつもいつもなんだか割り切れない思いを持つ学会ではありますが、技師さんたちの勉強や発表の場としては必要なのかなと思っています。

学会自体の内容としては特に目新しいことはなく、強いて言うなら超音波検診の話が少し進んだのと、最近問題になっているおとなしいタイプの非浸潤癌の診断、取り扱いをどうするかという話でまだ統一された見解がないんだなということが再確認できたことくらいでしょうか。

技師さんの発表は2日目でしたが無事終了しました。今回はちょっと変わった乳腺の悪性リンパ腫の発表でした。



博多の食事が美味しかったことがこの学会での一番の収穫でした(笑)。写真は最終日に食べたもつ煮込みです。他に明太卵焼きも焼き鳥も馬肉もふぐの唐揚げもクエの刺身も美味しかったです!



来年の発表に備えてテーマはいくつか頭に浮かびました。これから技師さんたちと検討していこうと思います。

乳腺術後症例検討会 100回記念講演会

去る11/2に、毎月開催している乳腺術後症例検討会の100回記念講演会が札幌駅前のアスティ45の会議室で行われました。

会場には記念講演の招待演者、S先生のご講演を楽しみに市内外から110名を越す方々が集まって下さいました。S先生は、私がG病院に研修に行った今から20年前に何度も検査室に出入りして大変お世話になった先生です。その後私がいまの病院に戻ってからの超音波検査技師への働きかけや症例検討会を始めたことにもつながった恩師の1人です。

司会はG先生が担当し、私は共催企業関連の小講演を担当しました。聴衆の多くは検査技師さんでしたので、そんな中で薬の話をするのは大変気が重かったのですがなんとか時間通りに終わらせることができました。

その後行なわれたS先生のご講演は、さすがに場慣れしていらっしゃいますので、わかりやすいだけではなく、何度も会場から笑いが起きるようなとても面白い内容でした。最近のエコー機器はさまざまなアイテムを装備していますが、そこに頼ることの問題点に触れながら、乳腺疾患における超音波診断の本質について非常にわかりやすく説明して下さいました。参加者の心に刻まれるようなとても勉強になるお話だったと思います。



講演会が終わってからは、S先生を囲んで私たちの病院関係者との懇親会が行われました。そこではここで書けないような超音波の世界のお話をうかがうことができましたし、楽しい時間を過ごさせていただきました。またこのような機会があればと思っています。

S先生は北菓楼のおかきをお土産に買いたいとおっしゃっていましたが、朝の時間がない中でなんとか買うことができたと報告をいただきました。今度またこちらにいらっしゃる機会があればあらかじめご用意しておきます!

2016年10月30日日曜日

患者会1泊温泉旅行 2016 in ”美唄 ピパの湯 ゆーりん館 & ファイターズ優勝!

昨日から1泊で恒例の患者会温泉旅行に行ってきました。

今回は美唄市にある”ピパの湯 ゆーりん館”でした。個人的にはかなり前に日帰りで一度行ったことはありますが泊まりは初めてでしたので楽しみにしていました。バスでホテルに向かう途中で”アルテピアッツァ美唄”とというところに寄りました。ここは彫刻家・安田侃(かん)さんの作品が展示されている施設です。廃校になった小学校の敷地の中に大理石などで作られたオブジェが点在していて木造の校舎や体育館の中にも多数の作品が展示されていました。自然と懐かしい建造物と現代彫刻の調和を見ることができてなかなか良かったです。



ホテル到着後は温泉につかってのんびりしました。ここの泉質は弱アルカリのナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉です。弱アルカリのせいか肌がツルツルになりました(笑)。露天風呂は青の洞窟と呼ばれる夜間は青くライトアップされるお風呂もあってなかなか良かったです!

18時からはいつものように宴会が始まりました。今年はN先生のご主人と赤ちゃんも参加していただき、30数人での宴会となりました。ビンゴゲームとカラオケで盛り上がりながらも例年と比べるとなんとなくそわそわした感じがありましたが…そう、日本シリーズの第6戦が重なってしまったからでした(笑)。それでも恒例のG先生、外来のO師長の歌と踊りに加え、患者さんのKさんの演歌、若手Nsと事務のAKBとなかなか皆さんお上手でした(写真)。



部屋に集まっての二次会では、お酒を飲みながらファイターズの応援で盛り上がりました(写真)。

レアードの満塁ホームランの時は一番の歓声があがりました。勝利を確信することができたからか、そのあとは落ち着いて見ることができました。そしてついに10年ぶりの優勝!!今年のファイターズは本当にファンを長い時間楽しませてくれました。患者さんの中にもファイターズの大ファンは多いです。春のキャンプにまでついて行く方もいらっしゃいます。今回集まった患者さんたちの中にもファイターズの熱心なファンが多かったので、今年の温泉旅行はとても思い出深い旅行になりました。

今朝は回診があったので私は別行動で病院に帰りました。自宅へのお土産は最中にしました(写真)。もともと最中は特に好物だったわけではないのですが、この最中は地元の老舗で作られているということと、今年から飼い始めた犬(マルプー)の名前が”もなか”(色が最中に似ているので娘がつけました)だったことで決めました(笑)。帰ってからさっそく食べましたが、とても美味しかったです!もなかには最中の皮の部分だけあげましたが、気に入ってくれたようです!



寝不足でかなり疲れましたが、今年の旅行も楽しかったです。患者さんたちも喜んでくれていたらうれしいです!

2016年10月27日木曜日

乳腺術後症例検討会 46 ”ついに第100回!”

今日は定例の乳腺術後症例検討会でした。

私がG病院の研修から帰って不定期で始めた術後検討会が定例になって今回でようやく100回を迎えました。記念講演会は11/2に予定していますが、今日はいつもの症例検討会でした。

症例は4例。最終的に吸引組織生検で診断のついた、わずかに浸潤を伴っていた非浸潤がん主体の病変、対側の乳管内乳頭腫フォロー中に診断された小さな硬がん症例、嚢胞内病変に石灰化を伴っていた炎症を伴った乳管拡張症の症例などの症例でした。いずれもなかなか悩ましい画像所見の症例でした。

今回は100回記念ということで、いつも参加して下さっている業者さんが記念のケーキをプレゼントして下さいました。会の終了後、参加者で記念撮影をして第100回の症例検討会は無事終了しました。



11/2はいよいよ記念講演会です。今回は招待演者としてG病院研修中に大変お世話になった乳腺超音波検査の第1人者のSさんに講演をお願いしています。市内の施設にご案内したところ、非常にたくさんの方々にお集まりいただけることになりそうです!

2016年10月16日日曜日

ジャパン・マンモグラフィ・サンデー(J.M.S)&ファイターズCS優勝!

