2015年10月1日木曜日

乳腺術後症例検討会 42 ”マンモグラフィ撮影機の機種変更の影響”

いま札幌は強風が吹き荒れています。これからさらに悪化するのでしょうか…(汗)明日の朝が心配ですね。

昨日はいつもの症例検討会でした。参加人数はまずまず。まずは放射線技師によるマンモグラフィ撮影機の機種変更後の検討についての報告がありました。現在の機種になって2年たちますが、最初は機種の違いによるポジショニングの難しさがあったようです。今は読影の際に気になることはほとんどなくなっています。フィルムレスになってからは過去画像の比較も容易になり、私たちとしては非常に楽になりました。また、以前の機種では乳房の大きな方は1枚におさまりませんでしたが今の機種はおさまりますので被曝の軽減にもつながっています。今後は同じ機種を今年導入した関連病院の技師にノウハウを伝達することが重要だと思っています。

症例は3例。内部に脂肪を含むようにも見える多発腫瘤で発見された症例と皮膚のわずかな肥厚(よく見ると構築の乱れもありそう)で診断された広義の炎症性乳がんの症例、そして5年前の画像との比較で判断が難しかった局所性非対称性陰影で発見された症例で、後者の2例は無症状の検診発見乳がんでした。どれもちょっと油断すると見落としそうな症例でしたが、そのうち2例はリンパ節転移を伴っていました。

マンモグラフィのみで早期の乳がんを診断するのは時に非常に難しいことがあります。北斗晶さんのニュースが流れて以降、毎年、もしくは2年に1回の検診に対する不安を訴える方が増えています。毎年検診を受けていてもスピードの速いがんはその間に出てきますし、若くて乳腺濃度の高い方の場合はマンモグラフィのみの検診ではたとえ毎年撮ったとしても診断には限界があります。

現在、J-STARTという国内の臨床試験で、40才代の女性を対象にマンモグラフィに超音波検査を上乗せする有用性を検証中ですが、個人的には年齢だけではなく、乳腺濃度に合わせて超音波検査を併用すべきであると考えていますし、それは40才以上のみではなく、30才代(遺伝性素因のある方はもう少し早くから)にも適応した方が良いのではないかと感じています。ただ今のところそれを支持する臨床試験はありません。

おそらくどのような検診方法に変更しても、すべての乳がんを早期発見できるわけではないと思います。これは検査の限界、そして経済的な側面もあるからです。ただそれでもできるだけ多くの乳がんを早期に診断できるような検診方法が一日でも早く確立することを願っています。

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