2015年5月11日月曜日

夕食事の赤ワイン1杯で糖尿病患者の脂質・糖代謝が改善!

昔から少量の赤ワインは健康に良いとされてきましたが、今回夕食事の1杯の赤ワインが、糖尿病患者の脂質・糖代謝を改善するという研究結果が欧州肥満学会(ECO2015,5月6~9日,チェコ共和国・プラハ)で報告されました。

概要は以下の通りです。

臨床試験名:
CArdiovaSCulAr Diabetes & Ethanol(CASCADE)試験(ランダム化比較試験)

発表者:
イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのIris Shai氏ら

対象:
良好にコントロールされた飲酒習慣のない成人の糖尿病患者224例

方法:
対象者を①赤ワイン②白ワイン③ミネラルウオーターのいずれかを2年間,毎夕食時に150mL摂取する群にランダムに割り付けた。いずれの群も食事はカロリー制限なしの地中海食とし,栄養士によるグループセッションを試験開始後3カ月間は1カ月ごと,その後は3カ月ごとに実施。複数の食事評価ツールを用いて食事内容を評価し,ワインの摂取についても厳格にフォローした。ワインは同じ種類が無料提供された。

結果:
試験遵守率は1年後94%,2年後87%だった。
ミネラルウオーター群に比べ赤ワイン群ではHDL-コレステロール(HDL-C)およびアポリポ蛋白(apo)A1がわずかに上昇し,総コレステロール(TC)/HDL-C比,トリグリセライド/HDL-C比,apoB100/apoA1比が減少した(全てP<0.05)。また,赤・白ワイン群ではミネラルウオーター群に比べ糖代謝がわずかに改善し,特に赤ワインによる改善効果が大きかった。
さらに,赤・白ワインによる血糖コントロールのパラメータ改善効果は,アルコールの分解が早いことに関連する遺伝子変異を有する患者(ADH1B*2キャリア)に比べ,アルコールの分解が遅い患者(野生型ADH1B*1)で優れていた。
なお,ワインの摂取は薬物治療の内容や血圧および肝機能マーカーに影響しなかった。

結論:
・赤・白ワインはいずれもミネラルウオーターに比べてわずかに糖代謝を改善。また,赤ワインを摂取した患者では脂質プロファイルも有意に改善した。
・健康的な食事に加えて少量のワイン,特に赤ワインを摂取することは安全で心血管・代謝リスクを軽減できる。
・アルコールの分解能に関連する遺伝的素因の違いによってワインによる血糖コントロールのパラメータ改善効果に差が認められたという結果はアルコールが一定の役割を果たしていることを支持している。
・白ワインよりも赤ワインの方が心血管・代謝プロファイルの改善に優れていたことから,赤ワインに含まれるアルコール以外のなんらかの成分が寄与した可能性もある。


赤ワイン好きの私にはなんともうれしい報告です(笑)。ただ、グラス1杯以上(例えばボトル1本…)、毎日飲んだ場合にどのような結果をもたらすかは不明です(汗)。E先生、お互いに気をつけましょう(笑)

なお、アルコールの過量摂取は、乳がんの発症率を上げるとされていることも併せて記しておきます(どのくらい以上ならリスクになるのか、また乳がん患者の再発リスクも上げるのかについては不明な点もあります)。なにごとも控えめくらいが無難なんでしょうね!

6 件のコメント:

ひまわり さんのコメント...

Hidechin先生こんにちは。
今飲んでいるホルモン剤についてしつとんなんですが、
先日のCT検査で顎の骨に転移が見つかりフェアストンを服用してましたが、アリミデックスに変更しましょうといわれ、薬を変えました。
八年前から骨転移で、ホルモン療法を始めてますが、アロマシン→フェマーら→胸膜転移フェソロデックス→胸膜転移フェアストン。今回顎の骨転移でアリミデックスに薬を変えました。胸膜転移は今は肺の中も何もなく落ち着いています。
新薬フェアストンの後に、アリミデックス?
振り出しに戻った感じがして、アロマシンがきかなかなり、薬がどんどん強くなって言った感があるので、 不安になりました。
アロマシンやアリミデックスは術後五年服用とはよく聞きますが、わたしは術後五年16年で骨転移が見つかり、現在に至っております。
先生のご意見をきかせてくださいおねがいしますm(_ _)m

hidechin さんのコメント...

>ひまわりさん
まず、フェアストンは新薬ではありません(フェアストンは1995年発売、アリミデックスは2001年発売)。現在ホルモン療法で残っているのは、アリミデックスとヒスロンH、そしてアフィニトールとの組み合わせでアロマシンの再投与くらいですので、アリミデックスの選択は問題ないと思います。ただ、アリミデックスとフェマーラは作用が似ていますので効果があまり期待できない可能性もあります。それでもホルモン療法を変更していくうちにまた効果がみられるようになる場合もありますので試す価値はあると思います。
ところで顎の転移は間違いないのですよね?たしかひまわりさんはランマークを使用していたと思います。ランマークによる額骨壊死でもCTで転移のように写ったり、骨シンチで取り込まれることがありますので念のためご確認下さい。
それではお大事に。

ひまわり さんのコメント...

おはようござきます、お返事ありがとうございますm(_ _)m
ランマークは現在も使用中で額骨壊死の疑い、骨髄炎の状態といわれ口腔外科に月一回かよい、抗生剤処方されてます。
先月口腔外科を受診した際は無かったのですが、今月はじめランマークの日に主治医に下顎の下外側に丸いぽっこりとしたものがあると話すと、触診して顎のCTを取ることになりました。
CTのみの判断ではなく、骨シンチかPET検査を、受けてみた方が良いでしょうか、骨シンチは毎年うけております。
口腔外科で見てもらった方が良いか迷います。先生のご意見をおきかせくださいお願いしますm(_ _)m

ひまわり さんのコメント...

こんにちはhidechin先生お返事ありがとうございます。
ランマークは現在使用中で額骨壊死の手前の骨髄炎といわれ口腔外科に通院しております。
先月口腔外科に行ったときは無かったのですが口の中の消毒だけで帰宅。今月初めにランマークの治療に行った際にした顎左側のしたの部分に手で触れるとぽっこりとした物が出来ていたので、主治医に相談するとCTを撮りましょうということになりました。
1度骨シンチかペットを受けた方が良いのでしょうか。
骨シンチは年一で、受けております。
先生の意見をおきかせくださいお願いします。お忙しいのに度々すみませんm(_ _)m

hidechin さんのコメント...

>ひまわりさん
骨生検をすれば確定診断はつきますが、CT所見のみではなく、腫瘤として触知していたのなら骨転移の可能性が高いのかもしれません(額骨壊死では腫瘤は形成しない場合がほとんどです)。骨髄炎があることをわかった上で骨転移と診断したのでしたらおそらく診断は間違いないとは思いますが、まずは主治医に骨転移以外の可能性はないのか確認してみてはいかがでしょうか?ちなみに骨シンチでもPETでも炎症部位に取り込まれますので骨転移と骨髄炎の鑑別にはならない可能性が高いと思います。以上です。

ひまわり さんのコメント...

こんにちはhidechin先生
お忙しい中ありがとうございました。参考にさせていただきます。