乳癌が心配だけど、どこに受診したらいいかわからない、乳癌になってしまって不安…、再発したからもうだめかもしれない…。そんな不安や悩みに少しでもお役に立てればと思って始めてみました。 (*投稿内容と無関係なコメント、病状のご相談はご遠慮願います*)
2010年6月28日月曜日
メンタルコミットロボット ”パロ”
先日の乳癌学会でアザラシ型のメンタルコミットロボット ”パロ”についての特別講演がありました。
一般家庭のペット代替と医療福祉施設でのアニマルセラピーという二つの目的で開発されたロボットです。日本では2005年から約1300体が利用されており、世界各地の医療施設にも導入されているとのことです。
産業技術研究所の資料によると(http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu24/siryo5-2.pdf)、ロボットセラピーによる3つの効果は、
①心理的利点:元気づける、動機づける
②生理的利点:ストレス低減、血圧・脈拍の安定
③社会的利点:コミュニケーションの増加など
だそうです。
ペット(動物)によるさまざまな人体への影響はアニマルセラピーとして長年研究され、その効果が報告されていますが、アレルギーの問題や特に病院などの施設においては感染の問題があります。ロボットであればこの問題を解決できるため注目が集まっているようです。
”パロ”には聴覚、視覚、触覚が備わっており、学習能力があるため、育て方によって性格も変わるようです(たまごっちみたい?)。国内では小児病棟や介護老人福祉施設やデイサービスなどでも使用されています。
乳がん領域においても、手術前後の不安解消や化学療法中の副作用軽減、緩和ケア病棟での癒し効果など、おおいに役立ちそうです。値段は1体350.000円で個人向けにはまだ販売していないようです。
新病院建設時には、がんサロンにでも是非とも導入したいと考えています。
2010年6月26日土曜日
第18回日本乳癌学会学術総会 2日目
早朝の日本vsデンマーク戦を観戦したまま寝不足で迎えた2日目。
やはり眠そうな人が多く、会場内で居眠りしている人もいつもより多かったような気がします。
午前中は、ポスターや一般演題の口演を聴いてまわり、ランチョンセミナーはゾメタの抗腫瘍効果の話を聴きました。今までにも何度か聞いていましたし、ネットや文献での報告も見ていましたが、知識の整理になりました。
午後は霞富士雄先生の特別講演を拝聴したあとで、病理セミナーと画像セミナーをずっと聴いていました。どちらのセミナーもとても勉強になりました。
終了後には、G病院研修中に大変お世話になったY先生と30分以上も立ち話をしていましたが、相変わらずお元気そうでさらに新しいことにも取り組んでいらっしゃるとのこと。エネルギッシュですごい先生です。
夕方からは、同系列の病院関係の懇親会がありました。岡山、長野、東京、旭川、そして札幌の乳腺外科医、超音波技師の仲間で、寝不足にもかかわらず、遅くまで交流しました。
もうしばらく札幌では学会はないと思います。やっぱり全国学会は地元より知らない街のほうが私は好きですね。来年は仙台です!
やはり眠そうな人が多く、会場内で居眠りしている人もいつもより多かったような気がします。
午前中は、ポスターや一般演題の口演を聴いてまわり、ランチョンセミナーはゾメタの抗腫瘍効果の話を聴きました。今までにも何度か聞いていましたし、ネットや文献での報告も見ていましたが、知識の整理になりました。
午後は霞富士雄先生の特別講演を拝聴したあとで、病理セミナーと画像セミナーをずっと聴いていました。どちらのセミナーもとても勉強になりました。
終了後には、G病院研修中に大変お世話になったY先生と30分以上も立ち話をしていましたが、相変わらずお元気そうでさらに新しいことにも取り組んでいらっしゃるとのこと。エネルギッシュですごい先生です。
夕方からは、同系列の病院関係の懇親会がありました。岡山、長野、東京、旭川、そして札幌の乳腺外科医、超音波技師の仲間で、寝不足にもかかわらず、遅くまで交流しました。
もうしばらく札幌では学会はないと思います。やっぱり全国学会は地元より知らない街のほうが私は好きですね。来年は仙台です!
