2015年8月26日水曜日

乳腺術後症例検討会 41 ”副乳がん”

しばらくぶりのアップです。この間、さまざまな院外での仕事とプライベートの仕事が重なってなかなかブログを書く気力がわきませんでした。これから11月くらいまでイベントが続きますので余裕があるときに書くようにします。

今日は2ヶ月ぶりの乳腺症例検討会でした、手術が遅くなってしまったため、私だけ先に手を下ろして参加しましたが、G先生は途中から、N先生は別件の会議で結局参加できず、技師のNさんは私用で欠席とちょっと寂しい検討会になってしまいました(20名ちょっとくらいの参加でした)。



症例は3例。
1例目は、腋窩のしこりを自覚して来院。精査にて乳房内にがんが見つかったのですが、腋窩は皮膚腫瘤だと思って切除してみたら副乳に発生した非浸潤癌だったという症例でした。乳房内と副乳に同時発生した乳がん症例は非常に珍しいのではないかと思います。この腋窩腫瘤の超音波画像を見て”副乳発生の非浸潤がんなども考えられる”と言った関連病院の超音波技師のTさん、さすがです!

その他は、微細石灰化で検診精査となり、乳がんと診断されたのですが実は石灰化自体は良性だった症例と男性の浸潤性微小乳頭がんの症例でした。

その後、先日の日本乳癌学会学術総会で発表した3演題の概要を紹介して終了となりました。

今日はなんだかすごく疲れました…(汗)でも帰ったらファイターズが大谷投手の好投で勝っていたのでちょっと元気になりました!

2015年8月7日金曜日

がん治療の案内板〜ESMO (欧州臨床腫瘍学会)診療ガイドラインに基づいた患者向け情報

このたび日本癌治療学会が、ESMO (欧州臨床腫瘍学会)による患者さん向け情報の日本語版をWeb上で公開することにしました(http://www.jsco.or.jp/guide/index/page/id/136)。

日本乳癌学会も患者さん向けの診療ガイドラインを作成していますが(http://www.jbcs.gr.jp/people/people_gl.html)、冊子を購入しなければその詳細を読むことはできません(税別2300円)。この本も非常にわかりやすく解説していますが、有料ということで購入する方は少ないかもしれません。

ESMOの患者向け情報には、乳がんの基礎、検査法、治療法、治療の副作用、術後の検査などが掲載されています。ただ乳癌学会の患者さん向けガイドラインに比べると情報量は少なめで、言葉などは少し難しいかもしれません。またサプリメントや民間療法などに関する内容も乳癌学会の方が豊富です。乳癌学会の方はQ&A形式で書かれているのも一般の方にはわかりやすいかもしれません。

ざっと乳がんに関する概要を見たいのであればESMOの方が読みやすく、じっくりと細かい内容を知りたいのであれば乳癌学会の方が良いのではないかというのが、私が最初に受けた印象です。ネット上で両者を見比べて、もしESMOではわかりにくい、もしくは不十分と思われる方は乳癌学会の患者さんのための乳がん診療ガイドラインを購入してみてはいかがでしょうか?

2015年8月1日土曜日

センチネル陽性で腋窩郭清を省略した場合の盲点

ACOSOG Z0011という臨床試験の結果は、一般紙にも取り上げられるほどのインパクトのある結果でした(
http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/02/blog-post_12.html、http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/07/blog-post_23.html)。

簡単に概要を書きますと、”T1-2、明らかなリンパ節転移がない、乳房温存術を受け術後に乳房照射と”適切な補助療法”を行なう症例、においては、センチネルリンパ節生検でリンパ節転移が2個以下であれば腋窩郭清は省略しても局所健存率および全生存率を低下させない”というものです。

ただこの臨床試験にはその後いくつもの問題点が指摘されています。それでもこの結果はもうすでに世界中をかけめぐり、あっという間にコンセンサスを得てガイドラインにも掲載されているのが現状です。

センチネルリンパ節転移が陽性でリンパ節郭清を省略した場合の一番の問題点は、実際に何個のリンパ節転移があるのかを確認できないことです。当院で手術を行なった症例では、センチネルリンパ節転移が1-2個陽性の場合に、腋窩リンパ節郭清をしてみると、その1/4程度は4個以上の転移がありました。

