2017年7月16日日曜日

第25回日本乳癌学会学術総会 in 福岡

福岡で行われた乳癌学会学術総会に参加してきました。日程は7/13−15でしたが最終日は参加せず、G先生たちを残して一足早く、昨日帰ってきました。

それにしても福岡は暑かったです(汗)。今年の札幌も暑いのですが、夜の暑さと湿度が違います。しかもちょうど祇園山笠祭りが行われていたため、人も多くて夜中まですごい熱気でした。



前日に現地入りしましたが、その夜はD病院のE先生と、SクリニックのO先生と一緒に飲みました。1軒目はE先生と2人で中洲の居酒屋に行き、ビールと焼酎を飲みながら、馬刺しや鳥刺し、焼き鳥などを堪能しました。そのあと天神のワインバーに移って、O先生と合流し、美味しいワインを飲みました。



ただ、焼酎とワインの組み合わせが悪かったのか、そのあとで博多ラーメンを食べた頃から記憶は途切れ途切れで、朝まで頭痛と戦う羽目になってしまいました(汗)。

今回の学会は、乳腺外科医4人と看護師2人という今までにない人数での参加でした。全国学会に不慣れな看護師さんたちが発表するため、今回、私自身はバックアップに専念することにして演題登録はしませんでした。

初日は夕方に後期研修医のNA先生のポスター討論がありましたが、全国初舞台の割に落ち着いた発表だったと思います。2日目は、乳腺外科医みんなでサポートしてようやく完成した化学療法認定看護師のO外来師長の厳選口演(ACPに関する報告)と病棟看護師Iさんのポスター掲示の発表がありました。Oさんの発表は口演だったので緊張するのではないかと心配しましたが、とても落ち着いて発表できたと思います。師長業務に追われながら、時間をかけて何度もやり直しをしながら頑張ってきた努力が報われて本当に良かったです。その夜はとり田”という水炊きのお店でお疲れ様会を行いました。N先生はご主人とお子さんも一緒に学会に来ていましたが、みんなで参加してくれました。



3日目は私は参加できませんでしたが、ポスター討論のG先生とポスター掲示のN先生の発表はつつがなく終了したようです。

発表は無事終了して一安心でしたが、とにかく暑さは堪えました(泣)。汗をかいて冷房で冷えての繰り返しのせいで、異常に疲れました。やっぱり7月半ばの学会はきついです(汗)。札幌に帰って、今日は雨も降ったので気温も下がり、ようやく一息ついています。

来年の学会は5月。準備にあまり時間はありませんので早めに取り掛かろうと思っています。

7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして、35歳女です。
先日、乳がんを告知されました。

精密検査はまだで、生検の結果は(3ヶ所生検)ER-100%・PgR-90%・HER2-score1+・KI67-2%となっています。
生検の結果と、術後の病理検査が変わることは、先生のご経験上よくあるのでしょうか?
KI67-2%というのが…あまりにも低くて本当なのかな?ととても不安です。

主治医の先生の話では、精密検査で転移など大まかな事が分かるとのことでしたが、
リンパへの転移は手術してみないと分からない事が多いのでしょうか?

手術は2ヶ月以上の待ちです、
生検の結果比較的大人しいガンと言われていても、
取った病理検査で結果が変わる事があるのならば、手術を2ヶ月も待つ事がとても不安です

いまある材料でしか判断できないので、仕方ない事とも思うのですが…

病理検査の結果からあらゆる可能性を考え、大学病院へお世話になるのか。
早く手術をして、次の治療に進むため、早めに手術を行って頂ける病院へ移るのか悩んでいます。

早期発見、早期治療と聞く事が多いので、2ヶ月は長く感じ、とても焦ります。

長文失礼しました。
先生のご意見をお伺いできると、ありがたいです。
よろしくお願いいたします。

匿名 さんのコメント...

上記の匿名者です。

もう二点、意見をお聞かせ下さい。

乳首の近くにできた癌であるため、全摘の可能性大ですが。
温存手術の可能性がある場合、非常に迷います。
温存と全摘の場合で、再発リスクは変わりますでしょうか?
(主治医の先生の説明は、理論的で…なかなか理解できませんでした)

小さな子供がいる為、できる限り再発のリスクを下げたいと望んでいます。
主治医の先生に、再発リスクの可能性を1%でも下げる治療をお願いしたのですが…
その様なものはなく、再発は運命の様なもの…という回答で、とても不安になりましたr。

先生は再発についてどうお考えですか?

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
乳がんと診断され不安のことと思います。

まず、針生検の結果と手術標本の結果が異なることはあります。ただKi-67の数値やER、PgRの比率が多少変わる程度がほとんどですが(というか全く同じ数値ということの方が稀です)、匿名さんのようなLuminal A typeの方が術前化学療法もしないのに手術標本でトリプルネガティブに変わるというような極端な結果になることはまずありません。ちなみにKi-67の数値が低いことは喜ぶことでこそあれ、不安になる必要はないと思います。

手術を2ヶ月待つことについては私は何ともお答えできません。私はできるだけ診断から1ヶ月以内に手術ができるようにと考えていますが、現在のようにネットの情報が溢れていて有名病院や大病院に患者さんが集中するような状況ではやむを得ないと考えるしかありません。それが決定的に予後に影響するとは考えないということでそれらの病院は患者さんに待っていただいているのだと思いますが、もしそれが不安であれば早く手術できる病院に紹介してもらうのも一つの方法かと思います。