今日はJ.M.Sの乳がん検診がありました。

今回は私が関連病院、N先生が本院の検診担当でした。今日の検診患者さんの中には触診で明らかな乳がんを疑う方はいらっしゃいませんでしたが、久しぶりに受ける方や今まで他院で受けていた方がこちらで初めて受けるというケースがそれなりにいました。

最近外来には、”○○クリニックにいつもかかっているのに、予約の電話を入れたら、来年3月まで予約が入らない”という患者さんが増えているようです。やはり心配していたように、小林麻央さんのニュース以降、乳腺外来はかなり混雑してきているようです。私たちの外来にも半年前に検査をしたのに気になる症状があるなどの受診が増えていますし、検診の依頼も増えています。

患者さんがかかりやすいように門戸を開くことは大切なことではありますが、乳腺外科医の数も多いわけではありませんので限界はあります。もし検診などで精査となった場合、その結果に納得できなくて他の施設に受診するより前に、まずは納得いくまでその精検施設で説明を受けて下さい。その上でも納得できない場合はセカンドオピニオンを考えても良いと思いますが、十分に説明を受けずにドクターショッピングのような形でいくつもの施設で同じ検査を受けるのはお勧めできません。

今日は日本ハムファイターズがクライマックスシリーズ(CS)を突破しました。スーパーマンの大谷選手、そして若手期待度No1の岡選手も活躍してくれての大逆転勝利!とても興奮する試合でした。再来週末は患者会の温泉旅行です。どうやら日本シリーズ第6戦は、患者さんたちと一緒にファイターズの応援をすることになりそうです!

2016年10月6日木曜日

地域婦人部の医療講演会

ピンクリボン in SAPPOROで中心となって活動されているHS病院のO先生のご依頼で、自宅近くの地域婦人部対象の医療講演会をしてきました。

一度病院に行って回診終了後に会場に車で向かいました。あいにくの雨模様でしたが、参加者で会場はいっぱいでした。

スライドは先日黒松内で使用したものを少し手直ししたものでしたが、USBで持っていったパワーポイントが会場のPCでなぜか認識されず、かなり焦りました(汗)。結局事務室のPCでDVDに書き込んでから会場のPCに移す作業を行なってなんとか開始できました。

お話しした内容は乳がん一般の話です。乳がんの現状、検査から治療、乳がん検診の話まで比較的広い範囲で最新の情報も交えてお話ししました。持参した触診モデルも参加者のみなさんに触っていただき、けっこう反応は良かったようで安心しました。

予定では40分くらいで終了して質問に答えようと思ったのですが、話し終わった時点ですでに予定の60分を過ぎてしまいました。それでも2、3のご質問にお答えすることができました。

やはり最近の小林麻央さんの件も影響してか、地域住民の乳がんに対する関心は大きいようです。市内でも乳腺外来がパンクしている医療機関もあるようです。私の病院ではまだ受け入れの余力はありますが、それでも受診の問い合わせは増えているようです。いつも思うのですが、このような乳がんに対する関心がブームのような形で終わるのではなく、国民の意識に長く定着することを願っています。日本の乳がん検診受診率はまだ欧米の半分程度です。これでは乳がん死亡数は減少しません。まだ検診を受けたことがない友人がいらっしゃったら是非声かけをしていただければと思います。

2016年9月25日日曜日

小林麻央さんのブログ「KOKORO」を読みました

はじめて小林麻央さんのブログを拝見しました。

もちろんYahoo!ニュースは毎日見ているので、麻央さんのブログの内容についてはだいたいは知っていました。ただ何となくブログ自体は見ていなかったのです。

乳がん患者さんのブログは数多くあり、私のこのブログやSNSを通して知った患者さんのブログを読ませていただくことは今までもありました。ただなぜか小林麻央さんのブログは今日まで見ることができませんでした。

自分でもどうしてなのか確かなことはわかりませんが…。思い当たる理由は2つあります。

1つ目の理由は麻央さんの診断経過で、人間ドックで乳がんが疑われたにもかかわらず、最初の精密検査で診断できず発見が遅れたことです。麻央さんにとって非常にショックなことだったと思いますし、セカンドオピニオンを受けていればというお気持ちはとても理解できます。でもこのようなニュースが流れると、私たちが明らかに精査で異常なしと診断した方々の中にも不安になってしまう方が増えてしまう可能性があります(芸能人の方の乳がんのニュースの影響はかなり大きいのです)。それらの方々がセカンドオピニオンや他の施設での再検査を希望してしまうとそれでなくても混雑している日本中の乳腺外来がパンクしてしまいます。それが少し憂鬱だったということが自分の中ではありました。

もう1つの理由は、私自身が小林麻央さんの隠れファンだったからです。海老蔵さんの会見からは、かなり深刻な状態ということが推測されましたので、見るのが少し辛かったのかもしれません。

そのような理由ですっかり遅れてしまいましたが、ようやく今日拝見することができました。

ブログには、辛かったであろう診断経過についての内容や、さりげない入院生活のこと、ご家族のことなどが書かれていますが、ご自身の辛いお気持ちはできるだけ抑えて明るく書かれているのが印象的でした。ここに至るまでには、相当辛い時間を過ごしたことと思います。いまも辛い治療の真っ最中であるにもかかわらずこのようなブログを書く気持ちになれたのは、主治医の先生からの声かけはもちろんあると思いますが、麻央さん自身の強さと聡明さ、そして周りの人への優しさがあってのことと思います。

最近、私の病院の患者さんたちを診ていて、がん患者さんは”どのような治療を受けたいか”ということももちろん大切ですが、”どう生きるか”ということはもっと大切なんだと感じています。ご自身で抗がん治療のやめ時やそれまでの間やその後の過ごし方をきちんと考えていている患者さん、これ以上の積極的な治療はかえって逆効果と考えられるため緩和治療へのシフトを勧めても、抗がん治療をやめることは生きる気力を奪うことだと考えて、1%でも延命効果があれば辛い治療を受けるとおっしゃる患者さん…。どちらが正しくてどちらが間違っているということではありません。ただ後者を選択された場合は、自分のいたらなさを感じてしまいます。説明の仕方が悪かったのではないか?患者さんが正しく理解していないことに気づかずにそれを訂正できなかったからではないか?と。でも十分に時間をかけてご説明して納得されていても最終的に後者を選ばれる患者さんは確かにいらっしゃるのもまた事実です。

私たちは、医療者としてベストと思われる治療選択を患者さんに提示することしかできません。患者さんにはそれぞれの思想信条や生き方があります。麻央さんにも大切なご家族がいらっしゃり、仕事に関してもやりたいことはたくさんあると思います。一日も早く病状が落ち着いて、麻央さんにとって充実した時間が過ごせるようになること、そして信頼されている主治医の先生とご相談しながら、ご家族と一緒に納得のできる治療、生き方を続けていかれることをお祈りしています。