私が知っているある患者さんは、他院で乳房温存術+センチネルリンパ節生検を受け1個のリンパ節に転移がありましたが、郭清はしなかったそうです。術後は通常の乳房照射を行ない、ホルモン療法のみで経過を見ていましたが、数年後に鎖骨上リンパ節、肺、骨に再発したとのことでした。

この患者さんがセンチネルリンパ節転移陽性と判断した時点で腋窩リンパ節郭清を受けていた場合、もしもリンパ節転移の個数が多数あったとしたら治療方針が変わっていたのではないか?という思いが頭をよぎりました。つまり、転移個数が多ければ、術後に抗がん剤を投与していたはずですし、胸壁+鎖骨上リンパ節領域への照射もしていた可能性があるのではないかということです。もちろんこれはあくまでも推測に基づく可能性の話ですので、抗がん剤や放射線治療をしていても同じ経過だったのかもしれませんが…。

ちょうどこのようなケースを以前の投稿(上に貼ったURL)で想定していたのを発見してちょっとびっくりしました。

要するに個々の症例を見てみると、正しい転移個数を確認できないことで適切な術後治療を受けられず、結果的に予後に影響が出る場合もあるのではないか?ということです。今までも指摘されていたように、Z0011では過半数に強力な化学療法を行なっていたために、その差、影響が出なかった可能性もあります。ER陽性の乳がん患者さんにおいてセンチネル陽性で腋窩郭清を省略する場合に、ホルモン療法のみという術後補助療法の選択は妥当なのか、もう少し検討が必要かもしれません。

もちろんセンチネルリンパ節に転移があった全症例に郭清を追加すれば、結果的に不必要な腋窩郭清をしてしまうケースも多くなります。そのために術後長期間にわたってリンパ浮腫に悩まされる患者さんが増えてしまうのもまた事実です。機能温存と根治性を両立させるのはなかなか難しいです。

2015年7月20日月曜日

ピンクリボンロード2015 無事終了〜タッピー大活躍!

心配された天気も回復して、昨日無事にピンクリボンロードが開催されました。

ホコテンにはたくさんの人が集まって下さり、大盛況でした。ブースでは、私たちの病院とKクリニックで模型を用いた自己検診の啓発や超音波検査のデモ(写真)、医療相談が行なわれ、かなりの数の方々(子供さんや男性も含め)が訪れて下さいました。また恒例のピンクリボンジュエリーにも多くの方が立ち寄ってくれました。



私たちの施設からは、事務4人、看護師2人、検査技師2人、放射線技師2人、医師4人という大所帯で参加しました。メンバーでブースの対応と啓発パンフの配布を手分けして行ないましたが、人数が多かったのでかなりの数の啓発パンフを配布することができました。そしてこのブログを読んでくれている私の患者さん2人も応援に駆けつけて下さいました。

また今回は、研修医のY先生が是非参加したいとのことで(学生時代からこのような活動をしていたとのこと)、急きょ札幌市東区のマスコットキャラクター、タマネギの妖精「タッピー」の着ぐるみをお借りして、「ピンクリボンタッピー」として参加してくれました(写真)。子供にも大人にも外国人観光客にも大人気で写真を撮られていました(笑)。



ステージでは、”札幌ドラムサークル”による「輪になってドラムサークル」(暑い中、ピンクリボンタッピーも参加)、”プメハナ.カ・ハレ・フラ・オ・マーヘアラニ”による「ピンクリボンフラ」、”札幌西ロータリークラブ”による「札幌西ロータリークラブ合唱団ステージ」が行なわれ、たくさんの観客が足を止め、参加していました(写真)。



今回は、札幌西ロータリークラブさんからのご寄付で、全員おそろいのピンクリボンTシャツを着用しての参加でした。そのおかげもあり、今回のイベントはいつも以上に一体感があったような気がします。この場をお借りして御礼申し上げます。

乳がんで命を落とす方が1人でも少なくなることを願いながら、これからもこのイベントに参加していきたいと考えています。

*なお余談ですが、このイベントのあとで大通を歩いていたら突然うしろからカラスに頭を攻撃されました(泣)。幸い、たまたま頭に手をやった瞬間だったため、くちばしでつつかれずに頭を蹴られただけですみましたが、びっくりしました(汗)。
大通のカラスは昔から凶暴です。公園で弁当を食べていると奪われたりもします。皆さんも気をつけて下さいね!

