乳癌が心配だけど、どこに受診したらいいかわからない、乳癌になってしまって不安…、再発したからもうだめかもしれない…。そんな不安や悩みに少しでもお役に立てればと思って始めてみました。 (*投稿内容と無関係なコメント、病状のご相談はご遠慮願います*)
2012年3月11日日曜日
乳がん診療とアロマテラピー1
先日アロマテラピーについて書きましたが、今日ようやく精油を買ってきました。
行ってきたのは、アリオ札幌の「生活の木」という店です。いかにも「アロマ」という雰囲気で来客は女性のみ…。中年男が品物を見たり、匂いを嗅ぐのはとても違和感がありましたが、仕事と割り切り恥ずかしさを我慢していろいろ見てきました。
今回買いに行った理由はもちろん化学療法を始めとした日常診療に生かすためではありますが、実はもう一つ理由があります。
私には重度の障害を持った息子がいます。いま養護学校の高等部にいますが、東京で暮らしていた2才の時に原因不明の脳症に罹ってしまい、重い後遺症を残してしまったのです。記憶はすべて失い、意思疎通もまったくできなくなってしまいました。そして日常生活で最も神経を使うのは、一日何度も繰り返し起きるてんかん発作です。今までさまざまな薬剤を試してきましたがなかなか十分な効果が得られませんでした。夜間にも発作が起きるため、睡眠が十分に取れないこともあります。
今回アロマを知ってからいろいろ勉強してみると、てんかんを悪化させるアロマ(ローズマリーやペパーミントなど)とてんかんに有効な可能性のあるアロマ(ネロリ、ユーカリ、フランキンセンスなど)があることを知りました。そんな息子の状態に効果があるかどうか試してみたいということもあって、緊張緩和と睡眠に効果のあるラベンダー、オレンジ・スイートとてんかんに効果があると言われているフランキンセンス、そして10分間で自動的に止まる電池式のディフューザーを買ってきました(写真)。
ラベンダーは鎮静・緊張緩和効果がありますので、化学療法室や乳腺外来で検査結果などのご説明をする時にでも使ってみようかと思っています。明日ディフューザーも一緒に持っていくつもりです。アロマが本当に医学的な効果があるのかどうかはわかりません。でも患者さんがアロマで心地よくなってくれるのであればそれでいいのではないかと思っています。ただ、香りには好き嫌いがありますのであまり強すぎたり癖のあるようなものは避けるつもりです。その点ラベンダーは禁忌も少ない(マイルドな血圧降下作用があるため低血圧の人には禁忌と書いてあるものもあります)ですし、比較的多くの人が嫌いではないと思いますので手始めには良いのではないかと考えています。
さて効果は…?
<ラベンダー>
学名:Lavandula angustifolium
特徴:もっともポピュラーで多目的に使用できる精油。直接肌につけても害のない数少ない精油の一つ。
主な効能:不安な気持ち、憂鬱な気分、ストレスや神経の緊張、不眠症 、敏感肌や乾燥肌などの皮膚のトラブル、筋肉痛、けいれん、腰痛、 消化不良、吐き気、上気道炎、月経困難症、月経前緊張症、花粉症、二日酔い、時差ぼけなど。
乳腺診療への応用:細胞診や病理結果などの不安・緊張を伴う検査結果の説明時、術前日の就寝時、化学療法施行時、定期検査の結果を聞く時など。
*ここに挙げた効能は、いわゆる医薬品としての効能ではなく、エビデンスのあるものではありませんのでご了承下さい。
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10 件のコメント:
私も数年前からいろいろ試し、オレンジに辿り着きました。
こちらも癖が無くお勧めです。
インフルエンザや花粉の季節はティーツリーも使います。
イライラした時や寝る前にティッシュに付けてくんくんする程度ですが、『脳が求めてる~』って感じですっきりします。
効果を期待するというより『気分転換する為のモノ』として使うようにしています。
医療現場ですと気を付けなければならない点もあると思いますが・・・
でも患者はメンタル的に左右されることもありますし、そういう物を取り入れようとされる姿勢も嬉しかったりするのではないでしょうか。
やはり乳腺外科でたくさんの女性の患者さんに接していらっしゃると一般の外科医とは視点が違うのでしょうか・・・?
