2011年4月8日金曜日

乳がん術後の転院について

乳がんは手術や術後の化学療法が終わればそれで通院が必要なくなるわけではありません。ホルモン療法をする場合はもちろん、しない場合でも10年くらいは最低でも経過をみます。定期的に再発の検査をするかどうかは主治医の判断ではありますが、温存乳房、対側乳房の検査(マンモグラフィ±超音波検査)は一生必要だと私は考えています。

術後の経過観察をする場合は、できれば手術した病院に通院するのがもちろんベストです。検査資料がすべて残っていますし、比較も容易です。また、ずっと経過をみてくれているという安心感や信頼感もあるでしょう。

しかし、主治医が転勤したり、折り合いが悪くなってしまい、転院を考えざるをえなくなる場合もあります。ネット上での相談でもよくそういうケースがあります。そういう場合に患者さんが一番心配するのは、転院した場合に、“手術したわけではないのに、きちんと診てくれるだろうか?”ということです。

中には手術した患者さんしか受け入れてくれない病院(大病院に多いようです)もあるようですが、一般病院であれば通常はきちんと診てくれるはずです。私たちの病院にも以前から他院で手術したあとで転院してきた患者さんが多く通院しています。

私の記憶にあるだけでもそのような患者さんは20人以上いらっしゃいます。そのうち約半数は再発後に当院にかかった患者さんです。

転院の理由は様々です。主なものは、

① 近くに転居したため
② 高齢になって手術した病院までの通院が大変になったため
③ 主治医が転勤したため
④ 再発したあとの主治医の対応に不満を持ったため
⑤ すでに通院を中断していて、再発後、または検診目的でに当院に受診した

などです。

いずれにしても他院で手術したからと言って、当院で手術した患者さんと対応に差があるなどということはまったくありません。むしろ他院で手術したことを普段は忘れているくらいです。ですから、転院を受け入れてくれる病院なら、手術した病院じゃないから…ということについてはほとんど心配ないと思います。やむを得ない事情で転院せざるを得ない場合はありますから。ただ、紹介状をもとの病院からもらってくることだけは忘れないようにして下さい。

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