今週の水曜日に第13回 With You Hokkaidoのコアメンバーによる第1回実行委員会がありました。
今年のWith You Hokkaidoは、2016.8.20(土)に開催されます。場所はいつもと同じ札幌医大の大講堂です。
実行委員会では、今年のテーマや講演の内容、グループワーク、パネルディスカッションについてのおおまかな案について話し合いました。もう13回もやっているとどうしてもテーマや講演の内容などはネタ切れになってきます。今年は今まで行なったテーマと重なる内容になるかもしれません。ちなみに私は”Advance Care Planning”を中心とした、患者さんと医療従事者のコミュニケーションの問題を取り上げてみてはどうかと提案したのですが、北海道ではまだスタッフの中にもAdvance Care Planningは浸透しておらず、時期尚早だったようです。また、これは少し重いテーマになってしまうので、取り上げることに慎重になったのかもしれません。
4/26の実行委員会で内容はほぼ決まりますので、その後に各医療機関にポスターやチラシが配布されることになります。今年も多くの方が集まって下さることを期待しています。医療機関への配布は札幌市内だけですが、札幌市外でも参加は可能です。チラシが完成しましたらまたここでご紹介したいと思います。
乳癌が心配だけど、どこに受診したらいいかわからない、乳癌になってしまって不安…、再発したからもうだめかもしれない…。そんな不安や悩みに少しでもお役に立てればと思って始めてみました。 (*投稿内容と無関係なコメント、病状のご相談はご遠慮願います*)
2016年3月26日土曜日
2016年3月20日日曜日
「19th Breast Cancer UP-TO-DATE Meeting」in Tokyo
昨日、日本化薬主催のBreast Cancer UP-TO-DATE Meetingに参加してきました。
製薬会社主催の講演会は、だいたいその製薬会社の製品アピールの講演会になることが多いのですが(中には気持ち悪くなるほどひどいものもあります)、この会は自社製品にこだわらず、最新の知見を元にした講演会を毎年行なっていますので大変勉強になります。
昨日はどうしても午前中の検診を私がやらなければならなかったため、検診終了後に急いで空港に向かって飛行機に乗りましたが、参加できたのはセッションⅡからでした(セッションⅠは基礎編でしたのでたぶん聞いてもあまりよくわからなかったかもしれません…汗)。
セッションⅡでは、殺細胞性抗がん剤のエビデンスに関するお話と、アバスチンに関するお話でした。世界にインパクトのある臨床試験結果を発信するにはどうしたら良いかというM先生のお話はなかなか興味深かったです。
セッションⅢは、Advance Care Planning(ACP)に関するパネルディスカッションでした。個人的にはこの内容が一番面白かったです。なかなか大変な作業なので、看護師さんたちとの連携が重要だと感じました。なんとなく自分の中でイメージしていた内容とは少し違っていて、もう少し勉強してみたくなりました。今まで自分が日常診療で行なってきた内容とかなり重なる部分はあるのですが、体系的に行なっていたわけではありませんので、いま使われているツールなども手に入れながら自分の病院でも良い形で取り入れていこうと思っています。
懇親会には少しだけ参加して、夜は東京にいる兄と久しぶりに2人で飲んできました。そんなに飲んでいないのになぜか夜中に激しい頭痛が続いたせいで寝不足です(汗)。
製薬会社主催の講演会は、だいたいその製薬会社の製品アピールの講演会になることが多いのですが(中には気持ち悪くなるほどひどいものもあります)、この会は自社製品にこだわらず、最新の知見を元にした講演会を毎年行なっていますので大変勉強になります。
昨日はどうしても午前中の検診を私がやらなければならなかったため、検診終了後に急いで空港に向かって飛行機に乗りましたが、参加できたのはセッションⅡからでした(セッションⅠは基礎編でしたのでたぶん聞いてもあまりよくわからなかったかもしれません…汗)。
