2014年7月26日土曜日

第1回 Hokkaido Breast Cancer Board

昨日第1回のHokkaido Breast Cancer Board(HBCB)が市内某ホテルで行なわれました。NK社とG社の主催で昨年までは画像診断フォーラムとして行なわれていた会ですが、今回からは主に治療に関する研究会として行なわれることになったのです。

その第1回の司会と症例提示(運営委員で持ち回りで担当します)をSクリニックのO先生と私が担当することになりました。今までの会とはまったく形式が異なるのでどうなることか心配でしたがなんとか無事終了することができました。

O先生の症例は、比較的広範なDCISで、術式を温存にするか全摘再建にするか(乳頭・乳輪は温存するか切除するか)、という判断が議論になる症例で、D病院形成外科のE先生からもスライドを用いながらコメントしていただきました。フロアに質問しても手を上げる人が少なかったのが残念でしたが、今後の乳がん治療の変化を考えさせる症例だったと思います。

私の症例は、リンパ節再発を繰り返し、サブタイプが変化していったケースでした。それぞれの段階でどのような治療や診断方法を選択するかということを何人かの先生に答えていただきました。特にS医大のS先生には若手の代表として3回も質問してしまったので、あとの懇親会で怒られてしまいました(笑)。

症例検討のあとは、G病院のI先生によるリンパ節転移に関するご講演がありました。症例の豊富なG病院でしかわからないような研究結果をお聞きすることができてとても勉強になりました。特に温存乳房に放射線治療やリンパ節郭清を行なった症例において、第2癌が発生した時にリンフォシンチグラフィを行なうと対側腋窩にけっこうな頻度で流れるというお話は、私がG病院で行なった対側腋窩リンパ節再発の研究の内容とも関連しているような気がしてとても興味深かったです。

研究会終了後は懇親会が行なわれましたが、私は途中で抜けさせていただいてO先生とE先生と一緒にワインバーに飲みに行きました。O先生からは乳がん診療に関するさまざまなお話やスウェーデン留学のお話、E先生との昔話(お二人は柔道部の先輩後輩の関係です)などを伺うことができてとても楽しい時間を過ごすことができました。
支払いは全部O先生がして下さいました(汗)。いつもお世話になってばかりなのに大変恐縮しました(笑)。

この会に準備に数ヶ月かけてきましたが、無事終了しましたのでこれで一安心です!

2 件のコメント:

まったりーな さんのコメント...

いつも楽しみに読ませていただいています。

今回のDCISの症例ですが、比較的広範囲とは乳房全体のどれくらいを占めることを指すのでしょうか・・・

私はDCISで約60%摘出、拡大広背筋皮弁で一期再建しています。断端陰性にならないときには全摘と言われました。

最近、70%程度の摘出の症例であれば広背筋皮弁での再建で整容性が保てるとの論文を読みました。

安全を第一にそして整容性も保持しながら・・・難しいなと思います。そのあたりの判断てやはり医師によってかなり差はありますか?

とりとめのない文章で申し訳ありません。

ちょっと気になったもので・・・

hidechin さんのコメント...

>まったりーなさん
別に”比較的広範囲”という表現に具体的な数字を想定して書いたわけではありません。断端陰性を確保しながら温存術をするには整容性を保つのがぎりぎりということで、それは病変の部位にもよります。
少なくとも札幌において60-70%も乳腺を切除して広背筋皮弁で充填するという手術を受けたというのはほとんど聞いたことがありません。再建術自体が保険適用となった今ではそこまで無理するくらいなら全摘して再建、という施設がほとんどだと思います。なぜなら残存乳房に対する放射線治療で形状が変わる可能性があることと、残存乳房内に再発した時の再建に困るのではないかと思うからです。ただそのあたりは施設によって考え方が異なる可能性がありますのでなんとも言えません。以上です。