2012年3月25日日曜日

ハラヴェンの研究会

昨日市内のホテルでエーザイ主催のハラヴェンの研究会が行なわれたので参加してきました。

市内の2施設からの使用経験の報告とハラヴェンの使用方法(どのタイミングで使うか、サブタイプ別で使い分けをするか、用量の設定をどうするかなど)や副作用対策についての活発な討論が行なわれました。G先生が参加できなかったので私も何度か発言してきました。

当院においては今までハラヴェンを使用した患者さんの中で、著効したと言えるのはER陽性で長い治療歴のある肝転移症例の1例のみです。今回の2施設からの報告でも肺やリンパ節再発にも一定は効きますが、著効例には肝転移が多いようでした。サブタイプ別では特に大きな傾向はないようです。フロアからはHER2陽性乳がんの再発にハラヴェンとハーセプチンとの併用を行なっているとの発言がありましたが、現在臨床試験中で安全性と有効性は確立していないため、当面は慎重に行なった方が良いようです。

副作用に関しては、やはり骨髄抑制、特に好中球減少に注意が必要との意見で一致しました。放射線治療歴がある患者さんについては骨髄抑制からの回復が悪い傾向を示すという報告もあり、大変参考になりました。投与量の維持と投与スケジュールを守るためにG-CSF(白血球を増加させる薬剤)を予防的に併用すべきかどうかについて意見を求められましたが、私は再発治療であることを考えると、予防的なG-CSF投与は行なわず、投与基準に従って休薬や減量を行なうべきではないかと思うと答えました。

標準的な投与方法は、2週連続投与、1週休薬ですが、好中球減少によって投与のスキップが生じると、結果的に隔週になってしまうことがあります。しかし減量しないで隔週で投与する場合と、減量して2週投与1週休薬にする場合とでは効果はあまり変わらないかもしれないということです。今後の臨床試験の結果を待ちたいと思います。

予定時間を20分ほどオーバーしてしまったのは私が質問や意見を述べすぎたからかもしれません(汗)
非常に期待していた抗がん剤ですが、残念ながらまだ著効例はわずかです。なんとか他の施設の経験を自分なりに解釈して、どのような患者さんにどのタイミングでどのような投与方法で治療すればもっとも期待できる結果が得られるのかをこのような研究会を通して勉強していきたいと思っています。

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お久しぶりです。ずっと以前にいろいろお教えいただいた者です。その節はありがとうございました。
その後も欠かさず拝見してはいましたが、なかなかタイミングがあわなくて・・・
今回はちょうどハラヴェンのことだったので、思い切ってまたお尋ねさせていただきます。もしコメントとして載せるのが不適当なら削除してくださいませ。
私は前にも少し書きましたが、経過などを再度書かせていただきますと、最悪1年と言われたのが1997年、43歳の時。リンパ節転移が36分の36の小葉ガンでした。エコーなどでもなかなかわからず、細胞診でもがん細胞はマイナス、結局、より調べる為に切開して初めてわかったくらいだったのに・・・とショックでした。おまけにトリプルネガティブです。
その時、CAF療法(だったと思っているのですが)を不完全にやり、しばらくして反対側に転移、異時両側乳癌、温存療法の後、放射線はかけず、その後、残りにも転移が出て結局全摘。
その後は1年に3回ずつくらい胸壁(というのでしょうか)に転移が出て日帰り手術を繰り返していました。複数個の時も含めて10回ほど。1年ほど出なくなったので、安心していたら、遠隔転移、肝臓、肺、リンパ節、骨と順に。
TS1、ゼローダ、エンドキサン追加、AC療法、パクリタキセル、ナベルビン、この頃からゾメタも。その後、またTS1、ジェムザール、そして今はドセタキセルと、トリプルネガティブ故にどれもあまり効かず、今CEAは90程、CA15-3は600程です。そして肺壁に水がたまり、ガン性胸膜炎です。
今の所は数値や画像の割には、元気に日常生活を送っているのですが、肝臓に点々とある転移の中に3cmを越える大きな転移があって近々入院してラジオ波で小さくすることになっています。
ここまでが長くなってしまいましたが、一番お訊きしたいのは、今回またマーカーが上がり、抗がん剤を変える提案が出されました。
・アバスチン+パクリタキセル
・ハラヴェン
・AC療法(計算したらあと4回できるそうです)
この三つなのですが、今はドセをやっていて、足のしびれや手の爪のひどい状態もあるし、タキサン系を続けるのも、と思ったので、まずACをお願いしました。
ハラヴェンと迷ったのですが・・・・・
これまでどの薬でも白血球が落ちすぎて注射をしたというような状態にはなったことがありませんし、ハラヴェンでもいいのかな、とも。
でも、今回の先生の記事を拝見すると、これから先、いったいどうしたらいいのかな~、どうなっていくのかな~と不安が胸をよぎります。
トリプルネガティブというのはやっかいな物で、ハーセプチンが効く方が羨ましいと思う時もありますし、ネットで調べると肝転移したら・・・とかガン性胸膜炎の予後は・・・などいろいろ載っています。
もちろんカルテをお見せしているわけではなく、これだけでは判断に迷われるでしょうけど、もし先生ならどういう風にお考えになりますか?こんな患者だったらどういう風にお声をおかけになりますか?
よろしかったら教えていただければ幸いです。

匿名 さんのコメント...