2016年8月28日日曜日

第14回日本乳癌学会北海道地方会

昨日は乳癌学会の地方会でした。

朝9時から夕方5時までびっしりだったのでちょっと疲れましたが、なかなか興味深い発表もあり勉強になりました。私も3-4回質問もしましたが、活発な討議が行なわれていました。

教育セミナーやランチョンセミナー、特別講演、コーヒーブレイクセミナーも知識の整理に役立ったと思います。教育セミナーでは質問したかったのですが、時間の関係で遠慮してしまいました。この症例は、胸骨傍リンパ節と鎖骨上リンパ節に転移があった症例で、術前化学療法で完全寛解が得られた症例だったのですが、腋窩郭清を行なうことに対して異論は出ませんでした。もちろん私も異論があるわけではないのですが、よく考えてみると腋窩リンパ節転移だけであればこれで良いのですが、いくら腋窩リンパ節郭清をしても胸骨傍リンパ節と鎖骨上リンパ節の転移があったリンパ節は残るわけですし、術後に放射線治療を行なう予定なのですから腋窩郭清もせずに全部放射線治療でも良いという考え方もありうるのかどうかを聞いてみたかったのです。あとでうちの乳腺センター内でカンファレンスをしてみたいと思っています。

私たちの病院からは、G先生と後期研修医のNS先生が演題を発表しました(2人とも一番最後のセッション)。私はNS先生のサポート、N先生は出産から復帰後間もないこともあり今回は発表を見送りました。2人の発表自体は珍しい症例報告ということもあり特に問題なく終了しました。



9月は院内のCVポートの学習会、10月はHS病院のO先生に頼まれた市民講座、11月は乳腺症例検討会の100回記念講演会があります。その他にも製薬会社からの社内講演が2件予定されています。12月中には来年の乳癌学会の演題締め切りがある予定です。まだ何も準備していません(汗)。そのそろ取りかかろうと思っています。

2016年8月21日日曜日

「第13回 With You Hokkaido~あなたとブレストケアを考える会~」無事終了!

昨日、札幌医大の大講堂で「第13回 With You Hokkaido~あなたとブレストケアを考える会~」が開催されました。



開場時間直前から台風の影響で大雨になってしまい、欠席される人が多いのではないかと心配しましたが、昨年より多くの方に集まっていただくことができました。

今年もまず最初にグループワークが行なわれました。ここ数年は再発治療や緩和治療のグループが続いたために、3年続けて同じ患者さんが私のグループに入ってしまって申し訳ないと思っていましたので、グループ担当を決める際に今年はなるべく重複しないようにH病院のK先生に配慮していただきました。ということで今年は”治療中の仕事や経済的な悩み”のグループを担当することになりました。

医療従事者は私の病院の医療福祉課の課長のFさん、そして今は小樽の病院で緩和ケア認定看護師をしていますが17年くらい前に私が勤務していた病院で一緒に働いていた看護師のIさんと私の3人でした。患者さんは、がん患者歴の長い患者さん1人(私の患者さんでした…汗)と乳がんと診断、治療を受けたばかりの患者さん3人の計4人でした。人数的にはちょうど良いくらいで、比較的バランスよく皆さんに話をしていただけたのではないかと思います。満足していただけたらうれしいのですが…。

そのあとは大講堂に戻って私の恩師の元G病院のK先生の開会のご挨拶に引き続き、特別講演が2題。S医大のS先生による”乳がん治療最新情報”は、新しい治療薬についてだけではなく、がん相談業務や遺伝子診断、ネットの活用法などのお話も含めて多岐にわたる内容でしたがわかりやすいお話だったと思います。乳がん体験者のTさんによる”乳がんになっても私らしく行きたい”のご講演では、結婚したばかりで乳がんになったショックやご家族との関わり、そして職場にどのように伝えて理解してもらい乗り切ったかなどの貴重な体験談をお聞きすることができました。

続いて行なわれたのは”聞かせて!あなたの治療と生活・仕事両立方法”というテーマのパネルディスカッションでした。



パネルディスカッサーは、Tさんと、同じ乳がん体験者のSさん、私の病院のFさんと私の4人で、司会はSS病院のO先生でした。この間、O先生と何度もメールのやり取りをしたり、メンバーで打ち合わせをしたりしてきたのですが、私自身、得意と言える分野の内容ではありませんでしたし、何度打ち合わせをしてもスライドのチェックをしても実際は当日になってみないとわからない感じでしたので始まるまでとても不安でした。でもさすがO先生、見事な司会ぶりでスムーズに進んだのではないかと思います。体験者2人のお話は、きっと集まった人々の心に響いたと思いますし、無料低額診療制度というシステムがあることをお知らせできたことは、もしかしたら経済的に困難を抱えている患者さん(患者さんや医療関係者の知り合いのがん患者さんも含めて)にとって役に立つ情報になったのではないかと思います。

その後は乳がん患者会の活動報告と各地のWith Youの報告があり、閉会となりました。毎年K先生を始め、本州から手弁当(無報酬)でこの会を手伝うためにスタッフが北海道に来て下さっています。悪天候の中なんとか到着できましたが、無事帰ることはできたのでしょうか?ずっと天候が悪いのでちょっと心配です。

今年の反省も踏まえて、来年はさらに多くの方々に集まっていただけるような会になることを願っています。

2016年8月10日水曜日

黒松内での講演

先週の金曜日に黒松内に行ってきました。

黒松内に行ってきた経過はちょっと複雑ですが、今回は町の保健師さんたちとの懇談と乳がんについての講演が目的でした。そもそものきっかけは以前ここでも書いたと思いますが、黒松内には対がん協会が出張検診に行っていないということを知って、私たちの診療所がある地域ということもあってなんとか私たちで検診にいけないものかと検討したことがきっかけです。結局民間の検診センターがすでにマンモグラフィ検診に来ていることが判明して、私たちがマンモグラフィ検診に行く計画は頓挫したのですが、超音波検診の需要はないのか、乳腺外科の特診の必要性はないのかを探ることも視野にいれての出張でした。

金曜の午前外来を終えてから事務次長と一緒に黒松内(札幌と函館の中間くらいにあります)に向かい、到着してからはまず黒松内町の保健福祉センターの職員と診療所の職員を交えての懇談が行なわれました。人口減少が深刻な地域ですので超音波検診の必要性は微妙ではありますが、検診センターのマンモグラフィ検診で要精検になった方への精査や乳がん術後の患者さんに対する医療相談、そして老人保健施設で働く職員などに対する超音波検診などでお役に立てる可能性はあるのではないかという手応えは感じました。