2010年6月24日木曜日
第18回日本乳癌学会学術総会 初日
いよいよ今日から総会が始まりました。
午前はポスター発表があったので、同僚のG先生の発表以外は他のセッションには参加せずに準備をしていました。
発表自体は、特に変な質問もなく無事終了。実は発表に原稿を使うかどうかでちょっとばたばたしてました。直前に総合医薬系出版社Eから取材依頼が来ていたので、原稿を用意して待ち構えていましたが、当日は現れず…??結局いないみたいなので原稿なしで発表しました。
ランチョンセミナー、午後のシンポジウムは内容が今ひとつで目新しいことはなく、1日目は終わりました。
昨年、ネットを介してお知り合いになったJ-POSHのSさんと久しぶりにお会いできたのはうれしかったです。おみやげまでいただいてしまいました。ありがとうございました。
夜は以前研修したG病院の同門会でした。旧友のF先生と久しぶりに熱く語り合って楽しいひとときでした。
明日もう一日で終了です。明日はさらに有意義な一日になればいいなと思っています。
2010年6月20日日曜日
第10回HOKKAIDOママチャリ耐久リレー大会
ついにママチャリレースの日がやってきました。今年は風も強くなく、天気もまずまず。440チームほどが参加して熱戦が繰り広げられました。
うちの病院からはピンクリボンチームとAEDチーム×2の3チームが参加しました。ピンクリボンチームは、順位より安全に楽しく、乳がん検診の啓蒙を第1に、医師5人(男4 女1)、超音波技師4人(すべて女性)、看護師1人(女性)の10人で参加してきました(写真)。
今年は「受けよう 乳がん検診」と書いたショッキングピンクのTシャツに加えて、G医師お手製の自転車かごにつける啓蒙グッズ、チームキャプテンのE技師扮するニワトリのぬいぐるみ(子供たちや女性に大人気でした!)の背中にもピンクリボンマークをつけて乳がん検診の啓蒙活動を昨年以上に頑張りました。
レースの結果はいまひとつでしたが楽しい一日でした。
2010年6月18日金曜日
若年者の乳がん検診〜TBS vs 朝日新聞
先日ここでも触れましたが、TBSがバックアップしている”乳がん検診キャラバン さくら前線キャンペーン ”に対して、乳腺専門医と患者団体、NPO法人がキャンペーンの見直しを求める要望書を送ったことを朝日新聞が報道した件で、TBSと朝日新聞でバトルになりつつあるようです(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/media/404758/)。
私自身は、若年者にも乳がんに関心を持ってもらいたいというTBSと関係者の主旨は理解できますし、一部で噂されているような金儲けのためや”余命1ヶ月の花嫁”の舞台版の宣伝目的のためではないと信じています。
また一方で、朝日新聞で報道されたように、乳腺外科医の立場としては若年者にマンモグラフィ単独検診を勧めるということには反対です。たとえ十分に検診希望者にマンモグラフィ検診のメリットとデメリットを説明したとしても、このことを正確に理解することはなかなか難しいのです。
マンモグラフィ検診を受けた若年受診者が、「異常なし」という結果をもらえば、「がんはない」と思ってしまうものです。濃い乳腺に隠れてがんが見えていないだけ、という可能性はあまり考えないと思います。その結果、数ヶ月後にしこりを自覚しても、”ついこの前、マンモで異常なしだったからがんじゃないよね…”と思い込んでしまう危険性は否定できません。
また、一般女性に対する影響も大きいです。最近外来を受診される若年女性は、検診目的でも症状があっても、まずマンモグラフィを希望される方が非常に多いのです。マンモグラフィが最高の検査だと思い込んでいるようです。ただ。このように外来を受診される方には、その都度詳しく検査の有用性や問題点を説明できるので、正しく理解していただくことは可能です。しかし、集団検診のような形で行なった場合には、そこまで丁寧な説明は困難なのではないかと危惧しています。少なくとも、この検診を受診される若年女性は、マンモグラフィ検診で乳がんを早期発見できることを期待してわざわざ来ているわけですから、正しく理解できているのかどうか疑問です。
超音波検診の併用を始めたことはこのキャンペーンの進歩ではありますが、要望書にもあるように、いまだに確立された検診法ではなく、検査する技師や医師の技量に大きく影響されるため、精度管理が難しいという問題を抱えています。現在臨床試験中ですので、その結果を待たなければ有益であるとは言えません。
ただ、TBSも朝日新聞も私たち医療従事者も、若年者の乳がんを早期発見したい、という気持ちは同じだと思います。お互いに反発しあうのではなく、これをきっかけに若年女性の乳がん検診をどうしていくべきかを建設的に考えていくことが大切だと私は思います。
私自身は、若年者にも乳がんに関心を持ってもらいたいというTBSと関係者の主旨は理解できますし、一部で噂されているような金儲けのためや”余命1ヶ月の花嫁”の舞台版の宣伝目的のためではないと信じています。
また一方で、朝日新聞で報道されたように、乳腺外科医の立場としては若年者にマンモグラフィ単独検診を勧めるということには反対です。たとえ十分に検診希望者にマンモグラフィ検診のメリットとデメリットを説明したとしても、このことを正確に理解することはなかなか難しいのです。
マンモグラフィ検診を受けた若年受診者が、「異常なし」という結果をもらえば、「がんはない」と思ってしまうものです。濃い乳腺に隠れてがんが見えていないだけ、という可能性はあまり考えないと思います。その結果、数ヶ月後にしこりを自覚しても、”ついこの前、マンモで異常なしだったからがんじゃないよね…”と思い込んでしまう危険性は否定できません。
