2009年6月12日金曜日

Oncotype DXによる術後再発予測と抗癌剤

先日触れたSt,Gallenのレポートでも記載されていた、早期乳癌術後の再発危険度を予測する遺伝子解析は日本でも検査依頼が可能です。その一つがOncotype DXです。

適応は、以下の通りです。
①初めて乳がんと診断された患者さんで、主治医の先生と術後の化学療法を受けるかどうかを相談・検討している方。
②ステージⅠまたはⅡの浸潤性乳がんと診断された患者さん。
③エストロゲンレセプター陽性(ER+)の乳がんの患者さん。
④リンパ節転移が無い(陰性)の乳がんの患者さん。
*閉経後でリンパ節転移があり、ホルモンレセプターが陽性の患者さんも適応になりました。

これは検査受託会社の資料に書かれている内容です(http://www.oncotypedx.com/ja-JP/Breast/PatientCaregiver/IsOncotypeRight)。実際は、HER2陽性の場合は化学療法は必須なので除外されるはずです。
つまり、再発危険度を癌細胞の遺伝子検査で判定し、術後の補助療法として、ホルモン療法に化学療法(抗がん剤)を上乗せするメリットがあるかどうかを調べる目的で行なう検査です。

問題点は、今のところ検査材料(手術標本の一部)をアメリカに送らなければならないため、約45万円ほど費用がかかることです。簡単に出せる値段ではありませんので私は未だにこの検査を依頼したことはありません。道内でも今までほとんど依頼はないそうです。

ただ、もしこの検査で化学療法は不要と判定されたら、不必要な化学療法の副作用を避けれるし、化学療法にかかる費用もかからずにすむわけですから、これからは検査依頼が増えるかもしれません。

皆さんはこのような患者さんの立場だったら、45万円払ってでも検査を受けたいですか?
私が患者だったら…、お金があれば受けたいですね。でも高い…。

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

遺伝子解析で再発危険度を予測できるなんて、、驚きました。日本の医療機関でも検査ができるようになるとうれしいです。この検査の45万円に限らず、手術後治療は金額が大きいですよね。患者さまから相談される事もしばしばあり、悩みどころです。kimikomew

hidechin さんのコメント...

kimikomew3824さんへ
そうですね。早く国内で検査できるようになってほしいものです。
乳癌患者さんは、手術、抗癌剤、ホルモン剤、放射線治療、定期検査などとてもお金がかかります。その上でさらに45万円は大きいですよね。

kimity0115 さんのコメント...

この件に関しては、化学療法を治療に必要と判断される患者さんにとって一番の悩み所を解決してくれる一つの材料だと思います。
私も今までの治療を決める中で一番負担に感じ悩み苦しかったです。。

私は、自分の癌細胞を遺伝子レベルで、化学療法の要否が判定されるなら、何よりも説得力のある検査結果として受け止めることができるので、この検査を受ける適応にもあてまはまってたので、45万払ってでも受けたかったですね。

だって、何より白黒はっきりして簡潔明瞭じゃないですか。
医師もこの結果を患者に提示すれば患者も悩まずに受ける受けないをすぐに決断できます。

現状は、医師は標準治療として、「総合判断」して化学療法を「勧める」としか言いません。
受けるか受けないかは、患者自身が選択しなければなりません。。

「治療をうけなさい」じゃないんだ。。
じゃあ受けなくても大丈夫なの?
治療拒否してもいいの?

でも受けずに再発したら患者自分自身の責任なんだよね?。。

素人の患者にとっては、一世一代の決断をしなくてはならないほど、悩みに悩みますよ。。


それだけ癌治療は辛い治療なので患者の意思を尊重するということでしょうが、素人の患者にとっては、命と辛い治療を天秤にかけて、大決心を強いられます。。。とても患者にとって負担です。。


もちろん化学療法をすることによって、統計上のデータとして再発率が何%かは下がるとか具体的な数字や、なぜうけた方がいいか、医師としてすすめるその判断材料をお話しはしてくれますが。。

患者としては、辛い副作用を覚悟して約半年間もQOLを下げてまで化学療法を受ける価値があるのか、その説明だけでは、はっきりいって、すんなり化学療法を受けようと決心するふんぎりはつきません。

なので、医師が化学療法を勧める根拠として今までの、「統計上」「総合的判断」「標準治療」にプラス自分のがん細胞を検査した上での検査結果も一緒に提示してくれたなら、患者は、はるかに決断しやすい状況になるでしょう。

欲を言えば、「要」と出た場合に、化学療法うけるにあたってどの薬の組み合わせが有効だとそこまで解析結果がでてくれると、尚いいですよね。
あくまで危険度を予測する検査ではありますが「否」と出たら、それはそれで気持も随分軽くなって楽しく予後を過ごせるかと思いますしね。化学療法をしなくてもいいんだっていう安心材料として、45万というお金には換えられない価値を得ることができると思います。

hidechin さんのコメント...

kimity0115さんへ
患者さんとしてのご意見、ごもっともだと思います。もっと手軽に検査できるなら、私たちもお勧めするのですが、時間もお金もかかるため、どうしても躊躇してしまいます。今までは、まだ国際的なお墨付きもなかったですしね。でもSt.Gallenで推奨されれば私たちも堂々とこの検査を選択肢の中に入れることができます。そういう意味で今回のSt.Gallenの結果は大きいと思います。
ただ、お金のあるなしで、受ける治療や判断が違ってしまうのは、やはり少し抵抗も感じます。これらの検査が早く保険適応になって、国内で手軽に検査できるようになることを願っています。