2012年9月18日火曜日

乳癌の治療最新情報33 エベロリムス2〜日本人のサブ解析結果

以前もここでエベロリムス(アフィニトール®)の臨床試験結果(BOLERO-2試験)について述べましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2011/10/27.html)、このたび日本臨床腫瘍学会において、日本人についてのサブ解析結果が報告されたそうです。BOLERO-2試験は、レトロゾールやアナストロゾールに抵抗または不応となったER陽性、HER2陰性の局所進行性または転移性の閉経後乳がん患者を対象にした二重盲検無作為化フェーズ3試験で、24カ国の189施設から日本人を含む724人の患者が登録されています。


結果の概要は以下の通りです。

対象:日本人患者106人(エベロリムス併用群(エベロリムス10mg/日+エキセメスタン25mg/日を併用する群)が71人、プラセボ群(プラセボとエキセメスタン25mg/日を投与する群)が35人。

追跡期間中央値: 11.1カ月。

結果:PFS(無増悪生存期間)中央値は、エベロリムス併用群が8.4カ月、プラセボ群4.1カ月(ハザード比0.59、95%信頼区間:0.35-1.01、p=0.0253)。客観的奏効率(ORR)はエベロリムス併用群が16.9%、プラセボ群が0%。臨床有用率(CBR)はエベロリムス併用群が43.7%、プラセボ群が25.7%。

副作用:主な有害事象は、口内炎(89%)、発疹(55%)、味覚異常(31%)。試験全体のデータと傾向が異なっていた有害事象は非感染性肺炎(間質性肺炎)の発生率で、日本人患者における非感染性肺炎の発生率は31.0%で、試験全体の15.6%よりも高値だった。しかし、グレード3、4に限ると、日本人患者は4.2%、試験全体は3.7%となり、大きな差は見られなかった。有害事象は治療の中断または投薬量の減少で管理可能だった。

結論:エベロリムス+エキセメスタン併用群では有意に無増悪生存期間が延長し、有害事象は管理可能だった。


この治療法が、ER陽性、HER2陰性(いわゆるLuminal type)の進行再発乳がんに対して有効な治療法の一つであることを日本人のデータとして示せたのは意義のあることです。ただ、エベロリムスの場合は、上に書いたように間質性肺炎が心配される有害事象です。腎細胞がんに対してすでに適応が通っていますが、発売後の調査において、間質性肺炎は17.4%の患者さんで見られたと報告されています(死亡率は0.7%)(http://product.novartis.co.jp/afi/ts/pms_kanshitsusei_20120116.pdf#search='%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB %E9%96%93%E8%B3%AA%E6%80%A7%E8%82%BA%E7%82%8E')。今のところ、イレッサのように喫煙者が非常に高リスクとも言えないようですので、だれでも起きる可能性があるといことが懸念されるところです。

効果が大きくて副作用が少ない治療薬の開発はなかなか難しいものですね…。



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