また、一般女性に対する影響も大きいです。最近外来を受診される若年女性は、検診目的でも症状があっても、まずマンモグラフィを希望される方が非常に多いのです。マンモグラフィが最高の検査だと思い込んでいるようです。ただ。このように外来を受診される方には、その都度詳しく検査の有用性や問題点を説明できるので、正しく理解していただくことは可能です。しかし、集団検診のような形で行なった場合には、そこまで丁寧な説明は困難なのではないかと危惧しています。少なくとも、この検診を受診される若年女性は、マンモグラフィ検診で乳がんを早期発見できることを期待してわざわざ来ているわけですから、正しく理解できているのかどうか疑問です。
超音波検診の併用を始めたことはこのキャンペーンの進歩ではありますが、要望書にもあるように、いまだに確立された検診法ではなく、検査する技師や医師の技量に大きく影響されるため、精度管理が難しいという問題を抱えています。現在臨床試験中ですので、その結果を待たなければ有益であるとは言えません。
ただ、TBSも朝日新聞も私たち医療従事者も、若年者の乳がんを早期発見したい、という気持ちは同じだと思います。お互いに反発しあうのではなく、これをきっかけに若年女性の乳がん検診をどうしていくべきかを建設的に考えていくことが大切だと私は思います。
2010年6月17日木曜日
FM生放送!ピンクリボンのアピールが緊張のあまり…
今日、ローカルFMのS放送局に行ってきました。
Eさんがメインで私は付き添いみたいな感じだったので気楽に構えていましたが、いよいよ本番が近づくと2人とも緊張してきました…。
Eさんは朝4時近くまであらかじめ送られてきた質問の答を完璧に用意していました。しかし…予想していた通り、パーソナリティの女性からの質問はその通りには進行せず、あとで話すつもりだった内容が先に来てしまったせいで原稿はすっかり無意味になり、なかばパニックになってしまいました。
それでもEさんはアドリブを効かせて軽快に受け答えをし、スムーズに放送は進行して行きました。私は合間に少しだけ話を補足する程度で無事生放送は終了!
しかし、帰り道でふと考えてみると…ママチャリレースと自転車の素晴らしさを熱く語ったのは良いのですが、肝心のピンクリボンの話があまりに少なすぎたことに気づきました(泣)。乳がん検診とピンクリボン運動についてもっと強調すればよかった…、と2人で後悔したものの生放送ですからあとの祭りでした…。でもママチャリの楽しさは伝わったと思うし、ピンクのTシャツに”受けよう 乳がん検診”の文字を書いて走ることは言ったからまあいいか〜と無理矢理納得して職場に戻りました。
緊張するとなかなか思い通りには進まないものですね。でもパーソナリティの方もスタッフの方もとても気さくな良い方たちで、楽しい貴重な経験をさせていただきました。
この放送局はれんが造りのおしゃれな建物の中にあってとても素敵な場所でした。写真は建物内のスタジオ前にピンクのTシャツを着て立つEさんです。Eさん、今日はお疲れさまでした!
2010年6月15日火曜日
ママチャリ・ピンクリボンチーム FMでアピール(?)
先日のピンクリボン関連の集まりでうちのG先生がママチャリチームで乳がん検診の啓蒙活動をしているという話をしたら、地方FM局のS放送局から出演依頼をされてしまいました。
G先生は当日の都合がつかず、私も外来前の微妙な時間ではありましたが、リーダーの超音波技師Eさんのお伴として参加することになってしまいました。以前に他のFM局で乳癌の話をしたときは録音だったので気分的には楽だったんですけど今回は生放送…。10分程度なのであっという間だと思いますが乳がん検診の取り組みについてアピールして来ようと思います。
学会準備にママチャリレース、そしてあさってのFM…。おまけに連日のワールドカップで寝不足です(笑)
なかなか充実した日々が続きます。
G先生は当日の都合がつかず、私も外来前の微妙な時間ではありましたが、リーダーの超音波技師Eさんのお伴として参加することになってしまいました。以前に他のFM局で乳癌の話をしたときは録音だったので気分的には楽だったんですけど今回は生放送…。10分程度なのであっという間だと思いますが乳がん検診の取り組みについてアピールして来ようと思います。
学会準備にママチャリレース、そしてあさってのFM…。おまけに連日のワールドカップで寝不足です(笑)
なかなか充実した日々が続きます。
2010年6月11日金曜日
ASCO 2010 トピックス
2010.6.4-8に行なわれた米国臨床腫瘍学会(ASCO)のレポートが続々と報告されています。
いくつか乳がんに関するトピックスをお知らせします。ちょっと難しい内容ですがわからないものは読みとばして下さい。
①「再発スコアと臨床病理学的情報を組み合わせた新しいリスク評価で早期乳癌患者の予後を予測」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515512.html)
Oncotype DXで算出した再発スコア(RS)と臨床病理学的な情報を組み合わせたRS-pathologic-clinical(RSPC)による再発リスク評価は、RS単独による評価よりも早期乳癌患者の予後を強力に予測し、RSでリスクが「中間」に分類された患者を減らし個別化医療の決定力を高める。
→いまだ日本ではOncotype DXは普及していませんので、あまり身近な問題には感じられません。HER2のように保険適応になれば良いのですが…。
②「BMIが閉経前乳癌患者の内分泌療法に影響する可能性」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515502.html)
閉経前の過体重の乳癌患者では、body mass index(BMI)が内分泌療法に影響する可能性がレトロスペクティブな解析から示された。アロマターゼ阻害剤(AI)のアナストロゾール(ANA)を投与した場合に、正常体重の患者と比べて無病生存率(DFS)および全生存率(OS)が悪化した。
→やっぱり肥満は健康にとって良いことがないようです。気をつけましょう!
