2012年9月29日土曜日

「第3回 Cancer Board」

「Cancer Board」というのは、Wikipediaによると、「集学的治療や標準的治療等を提供する際に、手術、放射線療法および化学療法に携わる専門的な知識および技能を有する医師、画像診断、病理診断等を担当する医師やがん医療に携わる専門職等が職種を越えて集まり、がん患者の症状、状態および治療方針等を意見交換・共有・検討・確認等するためのカンファレンスのこと」と書いてあります。

私たちの病院は、将来的にがん拠点病院を目指していることもあり、今年の夏から院内のCancer Boardを定期的に開催するようになりました。ただ、今のところはこの馴染みのないカンファレンスを院内の多職種の人たちに浸透させることが目的ですので、各センターごとに持ち回りで担当してテストケース的に行なっています。来週はついに乳腺センターが担当になりました。

私たちの病院の症例で治療方針を決める場合は、センター内でも毎朝打ち合わせをしていますし、時間がないときは院内のメールで情報交換をしたりしています。また、病理科、緩和ケア科、精神科、整形外科などの科とも直接連絡を取り合って方針を立てていますので、実際に判断に困って大勢の中で治療方針を決めなければならないような症例はあまりありません。ですから今回の提示は、乳がんの患者さんの治療経過は他のがんの患者さんとは少し違うので、さまざまな判断が異なっているということを紹介することを目的にしようかと思っています。

いま考えている症例は、治療経過がとても長い患者さんです。乳がんの手術は今から25年以上前。再発したのは今から10年以上前です。その後、化学療法、内分泌療法をいろいろと繰り返して今までほとんどの時間を自宅で過ごしてきました。私は再発後からのおつきあいですが、自宅が遠いこともあって、治療方針の決定にはずいぶんと苦労しました。

今年に入ってからは、ちょっと深刻な状態になってきていて、治療はさらに複雑になってきました。でも時々入院はしますが、まだほとんど外来で治療を行なっています。普通なら、もう緩和治療にシフトしても良い時期なのかもしれませんが、患者さんは闘う意欲を見せていますし、毎回毎回治療を変更するたびに一定の効果を見せてくれますので、患者さんが望めばもう少し治療を頑張ってみようかと考えています。来週のCancer Boardでは、そんなお話をしようかと思っています。

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