セッションⅡでは、殺細胞性抗がん剤のエビデンスに関するお話と、アバスチンに関するお話でした。世界にインパクトのある臨床試験結果を発信するにはどうしたら良いかというM先生のお話はなかなか興味深かったです。
セッションⅢは、Advance Care Planning(ACP)に関するパネルディスカッションでした。個人的にはこの内容が一番面白かったです。なかなか大変な作業なので、看護師さんたちとの連携が重要だと感じました。なんとなく自分の中でイメージしていた内容とは少し違っていて、もう少し勉強してみたくなりました。今まで自分が日常診療で行なってきた内容とかなり重なる部分はあるのですが、体系的に行なっていたわけではありませんので、いま使われているツールなども手に入れながら自分の病院でも良い形で取り入れていこうと思っています。
懇親会には少しだけ参加して、夜は東京にいる兄と久しぶりに2人で飲んできました。そんなに飲んでいないのになぜか夜中に激しい頭痛が続いたせいで寝不足です(汗)。
2016年3月13日日曜日
外来化学療法室の送別会
先週の金曜日は、化学療法室の送別会でした(写真 化学療法室のスタッフです)。

3月一杯で配置転換になる看護師さんと転勤になる薬剤師さん、そして外来化学療法室長を降りることになった私も一応対象者でした。室長を降りても同じように出入りはするのですが…(汗)。
私が化学療法室長になったのは、2006年の春で、化学療法室開設の時でした。私自身は化学療法の専門家ではなく、適任とは言えなかったのですが、腫瘍内科がない私の病院には他に適任者がいなかったということで引き受けました(私が一番暇だと思われたのだと思います…汗)。それからいつのまにか10年もたってしまいました。この10年間、大きな事故もなく、ある程度の基礎を作れたのは良かったと思っています。
今回室長を降りたのには3つの理由があります。
まず一番大きな理由は、先ほど書いたように私は化学療法の専門家ではないことです。3年ほど前に血液内科が関連病院からこちらに移ってきた時から院長には血液内科のDrに室長を替わってもらいたいと言ってきました。しかし、これまでは血液内科のDrに固辞されていたためにやむを得ず続けてきたのです。昨年末に院長と面談した際に強く要望して今回の人事になったという経過です。
二つ目は、4年ほど前に乳腺センターが開設されてセンター長を引き受けたのですが、その頃に比べると業務がかなり増えてきたために兼任がきつくなったことが挙げられます。まあまったく無理というほどの業務量ではないのですが…。
そして三つ目の理由は、10年室長を同じ人間が務めていると、どうしてもマンネリ化してしまいますので、そろそろ化学療法の専門家に新たな視点で指導してもらった方が良いのではないかと考えたからです。
スタッフに恵まれ、とても充実した楽しい10年間でした。スタッフには感謝しています。室長を降りても、私にできることは協力していきたいと思っています。

3月一杯で配置転換になる看護師さんと転勤になる薬剤師さん、そして外来化学療法室長を降りることになった私も一応対象者でした。室長を降りても同じように出入りはするのですが…(汗)。
私が化学療法室長になったのは、2006年の春で、化学療法室開設の時でした。私自身は化学療法の専門家ではなく、適任とは言えなかったのですが、腫瘍内科がない私の病院には他に適任者がいなかったということで引き受けました(私が一番暇だと思われたのだと思います…汗)。それからいつのまにか10年もたってしまいました。この10年間、大きな事故もなく、ある程度の基礎を作れたのは良かったと思っています。
今回室長を降りたのには3つの理由があります。
まず一番大きな理由は、先ほど書いたように私は化学療法の専門家ではないことです。3年ほど前に血液内科が関連病院からこちらに移ってきた時から院長には血液内科のDrに室長を替わってもらいたいと言ってきました。しかし、これまでは血液内科のDrに固辞されていたためにやむを得ず続けてきたのです。昨年末に院長と面談した際に強く要望して今回の人事になったという経過です。