すみません、以前はカノンという名前でコメントさせていただいていました。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(カノンさん)
大変お辛い状況のようですね…。治療も長くなっていますので精神的にもかなりきつくなってきていることと思います。
治療方針については身近で診ていたわけではありませんのでなかなか難しいですが参考までにお答えいたします。
ACは前回著効してしばらく落ち着いた状況であったなら再投与も期待できますがそうでなかったならあまり効果は期待できないかもしれません。アバスチン+パクリタキセルは効果が期待できるかもしれませんが副作用でQOLを低下させてしまう心配があります。一方ハラヴェンはアンスラサイクリンとタキサンの治療歴のある患者さんに対しての有効性が確認されていますし、特に肝転移には効果が期待できる可能性があります。以上から私ならおそらくこの中ではハラヴェンを選択するのではないかと思います。
なお繰り返しますが、この意見はあくまで参考程度にして下さい。主治医の先生が一番カノンさんのことをご存知なのですから、主治医の先生とよくご相談の上で決めて下さいね。
それではお大事に!

カノン さんのコメント...

早速のお返事ありがとうございました。
明後日からラジオ波治療で3日間の入院になりますので、主治医とまたよく相談してみたいと思います。
ありがとうございました。

カノン さんのコメント...

以前に質問させていただいたカノンです。
いつもお世話になっています。本当に感謝しています。ありがとうございます。
あのあとラジオ波治療をしていただきました。直径3cm程あったのと、肝臓の表面に接していたので悪条件が重なり非常に痛かったです。
そのあと結局AC療法を3回やりましたが、CEAが6月に120、7月に140と上がってしまい、急きょハラヴェンをやることになり、17日に1泊入院して受けました。
ハラヴェンは私にとってけっこう厳しいような感じです。昨日今日と寝込んでしまいました。
胸水もエコーでは300~400CCくらいはたまっているそうですし、癌性胸膜炎は悪化しているらしく、咳も少し出ます。
ここまでくると、どんな治療をしてももう後戻りはできないだろうし、あとはいかに楽に過ごせるかということになってくるのだと思いますが、今のところ幸いにも普段はかなり元気で、抗がん剤の副作用がいちばん大きな不調の原因なので、今後をどうすればいいのか悩ましいところです。3月に同病の30歳の友人を亡くしてしまい、少し気弱になっているかも知れません。
とりあえず今はハラヴェンが効くことを祈るしかないですよね。
8月には合唱の定期演奏会もありますし、ボランティアでやっている点訳の本も抱えていますし・・・・・もう少し頑張ってみます。
また、いろいろお聞きいただけたら、と思います。
よろしくお願いします。

hidechin さんのコメント...

>カノンさん
こんばんは。
そうですか…治療大変そうですね…。
ハラヴェンは肝転移にはよく効くことが多いので奏効すると良いですね。副作用に関しては、ハラヴェンの場合は骨髄抑制が主で他はあまり自覚症状としては強くないと思うのですが(間質性肺炎などの重篤な副作用もありますが)、もしそのように感じるのでしたら、やはりがん自体の悪化による症状なのかもしれません(白血球が低下して発熱しているなら別ですが)。

ハラヴェンが効いてくれると良いのですが、あまりにも自覚症状の悪化が見られるようでしたら、緩和治療への治療方針の転換も選択肢として考えても良いと思います。いくらがんに効果があっても、体調を悪くしてしまうようでしたらカノンさんにとってプラスにはなりませんから…。緩和治療への治療転換は、治療を諦めるということではありませんよ。患者さんにとっての治療は、抗がん剤だけではないのです。症状を緩和することでプラスになることは多いはずです。

今はハラヴェンの効果に期待したいところではありますが、いつでも緩和治療に切り替えることができることは頭の片隅に入れておいて下さいね。

ちょっとつらいお話になりました。気分を害してしまったらすみません…。くれぐれもお大事になさって下さい。またなにかありましたらご連絡下さいね。

カノン さんのコメント...

早速のご回答、ありがとうございました。
ちょうど一年ほど前にやったジェムザールの時の副作用とよく似ているように感じているのですが・・・・・
私にはジェムザールは全く効かなくて、そのうえ副作用がひどかったです。毎回、寝込んでいました。白血球はそれほど下がりませんでしたが、夕方になると疲れて熱っぽくなり寝ずには居られませんでした。結局すぐにやめました。
確かに、その時から胸水のある左胸が痛みますし、病気の進行の影響も大きいかも知れません。ただ、同じ病院のやったことのある方の様子やブログで見る方の話では、やっぱり寝込んだという方もけっこうあるみたいです。
主治医はまだ使える薬があるから、と言ってくれていますが、これから先は緩和治療ということも意識していきたいと思います。
とても参考になるご意見、ありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>カノンさん
そうですか…。いずれにしても私は直接カノンさんの状態を見ているわけではありませんので、一番近くで診ている主治医の先生とよくご相談の上で治療方針を決めるようにして下さい。症状が改善することをお祈りしています。それではお大事に!