2014年3月7日金曜日

アンスラサイクリン系抗がん剤の血管外漏出治療薬

抗がん剤投与時の注意すべき合併症の1つが血管外に抗がん剤が漏れることによって起きる組織の障害です。このことに関しては以前ここでも書きました(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/01/13_23.html)。また2011.9.7には抗がん剤血管外漏出の治療薬の開発・販売権をキッセイが取得して臨床試験にとりかかるということをニュースとして書きましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/09/blog-post_07.html)、ようやく今年になってこの薬剤が承認されたということです。なお、この薬剤はすでに世界32カ国で承認されており、厚生労働省に早期承認の申請が出されたことによってようやく承認されたという経過のようです。

今回製造承認されたこの薬剤は抗悪性腫瘍薬の血管外漏出治療薬、デクスラゾキサン(商品名サビーン点滴静注用500mg)という薬です。適応は「アンスラサイクリン系抗悪性腫瘍薬の血管外漏出」に限定されており、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに1~2時間かけて点滴静注するという薬剤です。アンスラサイクリン系抗悪性腫瘍治療薬で乳がんにおいてよく使用されるのはドキソルビシン(商品名 アドリアマイシン)やエピルビシン(商品名 ファルモルビシン)などです。

デクスラゾキサンは、トポイソメラーゼIIの作用を阻害することにより、アンスラサイクリン系抗悪性腫瘍薬が血管外漏出した際の細胞障害を抑制するものと推測されています。

ただ海外での臨床試験において、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が71.3%に認められているとのことですので、十分な注意が必要です。主な副作用は、悪心(27.5%)、発熱・注射部位疼痛(各13.8%)、嘔吐(12.5%)であり、重大な副作用としては骨髄抑制(白血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少)に注意が必要とのことです。

今のところこの製剤の紹介は製薬会社からはありません。キッセイのMRさんとはお会いしたことがないです…。

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