二つ目は、4年ほど前に乳腺センターが開設されてセンター長を引き受けたのですが、その頃に比べると業務がかなり増えてきたために兼任がきつくなったことが挙げられます。まあまったく無理というほどの業務量ではないのですが…。
そして三つ目の理由は、10年室長を同じ人間が務めていると、どうしてもマンネリ化してしまいますので、そろそろ化学療法の専門家に新たな視点で指導してもらった方が良いのではないかと考えたからです。
スタッフに恵まれ、とても充実した楽しい10年間でした。スタッフには感謝しています。室長を降りても、私にできることは協力していきたいと思っています。
2016年3月9日水曜日
第24回 日本乳癌学会学術総会 in Tokyo
2016.6.16-18まで、東京ビッグサイトにて第24回日本乳癌学会学術総会が開催されます。
今回、産休中のN先生は演題を出せませんでしたが、私とG先生は応募していました。先日ようやく採否通知が来て二人とも無事採択されました(と言っても毎年のことですが…)。
昨年後半は非常に忙しくて今回の演題申し込みはやめようかと思うほどでしたが、なんとか症例報告だけでもと思って提出しましたが、本当はもう少し内容の濃い発表をしなければだめだと反省しています。
G先生は17(金)の夜、私は18(土)の朝が発表です。昨年は私とG先生とで前半、後半を分けて参加しましたが今回は難しそうです。なんとか他の外科のDrに協力をお願いしてフルで参加できないか検討したいと思っています。
今回の乳癌学会の期間中には乳房再建の施設認定に必要な責任医師の講習会もあります。まだいつなのかわかりませんがそれにも参加する予定です(やたらとお金ばかりかかるオンコプラスティックサージャリー学会が義務化している講習会です)。
これから本格的にポスターの準備に取りかからなければ、と思っていますが、なかなか気力がわきません(汗)
最近なかなかブログを更新することができずにいました。連日たくさんの乳がん関連の情報が入って来るのですが、これらの速報の中にはすぐに公開すべきなのか迷うものが多いからです(今までの認識と異なる見解や、学会発表レベルの報告など)。それとこのブログを始めて7年経ちましたが、かなり前に書いた内容に対する質問や、投稿とは無関係な質問にお答えすることに少し疲れてしまったのもその理由です。気力が復活したらまた頑張りたいと思います!
今回、産休中のN先生は演題を出せませんでしたが、私とG先生は応募していました。先日ようやく採否通知が来て二人とも無事採択されました(と言っても毎年のことですが…)。
昨年後半は非常に忙しくて今回の演題申し込みはやめようかと思うほどでしたが、なんとか症例報告だけでもと思って提出しましたが、本当はもう少し内容の濃い発表をしなければだめだと反省しています。
G先生は17(金)の夜、私は18(土)の朝が発表です。昨年は私とG先生とで前半、後半を分けて参加しましたが今回は難しそうです。なんとか他の外科のDrに協力をお願いしてフルで参加できないか検討したいと思っています。
今回の乳癌学会の期間中には乳房再建の施設認定に必要な責任医師の講習会もあります。まだいつなのかわかりませんがそれにも参加する予定です(やたらとお金ばかりかかるオンコプラスティックサージャリー学会が義務化している講習会です)。
これから本格的にポスターの準備に取りかからなければ、と思っていますが、なかなか気力がわきません(汗)
最近なかなかブログを更新することができずにいました。連日たくさんの乳がん関連の情報が入って来るのですが、これらの速報の中にはすぐに公開すべきなのか迷うものが多いからです(今までの認識と異なる見解や、学会発表レベルの報告など)。それとこのブログを始めて7年経ちましたが、かなり前に書いた内容に対する質問や、投稿とは無関係な質問にお答えすることに少し疲れてしまったのもその理由です。気力が復活したらまた頑張りたいと思います!
2016年2月7日日曜日
”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2016〜がんと仕事〜”開催!
