2015年3月5日木曜日

CLEOPATRA試験の最終報告(ペルツズマブ=パージェタ®の有用性の報告)

ペルツズマブに関しては、承認時に触れましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2013/07/blog-post.html)、その全生存率(OS)も含めた最終報告が論文化されました(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1413513#t=abstract)。

概要は以下の通りです。

臨床試験名:”CLEOPATRA試験”(日本を含む多国籍ランダム化二重盲検フェーズ3試験)

対象:HER2陽性で化学療法歴または生物学的療法歴がない、18歳以上の転移性乳がん患者808人。

方法:トラスツズマブ+ドセタキセル+ペルツズマブの3剤併用を受けるペルツズマブ群と、トラスツズマブ+ドセタキセル+プラセボの投与を受ける対照群にランダムに割り付けて、2014年2月11日まで追跡した。患者登録期間は、2008年2月12日から2010年7月7日まで。追跡期間の中央値は、ペルツズマブ群が49.5カ月(幅は0-70カ月)、対照群が50.6カ月(0-69カ月)。

結果:
・主要評価項目 独立審査委員会が評価した無増悪生存期間(PFS)…1回目の中間解析で有意差が示された。ペルツズマブ群のPFSの中央値は18.5カ月、対照群は12.4カ月で、前者で6.1カ月長かった(ハザード比は0.62、P<0.0001)。

・副次的評価項目 
①全生存期間(OS)…ペルツズマブ群が56.5カ月、対照群が40.8カ月(ベルツズマブ群で15.7カ月有意に長かった)、ハザード比は0.68(0.56-0.84、P<0.001)。患者を治療歴、居住地域、年齢、人種、エストロゲン受容体の発現量などで層別化し、サブグループ解析も行ったが、ペルツズマブの併用によるOS延長効果が一貫して示された。プラセボからペルツズマブに切り替えた(クロスオーバーした)48人の患者に関する補正を行っても有意性に変化はなかった。
②医師が評価したPFS…ペルツズマブ群で6.3カ月長かった(18.7カ月と12.4カ月、ハザード比0.68、0.58-0.80、P<0.001)
③独立審査委員会が評価した奏効期間…ペルツズマブ群における奏効期間の中央値は20.2カ月(16.0-24.0)、対照群は12.5カ月(10.0-15.0)で、ペルツズマブ群が7.7カ月長かった。
④安全性…有害事象の多くは、両群ともにドセタキセル投与期間中に発生し、同薬の使用を中止すると改善した。左室機能不全の発生率はペルツズマブ群の方が低く(6.6%と8.6%)、心臓に対する長期的な安全性が示された。

予想通りペルツズマブの有用性が証明された結果となりました。HER2陽性乳がんの治療法は日進月歩です。問題はやはりトリプルネガティブですね…。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

先ほど右胸の乳房の上を触ったら、少しこりこりしたものがありました。
押すと痛いです。
ちなみに、23才です。生理周期から、2日前に排卵があったと思われます。
乳ガンかもしれないと思ったら、不安です。

匿名 さんのコメント...

あと、右胸のすぐ下、肋骨を押すと、ジンとした痛みがあります。
普通にしていると痛くないです。
何なのでしょうか。不安です。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
ご心配されるお気持ちはわかりますが、ネット上で診断することはできません。まずはきちんと乳腺外科に受診して下さい。
なおトップページの注意事項をご一読いただければ幸いです。
良性であることをお祈りしています。それではお大事に。

匿名 さんのコメント...

こんにちは
私も肝臓転移があり手術はできず上記の治療をしています
現在はハーセプチンとパージェタのみでとても順調です
体調がいいだけにいつ効かなくなるのではと不安です
癌がまた憎悪した場合つぎの治療の標準的な選択はありますか
私はトリプルポジティブみたいで主治医の先生は色々ありますよ、とだけ言ってくださってます

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
主治医の先生のおっしゃる通り、治療法はいくつも残っています。T-DM1(カドサイラ)、ハーセプチン+ナベルビン、タイケルブ+ゼローダ、ハーセプチン+ホルモン療法(アロマターゼ阻害剤3剤、タモキシフェン、トレミフェン、フェソロデックス、ヒスロンHなど)などなど…。匿名さんの体調と転移の状況を見ながらこれらの薬剤を使い分けていくことになると思います。
治療が長く奏効することをお祈りいたします。それではお大事に!