今年度は町の補助を受けての検診は困難ですが、診療所の特診としてまずは一度行ってこようと考えています。そこで実績を作り、必要性があるとなれば本格的に黒松内町の乳腺診療へのアプローチを強めようと思っています。

懇談が終わってからは、町の職員や診療所の職員、地域の住民を対象に乳がんについての講演をしてきました。乳がんの現状、診断から最新の治療、そして乳がん検診の重要性などについて約1時間お話をしてきました。地元の方の参加が少なかったのは残念ですが、30人弱くらいの人にお話を聞いていただきました。

終了後は宿泊先の旅館で、たまたま翌日のリウマチ特診に来ていた院長と診療所の職員、7人で会食をしました。ちょうど初物のアユが取れた日でしたのでアユの塩焼きやヤマメの天ぷらなど、美味しい食事をいただきながら親睦を深めました。

北海道には、過疎の進む市町村がたくさんあります。日常の診療も検診もままならない医療過疎地です。そのなかのいくつかには私たちの医療機関の診療所があります。このような地域に少しでも乳腺診療が行き届くようにしていくのがこれからの私の役目だと思っています。まずは年内に黒松内での特診を行ないたいと思っています。

2016年7月31日日曜日

「ピンクリボン in SAPPORO 2016 ピンクリボンロード」終了!

今日は「ピンクリボン in SAPPORO 2016 ピンクリボンロード」が行なわれました。朝から曇り空で、時折小雨がパラつくあいにくの天気ではありましたが、本降りになることなく、無事予定通り開催されました。

天気がいま一つでしたので、あまり人出が多くないのではないかと心配したのですが、思った以上に人通りが多かったような気がします。私たちの病院では例年通りブースを設けて触診モデルやエコー検査のデモ機を使った啓発活動をしながら、手分けをして沿道で乳がん検診の啓発パンフの配布を行ないました。



今年は医師、エコー技師、病棟看護師、健診課・医事課・管理部の事務、合わせて13人が参加しました。初めての職員も3人いましたが、積極的に活動をしてくれたので私自身はあまり手伝わずにすみました(笑)。

ステージでは、ドラムサークル、フラダンス、玉入れ大会、コーラスなどのイベントが行われ、多くの観客の方々が参加して下さいました。東区のキャラクターのタッピーも”乳がん検診を受けよう!”というアピールをしながら参加していました。2年連続の参加ですが、今年も子供たちには大人気でした(笑)。



病院で用意した乳がん検診の啓発パンフ100部は早々に全て配布したので、ピンクリボン in SAPPOROのパンフもたくさん配布することができました。この活動に触れた方から検診の輪が大きく広がることを期待したいと思います。

今日は病院の患者さんたちや出入りしている製薬会社の方も応援に来て下さいました。裏方のスタッフさんも万全の準備をして下さり、無事終了することができました。来年はさらに工夫を加えながらより良い乳がん啓発活動を行っていきたいと考えています。

2016年7月25日月曜日

もうすぐピンクリボンロード!

以前ここで取り上げましたが、今度の日曜日(7/31)に札幌の大通で「ピンクリボン in SAPPORO 2016 ピンクリボンロード」が開催されます。詳細はピンクリボン in SAPPOROのHP(http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/)をご覧下さい。なお、多少の雨なら行ないますが、大雨の場合は中止となります。

今日はその最終打ち合わせがありました。今年の目玉は”玉入れ大会”です。是非大通に来られる方はご参加下さい。出場者にはけっこうもらうとうれしい商品が当たるようです!

今回も私たちスタッフはピンクのTシャツで参加します。札幌西ロータリークラブの皆さん、いつもご寄付いただきありがとうございます!

そして今年もう一つの注目は、ピンクリボン in SAPPORO特製のピンクリボンバッジがついにお披露目になることです。今日見てきましたが、なかなか完成度が高く、おしゃれなデザインになっています。販売価格は当日まで公表できませんが、値段以上の価値はあると思います。是非ご覧になってみて下さい。

今のところ当日の天気は雨ではないようです。好天に恵まれると良いのですが…。ただあまり熱いと私たちの施設恒例の着ぐるみ(タッピー)の中の人(研修医のY先生)が熱中症になってしまいますのでほどほどが良いですね!

2016年7月24日日曜日

乳頭温存皮下乳腺全摘術(NSM)は乳腺全摘だから局所再発しない?

今年の乳癌学会で、「乳房温存術か乳房再建術か?」というセッションがありました。

このセッションの中で、乳頭温存皮下乳腺全摘術(以下NSM)による一次一期再建は、温存術+放射線治療に比べ、”局所再発がない”というのが利点の1つだというお話がありました。

たしかに乳腺を”全摘”していれば、早期がんであれば局所再発はほとんどありません。しかし、実際に行なわれているNSMのほとんどは、真の”乳腺全摘術”ではありません。乳がんのオンコロジーをきちんと理解している乳腺外科医であったとしても、乳頭・乳輪直下の乳腺組織はわずかに残す(乳頭・乳輪の血流を保つため)のが基本であり、また通常の乳房切除術より皮下組織を厚めに残すことが多いですのでここでも乳腺がわずかに残る可能性があります。それでもほとんどの乳腺を切除していますので局所再発率はかなり低いとは思いますが、厳密に言うと”乳腺全摘”ではありませんので局所再発率は0%にはならないのです。

それ以上に問題だと思うのは、少なくともいくつかの施設で”皮下乳腺全摘術”と言いながらかなりの乳腺を残していることです。なぜそう思うのかと言いますと、北海道から本州まで行ってこの手術を受けてから戻ってきた患者さんを2人診療したことがあるのですが、2人とも切除標本の病理写真を見る限り全摘したとは到底思えないような切除乳腺だったからです。この標本ではほとんど部分切除(温存手術を少し大きくしたような)にしか見えないような感じで明らかに乳腺が残存しているはずです。これが全摘か…とびっくりしました。

この患者さんたちは、1人は”浸潤巣で断端陽性”だったためこちらで放射線治療を受けるように言われて戻ってきました。もう1人も乳管内進展で断端陽性だったため追加切除を行なっていましたが本当にそれで完全切除になったかどうかは不明です。いずれの施設もこの術式を数多く行なっているようですので、これで善しと考える流れが一部にあるのだと思います。ということは同じような考えを持った施設が他にもあるのかもしれません。もちろんこれは例外的な施設での手術であり、ほとんどの施設ではがんを残さないような配慮と説明をした上できちんとした手術をしていると信じています。