③「アロマターゼ阻害剤による術後補助療法はタモキシフェンよりも治療中止が少ない」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515508.html)
閉経後乳癌患者において、手術後5年間のホルモン療法によって再発が抑制されることが報告されている。米国の乳癌患者およそ1400人を対象にした調査で、アロマターゼ阻害剤による術後補助療法はタモキシフェンよりも治療途中での中止が少ないことが明らかになった。
→私の印象では同じくらいの頻度ではないかと思うのですが…。アロマターゼ阻害剤による関節痛で継続できなくなる患者さんもそれなりにいるの思うのですが、人種の差があるのかもしれません。
④「HR陰性HER2陽性の早期乳癌、術前の化学放射線療法で手術省略の可能性も」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515500.html)
早期の原発乳癌に対しては、全例手術を行うのが標準治療になっている。だが、ホルモン受容体(HR)陰性でHER2陽性の患者など一部の対象においては、術前化学療法の後に放射線治療を追加することで、手術を行わなくても済むようになるかもしれない。
→これはまだ先の話ですね。将来的に90%以上の患者さんで病理学的に完全消失できるくらいになれば、初期治療としての手術は不要になるかもしれません。
⑤「luminal乳癌に対するネオアジュバント治療は化学療法がホルモン療法よりも優れる傾向」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515498.html)
luminal乳癌(ER陽性乳癌)に対するネオアジュバント治療の成績は化学療法の方がホルモン療法よりも優れる傾向にあり、特に閉経前、ERのAllredスコアが高値、またはKi67が10%を上回る患者で化学療法の方が有意に臨床的奏効率が高いことが示された。一方、副作用はホルモン療法の方が少なかった。
→これは意外な報告です。ER陽性HER2陰性(luminal A)乳癌は化学療法の感受性が悪いと言われているからです。ただこの症例の中にはHER2陽性(luminal B)例も含まれているようですので、この割合によってはこのような成績になるのかもしれません。luminal Aのみで検討したら違う結果になるかもしれません。
⑥「前治療のある日本人の局所進行・転移性乳癌にエリブリンが有効で安全」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515462.html)
アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤による治療歴がある、局所進行もしくは転移性乳癌に対し、エリブリンは効果があり、安全に投与できることが日本のフェーズ2試験で明らかになった。
→日本の「エーザイ」が開発したエリブリンの報告です。すでに国内外で承認申請中の薬剤です。分子標的薬の時代に新規抗がん剤の開発はなかなか勇気がいりますが、効果があるのであれば治療の選択肢が増えてありがたいです。
⑦「日本人のHER2陰性転移性乳癌でベバシズマブとパクリタキセル併用がPFSを改善」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515470.html)
HER2陰性の転移性乳癌にベバシズマブとパクリタキセルを週1回投与することで、無増悪生存期間(PFS)が延長し、忍容性も認められることが日本のフェーズ2試験で明らかになった。
→すでに大腸癌では認可されているベバシズマブ(商品名 アバスチン)ですが、乳癌にも効果があることは以前から海外で報告されています。国内での臨床試験結果が報告されたことで今後の早期認可に期待が持てます。
いくつか乳がんに関するトピックスをお知らせします。ちょっと難しい内容ですがわからないものは読みとばして下さい。
①「再発スコアと臨床病理学的情報を組み合わせた新しいリスク評価で早期乳癌患者の予後を予測」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515512.html)
Oncotype DXで算出した再発スコア(RS)と臨床病理学的な情報を組み合わせたRS-pathologic-clinical(RSPC)による再発リスク評価は、RS単独による評価よりも早期乳癌患者の予後を強力に予測し、RSでリスクが「中間」に分類された患者を減らし個別化医療の決定力を高める。
→いまだ日本ではOncotype DXは普及していませんので、あまり身近な問題には感じられません。HER2のように保険適応になれば良いのですが…。
②「BMIが閉経前乳癌患者の内分泌療法に影響する可能性」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515502.html)
閉経前の過体重の乳癌患者では、body mass index(BMI)が内分泌療法に影響する可能性がレトロスペクティブな解析から示された。アロマターゼ阻害剤(AI)のアナストロゾール(ANA)を投与した場合に、正常体重の患者と比べて無病生存率(DFS)および全生存率(OS)が悪化した。
→やっぱり肥満は健康にとって良いことがないようです。気をつけましょう!
