2013年2月11日月曜日

ワーキング サバイバーズ フォーラム〜がんと仕事〜

先日ここでご紹介しましたが、今日、京王プラザホテル札幌で「ワーキング サバイバーズ フォーラム〜がんと仕事〜」(ピンクリボン in SAPPORO実行委員会主催)が開催されました。


この取組みは今回で2回目ですが、私は前回は都合がつかなくて参加できませんでしたので今回が初めての参加でした。私たちの病院からは外来の看護師と私の2人だけでしたが、会場は100人以上の患者さん、医療関係者、企業の方などでいっぱいでした。

まず最初にCSRプロジェクト副代表理事の近藤明美さんによる「がん体験者の就労・雇用に関する取組」という演題の講演がありました。


近藤さん自身、乳がん患者であり、術後に社会保険労務士の資格を取ってこのプロジェクトに参加したというご経験をお持ちの方です。スライドを使ってわかりやすくがん罹患と就労問題、就労・雇用支援に関する取組み、第2次がん対策推進基本計画と就労、これからの就労・雇用支援などについてご説明していただきました(CSRプロジェクトHP http://workingsurvivors.org/)。

スライドで紹介されたアンケート結果などを見ても、いまだにかなりの方ががんと診断されてから仕事に対する問題(退職、解雇、配置換えなど)に直面していたということがあらためてよく理解できました。

CSRプロジェクトでは、3つの就労支援として、
①場づくり(相談、話せる、共有する場→サバイバーシップラウンジ、個別電話相談)
②ツールづくり(情報発信→がん経験者、企業、支援者に対する書籍、パンフレットなど)
③人づくり(スキルアップセミナー、企業向けセミナーなど)
を行なっているそうです。是非一度CSRの書籍(「がんと一緒に働こう!必携CSRハンドブック」は、がんになった時に仕事を辞めることを決める前に一度読んでみると良さそうです)やパンフレットを読んでみたいです。また、もし札幌でこのようなセミナーがあれば私たちの病院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)も参加させたいと思いました。

次に4人の演者による各7分間のリレートークがありました。アスパラの会(婦人科がん患者会)代表 大島寿美子さん、あけぼの会北海道支部長 関川正美さん、市立札幌病院乳腺外科 大川由美先生、北海道保健福祉部健康安全局地域保険課がん対策・健康づくりグループ主幹 永沼郭紀さんの4人がそれぞれの立場から、がんと就労の問題について語って下さいました。残念ながら時間の制限がありましたので質問はできませんでしたが、就労問題について私たちが今後取り組んでいくべき課題のヒントをいただいたような気がします。

そのあと情報交換会として、三角山放送局のパーソナリティでもあり、上半身のみで踊る「チェアーフラ」のサークルを立ち上げた武部未来さんらによる聴衆も参加してのチェアーフラで盛り上がり、軽食を摂りながらのパーティが行なわれました。


パーティでは、久しぶりに小樽の患者さんたち(SNSやブログでのお知り合いです)ともお話できましたし、悪性リンパ腫の患者会の方が私たちの病院でもともと手話通訳をされていたというお話を聞いて盛り上がったり、協賛企業のキリンビバレッジの方々とは新病院にピンクリボンロゴ入りの自動販売機を入れていただくように依頼したお話をしたりと楽しい時間を過ごさせていただきました。

がん患者さんの就労・雇用問題というのは、企業側の様々な課題もありますのですぐに大きく変えることはできないかもしれませんが、このようなイベントを地道に継続すること、マスコミでももっとこの問題を取り上げてもらうことが(今日もTV局が来ていました)さらに国や地方自治体、企業を動かす力となり、いずれがん患者さんの就労・雇用問題の解決につながるのではないかと私は思います。来年ももしこのようなイベントが開催されたら、もっと多くの職員を誘って参加したいと思います。

10 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして soyokaze 42歳です。
長文になります。
5歳と1歳(授乳中)の子供を持つ母親です。
乳癌について色々調べていたところこちらのブログにたどりつきました。