先日告知しましたように、本日京王プラザホテル札幌で”ワーキング・サバイバーズ・フォーラム2016〜がんと仕事〜”が開催されました。

全国的にインフルエンザが流行していますが、札幌も今月に入ってから急速に罹患数が増えているようです。私たちの病院職員もインフルエンザでの欠勤が目立つようになってきました。実は私も金曜日から咳と頭痛と倦怠感が続いていたのですが、昨日37.4℃という微妙な発熱をしたため、もしかしたら…と心配しましたが今朝には解熱していたため、予定通り参加してきました。
今回のイベントでは、まず日本対がん協会常務理事の関原健夫さんによる「がん六回 人生全快」というご講演がありました。ご自身が若くして大腸がんになり、その後も再発手術を繰り返しながら仕事もばりばりこなしてきたご経験を語って下さいました。
関原さんは、5年生存率20%と宣告されたときに知人の乳がん患者さんから「残り少ないかもしれない時間を何もせずに過ごすのはもったいない」と言われ、仕事を続ける決意をしたそうです。その後の再発手術の時も要職についていながら手術をしてからまたすぐに仕事に復帰するということを繰り返し、すでにがん告知から31年くらい経過しています。もしあの時に仕事をやめてしまっていたら、きっと関原さんのその後の人生は大きく変わってしまったでしょう。とても考えさせられるお話でした。
そのあとにはパネルディスカッションが行われました。乳腺外科医のO先生、企業側の代表として、そしてがん患者でもあるTさん、NPO法人キャンサーサポートの乳がんサバイバーであるSさん、行政側として北海道保健福祉部のTさん、そして講演をして下さった関原さんが壇上に並び、ご自身の経験や現在の企業や行政の問題点、がんになった時に仕事をどう考えるべきかなどについてディスカッションが行なわれました。まだまだ課題が多く、がんになった時に仕事を続けるのはなかなか難しい問題がありますが、社会、そして企業が温かく支援してくれるような世の中になってくれることを祈るばかりです。
フォーラム終了後には、立食で懇親会が行われました。この会に参加して一番驚いたのは、私たちの病院の外来で数年前まで働いていた看護師のKさん(今は対がん協会でお手伝いをしているようです)と偶然再会したことです。懇親会では久しぶりに話ができてうれしかったです(笑)。また戻っておいでよって話しましたが来てくれるかなあ…。とりあえずまた外来の仲間と飲みに行く約束をしました(笑)。
なんとか参加できて良かったですが、結局フォーラムの途中からだんだんまた具合が悪くなり、懇親会を途中で抜けて帰ってきました。今日は早めに休みます!

全国的にインフルエンザが流行していますが、札幌も今月に入ってから急速に罹患数が増えているようです。私たちの病院職員もインフルエンザでの欠勤が目立つようになってきました。実は私も金曜日から咳と頭痛と倦怠感が続いていたのですが、昨日37.4℃という微妙な発熱をしたため、もしかしたら…と心配しましたが今朝には解熱していたため、予定通り参加してきました。
今回のイベントでは、まず日本対がん協会常務理事の関原健夫さんによる「がん六回 人生全快」というご講演がありました。ご自身が若くして大腸がんになり、その後も再発手術を繰り返しながら仕事もばりばりこなしてきたご経験を語って下さいました。
関原さんは、5年生存率20%と宣告されたときに知人の乳がん患者さんから「残り少ないかもしれない時間を何もせずに過ごすのはもったいない」と言われ、仕事を続ける決意をしたそうです。その後の再発手術の時も要職についていながら手術をしてからまたすぐに仕事に復帰するということを繰り返し、すでにがん告知から31年くらい経過しています。もしあの時に仕事をやめてしまっていたら、きっと関原さんのその後の人生は大きく変わってしまったでしょう。とても考えさせられるお話でした。
そのあとにはパネルディスカッションが行われました。乳腺外科医のO先生、企業側の代表として、そしてがん患者でもあるTさん、NPO法人キャンサーサポートの乳がんサバイバーであるSさん、行政側として北海道保健福祉部のTさん、そして講演をして下さった関原さんが壇上に並び、ご自身の経験や現在の企業や行政の問題点、がんになった時に仕事をどう考えるべきかなどについてディスカッションが行なわれました。まだまだ課題が多く、がんになった時に仕事を続けるのはなかなか難しい問題がありますが、社会、そして企業が温かく支援してくれるような世の中になってくれることを祈るばかりです。
フォーラム終了後には、立食で懇親会が行われました。この会に参加して一番驚いたのは、私たちの病院の外来で数年前まで働いていた看護師のKさん(今は対がん協会でお手伝いをしているようです)と偶然再会したことです。懇親会では久しぶりに話ができてうれしかったです(笑)。また戻っておいでよって話しましたが来てくれるかなあ…。とりあえずまた外来の仲間と飲みに行く約束をしました(笑)。
なんとか参加できて良かったですが、結局フォーラムの途中からだんだんまた具合が悪くなり、懇親会を途中で抜けて帰ってきました。今日は早めに休みます!
