2016年7月25日月曜日

もうすぐピンクリボンロード!

以前ここで取り上げましたが、今度の日曜日(7/31)に札幌の大通で「ピンクリボン in SAPPORO 2016 ピンクリボンロード」が開催されます。詳細はピンクリボン in SAPPOROのHP(http://pinkribbonsapporo.web.fc2.com/)をご覧下さい。なお、多少の雨なら行ないますが、大雨の場合は中止となります。

今日はその最終打ち合わせがありました。今年の目玉は”玉入れ大会”です。是非大通に来られる方はご参加下さい。出場者にはけっこうもらうとうれしい商品が当たるようです!

今回も私たちスタッフはピンクのTシャツで参加します。札幌西ロータリークラブの皆さん、いつもご寄付いただきありがとうございます!

そして今年もう一つの注目は、ピンクリボン in SAPPORO特製のピンクリボンバッジがついにお披露目になることです。今日見てきましたが、なかなか完成度が高く、おしゃれなデザインになっています。販売価格は当日まで公表できませんが、値段以上の価値はあると思います。是非ご覧になってみて下さい。

今のところ当日の天気は雨ではないようです。好天に恵まれると良いのですが…。ただあまり熱いと私たちの施設恒例の着ぐるみ(タッピー)の中の人(研修医のY先生)が熱中症になってしまいますのでほどほどが良いですね!

2016年7月24日日曜日

乳頭温存皮下乳腺全摘術(NSM)は乳腺全摘だから局所再発しない?

今年の乳癌学会で、「乳房温存術か乳房再建術か?」というセッションがありました。

このセッションの中で、乳頭温存皮下乳腺全摘術(以下NSM)による一次一期再建は、温存術+放射線治療に比べ、”局所再発がない”というのが利点の1つだというお話がありました。

たしかに乳腺を”全摘”していれば、早期がんであれば局所再発はほとんどありません。しかし、実際に行なわれているNSMのほとんどは、真の”乳腺全摘術”ではありません。乳がんのオンコロジーをきちんと理解している乳腺外科医であったとしても、乳頭・乳輪直下の乳腺組織はわずかに残す(乳頭・乳輪の血流を保つため)のが基本であり、また通常の乳房切除術より皮下組織を厚めに残すことが多いですのでここでも乳腺がわずかに残る可能性があります。それでもほとんどの乳腺を切除していますので局所再発率はかなり低いとは思いますが、厳密に言うと”乳腺全摘”ではありませんので局所再発率は0%にはならないのです。

それ以上に問題だと思うのは、少なくともいくつかの施設で”皮下乳腺全摘術”と言いながらかなりの乳腺を残していることです。なぜそう思うのかと言いますと、北海道から本州まで行ってこの手術を受けてから戻ってきた患者さんを2人診療したことがあるのですが、2人とも切除標本の病理写真を見る限り全摘したとは到底思えないような切除乳腺だったからです。この標本ではほとんど部分切除(温存手術を少し大きくしたような)にしか見えないような感じで明らかに乳腺が残存しているはずです。これが全摘か…とびっくりしました。

この患者さんたちは、1人は”浸潤巣で断端陽性”だったためこちらで放射線治療を受けるように言われて戻ってきました。もう1人も乳管内進展で断端陽性だったため追加切除を行なっていましたが本当にそれで完全切除になったかどうかは不明です。いずれの施設もこの術式を数多く行なっているようですので、これで善しと考える流れが一部にあるのだと思います。ということは同じような考えを持った施設が他にもあるのかもしれません。もちろんこれは例外的な施設での手術であり、ほとんどの施設ではがんを残さないような配慮と説明をした上できちんとした手術をしていると信じています。

整容性を考えたら皮下組織は厚く残す方が良いに決まっています。しかし、あくまでもきちんとがんを切除することが前提のはずです。乳房温存術では完全切除できたとしても、残存乳腺からの多発がんの予防のために放射線治療を追加することが原則となっています。それなのにNSMで乳腺が多量に残存している場合には放射線治療は必要ないのでしょうか?にもかかわらず局所再発はないと断言できるのでしょうか?まあ整容性を重視するからNSMをするわけですので、全例放射線治療を加えたら整容性を損なうことになりますから明らかな遺残がない限り照射を併用しないのはある意味当然です。ただ乳腺全摘だから局所再発をしないという考え方はこの術式においては明らかな間違いであり、慎重なフォローが必要だということを執刀医は理解し、患者さんにも説明すべきだと思います。