2015年7月18日土曜日

明日はピンクリボンロードですが…

先日書きましたように明日は大通のホコテンでピンクリボンロードの予定です(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2015/07/in-sapporo2015.html)。が、天気が怪しいです…(泣)

今まで私が参加したこのイベントでは雨天でのイベント中止、変更はなかったのですが、明日は微妙です。ただYahoo!天気を確認してみたら、朝方は雨ですが、9:00ころからは曇りになっていました。なんとか予定通りイベントができれば良いのですが…。万が一、雨天中止の場合は、テレビ塔2階でブース展示のみ行なわれます。

なお、昨年私たちのブースで大活躍してくれたニワトリ(写真)ですが、今年は残念ながら体調不良により不参加になってしまいました(泣)。そのかわり、東区のゆるキャラ、タッピーが参加してくれることになっています!見かけたら声をかけてあげて下さいね!


2015年7月8日水曜日

ピンクリボン in SAPPORO2015 ”ピンクリボンロード”

以前ここでもご紹介しましたように(https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=8139378504787083626#editor/target=post;postID=4896393767157755669;onPublishedMenu=posts;onClosedMenu=posts;postNum=1;src=postname)今年のピンクリボンロードは、例年より早い、7/19(日)に行なわれます。今日、その打ち合わせの会議が行なわれました。

場所は一昨年と同じさっぽろホコテン(札幌市南1西3)で、時間は13:30-16:00までです。雨天の際は、さっぽろテレビ塔の2Fすずらんに変更になります。

当日のステージでは、”札幌ドラムサークル”による「輪になってドラムサークル」、”プメハナ.カ・ハレ・フラ・オ・マーヘアラニ”による「ピンクリボンフラ」、”札幌西ロータリークラブ”による「札幌西ロータリークラブ合唱団ステージ」が行なわれます。また会場には私たちの施設を含む2施設での”メディカルチェックコーナー(医療相談や検診モデルを用いた自己検診指導など)”と毎年好評のピンクリボンジュエリーのブースが設置されます。夜はテレビ塔がピンク色にライトアップされますので是非見にいらして下さい。

そして今年は協力団体のご厚意によりスタッフがお揃いのピンクのTシャツを着用することになりました(写真)。私たちも今年はこのTシャツを着て乳がん検診の啓発活動を頑張りたいと思っています。時間のある方は是非お立ち寄り下さい。



2015年7月3日金曜日

乳癌学会から帰ってきました!

7/1に札幌を発ち、7/2から今日(7/3)の昼過ぎまで第23回日本乳癌学会学術総会に参加してきました。



東京は初日から曇りや小雨状態で、気温はそれほど高くありませんでしたが全身汗だくになるほどの不快な湿度でした。昨日は夕方に示説討論の自分の発表があったために日中はなんとなく落ち着かない状態で過ごしました。

私の発表に関しては、いま議論になりつつある内容でもあり、他にも同様の検討内容の報告もあったため、活発な討論が行なわれました。欧米のガイドラインに則れば、私が考えている方針が正しいはずなのですが、以前から自分たちのやり方でやってきた先生方にとってはその施設としての方針があることや、医療経済的な観点からもなかなか受け入れがたい状況があるようです。今後の推移を見守りたいと思っています。

昨夜は、私の発表が終わってから後期研修医のN先生と外来治療部門の師長のOさんと一緒に飲みに行きました。仕事の話だけではなく、いろいろな話で楽しく過ごしました(笑)。看護師さんや研修医の参加は初めてだったので、今後も継続していきたいと考えています。

今日はN先生(乳腺センタースタッフの)の発表のサポートをしてから、シンポジウムを聞いて、午後からはC社のブースで人型ロボットPepperと記念写真を撮影したり、会場内にある”相田みつを美術館”で癒されたりして過ごしました。



この2日間、蒸し暑さの中で歩き続け、立ち続け、並び続けたせいですっかり疲れてしまい、ようやく家にたどり着きました。明日は出勤なのでそろそろ寝ます!