2014年12月24日水曜日

”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2015〜がんと仕事〜”告知

来年もまたがん患者さんの就労問題について考える”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム〜がんと仕事〜”が開催されます。

日時は、2015.2.11(水)(祝日) 14:00-16:00(受付開始13:00)で、会場は京王プラザホテル地下1階プラザホールです。詳細ピンクリボン in SAPPOROのHP(http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/)をご覧下さい。

私は昨年、一昨年と参加しています。昨年は私一人だったので今回はスタッフを引き連れて参加したいと思っています。けっこう勉強になりますし、演者の皆さんのお話もなかなか面白いですので興味がある方は是非HPの申し込みフォームに記入してご参加下さい。

今日の札幌は朝からずっと雪です。今はまるで舞台の紙吹雪のような大量の雪が降り注いでいます。明日は絶対雪かきが必要です。除雪が入らないと車を出せないかもしれません…。出勤できるか不安です(泣)。

2014年12月17日水曜日

インフルエンザ発症…病気になりやすい人となりにくい人

息子が先週の木曜日にインフルエンザになり、まずいなあと思っていたら土曜日から鼻水、頭痛、筋肉痛が始まり、日曜日からは腰痛の悪化と咳、そして夜に発熱してしまいました。

月曜日の朝に出勤したその足で救急外来に行って検査すると”インフルエンザA陽性”…。やはり息子のが移ってしまったようです。

今年のワクチンははずれなのでしょうか?でもなぜか私はワクチンを接種しても毎年のようにインフルエンザになります。息子も比較的かかりやすいです。一方、妻と娘は同居しているにも関わらず、めったにインフルエンザにはかかりません(記憶にある限り、1回くらい?)。今年はワクチンを接種した2人がインフルエンザになってしまい、ワクチンを接種していない2人が今のところ無事です。不思議ですね(苦笑)。

がん化のメカニズムのすべてがわかっているわけではありませんし、それも1つや2つではなく、たくさんの要因があると考えられています。たとえばヘビースモーカーでも肺がんにならずに100才まで生きる人もいますし、ノンスモーカーなのに肺がんで命を落とす人もいます。未婚、未出産でも乳がんにならない人はたくさんいますし、子だくさんでも乳がんになってしまう人もいます。

今回インフルエンザにかかって感じたのは、病気の要因があったとしてもそれに弱い人も強い人もいるということです。病気になりやすい人の研究は今でも盛んにされていますが、その病気になりにくい人の抵抗性のメカニズムを研究することも病気の発症の予防につながるのではないかと思いました。たとえばBRCA1、2の変異があると高率に乳がんを発症しますが、変異があっても発症しない人もいます。そういう人はなんらかのがん化を抑制する免疫機能を有しているのかもしれません。単なる確率の問題かもしれませんがそういう観点から研究するのももしかしたら意義があるのかもしれませんね。

まだだるさと腰痛は残っていますが私のインフルエンザは昨日の午後の発熱を最後に収束に向かっています。解熱後48時間は出勤停止なので金曜日から出勤予定です。今回の騒動でG先生とN先生には大変迷惑をかけてしまいました。特に今日はN先生も休暇を取っているのでG先生1人で頑張ってくれています。そして火曜日の関連病院の外来と明日の乳腺外来もお休みしなければならず、患者さんたちにも連絡をしてくれた看護師さんたち、そして代診のH先生にもご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ない気持ちでいっぱいです。どうしたらインフルエンザにならない体質を作ることができるのでしょうか…(泣)。やっぱり体力作りからですかね。最近運動不足なので雪かきがんばります!

2014年12月12日金曜日

新病院移転後の乳腺外来

昨年5月に新病院に移転してから1年半が経過しました。乳腺センターでは、かかりやすい外来を目指してそれまでの週3単位(2日)の乳腺外来から週6単位(5日)に外来枠を増やしました。

当初は日によってばらつきが目立ち、少ない予約日もありましたが、時間とともに安定した患者数になってきました。特に最近目立つのは、新患の有症状患者さんや他院からの紹介の患者さんが多くなったことです。私の外来にもここのところ毎週のように乳がんを疑う新患の患者さんが受診しています。検診精査の患者さんも増えていますのでけっこう忙しい外来になっています。

