2009年7月18日土曜日

新病院建設〜安全・安心・快適な化学療法室づくり

私が勤務している病院は、もうすぐ築35年を迎えるため、近隣の土地を購入して、新病院を建設する計画に入っています。

先日の科長・室長会議で、”新病院に向けた私の決意”なる文章を書くようにとのお達しがありました。文章を書くことが苦手な私は、ずっと先延ばしにしていましたが、ついに期限になり、やむを得ず、先ほど書き終えたところです。

外来化学療法室ができたのは、約3年前。開設にあたり、基本方針としたのは、

①患者さんにとって、より安全に化学療法を行なえる場所にする
②化学療法や癌そのものに対する不安を和らげる場所にする
③つらい治療をできるだけ快適に受けていただけるような環境にする

ということでした。①に関しては、幸い、今のところ大きな事故もなく経過していますし、②については、看護師さんの頑張りで、患者さんにとっては相談しやすい場所になってきているようです。ただ、③に関しては、特に患者さんが多い日には、待ち合いのソファが足りなくなってしまったり、診察室が一つなので担当医が診察できずにお待たせしてしまったりなど、まだまだ改善する必要があります。新しい病院では、スペースをもっと拡げて、快適に治療を受けられるようにしたいと思っています。

また、後継者対策も課題です。今のところ私が化学療法室長として担当していますが、もともと専門は乳腺外科であり、呼吸器や消化器の化学療法に精通しているわけではありません。また、週2回は別の病院の外来にも出ているため、常駐できる状況でもありません。やはり、化学療法専門の医師(腫瘍内科医)の育成が必要だと思っています。癌化学療法認定看護師は、近いうちに配置される予定です。できれば新病院建設時には複数体制にしたいと思っています。

そんなようなことを原稿に書いてみました。
これからさらにスタッフで時間をかけながら検討していきます。地域の患者さんから信頼され、近隣の病院からもたくさんの患者さんを紹介していただけるような、新病院、化学療法室にしていきたいと思っています。

6 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

決意書作成お疲れ様です。文章が苦手?
!にはお見受けしませんが、、^^先生のお考えには、同感です。「あそこでなら頑張れる」と患者さまが思える空間はステキですよね。kimikomew

hidechin さんのコメント...

kimikomew3824さんへ
理想はいろいろ描くのですが、なにせこのご時勢ですのでどうしても制限が加わってしまいます。
予算の範囲内で、なおかつ先の見通しを立てながら、ベッド数や設備を考えていかなければなりません。化学療法室を病院における重要な位置づけとして考えてもらえるように今のうちから具体的なプランを立ててアピールしていかなくてはならないと思っています。

リンダ さんのコメント...

私はセカンドオピニオンを受けた時に、化学療法は、いろいろ大変なこともあるから、できたら近くの病院で化学療法を受けれるように主治医に相談してみなさいと、セカンドオピニオンの先生に言われました。

主治医に相談したのですが、できないことはないが、あまり良い顔をされなかったので、電車で一時間かかるその病院で受けることにしました。

初めて抗がん剤をする日は、2日間入院する決まりがあり、点滴も主治医が病室でしました。

その後は、通院センター(化学療法室)で抗がん剤の投与を受けました。
新しくできた綺麗な通院センターでした。

主治医が言うには、「抗がん剤をしていてもそんな急にどうのこうのってないからね、いざ何かあっても夜間も対応しているし」と言われて、通院している病院にしたのですが、

病院が遠方というのは 確かに不安もありましたし(夜中にっても、高速で30分走らなくたならないし・・)
白血球が下がった時は、連日病院に白血球を上げる注射をしに、行かなくてはならないし不便を感じました。

私が通院している病院も専門の先生がいらっしゃいましたが、どこかの科と掛け持ちみたいでした。

今や、化学療法は治療の主流にになってきていますよね、微妙なサジ加減が治療を左右すると思います。
患者として感じてますが、腫瘍内科がある病院がもっと日本に増えてほしいものです。

そして、理想は
大きな病院に行かなくても、オンラインで連携できて、近くの病院でも化学療法を受けれたら患者にとっては嬉しいですね。

hidechin さんのコメント...

リンダさんへ
日本ではまだそういう連携が不十分ですよね。どうしても大病院や専門クリニックばかりに集中しがちな上、そこで手術も化学療法も再発治療も全部しようとする傾向が強いため、患者さんには結局十分なサービスを提供できていないのが実情です。少なくとも遠方に住んでいて、転院を希望されている患者さんには、十分な連携のもと、近隣の病院にご紹介することは当然のことだと思います。今のままの乳腺医療状況では、いつかパンクしてしまうのではないかと心配しています。

腫瘍内科医とは、悪性腫瘍の病態から治療まで幅広い知識を持ち、化学療法を専門に行なう医師を意味することが多いですが、実は正確な定義は国内では定まっていないと思います。また、”内科医”と言うのも抵抗があります。外科医でも化学療法中心に仕事をしている私もある意味、腫瘍内科医みたいなものだからです。最近では化学療法専門医なる資格制度がありますのでこれを取得した医師だけが、本来腫瘍内科医と言えるのだと思うのですが、この資格を取るためのハードルは非常に高いのです。研修指定病院が少ない上に、研修期間がけっこう長く必要なので、例えば私がこれから取得するのは、現実的には不可能です。腫瘍内科医でなければ化学療法をしてはいけない、などの縛りは現実的には当面困難なのです。一方で、全く基本的なこともわからずに化学療法をしている医師がいるという困った現状もあります。厚生労働省は、もう少し現実的な資格認定制度を考えて、このようなあまりに不慣れな医師を除外するようなシステムを作って欲しいと思っています。

kimity0115 さんのコメント...

私の病院は、がんセンター病院なので、常時一日に100人以上は治療を通院で受けています。
うる覚えですが、リクライニング椅子は20くらい、ベッドは30くらいだったでしょうか。
薬の種類によって、投与の時間はまちまちなので、とにかく待ち時間がピークの時は、2~3時間はざらでした><
ただでさえ、体調は最悪なのに、診察治療で待たされ、化学療法室に移動してこの待ち時間は非常にしんどかったですね・・

病院の規模、対応力、専門性にもよりますが、患者さんは、何も言わず、忍耐強くじっと待ってるだけです。

すべての人が、満足いくようなシステムを考えるのも大変だと思いますが、一人でも多くの患者さんが我慢なくスムーズに投与できるような環境設備にしていただくと、それだけで、辛い化学療法を乗り越えようという気もちになると思います。

でも、やはり設備以上に、不安な気持を和らげて頂けるのは、いつもそばでフォローしてくださる看護師さんの存在ですよね。
私も初回投与された時、不安で不安でたまらなく、投与時間中ずっと涙が止まりませんでした。
看護師さんが何度もベッドに様子を見にきてくれて励ましてくれていました。
この看護師さん達がいらっしゃるなら、頑張って通院できるかなって思えるほど、とてもとても心強かったです。

hidechin先生もお忙しいのにいろいろ大変だと思いますが、こうやっていつも患者さんのことを考えていただいているその気持ちが、新しい病院でも、反映されるはずです。

安心できる病院作り頑張ってくださいね!

hidechin さんのコメント...

kimity0115さんへ
ありがとうございます。頑張ります。
でもがんセンターの規模はすごいですよね。それに比べるとうちの病院はお恥ずかしい限りです…。
これから少しずつ増えるようにしていきたいと思っています。