2012年7月25日水曜日

乳腺術後症例検討会 21 病理医との連携

今日は月1回の症例検討会でした。いつも夕食を食べに行く喫茶店が手術が終わってから行くともう閉まっていたのでコンビニで軽く食べてから参加しました(笑)

今日の症例は、画像的には明らかに乳がんを疑いましたが、針生検では「間質肉腫の疑い」、最終的には「乳腺線維腫症(fibromatosis)」という診断を得た症例、広範な乳管内進展を呈した乳がん症例、高齢者で非浸潤がんを疑った乳管内乳頭腫の症例、硬がん様の超音波画像でしたが、脂肪内の高エコーが著明で、最終的には「浸潤性微小乳頭がん(Invasive micropapillary carcinoma)」だった症例の4例でしたが、いずれも画像的にはなかなか判断が難しい症例でした。

今日のミニレクチャーは「乳腺線維腫症」についてでした。この疾患は基本的には良性ですが、局所再発をきたすことが2-3割あるという点と、低悪性度の肉腫との鑑別が難しいという点で注意が必要です。この症例はより正確を期すために、乳腺病理の権威である坂元記念クリニックの坂元吾偉先生にconsultationを行ないました。

私たちの施設では、乳腺外科医と病理医の連携がスムースです。病理科の科長のK先生(私と同期です)は、乳腺病理診断の難しさをよく理解してくれているので、診断に迷うケースは、私たちとカンファレンスを行なったり、積極的にconsultationに出してくれたりします。時間を要することにはなりますが、慎重な彼の判断と風通しの良さには大変助かっています。そして毎月行なわれるこの症例検討会の病理スライドの準備と当日の解説には毎回顔を出してくれます。そしてそういうK先生の姿勢のおかげで部下の病理医の先生方の参加も回を重ねるごとに多くなってきています。

病理医と乳腺外科医が密接に連携をとることが正確な診断につながり、結果的に患者さんに利益をもたらす(不利益を避ける)ということを私はG病院での研修で教わりました。これからもこういう良い関係を継続して行ければと考えています。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

初めまして。
先生の2010年2月27日の短期全乳房照射法の記事を読んで、コメントさせていただきました。
私は6月15日に温存術・リンパ郭清の手術を受けました。病理検査の結果、短期全乳房照射法の条件に一致していたので、この照射法の治験の提案を頂いています。先生から説明されるデメリットを聞いてもあまり危険性を感じられないのですが、実験は実験と言うことで、まだデメリットのほうが大きく受けない方が良いのでしょうか?
手術を受けた病院の放射線科は大変混んでいて、通常照射は10月まで待たなければなりません。短期照射ならばすぐにでも開始できます。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
コメントは昔の記事でもそこに書き込んでかまいませんよ。私の方ではメールが届くのでわかりますから。

さて短期全乳房照射法についてですが、海外の報告だけではなく、国内でも行なっている施設はあるようですね。ただ私の周りの施設ではおそらく行なっていませんので実際のところどうなのかはわかりませんし、もちろんまだ標準的照射法としては認識されていません。
匿名さんが通院されている病院はかなり有名な病院なのでしょうね。そんなに標準照射を待たせられる施設はこちらにはありませんので驚きです。もし標準照射を希望されるなら、放射線治療だけ他の施設で、という方法もあるかとは思います。ただ、術後に化学療法を行った場合は、乳房照射は後回しになりますので術後半年近くたってから照射することは珍しくありません(術後FEC療法4回→ドセタキセル4回施行したらそのくらいになってしまいます)。一応、術後半年以内に照射を開始することが推奨されていますので、その期間内に開始できれば大きな問題はないと思いますよ。主治医の先生とよくご相談の上で決めて下さい。それではお大事に!

匿名 さんのコメント...

早速のご回答ありがとうございました。

再度主治医の先生とお話して、短期照射を受ける事にしました。

臨床結果が、このあとの患者さんのために少しでも役立てばと思います。

また色々参考にさせてください。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
そうですか。頑張って下さいね。それではお大事に!