③「アロマターゼ阻害剤による術後補助療法はタモキシフェンよりも治療中止が少ない」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515508.html)
閉経後乳癌患者において、手術後5年間のホルモン療法によって再発が抑制されることが報告されている。米国の乳癌患者およそ1400人を対象にした調査で、アロマターゼ阻害剤による術後補助療法はタモキシフェンよりも治療途中での中止が少ないことが明らかになった。
→私の印象では同じくらいの頻度ではないかと思うのですが…。アロマターゼ阻害剤による関節痛で継続できなくなる患者さんもそれなりにいるの思うのですが、人種の差があるのかもしれません。
④「HR陰性HER2陽性の早期乳癌、術前の化学放射線療法で手術省略の可能性も」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515500.html)
早期の原発乳癌に対しては、全例手術を行うのが標準治療になっている。だが、ホルモン受容体(HR)陰性でHER2陽性の患者など一部の対象においては、術前化学療法の後に放射線治療を追加することで、手術を行わなくても済むようになるかもしれない。
→これはまだ先の話ですね。将来的に90%以上の患者さんで病理学的に完全消失できるくらいになれば、初期治療としての手術は不要になるかもしれません。
⑤「luminal乳癌に対するネオアジュバント治療は化学療法がホルモン療法よりも優れる傾向」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515498.html)
luminal乳癌(ER陽性乳癌)に対するネオアジュバント治療の成績は化学療法の方がホルモン療法よりも優れる傾向にあり、特に閉経前、ERのAllredスコアが高値、またはKi67が10%を上回る患者で化学療法の方が有意に臨床的奏効率が高いことが示された。一方、副作用はホルモン療法の方が少なかった。
→これは意外な報告です。ER陽性HER2陰性(luminal A)乳癌は化学療法の感受性が悪いと言われているからです。ただこの症例の中にはHER2陽性(luminal B)例も含まれているようですので、この割合によってはこのような成績になるのかもしれません。luminal Aのみで検討したら違う結果になるかもしれません。
⑥「前治療のある日本人の局所進行・転移性乳癌にエリブリンが有効で安全」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515462.html)
アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤による治療歴がある、局所進行もしくは転移性乳癌に対し、エリブリンは効果があり、安全に投与できることが日本のフェーズ2試験で明らかになった。
→日本の「エーザイ」が開発したエリブリンの報告です。すでに国内外で承認申請中の薬剤です。分子標的薬の時代に新規抗がん剤の開発はなかなか勇気がいりますが、効果があるのであれば治療の選択肢が増えてありがたいです。
⑦「日本人のHER2陰性転移性乳癌でベバシズマブとパクリタキセル併用がPFSを改善」
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515470.html)
HER2陰性の転移性乳癌にベバシズマブとパクリタキセルを週1回投与することで、無増悪生存期間(PFS)が延長し、忍容性も認められることが日本のフェーズ2試験で明らかになった。
→すでに大腸癌では認可されているベバシズマブ(商品名 アバスチン)ですが、乳癌にも効果があることは以前から海外で報告されています。国内での臨床試験結果が報告されたことで今後の早期認可に期待が持てます。
2010年6月10日木曜日
TBSへの抗議〜20~30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書を提出
朝日新聞をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、以前にこのブログでもTBSがバックアップするさくらパンダ前線キャンペーンの問題点を指摘したことがありましたが、ついに昭和大学医学部教授(元聖路加病院)の中村清吾先生らがTBSに正式に「20~30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書」を送る事態になってしまいました(http://www.asahi.com/health/news/TKY201006090607.html)。
若年者に乳がんの啓蒙をすることはとても大切なことであり、「余命1カ月の花嫁」の主人公の遺志を伝えるという意味では、完全にこのキャンペーンを否定する気はありません。むしろ貢献も大きかったと思います。