整容性を考えたら皮下組織は厚く残す方が良いに決まっています。しかし、あくまでもきちんとがんを切除することが前提のはずです。乳房温存術では完全切除できたとしても、残存乳腺からの多発がんの予防のために放射線治療を追加することが原則となっています。それなのにNSMで乳腺が多量に残存している場合には放射線治療は必要ないのでしょうか?にもかかわらず局所再発はないと断言できるのでしょうか?まあ整容性を重視するからNSMをするわけですので、全例放射線治療を加えたら整容性を損なうことになりますから明らかな遺残がない限り照射を併用しないのはある意味当然です。ただ乳腺全摘だから局所再発をしないという考え方はこの術式においては明らかな間違いであり、慎重なフォローが必要だということを執刀医は理解し、患者さんにも説明すべきだと思います。

根治性と整容性を両立させるのはなかなか難しいことです。私が診療した患者さんたちがきわめて稀な症例であることを願うばかりです。

2016年6月21日火曜日

「第13回 With You Hokkaido~あなたとブレストケアを考える会~」開催要綱

先日事務局から、「第13回 With You Hokkaido~あなたとブレストケアを考える会~」のポスターとチラシが病院に届きました。
さっそく関係部署に置いてもらうことにしました。

詳細は札幌医大のHPに掲載されています(http://web.sapmed.ac.jp/jp/news/event/03bqho000026jaek.html)。申し込み方法も書いてありますのでご参照下さい。



今回は少し楽をしたかったのですが、なかなかそううまくいきません(汗)。しかも今回の内容は個人的には苦手な部類に関するテーマですのでどうなることやら…。せっかくの機会ですのでこれから綿密に打ち合わせをして良い内容にしていきたいと思っています。でも来年こそは気楽に参加したいものです(笑)。

8/20、多くの方に来ていただけることを願っています!

2016年6月19日日曜日

第24回乳癌学会学術総会&乳房再建資格更新講習会終了!

2016.6.16-18まで東京ビッグサイトで行なわれた第24回乳癌学会学術総会に参加してきました。

今回は呼吸器外科のM先生が乳腺患者さんを診て下さるということでしたので甘えさせていただいてG先生、後期研修医のNA先生、病棟看護師のIさんと一緒にフル参加することができました(写真は向かって左からIさん、私、NA先生)。



発表は私もG先生もポスターだったので特にストレスもなく無事終了しました。今回の学会はなかなか興味深いセッションが多く、かなりまじめに聞いていました(いつも不真面目なわけではないですが…)。今後の診療に活かせるような知見を得たり、来年に向けた研究のテーマが見つかったり、とても有意義な3日間でした。

最終日の昨日は学会終了後にオンコプラスティックサージャリー学会の資格更新のための講習会があり、17時過ぎまで参加してから受講証をもらって20時の便で札幌に帰ってきました。ビッグサイトは会場間が遠いため連日かなり歩くことになり、蒸し暑さもひどかったのでかなり体力を消耗しました(汗)。

東京はもう何度も言っているので目新しいものはなく、特に食べたいものもありませんので観光という点では非常に物足りない感じがしますが、その分学会会場ではさまざまな職種の方々とお話しする時間がありました。でもやっぱり東京はもう飽きたかな?来年は福岡なので楽しみです!

学会初日の夜は私の病院から参加した4人で近くの居酒屋に飲みに行きました。焼き鳥中心の店でしたが、値段のわりに今ひとつの印象でした。初参加のI看護師は、来年の乳癌学会に演題を出すつもりで意欲満々のようでした。今まで私たちの施設から乳がん関連の学会に看護師が発表したことはありませんので全面的にバックアップしてなんとか形にしたいと思っています。2日目の夜はG病院の同門会がありました。G先生の発表後に少し遅れて参加しましたが、会場は一杯でした。懐かしい先生方にも会え、また北海道からG病院に研修に行った若手の先生方とも交流することができて楽しい時間を過ごすことができました。

個人的にはここ数年の中ではもっとも充実した乳癌学会だったと思います。学んだことを日常診療に活かせるように明日からまた頑張ります!

2016年5月28日土曜日

マンドリンコンサートで癒されました!

クラシック音楽には疎い私ですが、今晩はめずらしくマンドリンのコンサートに行ってきました。場所は札幌の円山というところでした。

どうしてマンドリンコンサートに行くことになったかというと、このコンサートのマンドリン奏者(第1マンドリン)が、私が外来に行っている関連病院の外科外来のパートの看護師さんだからです。彼女(Kさん)はマンドリン奏者が本職(東京でもコンサートをしており、マンドリン教室の講師でもあります)、つまりプロなんです。実はKさんは私の父が働いていた高校の教え子でもあります。私より数才年上なのですが、昔一度だけ父に連れられて行った高校のマンドリンコンサートにもしかしたら出ていたかもしれないという縁?で私を招待してくれたのです。

久しぶりのクラシックでしたが、ささくれ立った私の心を癒し尽くしてくれました(笑)。第1部はイタリアの作曲家の曲が中心だったせいか、なんとなく南イタリアの風と匂いを感じました。どうしてなのかなあと考えてみたら、そうです!ゴッドファーザーの映画の曲にマンドリンが使われていたからではないでしょうか?どの場面で使われていたのかは忘れましたがシチリアにゆかりのある映画ですのでそのように感じたのかもしれません。

第2部は私でも良く知っているカルメンなどのフランスの曲やオリジナルの曲などが中心でこちらもまた違った雰囲気でなかなか良かったです。

マンドリンというのは不思議な楽器です。ギターのような単発の音を鳴らしながらバイオリンのような連続した音色も交えるという独特の音を出します。今回初めてマンドラというマンドリンより1オクターブ低い音を出す楽器があることを知りましたが、これもまたマンドリンの音色を際立たせる渋さがあります。今日のコンサートはマンドリン×2、マンドラ、ピアノの四重奏でしたが、すごく良いコンビネーションだったのではないかと思います。

来年もコンサートをするようですので今度はD病院のE先生も誘って行こうかと思っています(E先生はかなりのピアノの腕前です)!

2016年5月25日水曜日

ピンクリボン in SAPPORO 2016 ピンクリボンロード 日程決定!

毎年夏に大通のホコテンで行なわれるピンクリボンロードですが、今年は7/31(日)に行なわれることが、昨日の理事会で決まりました。

場所は札幌市中央区南1西3 パルコ三越前のホコテンで時間は13:30-16:00です。内容はパンフレットが完成したらまたお知らせします。

今回は完全にホコテンが貸し切り状態になるのは良いのですが、雨天の場合の開催場所が決まっていません。多少の雨なら決行することになると思いますが、豪雨の場合はちょっと困ったことになります(汗)。

今回も私たちの施設からブースを出す予定です。東区のマスコットのタッピーとニワトリのトリッシー(?)も参加予定です。楽しくて実りのある啓発イベントになると良いですね!

それとついにピンクリボン in SAPPOROでもピンクリボンバッジが作られることになりました。近日中にお目見え予定です。楽しみにしていて下さい!

2016年5月9日月曜日

非浸潤がんは放置して良いのか?