私は近くに乳腺専門がないので外科で診て頂いてますが、私の主治医とはアロマという会話は成立しないと思います(^_^;)
>匿名さん
はじめまして。
まあ一般の外科医はそうでしょうね。外科医に限らず男がアロマというと変な目で見られるかもしれません(汗)
ただ特にがん患者さんはメンタルにさまざまな問題を抱えてしまうことが多いと思います。音楽でもアロマでも何でも良いので多少なりともストレスや不安の解消になれば良いのではないかと私は考えています。
さっそく今日化学療法室でラベンダーを試してみました。どのくらいの匂いの強さが良いのかなかなかさじ加減が難しいと感じました。患者さんにも協力していただきながら工夫していきたいと思っています。
こんにちは。私は一般病院の病理検査室に務める検査技師です。乳がん治療のことで調べていたらこちらにたどり着きました。検査や治療、副作用のことなどわかりやすくてとても参考になりました、ありがとうございます♪
ところでアロマのことですが、私はプライベートで、メディカルアロマを指導している先生のところで勉強中なのですが、そちらではまずアロマの危険性を学びます。
Lavandula angustifoliaはよく使われていますが、血圧降下作用があり、低血圧の方には危険です。アロマショップで倒れて、救急病院へ運ばれた事例もあります。アロマは個々人に合ったものを選ぶととても有用だと思いますが、多人数を対象にするとその選択は難しいですね。
すみません_(._.)_おせっかいかと思いましたが、せっかくのお気持ちがあだになってしまってはと思い、書かずにはいられませんでした。ご参考までに…
>shanさん
コメントありがとうございます。
Lavandula angustifoliumと低血圧について調べてみました。私の持っている本には、「用法・用量を守っていれば注意点はありません」と書いてあります。ネットで調べた中には、「緩やかな血圧降下作用があるので低血圧の人は感覚が鈍くなり眠くなることがある」「強い匂いを嗅ぐと低血圧の人はからだがだるくなる」「ひどい低血圧の人には使用しない方が良い」「低血圧に対して禁忌ということではなく、芳香浴くらいであればラベンダーの濃度を高くしなければ大丈夫」などという様々な表現がなされています。
おそらく高濃度で嗅がない限りはshanさんが耳にしたような実際に倒れてしまうほどの状態になることは稀なのではないかと想像されます。
しかしshanさんがおっしゃるように不特定多数の方がいる場所では注意が必要なのはその通りだと思います。幸い化学療法室に来る患者さんの病状は把握していますので、来院する患者さんに合わせてアロマを選択していきたいと思います。貴重なアドバイスありがとうございました。
初めまして。乳がん、アロマセラピーで検索しました。外科の先生がアロマセラピーで少しでも心地よくなってくれれば。そんなふうに考える先生がいるですね。驚きました。
昨年の記事ですので今もアロマを取り入れているのかわかりませんが、嬉しく思いました。
今年から「乳がん患者さまの会」という会に参加することになりそうなので、もっと情報がないかと思い検索しました。
私は看護師でアロマセラピストでもあり、以前訪問看護ステーション勤務のとき、乳がんOP後で在宅療養中の患者様の訪問看護でアロマトリートメントをさせていただいたことがありました。リンパ浮腫で右上肢がパンパンでした。導入に精油は何がいいかいろいろ勉強し、グレープフルーツがいいのですが、抗血液凝固剤内服していましたのでそれは× 食欲もなく、やる気も出ない状態でしたので結果的に気持ちを明るくさせ血行促進効果のあるオレンジ・スイートとキャリアオイルはスイートアーモンドを使いました。トリートメント後がパンパンな皮膚にしわがより、ご本人も関節が曲がりやすいとお話されていました。
アロマセラピーは患者様、家族、介護する人そこにアロマがあるだけで+の感情にしてくれます。精油の危険性や濃度、頻度を守っていれば安全なものです。
ぜひ、医療現場にアロマ、継続してください。
>小寺さん
はじめまして。
このブログを書いた時期に診察室でディフューザーでアロマを使用したことがあったのですが、匂いには人それぞれで好みがあることと、狭い診察室で使用すると中にいる私は匂いの強さに麻痺がきてしまい、思いのほか匂いがきつくなってしまうことがわかりました。
治療ベッドが個室になっていて、それぞれで好きなアロマを焚くのは良いと思いますが、現在の治療室は共用のスペースとなっているため、結局化学療法室でのアロマは断念してしまいました。
ただ緩和ケア病棟の個室の病室では患者さんの希望があればアロマを使用しており、いい匂いの部屋に入ると私たち医療者も気分が和むのを実感しています。
近日中に新病院に移転予定ですので、またアロマの導入について検討してみたいと思います。
貴重な経験談、ありがとうございました。
新しい病院に引っ越ししたのですね。もしかしたら、昨年まで緩和ケア病棟にボランティアでアロマトリートメントをしに行っていた病院ではないでしょうか。高速道路沿いでした。
香りで麻痺してしまったのですね。滴数が多かったのでしょうか?
好き嫌いのない柑橘系は抗うつ作用もありますしリフレッシュ、食欲増強にも効果的です。グレープフルーツはエンドルフィンの分泌を促進し心を元気にしてくれます。
5滴を芳香浴に使うと言われていますが、機会があれば、それより少ない量を使用してみてください。
>小寺さん
アドバイスありがとうございます。
滴数は多くはなかったのですが、狭い部屋なので徐々に香りが強くなったのだと思います。これはずっと中にいる私には感覚が麻痺してくるためにわかりにくく、外から入って来た看護師に指摘されました。ディフューザーは外から来る看護師に調節をお願いするのが無難かもしれません。
きっと小寺さんのおっしゃる病院かもしれません。今日の打ち合わせでもしかしたらお会いしたでしょうか?(違っていたらすみません)
また機会があればアロマの指導など、ご協力願えれば幸いです。
あれ?医大行きましたよ。代表で挨拶しました。アロマの指導なんて滅相もないです。エビデンスがまだ不十分ですから、経験していくしかないと、いろんなところに顔をだしています。アロマセラピーのブースが出来る事を願っています。ご協力お願いいたします。
>小寺さん
自己紹介されたのできっとそうだと思いましたが違っていたらと思い声をかけれませんでした。すみません。
アロマセラピーのブースがあるときっと患者さんたちは喜ぶと思いますよ。応援しています!
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