2012年3月7日水曜日

特殊型(b5) 扁平上皮がん

上皮細胞(消化管や肺、乳腺など)が悪性化したものを”癌(がん)”、非上皮細胞(脂肪や筋肉、神経、血液など)が悪性化したものを”肉腫”と呼びます。がんはさらにいくつかの種類に分類されますが、その代表が腺がんと扁平上皮がんです。腺がんは胃粘膜や大腸粘膜、乳腺などの腺細胞ががん化したもので、扁平上皮がんは食道や皮膚などの扁平上皮ががん化したものです。

通常、乳がんのほとんどは乳管上皮細胞ががん化した腺がんです。ただ、ごく稀に扁平上皮がんが発生することがあり、乳癌取扱い規約では特殊型の一つとして分類されています。その頻度は0.1%と稀で、私自身、研修先のG病院で1例、今の病院で1例経験しただけです。

乳がんの扁平上皮がんのほとんどは、真の扁平上皮がん(扁平上皮ががん化したもの)ではなく、腺がんが扁平上皮化生という変化を起こしたものだと考えられています。特徴をいくつか挙げてみます。

①急速に増大する(発見時4cm以上のことが多い)
②超音波検査で壊死による嚢胞を伴う(50%以上)、比較的境界が明瞭な腫瘍のことが多く、境界部の高エコーは伴わないことが多い
③ホルモンレセプターとHER2は陰性のことが多く、EGFRは陽性のことが多い(85.7% 下記文献より)
④リンパ節転移率は高い(52% 下記文献より)
⑤局所・遠隔再発しやすく、遠隔再発は骨、肺が多い
⑥通常の化学療法には抵抗性を示すため、奏効率は約15%と低い(プラチナ製剤を用いたレジメンは有効だったという報告あり)
⑤予後は通常型に比べると不良

2005年のJ Clin Oncol にM.D. Anderson Cancer Centerから報告された論文に詳細な内容が書いてありますので興味のある方はご参照下さい(http://jco.ascopubs.org/content/23/31/7827.full.pdf+html)。

2 件のコメント:

巡る さんのコメント...

藁にもすがる思いでコメントしました。私もこのタイプの乳がんですFEC抗がん剤が効かず手術、追加でカルボプラチン、パクリタキセルを術後にしました。病理は内側乳癌四センチ、リンパ転移は有りませんでしたが無治療になって3ヶ月で胸骨側リンパ?縦隔リンパに再発してしまいました。BRCA1遺伝子異常もありました。3歳1歳の子供もいますので何とか生きたいです。現在、アバスチン、パクリをやっています。治療のアドバイスなど頂けたら幸いです。高知県の乳腺外科の情報など頂けたら嬉しいです。宜しくお願いします。

hidechin さんのコメント...

>巡るさん
はじめまして。
かなりお辛い状況なのですね…。藁にもすがりたいお気持ちはよく理解できます。

まず、大変申し訳ありませんが高知県の乳腺外科の状況について遠く離れた北海道にいる私が詳細な情報を提供することはできません。ネットで手術件数のランキングなどを参考にされる方も多いですが、特に再発治療に関しては必ずしも手術件数が多い施設が最適とは言えない場合もあります。参考としては乳腺専門医がいること、化学療法に精通した医師がいること、放射線治療施設がある、または連携施設があること、そして緩和治療が行なえる施設であることなどが病院選びのポイントになると思います。

次に治療のアドバイスですが、扁平上皮がんに対する十分にエビデンスのあるレジメンが確立しているわけではありませんので、なかなか難しいご質問です。おそらく主治医の先生は、さまざまなことを調べ、考えながら今の治療を行なっていると思います。私が主治医であったとしても同様の治療選択を行なうと思います。当面は今の治療を行ない、縮小が見られたら放射線治療の追加も考慮されているのだと思います。

あまりお役に立てるアドバイスができなくてすみません。それではお大事に。