根治性と整容性を両立させるのはなかなか難しいことです。私が診療した患者さんたちがきわめて稀な症例であることを願うばかりです。

2016年6月21日火曜日

「第13回 With You Hokkaido~あなたとブレストケアを考える会~」開催要綱

先日事務局から、「第13回 With You Hokkaido~あなたとブレストケアを考える会~」のポスターとチラシが病院に届きました。
さっそく関係部署に置いてもらうことにしました。

詳細は札幌医大のHPに掲載されています(http://web.sapmed.ac.jp/jp/news/event/03bqho000026jaek.html)。申し込み方法も書いてありますのでご参照下さい。



今回は少し楽をしたかったのですが、なかなかそううまくいきません(汗)。しかも今回の内容は個人的には苦手な部類に関するテーマですのでどうなることやら…。せっかくの機会ですのでこれから綿密に打ち合わせをして良い内容にしていきたいと思っています。でも来年こそは気楽に参加したいものです(笑)。

8/20、多くの方に来ていただけることを願っています!

2016年6月19日日曜日

第24回乳癌学会学術総会&乳房再建資格更新講習会終了!

2016.6.16-18まで東京ビッグサイトで行なわれた第24回乳癌学会学術総会に参加してきました。

今回は呼吸器外科のM先生が乳腺患者さんを診て下さるということでしたので甘えさせていただいてG先生、後期研修医のNA先生、病棟看護師のIさんと一緒にフル参加することができました(写真は向かって左からIさん、私、NA先生)。



発表は私もG先生もポスターだったので特にストレスもなく無事終了しました。今回の学会はなかなか興味深いセッションが多く、かなりまじめに聞いていました(いつも不真面目なわけではないですが…)。今後の診療に活かせるような知見を得たり、来年に向けた研究のテーマが見つかったり、とても有意義な3日間でした。

最終日の昨日は学会終了後にオンコプラスティックサージャリー学会の資格更新のための講習会があり、17時過ぎまで参加してから受講証をもらって20時の便で札幌に帰ってきました。ビッグサイトは会場間が遠いため連日かなり歩くことになり、蒸し暑さもひどかったのでかなり体力を消耗しました(汗)。

東京はもう何度も言っているので目新しいものはなく、特に食べたいものもありませんので観光という点では非常に物足りない感じがしますが、その分学会会場ではさまざまな職種の方々とお話しする時間がありました。でもやっぱり東京はもう飽きたかな?来年は福岡なので楽しみです!

学会初日の夜は私の病院から参加した4人で近くの居酒屋に飲みに行きました。焼き鳥中心の店でしたが、値段のわりに今ひとつの印象でした。初参加のI看護師は、来年の乳癌学会に演題を出すつもりで意欲満々のようでした。今まで私たちの施設から乳がん関連の学会に看護師が発表したことはありませんので全面的にバックアップしてなんとか形にしたいと思っています。2日目の夜はG病院の同門会がありました。G先生の発表後に少し遅れて参加しましたが、会場は一杯でした。懐かしい先生方にも会え、また北海道からG病院に研修に行った若手の先生方とも交流することができて楽しい時間を過ごすことができました。

個人的にはここ数年の中ではもっとも充実した乳癌学会だったと思います。学んだことを日常診療に活かせるように明日からまた頑張ります!

2016年5月28日土曜日

マンドリンコンサートで癒されました!

クラシック音楽には疎い私ですが、今晩はめずらしくマンドリンのコンサートに行ってきました。場所は札幌の円山というところでした。

どうしてマンドリンコンサートに行くことになったかというと、このコンサートのマンドリン奏者(第1マンドリン)が、私が外来に行っている関連病院の外科外来のパートの看護師さんだからです。彼女(Kさん)はマンドリン奏者が本職(東京でもコンサートをしており、マンドリン教室の講師でもあります)、つまりプロなんです。実はKさんは私の父が働いていた高校の教え子でもあります。私より数才年上なのですが、昔一度だけ父に連れられて行った高校のマンドリンコンサートにもしかしたら出ていたかもしれないという縁?で私を招待してくれたのです。

久しぶりのクラシックでしたが、ささくれ立った私の心を癒し尽くしてくれました(笑)。第1部はイタリアの作曲家の曲が中心だったせいか、なんとなく南イタリアの風と匂いを感じました。どうしてなのかなあと考えてみたら、そうです!ゴッドファーザーの映画の曲にマンドリンが使われていたからではないでしょうか?どの場面で使われていたのかは忘れましたがシチリアにゆかりのある映画ですのでそのように感じたのかもしれません。

第2部は私でも良く知っているカルメンなどのフランスの曲やオリジナルの曲などが中心でこちらもまた違った雰囲気でなかなか良かったです。

マンドリンというのは不思議な楽器です。ギターのような単発の音を鳴らしながらバイオリンのような連続した音色も交えるという独特の音を出します。今回初めてマンドラというマンドリンより1オクターブ低い音を出す楽器があることを知りましたが、これもまたマンドリンの音色を際立たせる渋さがあります。今日のコンサートはマンドリン×2、マンドラ、ピアノの四重奏でしたが、すごく良いコンビネーションだったのではないかと思います。

来年もコンサートをするようですので今度はD病院のE先生も誘って行こうかと思っています(E先生はかなりのピアノの腕前です)!