以前から一部の医師が、「乳がん検診は無意味なので受ける必要がない、なぜなら検診で発見された非浸潤がんのほとんどは放っておいても悪さをしないからだ」と言っていました。確かに一部の非浸潤がんは非常におとなしいため、すぐに切除しなくても良いものもあるのは確かであり、最近国内でも低悪性度の非浸潤がんを拾いすぎないようにという方向に変わりつつあります。

しかし一番の問題は、どの非浸潤がんを放っておいて良いのかが十分にわかっていないことです。非浸潤がんのすべてをがんもどきとして放置して良いというわけではないということを示す内容が第17回米国乳腺外科学会(ASBS)で報告されました(http://www.medscape.com/viewarticle/862025)。

概要は以下の通りです。

対象:非浸潤がん(DCIS)と診断された非照射の720例。

方法:切除断端との距離(マージン)が1mm未満であった124例(断端不適切群)とマージンが1mm以上だった596例(断端適切群)の局所再発率を比較。

結果:平均腫瘍サイズは17mm、平均年齢は55歳、平均追跡期間は79ヵ月。断端不適切群の10年局所再発率は低悪性度(Grade1/2)で51%、高悪性度(Grade3)で70%、断端適切群では、低悪性度で13%、高悪性度で35%。断端適切群の低悪性度症例の浸潤がんでの再発率”わずか”5%。


この結果は、断端が陽性だった場合は高率に再発することを示しており、適切な手術が行なわれたかどうかが予後に影響する可能性があることを警告しています(入手した内容からは、断端不適切群の全体の浸潤がん再発率が不明ではありますが、一般的には約半数が浸潤がんで再発すると言われています)。
この報告の発表者は、断端不適切群の患者は、非浸潤がんの”無治療経過観察群”の”代役”と考えられるので、そのような判断を望む患者さんに対する教訓になる結果であると述べています。

なお、結果で述べた断端適切群の”浸潤がん”再発率がわずか5%となっていることについてですが、日本における乳房温存療法ガイドライン(最近遵守されなくなってきたような印象を受けています)では、断端陰性の基準は5mm全割標本において断端から5mmあることとなっています。この基準を守れば非照射であっても10年局所再発率は約3%程度と言われています(私たちの施設でも3%以下でした)。これは浸潤がんのみならず非浸潤がんも含めた数値です。この研究における1mmという距離でも不十分であることがおわかりになるかと思います。

もちろん安全を過大に考えすぎると整容性が保てなくなります。広く切除すれば良いというものではありません。しかし非浸潤がんだからたいしたことはない、断端陽性でも放っておいて良いということにはならないということは言えます。

どのようなタイプの非浸潤がんが、断端陽性もしくは無治療でも放っておいて良いのか(浸潤がんにならないのか)がわかるのが理想的です。しかし今の医学ではまだここまではわかりません。浸潤がんのほとんどは、最初はみな非浸潤がんだったのです。ですから非浸潤がんであっても慎重な判断が必要になると私は思っています。非浸潤がんを放置して良いという考えを持つ人の思考過程が私にはよくわかりません。

2016年4月27日水曜日

乳腺術後症例検討会 45 ”症例検討会の輪!”

久しぶりのブログ更新です。ここのところいろいろ雑務が重なっていてなかなか気力がわかず、放置状態になっていました。

今日は定例の症例検討会でした。今回はいつも参加してくれているKT病院のK先生から、”うちの病院でも同じような症例検討会をしたいので技師さんたちを連れて行きたい”との申し出がありましたので大歓迎ですとお答えしたところ、10人以上の方々が参加して下さいました。久しぶりの大盛況でした。

内容は、昨年私がチーム医療の講演会でお話しした内容のミニ講演と症例検討が3例でした。私の講演はもともとK先生に依頼されてお話しした内容だったので、せっかく来て下さったKT病院の技師さんたちのほとんどは聞いていたはずです。ちょっとタイミングが悪くて申し訳なかった感じです(汗)。

症例検討は、特別珍しい症例はありませんでしたが、画像と病理の不一致が興味深いケースばかりでした。あれこれ口を出しすぎてちょっと時間をオーバーしてしまい申し訳なかったです(汗)。

この症例検討会は今回が95回目。秋には100回を迎えます。特別講演なども企画する予定ですがまだ何も話が進んでいません。たしか担当責任者は私だったような…。乳癌学会の準備が終わったら取りかかることにします。

2016年4月13日水曜日

”前向きに生きる 乳房再建フォーラム”

2016.4.23(土)14:00から、札幌市中央区北8西3札幌エルプラザで「乳房再建フォーラム」が開催されます。



詳細はピンクリボン in SAPPOROのホームページ(http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/)をご覧下さい。ピンクリボン in SAPPOROに協賛している市内の病院にもチラシが配布されています。

参加は無料ですが、定員は300名で、応募多数の場合は抽選になります。応募はHPの応募フォームをご利用下さい。

2016年3月26日土曜日

第13回 With You Hokkaido コアメンバー実行委員会

今週の水曜日に第13回 With You Hokkaidoのコアメンバーによる第1回実行委員会がありました。

今年のWith You Hokkaidoは、2016.8.20(土)に開催されます。場所はいつもと同じ札幌医大の大講堂です。

実行委員会では、今年のテーマや講演の内容、グループワーク、パネルディスカッションについてのおおまかな案について話し合いました。もう13回もやっているとどうしてもテーマや講演の内容などはネタ切れになってきます。今年は今まで行なったテーマと重なる内容になるかもしれません。ちなみに私は”Advance Care Planning”を中心とした、患者さんと医療従事者のコミュニケーションの問題を取り上げてみてはどうかと提案したのですが、北海道ではまだスタッフの中にもAdvance Care Planningは浸透しておらず、時期尚早だったようです。また、これは少し重いテーマになってしまうので、取り上げることに慎重になったのかもしれません。

4/26の実行委員会で内容はほぼ決まりますので、その後に各医療機関にポスターやチラシが配布されることになります。今年も多くの方が集まって下さることを期待しています。医療機関への配布は札幌市内だけですが、札幌市外でも参加は可能です。チラシが完成しましたらまたここでご紹介したいと思います。

2016年3月20日日曜日

「19th Breast Cancer UP-TO-DATE Meeting」in Tokyo

昨日、日本化薬主催のBreast Cancer UP-TO-DATE Meetingに参加してきました。

製薬会社主催の講演会は、だいたいその製薬会社の製品アピールの講演会になることが多いのですが(中には気持ち悪くなるほどひどいものもあります)、この会は自社製品にこだわらず、最新の知見を元にした講演会を毎年行なっていますので大変勉強になります。