2016年2月1日月曜日
術前化学療法で乳がんが消えなかった場合どうするか?という課題に対する1つの回答(CREATE-X試験)
最近では一昔前に比べて乳がんに対して術前化学療法を行なうケースが増えています。ただなんでも術前化学療法をすれば良いというものではないことは以前、ここでも触れたことがありました。
その理由の一つが、”pCR(がんが化学療法で完全に消失していること)になっているかどうかで予後が予測できるから”という術前化学療法を推奨する医師の説明は、患者さんに必ずしも利益をもたらさないからです。なぜならpCRになった人は良いですが、pCRにならなかった人は予後が悪いという事実を突きつけられるだけで(しかも必ず再発するわけではないのに)、それに対する対応がなにもなかったからです。つまり、pCRにならなかった場合は、この治療を追加する、という指針がなかったのです。
その問題に対する一つの回答が昨年、日本と韓国合同で行なわれた臨床試験結果として世界に向けて発信されました(日本人と韓国人900人が参加)。この臨床試験は、CREATE-X(Capecitabine for Residual Cancer as Adjuvant Therapy)という試験で、アンスラサイクリンとタキサンによる術前化学療法を行なったのちに切除したHER2陰性乳がん患者さんのうち、pCRにならなかった患者さんを8サイクルのcapecitabine(ゼローダ®)を追加する群と追加しない群に分けて無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を比較したものです。
結果は、主要評価項目である5年無病生存期間は、経口capecitabine併用群が、capecitabineを併用していない対照群よりも優れており(74.1% vs.67.7%、ハザード比[HR]:0.70、p=0.00524)、5年全生存率も、capecitabine併用群のほうが、対照群より優れている(89.2% vs.83.9%、HR:0.60、p<0.01)というものでした。この臨床試験の対象者は、トリプルネガティブだけではなく、ER陽性乳がんも含まれていました。
有害事象に関しては、SABCS 2013での報告によるとGrade3以上の好中球減少症および下痢の頻度は、capecitabine併用群で有意に高く、また、白血球減少症、好中球減少症、貧血、血小板減少症、肝酵素の上昇、総ビリルビン、食欲不振、下痢、口内炎、および疲労の各グレードの有害事象の発生率も、capecitabine群のほうが対照群より高いという結果でしたが、それを上回る効果があったということになります。
ただこの臨床試験結果を実臨床に活かす上での一番の問題は、capecitabine(ゼローダ®)は再発乳がんに対してしか保険適用がないことです。つまりこういう結果が出たとしてもいますぐ術後の患者さんに使用することはできないのです。先日製薬会社の担当者にも話しましたが、なんとか少しでも早く適用を通してもらいたいものです。
その理由の一つが、”pCR(がんが化学療法で完全に消失していること)になっているかどうかで予後が予測できるから”という術前化学療法を推奨する医師の説明は、患者さんに必ずしも利益をもたらさないからです。なぜならpCRになった人は良いですが、pCRにならなかった人は予後が悪いという事実を突きつけられるだけで(しかも必ず再発するわけではないのに)、それに対する対応がなにもなかったからです。つまり、pCRにならなかった場合は、この治療を追加する、という指針がなかったのです。
その問題に対する一つの回答が昨年、日本と韓国合同で行なわれた臨床試験結果として世界に向けて発信されました(日本人と韓国人900人が参加)。この臨床試験は、CREATE-X(Capecitabine for Residual Cancer as Adjuvant Therapy)という試験で、アンスラサイクリンとタキサンによる術前化学療法を行なったのちに切除したHER2陰性乳がん患者さんのうち、pCRにならなかった患者さんを8サイクルのcapecitabine(ゼローダ®)を追加する群と追加しない群に分けて無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を比較したものです。