2016年5月25日水曜日

ピンクリボン in SAPPORO 2016 ピンクリボンロード 日程決定!

毎年夏に大通のホコテンで行なわれるピンクリボンロードですが、今年は7/31(日)に行なわれることが、昨日の理事会で決まりました。

場所は札幌市中央区南1西3 パルコ三越前のホコテンで時間は13:30-16:00です。内容はパンフレットが完成したらまたお知らせします。

今回は完全にホコテンが貸し切り状態になるのは良いのですが、雨天の場合の開催場所が決まっていません。多少の雨なら決行することになると思いますが、豪雨の場合はちょっと困ったことになります(汗)。

今回も私たちの施設からブースを出す予定です。東区のマスコットのタッピーとニワトリのトリッシー(?)も参加予定です。楽しくて実りのある啓発イベントになると良いですね!

それとついにピンクリボン in SAPPOROでもピンクリボンバッジが作られることになりました。近日中にお目見え予定です。楽しみにしていて下さい!

2016年5月9日月曜日

非浸潤がんは放置して良いのか?

以前から一部の医師が、「乳がん検診は無意味なので受ける必要がない、なぜなら検診で発見された非浸潤がんのほとんどは放っておいても悪さをしないからだ」と言っていました。確かに一部の非浸潤がんは非常におとなしいため、すぐに切除しなくても良いものもあるのは確かであり、最近国内でも低悪性度の非浸潤がんを拾いすぎないようにという方向に変わりつつあります。

しかし一番の問題は、どの非浸潤がんを放っておいて良いのかが十分にわかっていないことです。非浸潤がんのすべてをがんもどきとして放置して良いというわけではないということを示す内容が第17回米国乳腺外科学会(ASBS)で報告されました(http://www.medscape.com/viewarticle/862025)。

概要は以下の通りです。

対象:非浸潤がん(DCIS)と診断された非照射の720例。

方法:切除断端との距離(マージン)が1mm未満であった124例(断端不適切群)とマージンが1mm以上だった596例(断端適切群)の局所再発率を比較。

結果:平均腫瘍サイズは17mm、平均年齢は55歳、平均追跡期間は79ヵ月。断端不適切群の10年局所再発率は低悪性度(Grade1/2)で51%、高悪性度(Grade3)で70%、断端適切群では、低悪性度で13%、高悪性度で35%。断端適切群の低悪性度症例の浸潤がんでの再発率”わずか”5%。


この結果は、断端が陽性だった場合は高率に再発することを示しており、適切な手術が行なわれたかどうかが予後に影響する可能性があることを警告しています(入手した内容からは、断端不適切群の全体の浸潤がん再発率が不明ではありますが、一般的には約半数が浸潤がんで再発すると言われています)。
この報告の発表者は、断端不適切群の患者は、非浸潤がんの”無治療経過観察群”の”代役”と考えられるので、そのような判断を望む患者さんに対する教訓になる結果であると述べています。

なお、結果で述べた断端適切群の”浸潤がん”再発率がわずか5%となっていることについてですが、日本における乳房温存療法ガイドライン(最近遵守されなくなってきたような印象を受けています)では、断端陰性の基準は5mm全割標本において断端から5mmあることとなっています。この基準を守れば非照射であっても10年局所再発率は約3%程度と言われています(私たちの施設でも3%以下でした)。これは浸潤がんのみならず非浸潤がんも含めた数値です。この研究における1mmという距離でも不十分であることがおわかりになるかと思います。

もちろん安全を過大に考えすぎると整容性が保てなくなります。広く切除すれば良いというものではありません。しかし非浸潤がんだからたいしたことはない、断端陽性でも放っておいて良いということにはならないということは言えます。

どのようなタイプの非浸潤がんが、断端陽性もしくは無治療でも放っておいて良いのか(浸潤がんにならないのか)がわかるのが理想的です。しかし今の医学ではまだここまではわかりません。浸潤がんのほとんどは、最初はみな非浸潤がんだったのです。ですから非浸潤がんであっても慎重な判断が必要になると私は思っています。非浸潤がんを放置して良いという考えを持つ人の思考過程が私にはよくわかりません。