昨日はどうしても午前中の検診を私がやらなければならなかったため、検診終了後に急いで空港に向かって飛行機に乗りましたが、参加できたのはセッションⅡからでした(セッションⅠは基礎編でしたのでたぶん聞いてもあまりよくわからなかったかもしれません…汗)。

セッションⅡでは、殺細胞性抗がん剤のエビデンスに関するお話と、アバスチンに関するお話でした。世界にインパクトのある臨床試験結果を発信するにはどうしたら良いかというM先生のお話はなかなか興味深かったです。

セッションⅢは、Advance Care Planning(ACP)に関するパネルディスカッションでした。個人的にはこの内容が一番面白かったです。なかなか大変な作業なので、看護師さんたちとの連携が重要だと感じました。なんとなく自分の中でイメージしていた内容とは少し違っていて、もう少し勉強してみたくなりました。今まで自分が日常診療で行なってきた内容とかなり重なる部分はあるのですが、体系的に行なっていたわけではありませんので、いま使われているツールなども手に入れながら自分の病院でも良い形で取り入れていこうと思っています。

懇親会には少しだけ参加して、夜は東京にいる兄と久しぶりに2人で飲んできました。そんなに飲んでいないのになぜか夜中に激しい頭痛が続いたせいで寝不足です(汗)。

2016年3月13日日曜日

外来化学療法室の送別会

先週の金曜日は、化学療法室の送別会でした(写真 化学療法室のスタッフです)。



3月一杯で配置転換になる看護師さんと転勤になる薬剤師さん、そして外来化学療法室長を降りることになった私も一応対象者でした。室長を降りても同じように出入りはするのですが…(汗)。

私が化学療法室長になったのは、2006年の春で、化学療法室開設の時でした。私自身は化学療法の専門家ではなく、適任とは言えなかったのですが、腫瘍内科がない私の病院には他に適任者がいなかったということで引き受けました(私が一番暇だと思われたのだと思います…汗)。それからいつのまにか10年もたってしまいました。この10年間、大きな事故もなく、ある程度の基礎を作れたのは良かったと思っています。

今回室長を降りたのには3つの理由があります。

まず一番大きな理由は、先ほど書いたように私は化学療法の専門家ではないことです。3年ほど前に血液内科が関連病院からこちらに移ってきた時から院長には血液内科のDrに室長を替わってもらいたいと言ってきました。しかし、これまでは血液内科のDrに固辞されていたためにやむを得ず続けてきたのです。昨年末に院長と面談した際に強く要望して今回の人事になったという経過です。

二つ目は、4年ほど前に乳腺センターが開設されてセンター長を引き受けたのですが、その頃に比べると業務がかなり増えてきたために兼任がきつくなったことが挙げられます。まあまったく無理というほどの業務量ではないのですが…。

そして三つ目の理由は、10年室長を同じ人間が務めていると、どうしてもマンネリ化してしまいますので、そろそろ化学療法の専門家に新たな視点で指導してもらった方が良いのではないかと考えたからです。

スタッフに恵まれ、とても充実した楽しい10年間でした。スタッフには感謝しています。室長を降りても、私にできることは協力していきたいと思っています。

2016年3月9日水曜日

第24回 日本乳癌学会学術総会 in Tokyo

2016.6.16-18まで、東京ビッグサイトにて第24回日本乳癌学会学術総会が開催されます。

今回、産休中のN先生は演題を出せませんでしたが、私とG先生は応募していました。先日ようやく採否通知が来て二人とも無事採択されました(と言っても毎年のことですが…)。

昨年後半は非常に忙しくて今回の演題申し込みはやめようかと思うほどでしたが、なんとか症例報告だけでもと思って提出しましたが、本当はもう少し内容の濃い発表をしなければだめだと反省しています。

G先生は17(金)の夜、私は18(土)の朝が発表です。昨年は私とG先生とで前半、後半を分けて参加しましたが今回は難しそうです。なんとか他の外科のDrに協力をお願いしてフルで参加できないか検討したいと思っています。

今回の乳癌学会の期間中には乳房再建の施設認定に必要な責任医師の講習会もあります。まだいつなのかわかりませんがそれにも参加する予定です(やたらとお金ばかりかかるオンコプラスティックサージャリー学会が義務化している講習会です)。

これから本格的にポスターの準備に取りかからなければ、と思っていますが、なかなか気力がわきません(汗)

最近なかなかブログを更新することができずにいました。連日たくさんの乳がん関連の情報が入って来るのですが、これらの速報の中にはすぐに公開すべきなのか迷うものが多いからです(今までの認識と異なる見解や、学会発表レベルの報告など)。それとこのブログを始めて7年経ちましたが、かなり前に書いた内容に対する質問や、投稿とは無関係な質問にお答えすることに少し疲れてしまったのもその理由です。気力が復活したらまた頑張りたいと思います!

2016年2月7日日曜日

”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2016〜がんと仕事〜”開催!

先日告知しましたように、本日京王プラザホテル札幌で”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2016〜がんと仕事〜”が開催されました。



全国的にインフルエンザが流行していますが、札幌も今月に入ってから急速に罹患数が増えているようです。私たちの病院職員もインフルエンザでの欠勤が目立つようになってきました。実は私も金曜日から咳と頭痛と倦怠感が続いていたのですが、昨日37.4℃という微妙な発熱をしたため、もしかしたら…と心配しましたが今朝には解熱していたため、予定通り参加してきました。

今回のイベントでは、まず日本対がん協会常務理事の関原健夫さんによる「がん六回 人生全快」というご講演がありました。ご自身が若くして大腸がんになり、その後も再発手術を繰り返しながら仕事もばりばりこなしてきたご経験を語って下さいました。

関原さんは、5年生存率20%と宣告されたときに知人の乳がん患者さんから「残り少ないかもしれない時間を何もせずに過ごすのはもったいない」と言われ、仕事を続ける決意をしたそうです。その後の再発手術の時も要職についていながら手術をしてからまたすぐに仕事に復帰するということを繰り返し、すでにがん告知から31年くらい経過しています。もしあの時に仕事をやめてしまっていたら、きっと関原さんのその後の人生は大きく変わってしまったでしょう。とても考えさせられるお話でした。

そのあとにはパネルディスカッションが行われました。乳腺外科医のO先生、企業側の代表として、そしてがん患者でもあるTさん、NPO法人キャンサーサポートの乳がんサバイバーであるSさん、行政側として北海道保健福祉部のTさん、そして講演をして下さった関原さんが壇上に並び、ご自身の経験や現在の企業や行政の問題点、がんになった時に仕事をどう考えるべきかなどについてディスカッションが行なわれました。まだまだ課題が多く、がんになった時に仕事を続けるのはなかなか難しい問題がありますが、社会、そして企業が温かく支援してくれるような世の中になってくれることを祈るばかりです。

フォーラム終了後には、立食で懇親会が行われました。この会に参加して一番驚いたのは、私たちの病院の外来で数年前まで働いていた看護師のKさん(今は対がん協会でお手伝いをしているようです)と偶然再会したことです。懇親会では久しぶりに話ができてうれしかったです(笑)。また戻っておいでよって話しましたが来てくれるかなあ…。とりあえずまた外来の仲間と飲みに行く約束をしました(笑)。

なんとか参加できて良かったですが、結局フォーラムの途中からだんだんまた具合が悪くなり、懇親会を途中で抜けて帰ってきました。今日は早めに休みます!