温存術と全摘術の再発に関してですが、まず、再発には局所再発(乳房内再発)と遠隔再発(肺、骨、肝など)とを分けて考える必要があります。遠隔再発に関しては、適応を守れば2つの術式で差はありません(10年後の生存率は同等)。しかし局所再発に関しては全摘術では非常に稀(特に温存術の適応になるような早期がんの場合)なのに対し、温存術では術後放射線治療を行っても10年間で3−5%程度の乳房内再発(多発がんも含めて)が起こり得ます。注意しなければならないのは、温存術後に乳房内再発をきたした場合は、放射線治療をすでに行っているため、2回目の温存術も人工物を用いる一次乳房再建術も基本的にはできないということを理解しておかなければならないということです。

特に匿名さんのように若年発症の乳がんの場合、遺伝性乳がん(遺伝性乳がん・卵巣がん症候群:HBOC など)の可能性も考えなければなりません。遺伝性乳がんの場合は、両側にできやすい、多発しやすいという傾向がありますので、通常の乳がんの人より乳房内再発率は高いのです。遺伝性乳がんの可能性があるかどうかは、遺伝カウンセラーのいる病院で相談、検査が可能ですので主治医にご確認ください。遺伝子検査を行ってから術式を決めるという考え方もありますので。

全摘術に比べての温存術のメリットは整容性と言われていましたが、今は保険で乳房全摘+一次乳房再建術もできるようになっています。もし乳房内再発のことも含めて不安ということであれば、まだお若いですので乳房全摘+一次再建を考えても良いかとは思います(異物の違和感やインプラントの耐久性などの問題点もありますのでどちらがベストとは言えませんが)。

長くなりましたが以上です。

匿名さん さんのコメント...

上記の匿名者です。

先生、早速のご意見ありがとうございます。
不安な中、先生の分かりやすいご説明は大変ありがたいです。

もう数点だけ、ご意見を伺わせて下さい。

生検の結果は上記に記載させていただいた通りで、
サイズはエコー上では、8mm<最大1.3cmと聞いています。

・この様な状況でも、リンパ転移や血管侵襲の可能性はあるのでしょうか
リンパ転移や血管侵襲は、サイズやグレードと比例するわけではないのですか?

・主治医の先生の話では、10年も前からできたであろうガンで、その時から全身に転移しているのに、
そんなに急いでも病気的には意味がなく、気持ちだけの問題という事でした。
ゆっくりなガンで、手術を急ぐ必要がないとしても、ホルモン療法を急ぎたいという心情になってしまうのですが…
主治医の先生は、それも意味のない事と言われました。
意見として教えて下さい、先生は(手術の時期が伸びることは)決定的でなくとも予後に影響があると考えられますか。
ホルモン療法が2ヶ月伸びてしまうことの、予後の影響もどう思われますか?

・病理結果が生検の結果と近いものであった場合、大人しめなガンでも、やはり再発の可能性は数字上0ではありませんが、
先生のご経験上は、どうでしょうか?
再発には血管侵襲やリンパ転移が大きく関わってくるのでしょうか?

再度の長文、失礼しました。
先生のご経験上のご意見、ぜひお聞かせ頂けると、ありがたいです。

よろしくお願いいたします。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
匿名さんのような状況でももちろん脈管侵襲やリンパ節転移の可能性はあります。
これはあくまでも確率論の話ですので、サイズは小さいほど、グレードは低いほど、ホルモン感受性が高いほど、リンパ節転移が少ないほどこの確率は低くなります。それでも浸潤がんである限り、転移の可能性は0ではありません。

主治医の先生がおっしゃるように、がん細胞は10年くらい前に発生していたと考えられますが、結局放っておけばどこかのタイミングで転移する(脈管を介して)可能性はあります。10年経っているのだから今更という考えもありますが、10年2ヶ月で転移するかもしれません。浸潤がんになってから時間が経てば経つほど脈管侵襲を介して転移する可能性は増すわけですから、いつまでも放っておいて良いということではありません。10年も10年2ヶ月もそれほど変わりないと言えばそれまでですが、10年経っているから全てのがんで転移しているという考え方は誤りです(以前Fisher理論という考え方がそのような考え方でしたが、手術だけで治癒するがんもありますので全てのがんが初期から転移しているという考え方は私は正しいとは思いません)。
この辺りは考え方の相違かもしれませんが、10年経っているから全てのがんで転移していて、早めに手術する必要はないと考えるのは私自身は正しいとは思っていません。1週間、2週間遅れると直ちに予後が悪くなるとまでは言いませんが、可能な限り早めに手術をするのが望ましいと考えて私は診療しています。いつ転移するかなんて誰にもわからないことですから。
私は何らかの理由(主に患者さん側の理由ですが)で手術が数ヶ月延びる場合、ホルモン感受性のある患者さんの場合はホルモン療法を行っています。このやり方が予後を改善する根拠となる臨床試験はありませんが、何もしないよりは良いと思うのと、患者さんも安心できるということが理由です。

おとなしいがんでも転移するかというご質問に関しては、転移する可能性はある、ただ暴れん坊のがんより確率は低いとしか言いようがありません。今の考え方としては、脈管侵襲はあまり大きな因子ではありません。サブタイプとリンパ節転移の有無、そして浸潤径が再発リスクの主な因子です。匿名さんの場合、サブタイプはLuminal Aですので、手術でリンパ節転移が陰性であれば、再発リスクはかなり低いと思います。
以上です。
それではお大事に。

匿名さん さんのコメント...

上記の匿名者です。

大変分かりやすいご説明ありがとうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。

先生の様に、患者に寄り添って下さる主治医に出会いたかったです。

治療がんばります。
ありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
良い結果をお祈りしています。
それではお大事に!