こんなのは私の外来だけかと思っていたらG先生もN先生も同じような状況のようです。おかげさまでここのところ安定した手術件数を確保できています。今年の手術件数は、途中落ち込みがあったので心配しましたがなんとか昨年と同じくらいまでには回復しそうです。来年はこのペースでもっと患者さんに来ていただけるような病院にしたいと思っています。

2014年12月11日木曜日

例年より早いインフルエンザ流行期

最近外来でインフルエンザワクチンを希望する患者さんが増えています。いつも年明けくらいから本格的な流行を迎えるインフルエンザですが今年は少し例年とは違うようです。

私の勤める病院ではすでに11月後半からインフルエンザの患者さんが出始め、市内の学校でも学級閉鎖になるようなところも出てきているようです。どうして今年のインフルエンザの流行が早いのかはよくわかりませんが、ワクチン接種から免疫獲得までは2週間ほどかかり、持続期間は3-6か月程度と言われています。ワクチンを接種しても間に合わない方が今年は多いかもしれません。

実は今日、私の息子もA型のインフルエンザを発症してしまいました。ワクチンを接種したのはちょうど1週間前で残念ながら間に合わなかったようです。ただ今のところ熱は38℃くらいまででおさまっており、タミフル内服後は落ち着いています。私はもう1ヶ月くらい前に接種しています。今年のワクチンが有効かどうかは私が発症するどうかでわかるかもしれません(汗)。

基礎疾患のある方(慢性肺疾患や心疾患、糖尿病など)や高齢の方、乳幼児は重篤になりやすいので注意が必要です。もし疑わしければ早めに受診するようにして下さい。ただ発熱後24時間は検査が陽性に出ないこともありますので、発熱後すぐの検査が陰性でも高熱が続くようでしたら再検査を受けるようにして下さい。

2014年12月10日水曜日

アルコール過敏症と発がん

先日、外来に来た患者さんに、”私はアルコール過敏症なんですが、アルコール過敏症の人がお酒を飲むとがんになりやすいと聞きましたが本当でしょうか?”と質問されました。

以前ここでも書いたことがありますが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2010/01/blog-post_06.html)乳がんはアルコール過剰摂取が1つのリスクとされていますし、他に食道がんなどもかなり前から飲酒がリスク因子と言われているのは知っていました。しかしアルコール過敏症の方はすぐに赤くなって酔ってしまうため、飲めない方がほとんどだという認識でしたし、実際そういう質問をされたことはありませんでしたので、そのことについての十分な知識は持ち合わせていませんでした。

しかしその方は、”アルコール過敏症だけど、どうしても毎日の晩酌はしたい”ということでしたので、調べてみることにしました。

アルコールで発がんする原因の1つは、アルコールの代謝産物であるアルデヒドにあると考えられています。乳がんに関してもこれが原因かもしれないと以前に書きましたが、アルコール自体の女性ホルモンに対する影響が原因ではないかと今は考えられているようです。他に肝臓がんもアルコール自体の影響が強いようです。

一方、有害なアルデヒドを分解する酵素活性が生まれつき欠如または低下している人(日本人に約40%いると言われているのでアルコール過敏症の多くはこの可能性があります)の割合を調べた疫学研究では、食道がん(オッズ比 12.50)、頭頸部がん(同 11.14)、胃がん(同 3.49) 、大腸がん(同 3.35)、肺がん(同 8.20)においてこの遺伝子型を持つ人の割合が高かったという報告がされています(Yokoyamaら 1998)。それぞれのがん患者さん全体におけるこの酵素活性の低下がある人の割合は、非がん患者さんにおける割合よりもこれだけ高かったということですので、アルコール代謝産物のアルデヒドを代謝できないことがこれらの発がんに関与していた可能性が高いと推測されるということのようです。

これらの酵素活性が欠如または低下しているかどうかを判断するのは、もちろん血液検査をすることでも調べることはできますが(SRLで「アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2) 遺伝子多型解析」という検査ができるようです)、
「現在、ビールコップ1杯程度の少量の飲酒ですぐ顔が赤くなる体質がありますか。」
「飲み始めた頃の1-2年間はそういう体質がありましたか。」
の2問のいずれかに「はい」と答えれば2型アルデヒド脱水素酵素が弱いタイプと判定する”フラッシング質問紙法”で約90%の精度で推測することができます。

患者さんに質問されたことでとても勉強になりました!