1歳の子を妊娠中に左乳頭の一箇所の穴(分泌物がたまるとピリピリとした痛みがあります。分泌物がでると痛みはなくなります。)から黄色、薄赤い色をした分泌物があり、当時通っていた産科の先生に診てもらいました。(触診でしこり無し、脇のリンパの腫れ無し)
妊娠中で乳腺がはっているということもあり正確な検査ができないので経過観察になりました。
その後相変わらず同じ一箇所の穴から黄色い分泌物は続いておりましたが薄赤い分泌物が無かったので様子をみていままできてしまいましたが、先日、下着にうっすらと茶色の染みが出来ていて乳頭を押してみたら赤っぽい血がでてきました。びっくりして横になって良く触って見るとしこりみたいのが触れました。その部分を押して見たら茶色の血が出てきました。

もしかして癌なのではとびっくりして埼玉にある埼玉医科大学総合医療センターの乳腺内分泌外科で見てもらいました。

初診ではエコー、エコー下穿刺細胞診、MRIをするにあたって腎臓の機能を調べるための血液検査をしました。
触診は気になる場所を聞かれてその場所を確認してエコーしただけで全体を触る触診はありませんでした。(一応エコーは両胸を診ていただきました。)

マンモグラフィは授乳中なのでできないといわれました。
乳頭から出る分泌物をとっての検査もありませんでした。

検査の結果がでていないのではっきりとしたことは言えませんが、今の時点では良性のポリープ(2㎝位)ではないかといわれました。
これはとってみないと悪性かどうかは判断しにくいとのことでした。
ポリープは袋状になっていてそのなかに分泌物が溜まっているようなので乳頭からの分泌物を止めるにはその袋を手術でとるしかないといわれました。
細胞診でポリープに針を刺したときに黄色?液体がでたといっていました。

診てもらったのですが検査について少し不安な部分がありいくつかお聞きしたいこともあります。

質問1
結果はエコーとMRIと細胞診だけでも十分分かるから大丈夫ですよといわれたのですが、分かるものなのでしょうか?

質問2
片側の一箇所の穴からのみの分泌物(黄色、薄赤色、茶色)が出るのは癌が疑われるといわれていますが、乳管内乳頭腫でもこのような症状が出ることがあるのでしょうか?

質問3
もし癌だとするとどのくらいのステージになるのでしょうか?

質問4
セカンドオピニオンも受けるべきでしょうか?


最後まで読んで頂きありがとうございました。
文章の表現があまり上手ではないので分かりにくかった部分もあるかもしれません。

とても不安な気持ちで先生のコメントを読んでいたらなにか道が開けるのではないかと思い、思い切ってこちらに相談を書かせていただきました。専門家のご意見を聞かせていただけたら幸いです。

よろしくお願いいたします

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(soyokazeさん)
はじめまして。
ご質問にわかる範囲でお答えします。

質問1
結果はエコーとMRIと細胞診だけでも十分分かるから大丈夫ですよといわれたのですが、分かるものなのでしょうか?

→授乳中であることも考えるとマンモグラフィの追加は必ずしも必要ないと考えます。分泌物の細胞診は、直接腫瘍を穿刺し、内容液(これが乳頭から分泌されたと推測されます)も細胞診に提出したのでしたら不要だと思います。ただ、細胞診で確定診断がつかない場合もあります(時に針生検でも難しいことがあります)。最終的には切除でがんの合併の有無も含めて調べることになります(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2010/03/blog-post.htmlをご参照下さい)。

質問2
片側の一箇所の穴からのみの分泌物(黄色、薄赤色、茶色)が出るのは癌が疑われるといわれていますが、乳管内乳頭腫でもこのような症状が出ることがあるのでしょうか?

→乳管内乳頭腫でも片側の1カ所から血性分泌が見られるのが普通です。両側多孔性に分泌がある場合は乳腺症による分泌を疑います。

質問3
もし癌だとするとどのくらいのステージになるのでしょうか?

実際に検査結果を見ているわけではありませんのでご参考程度にお答えします。もしがんだとしても嚢胞内に留まっていれば非浸潤がん(0期)ですので完全切除すればほぼ治癒します。ただ切除してみると浸潤を伴っていたということが時々ありますので、その場合はその浸潤径によって変わります。ただお話から推測すると浸潤部分はあってもわずかだと思いますのでⅠ期相当の早期がんではないかと思います。

質問4
セカンドオピニオンも受けるべきでしょうか?