2016年2月1日月曜日

術前化学療法で乳がんが消えなかった場合どうするか?という課題に対する1つの回答(CREATE-X試験)

最近では一昔前に比べて乳がんに対して術前化学療法を行なうケースが増えています。ただなんでも術前化学療法をすれば良いというものではないことは以前、ここでも触れたことがありました。

その理由の一つが、”pCR(がんが化学療法で完全に消失していること)になっているかどうかで予後が予測できるから”という術前化学療法を推奨する医師の説明は、患者さんに必ずしも利益をもたらさないからです。なぜならpCRになった人は良いですが、pCRにならなかった人は予後が悪いという事実を突きつけられるだけで(しかも必ず再発するわけではないのに)、それに対する対応がなにもなかったからです。つまり、pCRにならなかった場合は、この治療を追加する、という指針がなかったのです。

その問題に対する一つの回答が昨年、日本と韓国合同で行なわれた臨床試験結果として世界に向けて発信されました(日本人と韓国人900人が参加)。この臨床試験は、CREATE-X(Capecitabine for Residual Cancer as Adjuvant Therapy)という試験で、アンスラサイクリンとタキサンによる術前化学療法を行なったのちに切除したHER2陰性乳がん患者さんのうち、pCRにならなかった患者さんを8サイクルのcapecitabine(ゼローダ®)を追加する群と追加しない群に分けて無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を比較したものです。

結果は、主要評価項目である5年無病生存期間は、経口capecitabine併用群が、capecitabineを併用していない対照群よりも優れており(74.1% vs.67.7%、ハザード比[HR]:0.70、p=0.00524)、5年全生存率も、capecitabine併用群のほうが、対照群より優れている(89.2% vs.83.9%、HR:0.60、p<0.01)というものでした。この臨床試験の対象者は、トリプルネガティブだけではなく、ER陽性乳がんも含まれていました。

有害事象に関しては、SABCS 2013での報告によるとGrade3以上の好中球減少症および下痢の頻度は、capecitabine併用群で有意に高く、また、白血球減少症、好中球減少症、貧血、血小板減少症、肝酵素の上昇、総ビリルビン、食欲不振、下痢、口内炎、および疲労の各グレードの有害事象の発生率も、capecitabine群のほうが対照群より高いという結果でしたが、それを上回る効果があったということになります。

ただこの臨床試験結果を実臨床に活かす上での一番の問題は、capecitabine(ゼローダ®)は再発乳がんに対してしか保険適用がないことです。つまりこういう結果が出たとしてもいますぐ術後の患者さんに使用することはできないのです。先日製薬会社の担当者にも話しましたが、なんとか少しでも早く適用を通してもらいたいものです。

2016年1月31日日曜日

2016年 患者会新年会

昨日、市内のホテルNのレストランで患者会の新年会が開催されました、



今年は特に参加者が多く、貸し切りの個室がびっしりでした(いつも来ている患者さんのうちの数人は今年残念ながら参加できなかったのですが…)。ホテルのレストランの個室は定員が30人前後ということが多いですので、来年からはちょっと場所を考えなければならないようです。

昼からワインを飲んでいい気分になりながら患者さんたちといろいろお話しできて楽しい時間でした。今年の秋の旅行はどうしようかということも話題になりましたが、やはりこの人数をバスで送迎してくれつつ設定価格内におさまる施設に限定されますのでなかなか難しいです。個人的にはニセコか登別がいいかなと思っているのですが、ちょっと遠いのが問題です。その時に病棟が落ち着いているかどうかわからないですので、何かあった時に戻って来れる距離にしたいという条件もあるのです。今年は少し早めに探してみようと思っています。

昨年秋の北斗晶さんのニュース以降、外来患者数も乳がんと診断される数も急増していましたが、年が明けてからは少し落ち着きました。それでもコンスタントに手術症例はあります。できるだけ多くの術後患者さんに患者会に入会していただきたいと思っていますが、会員数が多くなると会をまとめるのもさまざまな行事を行う場所を探すのも大変になります。会長さんをはじめ、役員の方々は毎回かなり苦労されていますが私たちのサポートが十分ではなかったと反省しています。これからはさらに病院としてサポートしていきたいと思っています。

2016年1月5日火曜日

”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2016〜がんと仕事〜”

今年もがんと就労問題を考えるイベント、”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2016〜がんと仕事〜”が行なわれます。

日時は、2016.2.7(日)の14:00から16:30くらいまでで(立食パーティ含む)、場所は京王プラザホテル札幌B1 プラザホールです。



詳細はピンクリボン in SAPPOROのHP(http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/)をご覧下さい。事前申し込みが必要ですので、このHPからアクセスして下さい。

昨年は残念ながら参加できませんでしたが今年はなんとか参加する予定です。日曜日ではありますが、仕事のことで悩んでいるがん患者さんは是非参加してみて下さい。

2016年1月3日日曜日

2016年! 明けましておめでとうございます!

年が明けてもう3日もたってしまいました(汗)。

1、2日は回診だったので朝は7時に起きて出勤しました。今日は休みだったのでゆっくり寝ていようと思ったのですが結局同じくらいに起きてしまいました。

年末年始の特番にも飽きてしまい、餅も食べ飽きたころですので明日から通常勤務でちょうど良いのかもしれません。これ以上だらだらすると身体も脳も怠け癖が抜けなくなってしまいます。

年明けの手術もある程度入っていますが、年末のラッシュに比べるとまだ余裕があります。ただ診断が微妙な患者さんや化学療法導入の患者さんもけっこういますのでそれなりに忙しくなりそうです。

そして早々に取りかからなければならないのは、来年度の出張検診の新たな取り組みの下準備です。まずはT協会の方々と今後の方向性について会合を開く予定です。かなり前から心の中で温めてきた取り組みですのでなんとかうまく行けばと思っています。

年明けから鼻水がひどくなってきて昨日からは腰痛が出てきました。発熱はなさそうですのでインフルエンザではないと思いますが…。以前微熱のインフルエンザにかかったことがありますので(ワクチンを接種しているとあまり高熱がでないことがあります)念のため注意しておきます。

体調は今ひとつですが(汗)明日から仕事頑張ります!