2014年12月7日日曜日

D病院の忘年会

昨日はD病院の忘年会にご招待を受けたので参加させていただいてきました。D病院はいつも乳房再建でお世話になっている(プライベートの飲み友でもあります)E先生のいらっしゃる病院です。昨年もご招待を受けたのですが、私の病院の忘年会と重なり欠席してしまったので、今年も実は同じ日だったのですが、今回は自分の病院の忘年会を欠席してD病院の忘年会に参加したのです。

私は医師になってから東京のG病院にいた1年間以外はずっと同じ系列の病院にいましたので、他の病院の忘年会がどんな感じなのかは知らなかったのですが、やはり病院によってかなり違うものなんだということがわかりました。

私の病院は、セクションで出し物(仮装して歌ったり踊ったり、寸劇をしたり、面白いビデオを作ったりなど)を出して賞を競う大演芸大会が恒例イベントとなっており、ほとんどこれに追われてしまいます。参加すると楽しいのですが、ゆっくり飲んだり食べたり話したりということができません。またこんな感じなのでけっこうラフな格好で参加することが多いのです。

一方D病院の忘年会は、男性はほとんど全員スーツ着用(私もスーツにしておいて良かったです…汗)で出し物はなく、豪華な抽選会だけでした。その分、参加者はゆっくり飲食ができますし、テーブルを回って挨拶したり歓談したりという時間が十分に確保できていました。こういうのがきっと普通の病院の忘年会なのかもしれませんね。おかげでいつもお世話になっているH理事長や来賓でいらしていた先生方、D病院の外科の先生方、そして職員のみなさんと楽しくお話しすることができました。

一次会終了後はそのまま同じホテルの別室で立食のPartyがあり、ここではE先生と一緒に形成外科を支えているI先生とゆっくりお話しすることができました。そしてその後は、E先生とI先生、N病院のO先生はじめ7人ですすきのに移動してワインを飲みながら遅くまで楽しい時間を過ごしてきました(やっぱり今朝は二日酔いでふらふらでした…汗)。来賓という立場上、写真を撮ることができなかったのは残念でしたが、とても楽しい、そして普段なかなかお会いできない方々と交流することができた貴重な機会でもあった忘年会でした。

今日の札幌はすっかり雪景色…。もう師走ですね。年賀状書かなきゃ…(汗)。

2014年12月4日木曜日

中間期乳がんをなくすことは可能か?

現行の乳がん検診は2年に1回の視触診とマンモグラフィということになっていますが、きちんと定期的に検診を受けていたのにその間でしこりを自覚して受診されることが稀にあります。このようにして発見された乳がんを”中間期乳がん”と言います。どうしてこのようなことが起きるのかについては以前ここでも書きました(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2010/04/100.html)。

明らかな見落としは別として、やむを得ないケースというのは時にあります。中間期乳がんに遭遇すると、非常に心が痛み、すぐに前回の検査所見を確認します。最近経験したケースでも前回のマンモグラフィを確認しましたが、やはりその目で見てもまったく病変を指摘することはできませんでした。この方は40才台で、乳腺濃度も高めの方でしたので、超音波検査を併用していたらもしかしたら病変を指摘できたかもしれません。そういう意味では、現在行なわれているJ-STARTの臨床試験結果が待たれるところです。

また数年前に、やはり検診マンモグラフィで異常がなかった(厳密に言うと石灰化はわずかにありましたが異常と取るだけの所見がありませんでした)方が、1年も経たないうちに無料クーポンが届いたので検診を受けたケースがありました。普通なら、こんな短期間で検診を受けるのはあまり意味がないと考えるところですが、この方はその短期間のうちに石灰化が明らかに増加していて、結果的に乳がん(浸潤がん)と診断されたのです。たまたま来たクーポンで救われたケースでした。もしクーポンが来なかったらおそらく中間期乳がんとして診断されていたのではないかと思います。

こう考えると検診で全ての乳がんを早期発見するのは簡単ではないことがわかると思います。それをカバーするために自分でできることは、定期的な自己検診くらいしかありません。あとはエビデンスはありませんが、自己負担で超音波検査の併用、マンモグラフィを間の年にも受ける、などでしょうか。MRや乳腺専用のPET(PEM)なども有用かもしれませんが、費用や所要時間などの点で一般用の検診としては問題がありそうです。

今以上に精度の高い検診システムが開発されて、中間期乳がんがなくなるような時代が来ることを願っています。