→それはあくまでもsoyokazeさんが決めるべきことです。
何か病気が疑われればすべてセカンドオピニオンを受けなければならないのであれば日常診療は成り立ちません。また、がんが疑われたからといって全ての人がセカンドオピニオンを受けなければならないわけでもありません。主治医の説明に十分納得できるのであれば必ずしもセカンドオピニオンを受ける必要はないと私は考えます。それでも不安があるのであれば確認のためにセカンドオピニオンを受けるのは悪くないと思いますよ。
ちなみにセカンドオピニオンはあくまでも検査結果と紹介状を持っていって、その診断や治療方針が妥当かどうかを確認するだけです。その病院で検査をし直すわけではなく、判断を聞いて元の病院で再度相談するというのがセカンドオピニオンです。その場合、費用は保険外ですのでその病院によって異なります。
以上です。

匿名 さんのコメント...

ご多忙の中、貴重な時間をさいてご丁寧な返信を頂き感謝しております。

受診後に色々と疑問や不安な気持ちばかりがつもってしまい気持ちが落ち着ずにおりました。先生の説明を聞いて気持ちが楽になり頭の中も整理することができました。
参照のページも拝読させていただきました。

結果はどうであれ落ち着いて22日の検査結果の日を待つことができそうです。

本当にありがとうございました。

匿名 さんのコメント...

初めまして。
昨年4月はじめての検診で乳管癌が見つかりました。最初は非浸潤ということであれよあれよという間に同時再建まで決まりました。全摘するほどの広範囲であったのですが、術後の病理検査後に断端陽性、一部浸潤とのことで・・・ホルモン陽性なので今はホルモン剤とリュープリン、そして痛みがあるのでブロック注射をしています。まさか再発?などと思うばかりの嫌な痛みですがこちらで気になる痛みの記事を読ませていただいて安心した次第です。
無治療で行けると思いながらの全摘でした。
ホルモン治療もなかなか辛いですね。
元々前向きですのでこちらで先生の記事を読ませていただくとホッとします。
13時間の大手術でしたがおかげさまで仕事が待ってましたので早々の退院、職場復帰で正味12日ほどでした。職場がリハビリになったようです。
主治医は呆れてましたが(笑)
リンパには転移していないということでしたが体のどこかにあるのでしょうからもう少し全身病と思って仲良くしていきます。
100人いたら100通り以上の乳がんだってこと

怖がらせるお医者様が多い中、先生のお言葉には感謝です。

またコメントさせていただきます。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(soyokazeさん)
お役に立てたなら良かったです。
良性だといいですね。お大事に!

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
大手術だったようですが職場に早く復帰できて良かったですね。がんとつきあいながら子育てや仕事を頑張っている女性は、生き生きしていて素敵だと思いますよ!
がんと診断されるといろいろと不安も出て来ると思いますが、その都度主治医の先生に確認しながら前向きに頑張って下さいね。それではお大事に!

匿名 さんのコメント...

ご無沙汰しております。
以前抗がん剤について助言をいただいたうさこです。いよいよ来週から、放射線治療が始まります。ホルモン治療も始まりました。初歩的な質問ですが、ホルモン治療は、薬の服用だけというのはあるんでしょうか?

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(うさこさん)
こんばんは。
薬の服用だけ、というのは内服だけという意味でしょうか?ホルモン療法は、閉経前であれば内服のタモキシフェン単独、またはLH-RH agonist(注射薬)の併用が標準治療となっています。LH-RH agonistを併用するかどうかは再発リスクをみて判断します。閉経後はアロマターゼ阻害剤(またはタモキシフェン)という内服治療が標準です。
以上です。詳細は主治医にご確認下さい。それではお大事に!

りりー さんのコメント...

お久しぶりです。 昨年のイベント記事に私も理事を務めるCSRプロジェクトに触れられていたので思わずコメントしております。
今年2月9日にホテルオークラにて開催され、今回は代表理事の桜井なおみが登壇します。私は私用で札幌にいるのでイベントにも出席の予定でおります。
もし先生もご出席されるようでしたらお声おかけください。 いつも先生のブログは情報が簡潔でわかりいやすいので愛読しております。

hidechin さんのコメント...

>りりーさん
こんばんは。
2/9はできれば参加したいと思っています。桜井さんのお話はいつも大変勉強になるので楽しみにしています。お話とても上手ですよね(笑)
もし私だとわかれば声をかけて下さいね!