ただ、マスコミが十分なエビデンスを確認せずに、誤った情報を一般の人々に植えつけてしまったことは問題でした。乳腺専門医の意見を聞いた上で行なったキャンペーンなのかどうかは不明ですが、結果的には主人公の遺志に反する結果となってしまいました。とても残念なことだと思います。
ただ、今年はエコー検診を導入したようですので、若年者に対するマンモグラフィの問題点についてはどこからか伝わっていたのかもしれません。私個人的にはエコー検診は非常に有用だと思いますが、その効果については現在臨床試験で確認中の段階であり、エビデンスがあるわけではありません。また精度管理上の問題はマンモグラフィ以上にあります。ですからこの検診も気をつけないと必ず見落としや拾いすぎ(要精査率が高くなりすぎる)の問題が出てきます。現段階で安心してお勧めできる状態までにはなっていないことを理解した上でこのキャンペーンを利用しなければ、せっかくの試みも逆効果になってしまうかもしれません。
若年者に乳がんの啓蒙をすることはとても大切なことであり、「余命1カ月の花嫁」の主人公の遺志を伝えるという意味では、完全にこのキャンペーンを否定する気はありません。むしろ貢献も大きかったと思います。
ただ、マスコミが十分なエビデンスを確認せずに、誤った情報を一般の人々に植えつけてしまったことは問題でした。乳腺専門医の意見を聞いた上で行なったキャンペーンなのかどうかは不明ですが、結果的には主人公の遺志に反する結果となってしまいました。とても残念なことだと思います。
ただ、今年はエコー検診を導入したようですので、若年者に対するマンモグラフィの問題点についてはどこからか伝わっていたのかもしれません。私個人的にはエコー検診は非常に有用だと思いますが、その効果については現在臨床試験で確認中の段階であり、エビデンスがあるわけではありません。また精度管理上の問題はマンモグラフィ以上にあります。ですからこの検診も気をつけないと必ず見落としや拾いすぎ(要精査率が高くなりすぎる)の問題が出てきます。現段階で安心してお勧めできる状態までにはなっていないことを理解した上でこのキャンペーンを利用しなければ、せっかくの試みも逆効果になってしまうかもしれません。
第18回日本乳癌学会学術総会 市民公開講座
第18回日本乳癌学会総会がいよいよ迫ってきました。いま発表の準備に追われています(と言ってもママチャリもあるので今ひとつ集中できていません)。
日程は、2010.6.24-6.25で、会場はホテルロイトン札幌とさっぽろ芸術文化の館です。基本的には医療従事者が対象ですが、参加費15000円を払えば一般の方も参加可能です。
この総会とは別に、2010.6.25(土)の13:00-16:00に札幌市民ホール(札幌市中央区北1西1)で一般向けの市民公開講座「身近な病気、知っていようね!」が開催されます。参加費は無料ですが、定員は700人で6/15までに事前申し込みが必要です。申し込み方法はHP(http://www2.convention.co.jp/18jbcs/shimin/index.html)をご覧下さい。
市民公開講座の概要は以下の通りです。
①はじめに
②基調講演:「早く胸のしこりを見つけるために」「乳がんになったらどうしたらいいの?」「再発治療」「緩和ケア」「再発後どう生きたらいいの?」
③パネルディスカッション「乳がんと真剣に向き合いましょう!〜早期発見から再発まで〜」
④「もえぎ色女学院withコンカリーズエンジェル」による啓蒙パフォーマンス「私たちも乳がんになるかも?」
⑤閉会のあいさつ
詳細はHPのポスター(http://www2.convention.co.jp/18jbcs/participant/index.html)に書いてあります。乳がんについてあまり知らない一般の方も乳がん術後や再発後の患者さんもきっと勉強になる内容だと思いますので是非参加してみて下さい。
日程は、2010.6.24-6.25で、会場はホテルロイトン札幌とさっぽろ芸術文化の館です。基本的には医療従事者が対象ですが、参加費15000円を払えば一般の方も参加可能です。
この総会とは別に、2010.6.25(土)の13:00-16:00に札幌市民ホール(札幌市中央区北1西1)で一般向けの市民公開講座「身近な病気、知っていようね!」が開催されます。参加費は無料ですが、定員は700人で6/15までに事前申し込みが必要です。申し込み方法はHP(http://www2.convention.co.jp/18jbcs/shimin/index.html)をご覧下さい。
市民公開講座の概要は以下の通りです。
①はじめに
②基調講演:「早く胸のしこりを見つけるために」「乳がんになったらどうしたらいいの?」「再発治療」「緩和ケア」「再発後どう生きたらいいの?」
③パネルディスカッション「乳がんと真剣に向き合いましょう!〜早期発見から再発まで〜」
④「もえぎ色女学院withコンカリーズエンジェル」による啓蒙パフォーマンス「私たちも乳がんになるかも?」
⑤閉会のあいさつ