結果は、主要評価項目である5年無病生存期間は、経口capecitabine併用群が、capecitabineを併用していない対照群よりも優れており(74.1% vs.67.7%、ハザード比[HR]:0.70、p=0.00524)、5年全生存率も、capecitabine併用群のほうが、対照群より優れている(89.2% vs.83.9%、HR:0.60、p<0.01)というものでした。この臨床試験の対象者は、トリプルネガティブだけではなく、ER陽性乳がんも含まれていました。
有害事象に関しては、SABCS 2013での報告によるとGrade3以上の好中球減少症および下痢の頻度は、capecitabine併用群で有意に高く、また、白血球減少症、好中球減少症、貧血、血小板減少症、肝酵素の上昇、総ビリルビン、食欲不振、下痢、口内炎、および疲労の各グレードの有害事象の発生率も、capecitabine群のほうが対照群より高いという結果でしたが、それを上回る効果があったということになります。
ただこの臨床試験結果を実臨床に活かす上での一番の問題は、capecitabine(ゼローダ®)は再発乳がんに対してしか保険適用がないことです。つまりこういう結果が出たとしてもいますぐ術後の患者さんに使用することはできないのです。先日製薬会社の担当者にも話しましたが、なんとか少しでも早く適用を通してもらいたいものです。
2016年1月31日日曜日
2016年 患者会新年会
昨日、市内のホテルNのレストランで患者会の新年会が開催されました、

今年は特に参加者が多く、貸し切りの個室がびっしりでした(いつも来ている患者さんのうちの数人は今年残念ながら参加できなかったのですが…)。ホテルのレストランの個室は定員が30人前後ということが多いですので、来年からはちょっと場所を考えなければならないようです。
昼からワインを飲んでいい気分になりながら患者さんたちといろいろお話しできて楽しい時間でした。今年の秋の旅行はどうしようかということも話題になりましたが、やはりこの人数をバスで送迎してくれつつ設定価格内におさまる施設に限定されますのでなかなか難しいです。個人的にはニセコか登別がいいかなと思っているのですが、ちょっと遠いのが問題です。その時に病棟が落ち着いているかどうかわからないですので、何かあった時に戻って来れる距離にしたいという条件もあるのです。今年は少し早めに探してみようと思っています。
昨年秋の北斗晶さんのニュース以降、外来患者数も乳がんと診断される数も急増していましたが、年が明けてからは少し落ち着きました。それでもコンスタントに手術症例はあります。できるだけ多くの術後患者さんに患者会に入会していただきたいと思っていますが、会員数が多くなると会をまとめるのもさまざまな行事を行う場所を探すのも大変になります。会長さんをはじめ、役員の方々は毎回かなり苦労されていますが私たちのサポートが十分ではなかったと反省しています。これからはさらに病院としてサポートしていきたいと思っています。

今年は特に参加者が多く、貸し切りの個室がびっしりでした(いつも来ている患者さんのうちの数人は今年残念ながら参加できなかったのですが…)。ホテルのレストランの個室は定員が30人前後ということが多いですので、来年からはちょっと場所を考えなければならないようです。
昼からワインを飲んでいい気分になりながら患者さんたちといろいろお話しできて楽しい時間でした。今年の秋の旅行はどうしようかということも話題になりましたが、やはりこの人数をバスで送迎してくれつつ設定価格内におさまる施設に限定されますのでなかなか難しいです。個人的にはニセコか登別がいいかなと思っているのですが、ちょっと遠いのが問題です。その時に病棟が落ち着いているかどうかわからないですので、何かあった時に戻って来れる距離にしたいという条件もあるのです。今年は少し早めに探してみようと思っています。
昨年秋の北斗晶さんのニュース以降、外来患者数も乳がんと診断される数も急増していましたが、年が明けてからは少し落ち着きました。それでもコンスタントに手術症例はあります。できるだけ多くの術後患者さんに患者会に入会していただきたいと思っていますが、会員数が多くなると会をまとめるのもさまざまな行事を行う場所を探すのも大変になります。会長さんをはじめ、役員の方々は毎回かなり苦労されていますが私たちのサポートが十分ではなかったと反省しています。これからはさらに病院としてサポートしていきたいと思っています。
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