詳細はHPのポスター(http://www2.convention.co.jp/18jbcs/participant/index.html)に書いてあります。乳がんについてあまり知らない一般の方も乳がん術後や再発後の患者さんもきっと勉強になる内容だと思いますので是非参加してみて下さい。
2010年6月7日月曜日
乳がん体験者コーディネーター
NPO法人キャンサーネットジャパンから、”BEC乳がん体験者コーディネーター養成講座第6期生募集・実施要綱”という資料が送られてきました(写真)。
これは2007年6月に閣議決定された「がん対策基本計画」を受けて、同NPO法人が主に乳がんの治療を受けた患者さん(またはご家族)を対象に、がんに対する一般的な知識、医療情報、最新情報にアクセスするスキルを身につけるために行なってきた講座です。ここで身につけた知識を患者会活動や患者相談支援などに活かして欲しいということです。また、対象者は患者さんやご家族に限定したものではなく、広く門戸を開放しているようです。製薬会社関係の方やジャーナリストなども受講しているとのことです。
講座は前期と後期に分かれています。
前期はインターネットを用いた20コマの講義の視聴とレポート提出からなり、修了試験に合格すると修了証が発行されます。前期修了者を対象とした後期は全体講義とケーススタディ・ロールプレイ、全体発表のプログラムからなり、これらを終了すると、キャンサーネットジャパンが認める「乳がん体験者コーディネーター」として認定されるそうです。
受講料は、前期が80000円(H22.7.31まで。それ以降H22.10.31までは90000円)、後期が60000円とけっこう高いです(5名以上の申し込みで優遇制度あり)。この資格を維持するためには3年ごとの更新があり、セミナーやイベント、学会参加などによるポイントが必要ですし、更新料(15000円)もかかります。また国家資格ではありませんので、就職に役立つとは限りません。
なかなか敷居が高い講座ですが、内容としては受講する意義はあると思いますので一応、情報としてブログにアップすることにしました。おそらく全国の乳腺専門医あてに同じ資料が送付されていると思いますので、興味がある方は主治医が専門医であれば主治医にお聞きになってみて下さい。また、パソコンでも情報は見れますのでご参照ください(http://cancernet.jp/bec.html)。
2010年6月6日日曜日
同期の形成外科医と…
昨日、久しぶりにプライベートですすきのに飲みに行きました。
相手は職場の近くにあるD病院の形成外科医、E先生です。実はE先生とは高校時代の同期なんです。でもお互い名前は知っていましたが、高校時代には一度も話したことがなく、大学も別々だったので今回が初対面みたいなものという不思議な関係なんです。
昨日は仲介に入ってくれたMさんと僕たちの3人でビール2杯ずつと白ワインのハーフボトル3本を寿司屋で飲んでから、E先生行きつけのワインバーに場所を移して赤ワインのフルボトルを2本空けました。高校時代の友達話に花が咲き、すっかり酔っぱらってしまいました。久しぶりの二日酔いで午前中はふらふらしてましたが、ようやく復活してブログを更新できました。
E先生はS医大の形成外科で長く勤められたあとでD病院に赴任となり、乳房再建も含めて形成外科一般をされているようです。地域性もあるのか、うちの病院で手術を受けた患者さんの乳房再建への要望はあまり強くはありません。実際に再建した患者さんは数えるほどです。でもこれからはこちらでも再建の要望が強くなると思いますので、E先生の存在は大きいです。しかも同期生なのでいろいろ相談もしやすいし心強いです。創部のケロイド治療も専門のようなので助かります。これからも良い関係を続けていきたいと思っています。
相手は職場の近くにあるD病院の形成外科医、E先生です。実はE先生とは高校時代の同期なんです。でもお互い名前は知っていましたが、高校時代には一度も話したことがなく、大学も別々だったので今回が初対面みたいなものという不思議な関係なんです。
昨日は仲介に入ってくれたMさんと僕たちの3人でビール2杯ずつと白ワインのハーフボトル3本を寿司屋で飲んでから、E先生行きつけのワインバーに場所を移して赤ワインのフルボトルを2本空けました。高校時代の友達話に花が咲き、すっかり酔っぱらってしまいました。久しぶりの二日酔いで午前中はふらふらしてましたが、ようやく復活してブログを更新できました。
E先生はS医大の形成外科で長く勤められたあとでD病院に赴任となり、乳房再建も含めて形成外科一般をされているようです。地域性もあるのか、うちの病院で手術を受けた患者さんの乳房再建への要望はあまり強くはありません。実際に再建した患者さんは数えるほどです。でもこれからはこちらでも再建の要望が強くなると思いますので、E先生の存在は大きいです。しかも同期生なのでいろいろ相談もしやすいし心強いです。創部のケロイド治療も専門のようなので助かります。これからも良い関係を続けていきたいと思っています。
2010年6月3日木曜日
世界初!乳がん予防ワクチンの開発に成功!
”がんワクチン”と言えば、全国の大学病院などで研究が進められている(一部では保険外診療で投与しているクリニックなどもありますが…)進行再発がんに対するもの、というイメージが強いですが、今回の報告は、子宮頸がんに対するヒトパピローマウイルスのワクチンと同様の発癌予防目的のワクチン(”がん予防ワクチン”)が開発されたというニュースです。以下はその内容のサマリーです。
報告者:米クリーブランドクリニックのVincent K. Tuohy氏ら
報告文献:Nature Medicine5月30日オンライン版
対象:マウスを用いた動物実験
方法:乳糖合成酵素の補因子になるタンパク質α-ラクトアルブミン(通常の乳腺細胞には現れないが,授乳期間中の乳腺上皮細胞やヒト乳がん細胞の大部分で特異的に発現する)を自己抗原としたワクチンを開発し,乳がんトランスジェニックマウスおよび4T1型乳がん組織を移植したBALB/cマウス計6匹に接種。ダミー・ワクチンを接種した同種マウス6匹と比較。
結果:10か月後,ワクチン接種群では乳がん発症が認められなかったが,対照群ではすべてで腫瘍が確認された。さらに,このワクチンの投与による通常細胞への影響は認められなかった。
結論:α-ラクトアルブミンに対するワクチンには,乳がん予防につながる効果がある。
これはまだ動物実験の段階ですが、将来的には乳がん予防法として子宮頸がんと同様に期待できるワクチンだと思います。今まで開発された”がん予防ワクチン”は、子宮頸がんに対するヒトパピローマウイルスや肝がんの原因になるB型肝炎ウイルスなど、ウイルスをターゲットとしたワクチンでしたが、今回のワクチンは特異的に発現するタンパク質をターゲットにしたという点で非常に興味深いものだと思います。
なお、α-ラクトアルブミンは授乳期にも発現するタンパク質のため、対象者は妊娠・出産後の女性になりますから、実際にはどの程度の効果があるのかは未知数です。また、症例数の少ない動物実験のデータでは信頼性も安全性は十分ではありません。思わぬ副作用の出現という可能性もありますので楽観視はできませんが、期待したいワクチンです。来年には臨床試験に取りかかれる状態ということですので10年後くらいには乳がん予防の画期的な手段になっているかもしれません。
報告者:米クリーブランドクリニックのVincent K. Tuohy氏ら
報告文献:Nature Medicine5月30日オンライン版
対象:マウスを用いた動物実験
方法:乳糖合成酵素の補因子になるタンパク質α-ラクトアルブミン(通常の乳腺細胞には現れないが,授乳期間中の乳腺上皮細胞やヒト乳がん細胞の大部分で特異的に発現する)を自己抗原としたワクチンを開発し,乳がんトランスジェニックマウスおよび4T1型乳がん組織を移植したBALB/cマウス計6匹に接種。ダミー・ワクチンを接種した同種マウス6匹と比較。
結果:10か月後,ワクチン接種群では乳がん発症が認められなかったが,対照群ではすべてで腫瘍が確認された。さらに,このワクチンの投与による通常細胞への影響は認められなかった。
結論:α-ラクトアルブミンに対するワクチンには,乳がん予防につながる効果がある。
これはまだ動物実験の段階ですが、将来的には乳がん予防法として子宮頸がんと同様に期待できるワクチンだと思います。今まで開発された”がん予防ワクチン”は、子宮頸がんに対するヒトパピローマウイルスや肝がんの原因になるB型肝炎ウイルスなど、ウイルスをターゲットとしたワクチンでしたが、今回のワクチンは特異的に発現するタンパク質をターゲットにしたという点で非常に興味深いものだと思います。
なお、α-ラクトアルブミンは授乳期にも発現するタンパク質のため、対象者は妊娠・出産後の女性になりますから、実際にはどの程度の効果があるのかは未知数です。また、症例数の少ない動物実験のデータでは信頼性も安全性は十分ではありません。思わぬ副作用の出現という可能性もありますので楽観視はできませんが、期待したいワクチンです。来年には臨床試験に取りかかれる状態ということですので10年後くらいには乳がん予防の画期的な手段になっているかもしれません。
2010年6月1日火曜日
ママチャリ・ピンクリボンチーム特訓中(?)
某所で行なわれる4時間耐久ママチャリレースまであと20日を切ってしまいました。病院のピンクリボンチームとして参加し始めて3年目になります。成績はお恥ずかしい限りですが、”乳がん検診を受けましょう”の文字を背負って力走してきました。
昨年も直前から娘のママチャリで慌てて練習をして本番に備えましたが、強風のため前年より1周1分くらいタイムを落としてしまいました。今年こそは、と思い、自転車(写真)を買ってトレーニングをしています。でも購入を迷っている間に月日は過ぎてしまい、結局昨年と同じくらいの練習開始になってしまいました。
初乗りでパンクというトラブルにもめげずに少しづつ距離を延ばして、ようやく通勤の距離(片道10km)を苦痛なく乗れるようになりました。高校、大学と同じくらいの距離をなんの苦労もなく毎日通学していたのに40才をすぎると急激に筋力が落ちてしまうようです。やはり日頃の運動不足がたたっているみたいです。
当日までになんとか体力をつけて、怪我のないように啓蒙活動をしてきたいと思います。できれば啓蒙グッズの配布などもやってみたかったのですが、場所や体制などの問題もあって残念ながら却下されてしまいました。来年はなんとかできないか、主催者に相談してみようかと思っています。
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